2032年03月31日

ブログの説明

ようこそ。岡本信広の教育研究ブログへ。

このブログでは,岡本信広の大学教育や中国経済の研究についての情報をアップしていきます。左のカテゴリーについて説明をします。

プロフィール
 岡本のプロフィールと毎年の研究活動をまとめています。

講義(授業)
 岡本の担当科目「東アジア地域研究34(現代中国経済論AB)」に関する情報を提供しています。

教育研究活動
 岡本の日々の研究・教育活動がアップされます。研究だけではなく教員としての日記,研究における備忘録なども含まれる本ブログのメイン。

Miscellaneous Notes(雑記)
 どちらかと言えば,公的活動以外の雑感や日記などです。プライベートな部分も含んでいます。(*^_^*)
 
大学教育について
 大学教育について考えたこと、教育方法の改善などの備忘録です。大学教育に少しでも貢献し、いい教育が提供できるように考えやアイデアを整理しています。別名、自分FD。

岡本式中国経済論
 中国で起きている出来事を経済学的視点から解説しています。講義,研究のタネになるようなアイデア的なものも。学生さんのみならず,一般向けに私の講義の一端を感じてもらえるかと思います。

読書ノート
 普段のツイッターでつぶやいている読書メモのまとめや特別おもしろかったもの備忘録です。

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2012年05月22日

中国のネット世論と政府の監視

中国政府によるネット監視は共産党体制を保持するのに必要な手段になっているようです。

政府のネット監視、ネット世論についての分析の本は少なくありません。例えば,西本紫乃(2011)『モノ言う中国人 (集英社新書)』,福島香織(2011)『中国のマスゴミ ジャーナリズムの挫折と目覚め (扶桑社新書)』,安田峰俊(2011)『中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない』があります。

今日は遠藤(2011)からネット監視体制の強化過程を整理しておきたいと思います。

2002年に胡錦濤政権が始まって以降、ネット世論を管理するとともに政治思想の教育のためにもネットを利用するべきこと、という基本方針が国家主席の談話として出されていたようです。その談話が表に出るようになったのは、2007年で、胡錦濤政権の訪日に対するネット世論が胡錦濤を弱腰として追求していたこともあり、各種報道でネット世論の誘導の主導権を掌握すべきであるという姿勢が打ち出されます。

その手段としてハードとソフトバンクの両面で政府のネット管理が進んで行きます。

ソフトにあたる部分では、1998年頃から進められている電子政府構想、政府の情報化過程として始められた「金盾工程」でした。もともとは情報化のためのプロジェクトでしたが、公安部では犯罪情報の集中化が目指され、それとともに国家安全局によってファイヤーグレートウォールと呼ばれる「防火長城」プロジェクトが進んで行きます。これは情報を検閲するとともに、フィルタリングをかけるものでした。

(Googleが中国に進出したときはこの検閲とフィルタリングを受け入れていたわけですが、さらなる安全局からの関与を嫌い、2010年に撤退しました。)

ハードの面では情報操作の手段としてネット評論員を育てることです。ネット評論員は政府の指示に従い、政府のためになるようなことを掲示板等に書きこみ、世論形成に影響を与えようと活動する人たちです。一回の書き込みで5毛(まお)の報酬を受け取れることから、「五毛党」と呼ばれています。(なお、別の由来もあるようですが遠藤はこの説を支持しています。)

この「五毛党」は2006年頃から地方政府を主体に(もちろん中宣部の指示によって)ネット評論員が養成されるようになりました。

2008年頃からは、ネット評論員の質を上げることが目指され、「意見領袖(オピニオンリーダー)」が養成されるようになってきています。掲示板のスレ主となって論点を提供し、多くのネットユーザーから一目おかれる存在にしようという試みです。

このような政府によるネット管理は、ネット世論が社会を不安定にさせる動きにつながるという不安感からきています。とくに2011年にはジャスミン革命がネットで広がり、人々の抗議行動につながりかねないという政府にとって不穏な動きが発生しました。

