2012年4月の読書ノートです。
今月の一冊は
です。amazonレビューも100以上ついているので,私が今さらですが,とにかくおもしろい。数字の使い方はやや恣意的だけど,それにしてもよくもこれだけ農林水産省を敵に回すなというぐらい,日本の農業のからくりについて述べようとしています。
農業政策では政府が関与しすぎて首が回らない状態になっているということがよくわかります。新規参入の仕組みがないと日本の農業は本当に将来がなくなるかもしれないと思いました。
<経済学>
松井彰彦(2011)『
不自由な経済
』日経新聞社 市場は格差の原因というレッテルを貼られてきたが、逆に格差を縮める力を持つ。市場は見知らぬ人をつなぎ馴れ合いや既得権益を打破し、新しい息吹を与える。女性が自由を感じ障害者が自立を得るのは市場への参加が可能になったからである。
根井雅弘(2006)『物語 現代経済学』中公新書 主流派経済学に批判的な代替的アプローチ(シュンペーター、ヴェブレン、マルクスなど)の存在に無知であってはならず、自分の考え方を相対化させること、これが現代の経済学界に最も欠けているものである。
ウォルター・ブロック(橘玲)(2011)『
不道徳な経済学──擁護できないものを擁護する (講談社プラスアルファ文庫)
』講談社+α文庫 売春やヤクの売人など不道徳とみられる人々は誰一人強制力を伴った悪行を働いているわけではなく、むしろ社会に利益をもたらしている。私たちの好きに行う取引を禁止するのは有害である。
ポール・コリアー(甘糟智子)(2010)『
民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実
』日経BP社 最底辺の10億人が住むアフリカでは政治的暴力がはびこり安全保障や政府のアカウンタビリティ(正統性)という公共財が供給されない。最底辺の人々の安全を考えると国際社会が安全保障を提供する必要がある。
齊藤誠(2006)『
成長信仰の桎梏 消費重視のマクロ経済学
』勁草書房 政策を評価する基準はGDPではなく消費である。GDPを政策目標にしたのは、ケインズモデルの影響し、企業や金融機関を守るという政策発想があった。消費と投資が均衡する国内・国際金融システムが必要不可欠である。
青木昌彦(瀧澤谷口)(2001)『比較制度分析に向けて』NTT出版 ゲームが繰り返しプレイされる仕方の際立った特徴に関して共有された予想の自己維持的システムとして制度の性質を理解する。均衡の要約表現かつ共有予想としての制度観に基づき経済主体の集合体(ドメイン)における制度を同定。
アブナー・グライフ(岡崎哲二神取道宏)(2009)『比較歴史制度分析』NTT出版 制度をゲームの均衡とみなし、マグリブ貿易商の代理人契約を分析。マグリブ貿易商とジェノヴァ貿易商が異なった制度になったのは「文化に基づいた予想」の違いである。
中島隆信(2011)『
障害者の経済学
』東洋経済新報社 福祉の現場にも正しいインセンティブをつけ、障害者とその関係者たちが自分たちの利益のために行動した結果、すべての人々が幸せになれる制度設計が必要だ。もっている良さを引き出させるのがより良い福祉政策。
<中国>
ジョン・フリードマン(谷村光浩)(2008)『中国 都市への変貌-悠久の歴史から読み解く持続可能な社会』鹿島出版会 悪化が進む都市環境、都市内部で失業が目立つ雇用なき成長、農民工や農村と都市内部との所得が格差、これらの解決には都市、農村の協調した介入が持続成長をもたらす。
呉敬l(青木昌彦監訳)(2007)『
現代中国の経済改革 (叢書「制度を考える」)
』NTT出版 中国の体制改革を柱として、農村、企業、民営経済、銀行・証券、財政税制、対外開放、社会保障、マクロ政策の各論、そして社会的公正と共に豊かになる社会主義市場経済について政府と市場の関係を探る。
アレクサンドラ・ハーニー(漆嶋稔)(2008)『
中国貧困絶望工場 「世界の工場」のカラクリ
』日経BP社 中国の輸出を支えるチャイナプライス。世界のバイヤーが広州交易会で賑わう背後には、安い賃金労働で働かざるを得ない出稼ぎ工、法令を遵守できない工場長、監査をすり抜けようとする国際的バイヤーなど多くの要因が。
高島俊男(2004)『
中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)
』講談社現代新書 中国では盗賊によって王朝が代わってきた。毛沢東は最後の盗賊であり、マルクスを経典にし、知識人を巻き込み、武装し、天下統一を夢見た。盗賊の動きを農民革命と呼んだのである。
スーザン・シャーク(徳川家広)『
中国危うい超大国
』日本放送出版協会 中国の指導者は自分の権力基盤が盤石だとは考えていない。そのため二つの方法で国力を行使する。一つは国内問題を抱えているので、対外紛争を避ける。もう一つは危機の時にはナショナリズムを煽り攻撃的になる。
<社会問題>