また地方政府の幹部、とくに県幹部にとってもネット世論は恐怖になっているようです。地元で一挙手一投足が見られる地方政府の幹部は、ネットで報じられると一挙に多くの人たちに知られてしまいます。

遠藤(2011)の紹介する地方幹部300人に行われた調査でも70%がネット世論を恐れています。そのために地方政府はある程度ネット世論を反映した施策を打ち出さざるを得ないということになります。

ネット世論が中国を動かすという期待もありますが、それは過大な期待だろうというのが一般の見方のように思います(例えば、安田2011)。

それでも政府の腐敗を未然に防ぐ圧力になる、あるいは政府の行動の見えない規律につながるという意味ではネット世論は極端に振れることがあるかもしれないにせよ、自由な意見表明が難しい中国において、国民が意見を表明できる重要な空間であることは間違いないでしょう(西本2011)。

<参考文献>
遠藤誉(2011)『ネット大国中国――言論をめぐる攻防 (岩波新書)』岩波新書

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2012年05月17日

『危うい超大国』

中国の国際関係を考える上で、参考になる本を読みました。スーザン・シャークの『中国 危うい超大国』です。訳者の解説によれば「合理的選択」という手法による政治、外交の分析で、内容と主張がわかりやすくて非常にためになりました。



主張をまとめてみます。

中国の指導者は国内における権力基盤の安定性に不安を覚えている。そのため強くなった国力を矛盾した二つの方向で使う。一つは平和的に紛争をさけるように振る舞い、もう一つは危険な行動をとったりする。

彼女のスタンスは、中国の行動を理解するには中国の意図を分析することが重要だという立場をとっており、そのため自らが外交の現場に身をおいた経験やさまざまな文献から中国の意図を明らかにしようとしています。

まず、中国指導部の権力基盤を「支配カルテル」で説明します。それは解放軍や武装警察(銃口)、中央組織部や中央宣伝部(ペン)によって政権がなりなっていること、そして指導部では一枚岩ではなく意見は対立しているが、それは外にわからないようにしていることが述べられます。

中国指導部の権力基盤を守るために、ナショナリズムを利用します。ナショナリズムを制御できれば社会の不安定を防ぐことができるとともに、共産党への支持拡大につながります。

でもこのナショナリズムは両刃の剣です。もしナショナリズムを背景に外国との対抗がうまくいかず、国民から弱腰として見られれば、自らの権力基盤を転覆される可能性まで出てきます。

例えば、中国の経済発展にとって中米関係の安定は必要不可欠です。しかし対米交渉において一般世論が現政権を弱腰ととらえると、共産党にとって不利になります。このような時には一般的な民衆の不満を対日関係に向かわせるということがおきます。つまり中国の対日関係は中米外交のはけ口として使われる側面があります。

しかし、このようなナショナリズムを利用して権力基盤を強化しながら、対外行動を決定することには危険も伴います。共産党指導部が外国を威嚇することによって国民の支持を得るようになると、威嚇が引っ込められなくなり、最悪は軍事行動に迫られることになります。しかし指導部にとって国内経済の安定は共産党権力基盤の中でももっとも重要なものでもあります。ここナショナリズム外交の大きな矛盾点があるようです。

ところで、中国の外交を分析するしているものに佐藤賢(2011)があります(これも非常にためになりました。)

そこでは、外交政策の最高決定機関は,政治局常務会議下の中央外事工作領導小組であることが述べられています。ところがシャークはこれに触れていません。中央外事工作領導小組の取材などがあれば,もっと中国の外交がわかりそうです。この辺は他書を参考にする必要があります。

<参考文献>
佐藤賢(2011)『習近平時代の中国』日経新聞社

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2012年05月15日

今のマクロ経済学がわかる良書『成長信仰の桎梏』(齊藤誠著)

最近のマクロ経済学は難しいとずっと思っていたのですが,とてもわかりやすく,しかも日本経済に応用して説明しているいい本に出会いました。

齊藤誠先生の『成長信仰の桎梏-消費重視のマクロ経済学』です。もともとは梶谷さんの紹介(ここ)だったのですが,ラムゼイモデルがよく理解できました。



この本から学んだことをまとめます。

まず,GDPを政策基準にするのは間違えていること,IS-LM分析やニューケインジアンもGDPを増加させることを前提にしているが,そもそもは消費者の効用を経済厚生の基準として考えるのが適当である,と述べられます。GDPを増加させることが至上命題になっているのは間違いのもとということです。

ラムゼイモデルから簡単なマクロモデルが導入されます。

Y=C+I

GDPは消費と投資で決定される簡単なモデルです。動学的環境においては,消費者は利子率を参考にして働いて得た所得を貯蓄に回したり,消費に使ったりを決定します。企業は利子率を参考にして家計の貯蓄から借入して投資を決定します。来期の投資は利子率が影響してくるため動学的になります。

このY=C+Iが安定する条件は,@設備投資が将来の消費と等しくなること,あるいはA現在の消費1単位が将来の設備投資1単位と等しくなることです。つまりこのマクロモデルが均衡しているあるいは均衡に近いときのみ,GDPを大きくすることと消費を大きくすることは同義になってきます。

皮肉なことに,総需要と総供給が不均衡なので,総需要を拡大するのがいいとするIS-LM分析やニューケインジアンのモデルは,不均衡を前提にしているにも関わらず,実際はラムゼイモデルの均衡に近いところを前提としていることになります。

このモデルの均衡条件は,

消費者の時間選好率=企業の投資の生産性

であり,どちらも利子率に等しくなります。消費者の時間選好率というのは,将来の消費のためには現在の消費を我慢する比率です。消費者は現在の消費効用が高いので,消費を我慢して貯金するにはいくばくかの利子がつかないと我慢できません。この我慢度は利子率と等しくなります。

企業の投資の生産性とは,お金を借りて設備投資をしますが,その設備投資によって稼げるお金のことです。そして稼いだお金で借りたお金を返済していくわけで,利子率と生産性は等しくなってきます。利子率よりも投資の生産性が高いと思えば,お金を借りて設備投資を実行します。投資の生産性が低いと設備投資は実行されません。

以上の簡単なマクロモデルから,本書では日本経済の分析が行われます。以下簡単にまとめてみます。

日本経済は,90年代に投資の生産性が減少したにも関わらず,低金利政策によって,収益率の低い投資プロジェクトが実行されるようになりました。日本経済に過剰な資本蓄積が行われ,生産能力が過剰な状態が続いたわけです。本来ならば,投資の生産性が低下すると,投資機会のない消費者は消費を増大させていきます。そ消費拡大による生産増加は設備を摩耗させていきます。設備投資を食いつぶすようになってから,投資の生産性は回復していきます。そうすると,家計は消費を押さえて貯蓄(投資)に向かうようになっていきます。

ところが,低金利政策は過剰流動性をもたらし,企業は設備投資を拡大させ続けました。収益が少ないにも関わらず,見かけの株価上昇(バブル)で人々の消費は増大せず,投資に向かっていきました。

このような状態になったのは,金融市場が日本では機能していないこと,金融市場はいい投資プロジェクトを発掘するものにならないといけないことが述べられます。

ラムゼイモデルを日本経済の説明に使うことによって,私自身もこのモデルの意味がよくわかりました。

マクロ経済学をIS-LMで学んだ人にとっては,新しいマクロ経済学を理解するための必読文献だと思います。

齊藤先生の以下もご一緒にどうぞ。

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2012年05月10日

『民主主義がアフリカ経済を殺す』

中国では中国モデルという一党独裁による経済運営を正統化する論調がある中,それにもまさる刺激的な本を読みました。

ポール・コリアー『民主主義がアフリカ経済を殺す』です。




有名な経済学者コリアーによる研究成果にもとづいた分析結果を用いてわかりやすく論じています。

早速要旨をまとめてみます。

アフリカの最底辺の10億人はは政治的暴力(銃や戦争,クーデター)にさらされている。一国の規模は,協調するには難しいほどの多様性を抱えており,一方で安全保障を公共財として供給できるほどの規模はもっていない。