橋下徹・堺屋太一(2011)『体制維新-大阪都』文春新書 世界の都市間競争に打ち勝つための広域自治体としての大阪を作り、成長の果実を基礎自治体で分配する。大阪市では都市として小さく行政サービス提供では大きい。幹部公募制や私立高の授業料の無料化により職員間や教育の競争をもたらす。
中村研二・寺崎友芳(2011)『東日本大震災 復興への地域戦略』エネルギーフォーラム新書 建物被害率や資本ストックから被害額を推定。宮城を国際的観光地づくりなど開発戦略の提案。復興財源と地方負担、既存自治体が機能出来ない中での復興まちづくり会社,復興特区の可能性を検討。
橘川武郎(2011)『東京電力 失敗の本質』東洋経済新報社 問題は民営公益事業の複雑さ。国策民営の原子力は責任の所在を明確にするために国営化する。周波数統一により電力融通を可能にし、各電力会社の競争を促進、カルテル状態の地域分割を廃止する。
山岸俊男(2000)『
社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)
』PHP新書 利己主義であっても協力することが自分の利得になることがわかる場合、協力して社会的ジレンマは解決する。人と協力することで協力しない人たちから搾取されない環境設定がジレンマ解決のカギ。
山岸俊男(2011)『「しがらみ」を科学する-高校生からの社会心理学入門』ちくまプリマー新書 人がある行動を取るとある結果が生まれる。この反応によって人の行動を生み出し社会をつくる。社会はインセンティブ構造。社会はしがらみを作りそれによって望んでいない行動もとる。
浅川芳裕(2010)『
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
』講談社+α新書 99年に制定された食料農業農村基本法により自給率向上が国是に。生産額ベースでみると66%であり先進国3位。補助金支給、耕作放棄地を問題にしながら減反政策など農業を疲弊させている。
マイク・ディヴィス(酒井隆史監訳)(2010)『スラムの惑星-都市貧困のグローバル化』明石書店 工業化を欠く都市化は雇用機会を提供できない。グローバル化によって価格の低下、食糧輸入、土地の取り上げ、旱魃や内戦により農民を都市に追いやり、スラム化が進む。
駒崎弘樹(2010)『
「社会を変える」お金の使い方――投票としての寄付 投資としての寄付
』英治出版 政府ではないNPO法人が、国民が必要で新しい公共を提供する。その仕組みには所得控除ではなく税額控除とする。有益なNPOには寄付という形で「投票」(応援)し、社会を変える「投資」となる社会に。
ラジ・パテル(佐久間智子)(2010)『肥満と飢餓-世界フード・ビジネスの不幸のシステム』作品社 農民と消費者に生産と消費の自由はなく、少数の国際的な食品流通業者(ネスレ、ウォルマートなど)が食品を支配。価格を受け入れ貧困にあえぐ農民、豊富な高カロリー食品を食べる消費者。
<自己啓発>
鷲田小彌太(2009)『人生は四十代からの勉強で決まる』海竜社 勉強力をつけるためには勉強を習慣化する必要がある。強制的に習慣化するには学校に行くのも一つの方法。30代は基礎がため、40代は全力であたる仕事に出会い、50代は体力絶頂期であり、仕事に勉強が追いつく。
<その他>
真山仁(2010)『
ベイジン〈上〉
』幻冬社文庫 世界最大級の原発建設が日中共同事業で開始。原発に絡む汚職を調査するために中央紀律委員会から派遣された市副書記ケ学耕。中国で安全な原発を作りたい日本側技術者田嶋。二人の男の友情と希望は原発火災を防げるか…
星野欣生(2003)『人間関係づくりトレーニング』金子書房 自分が持っている「枠組み」、持っている価値観、コミュニケーション、感情の表出、葛藤との付き合い方など自分と人間関係を学ぶ体験学習。体験し理論を学び、体験中の自分の変化を見つけるエクササイズ。
藤原武弘編(2007)『人間関係のゲーミング・シミュレーション』北大路書房 囚人のジレンマや売り手と買い手の取引、異文化シミュレーションなどを通じて社会心理学を学び、他者や他集団との協調・共生する道を模索する。
宮部みゆき(2006)『名もなき毒』幻冬社 コンビニのウーロン茶に仕組まれた青酸カリで人が亡くなる。今多コンツェルンの広報誌担当の杉村は、編集アシスタントの原田いづみが辞めたあとの嫌がらせを通じて事件に巻き込まれる。人の抱える毒を解毒するには…
千賀一生(2009)『タオ・コード』徳間書店5時元文庫 老子の解く「道」は性を表している。その暗号から読み解けば性愛だけでなく宇宙とのつながりを意味していた。愛を渇望するために、所有欲、嫉妬心、権力欲などを生む。欲は得られない代償として生まれる。
千賀一生(2010)『ガイアの法則』徳間書店 この宇宙には地球の自転で動く時間(24時間の1/16)と空間移動22.5度の不思議なリズムがある。宇宙は必要なところに必要なだけの配置を行う。思念も心が空白であれば各人に必要なものが与えられるように出来ている。