選挙がアフリカに導入されているが,政治的暴力は減少していない。むしろ低所得国(一人あたり年間2700ドル以下)では,民主主義が脅迫や不正選挙を招き,政治的暴力の原因となっており,実際の民主化や経済発展を遅らせている。

民族間の権力闘争は,安全保障をもたらしていない。権力闘争が落ち着いて調停したとしても,低所得国で選挙を導入した民主主義の国は紛争に戻るリスクは非常に高い。独裁制の国でも平和維持軍が展開されると紛争に戻るリスクは低減する。また援助が軍事費に流用されている事実があり,これがまた政治的暴力を低減できていない。

これらの研究成果にもとづいて,最底辺の10億人が住む国々には,国際社会が安全保障を提供し,政権のアカウンタビリティ(正当性の説明責任)を保証する必要がある,つまり最低限の国際介入が必要なのである。



実際,タイトルほどの衝撃はないのですが,欧米人にとって(?)あるいは民主主義が一番だと考えている人たちにとってはとっても刺激的であることに間違いはありません。

ただ逆を言えば,独裁体制にある中国が安定した安全保障,そして共産党支配の正統性(アカウンタビリティー)という公共財を供給しているという現状を考えると,これがそのまま中国にあてはまるわけではありません。一人当たりGDPが低いとはいえ,アフリカ最貧国に比べれば十分豊かであることを考えると,中国に民主主義圧力がかかるのはある意味自然の流れともいます。

広東省では烏坎村での選挙が世界的にも注目されましたし,この間の全人代での温家宝首相の政治改革の強調は中国にも民主主義が必要になってきているということかもしれません。

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2012年05月08日

2012年4月の読書ノート

2012年4月の読書ノートです。

今月の一冊は



です。amazonレビューも100以上ついているので,私が今さらですが,とにかくおもしろい。数字の使い方はやや恣意的だけど,それにしてもよくもこれだけ農林水産省を敵に回すなというぐらい,日本の農業のからくりについて述べようとしています。

農業政策では政府が関与しすぎて首が回らない状態になっているということがよくわかります。新規参入の仕組みがないと日本の農業は本当に将来がなくなるかもしれないと思いました。



<経済学>

松井彰彦(2011)『不自由な経済』日経新聞社 市場は格差の原因というレッテルを貼られてきたが、逆に格差を縮める力を持つ。市場は見知らぬ人をつなぎ馴れ合いや既得権益を打破し、新しい息吹を与える。女性が自由を感じ障害者が自立を得るのは市場への参加が可能になったからである。

根井雅弘(2006)『物語 現代経済学』中公新書 主流派経済学に批判的な代替的アプローチ(シュンペーター、ヴェブレン、マルクスなど)の存在に無知であってはならず、自分の考え方を相対化させること、これが現代の経済学界に最も欠けているものである。

ウォルター・ブロック(橘玲)(2011)『不道徳な経済学──擁護できないものを擁護する (講談社プラスアルファ文庫)』講談社+α文庫 売春やヤクの売人など不道徳とみられる人々は誰一人強制力を伴った悪行を働いているわけではなく、むしろ社会に利益をもたらしている。私たちの好きに行う取引を禁止するのは有害である。

ポール・コリアー(甘糟智子)(2010)『民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実』日経BP社 最底辺の10億人が住むアフリカでは政治的暴力がはびこり安全保障や政府のアカウンタビリティ(正統性)という公共財が供給されない。最底辺の人々の安全を考えると国際社会が安全保障を提供する必要がある。

齊藤誠(2006)『成長信仰の桎梏 消費重視のマクロ経済学』勁草書房 政策を評価する基準はGDPではなく消費である。GDPを政策目標にしたのは、ケインズモデルの影響し、企業や金融機関を守るという政策発想があった。消費と投資が均衡する国内・国際金融システムが必要不可欠である。

青木昌彦(瀧澤谷口)(2001)『比較制度分析に向けて』NTT出版 ゲームが繰り返しプレイされる仕方の際立った特徴に関して共有された予想の自己維持的システムとして制度の性質を理解する。均衡の要約表現かつ共有予想としての制度観に基づき経済主体の集合体(ドメイン)における制度を同定。

アブナー・グライフ(岡崎哲二神取道宏)(2009)『比較歴史制度分析』NTT出版 制度をゲームの均衡とみなし、マグリブ貿易商の代理人契約を分析。マグリブ貿易商とジェノヴァ貿易商が異なった制度になったのは「文化に基づいた予想」の違いである。

中島隆信(2011)『障害者の経済学』東洋経済新報社 福祉の現場にも正しいインセンティブをつけ、障害者とその関係者たちが自分たちの利益のために行動した結果、すべての人々が幸せになれる制度設計が必要だ。もっている良さを引き出させるのがより良い福祉政策。


<中国>

ジョン・フリードマン(谷村光浩)(2008)『中国 都市への変貌-悠久の歴史から読み解く持続可能な社会』鹿島出版会 悪化が進む都市環境、都市内部で失業が目立つ雇用なき成長、農民工や農村と都市内部との所得が格差、これらの解決には都市、農村の協調した介入が持続成長をもたらす。

呉敬l(青木昌彦監訳)(2007)『現代中国の経済改革 (叢書「制度を考える」)』NTT出版 中国の体制改革を柱として、農村、企業、民営経済、銀行・証券、財政税制、対外開放、社会保障、マクロ政策の各論、そして社会的公正と共に豊かになる社会主義市場経済について政府と市場の関係を探る。

アレクサンドラ・ハーニー(漆嶋稔)(2008)『中国貧困絶望工場 「世界の工場」のカラクリ』日経BP社 中国の輸出を支えるチャイナプライス。世界のバイヤーが広州交易会で賑わう背後には、安い賃金労働で働かざるを得ない出稼ぎ工、法令を遵守できない工場長、監査をすり抜けようとする国際的バイヤーなど多くの要因が。

高島俊男(2004)『中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)』講談社現代新書 中国では盗賊によって王朝が代わってきた。毛沢東は最後の盗賊であり、マルクスを経典にし、知識人を巻き込み、武装し、天下統一を夢見た。盗賊の動きを農民革命と呼んだのである。

スーザン・シャーク(徳川家広)『中国危うい超大国』日本放送出版協会 中国の指導者は自分の権力基盤が盤石だとは考えていない。そのため二つの方法で国力を行使する。一つは国内問題を抱えているので、対外紛争を避ける。もう一つは危機の時にはナショナリズムを煽り攻撃的になる。


<社会問題>

橋下徹・堺屋太一(2011)『体制維新-大阪都』文春新書 世界の都市間競争に打ち勝つための広域自治体としての大阪を作り、成長の果実を基礎自治体で分配する。大阪市では都市として小さく行政サービス提供では大きい。幹部公募制や私立高の授業料の無料化により職員間や教育の競争をもたらす。

中村研二・寺崎友芳(2011)『東日本大震災 復興への地域戦略』エネルギーフォーラム新書 建物被害率や資本ストックから被害額を推定。宮城を国際的観光地づくりなど開発戦略の提案。復興財源と地方負担、既存自治体が機能出来ない中での復興まちづくり会社,復興特区の可能性を検討。

橘川武郎(2011)『東京電力 失敗の本質』東洋経済新報社 問題は民営公益事業の複雑さ。国策民営の原子力は責任の所在を明確にするために国営化する。周波数統一により電力融通を可能にし、各電力会社の競争を促進、カルテル状態の地域分割を廃止する。

山岸俊男(2000)『社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)』PHP新書 利己主義であっても協力することが自分の利得になることがわかる場合、協力して社会的ジレンマは解決する。人と協力することで協力しない人たちから搾取されない環境設定がジレンマ解決のカギ。

山岸俊男(2011)『「しがらみ」を科学する-高校生からの社会心理学入門』ちくまプリマー新書 人がある行動を取るとある結果が生まれる。この反応によって人の行動を生み出し社会をつくる。社会はインセンティブ構造。社会はしがらみを作りそれによって望んでいない行動もとる。

浅川芳裕(2010)『日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)』講談社+α新書 99年に制定された食料農業農村基本法により自給率向上が国是に。生産額ベースでみると66%であり先進国3位。補助金支給、耕作放棄地を問題にしながら減反政策など農業を疲弊させている。

マイク・ディヴィス(酒井隆史監訳)(2010)『スラムの惑星-都市貧困のグローバル化』明石書店 工業化を欠く都市化は雇用機会を提供できない。グローバル化によって価格の低下、食糧輸入、土地の取り上げ、旱魃や内戦により農民を都市に追いやり、スラム化が進む。

駒崎弘樹(2010)『「社会を変える」お金の使い方――投票としての寄付 投資としての寄付』英治出版 政府ではないNPO法人が、国民が必要で新しい公共を提供する。その仕組みには所得控除ではなく税額控除とする。有益なNPOには寄付という形で「投票」(応援)し、社会を変える「投資」となる社会に。

ラジ・パテル(佐久間智子)(2010)『肥満と飢餓-世界フード・ビジネスの不幸のシステム』作品社 農民と消費者に生産と消費の自由はなく、少数の国際的な食品流通業者(ネスレ、ウォルマートなど)が食品を支配。価格を受け入れ貧困にあえぐ農民、豊富な高カロリー食品を食べる消費者。


<自己啓発>

鷲田小彌太(2009)『人生は四十代からの勉強で決まる』海竜社 勉強力をつけるためには勉強を習慣化する必要がある。強制的に習慣化するには学校に行くのも一つの方法。30代は基礎がため、40代は全力であたる仕事に出会い、50代は体力絶頂期であり、仕事に勉強が追いつく。


<その他>

真山仁(2010)『ベイジン〈上〉』幻冬社文庫 世界最大級の原発建設が日中共同事業で開始。原発に絡む汚職を調査するために中央紀律委員会から派遣された市副書記ケ学耕。中国で安全な原発を作りたい日本側技術者田嶋。二人の男の友情と希望は原発火災を防げるか…

星野欣生(2003)『人間関係づくりトレーニング』金子書房 自分が持っている「枠組み」、持っている価値観、コミュニケーション、感情の表出、葛藤との付き合い方など自分と人間関係を学ぶ体験学習。体験し理論を学び、体験中の自分の変化を見つけるエクササイズ。

藤原武弘編(2007)『人間関係のゲーミング・シミュレーション』北大路書房 囚人のジレンマや売り手と買い手の取引、異文化シミュレーションなどを通じて社会心理学を学び、他者や他集団との協調・共生する道を模索する。

宮部みゆき(2006)『名もなき毒』幻冬社 コンビニのウーロン茶に仕組まれた青酸カリで人が亡くなる。今多コンツェルンの広報誌担当の杉村は、編集アシスタントの原田いづみが辞めたあとの嫌がらせを通じて事件に巻き込まれる。人の抱える毒を解毒するには…

千賀一生(2009)『タオ・コード』徳間書店5時元文庫 老子の解く「道」は性を表している。その暗号から読み解けば性愛だけでなく宇宙とのつながりを意味していた。愛を渇望するために、所有欲、嫉妬心、権力欲などを生む。欲は得られない代償として生まれる。

千賀一生(2010)『ガイアの法則』徳間書店 この宇宙には地球の自転で動く時間(24時間の1/16)と空間移動22.5度の不思議なリズムがある。宇宙は必要なところに必要なだけの配置を行う。思念も心が空白であれば各人に必要なものが与えられるように出来ている。

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2012年05月03日

シンポジウム「震災から復興する日本の進路」

4/24日(火)に経済産業省・独立行政法人経済産業研究所によるシンポ『震災から復興する日本の進路』に参加してきました。

アンヘル・グリアOECD事務総長のキーノートスピーチでは、グローバル化による成長の取り込み、グリーンイノベーション、イノベーションのための教育改善、人的資本としての女性雇用の増加が必要という話がありました。

パネルディスカッションでは、深尾先生(慶応)が、日本には600兆の債務があり、1%強の7兆円の利払いが続いている、消費税で財政再建を目指すとすると25%まで引き上げなければならない、という報告がありました。

小林先生(一橋)の報告では、財政再建のためには消費税を36%引き上げ、所得税の場合64%引き上げという試算があり、リスク・シナリオを設定して準備する必要がある、とありました。また先進国間で国債を保有しあうとパレート最適になる可能性があるとの話は興味深かったです。

原山さん(OECD)は、災害に直面し、復興に向かう時に、誰がイニシアティブを取るか?、中央や地方政府の役割の再考が必要という話でした。

その他経産省の産業構造課長の日本の成長戦略の話がありました。

震災復興という話よりも、長期的な日本の復興という話が中心であったので、私の今後の研究(災害と経済)には直接役立ちそうにありませんが、勉強になりました。

関係ないけど、深尾先生の話は具体的で数字をあげるので、非常に説得的で理解しやすかったな〜。話しの仕方も参考になりましたw

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2012年05月01日

JESNAに論文掲載

2年間の猶予を経て,ようやく以下の論文が日の目をみました。

Meng, Bo, Okamoto, Nobuhiro and Tsukamoto, Yoshiharu.(2012)) Input-Output Based Economic Impact Evaluation System for Small City Development: A Case Study on Saemanguem's Flux City Design, The Journal of Econometoric Study of Northeast Asia, Vol.8, No.1, 21-57. (ISSN 1880-6988)

韓国のセマングムを開発する都市計画(Flux City Design)にもとづき,経済的なインパクトを計測するための産業連関をベースにした評価システムを確立しました。特徴は,小地域の産業連関モデルを構築し,消費者を内生化したこと,総産出の変化が立地係数を変化させ,地域間産業連関モデルも動学的に変化するようにし,都市計画と経済インパクトの両方にフィードバックできるようにした,というものです。

無料で論文が読めます。こちらから(PDFファイル)。

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2012年04月26日

東松山市きらめき市民大学

4月19日木曜日に東松山市きらめき市民大学にて,出張講義をしてきました。

とくに中国の発展の秘密と将来について一緒に考えるような内容でお話をさせていただきました。

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東松山市きらめき市民大学とは,ただのレクリエーション的な学びな場所というよりも,多少の学費を納めて2年間のコース(4学部から構成されている!)に参加し,修了証書をいただくというものです。学部は,健康・福祉学部,くらし・環境学部,国際・文化学部,郷土学部から構成されています。

私は国際・文化学部での授業を担当したのですが,この学部,人気学部らしく毎年定員の30名以上の申込があるようです。

今回の授業参加者は,多くが退職された方々ですが,お歳を重ねられても勉強するという姿勢に,こちらも気が引き締まりました。

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2012年04月24日

中央大学研究会にて

4月16日(月)に中央大学経済研究所アジア経済圏研究会に参加してきました。

報告は以下の2本でした。

テーマ  石油価格のマクロ経済インパクト:国際比較
報告者  久保庭 眞彰 氏 (一橋大学経済研究所特任教授)

テーマ  国際産業連関表による国際分業率の計測
報告者  長谷部 勇一 氏 (横浜国立大学経済学部教授)

久保庭先生は,石油価格とロシアのGDPが高い率で相関しているにもかかわらず,インドネシアやマレーシアではそうではないことを示しました。ロシアの石油依存を「ロシア病」と名付けておられました。オランダ病との対比では石油以外の産業が成長しなくなるのと違い,他産業の生産は落ちていないようです。

長谷部先生は,貿易統計を利用して2005年アジア国際産業連関表を推計し,国際分業率を計算しています。とくに長谷部先生が2002年に発表していた総投入基準の国際分業率は,国際単位構造(単位構造は尾崎巌先生の提案)を各産業ごとに足しあげられたものであることが示されたり,他の分業率計算の先行研究が紹介されたりと今後の研究に役立ちそうな情報をいただきました。

非常に勉強になりました。ありがとうございました。

とはいえ,また読む論文が増えた〜たらーっ(汗)

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