2013年03月28日

『都市の原理』

やっぱりジェイコブズです。都市を考える上で、彼女の本は欠かせません。

『都市の原理』が新装されて入手しやすくなりました。



以前紹介した『都市の経済学』(エントリはここ)と重なる部分がありますが、『都市の経済学』が発展している地域と発展していない地域との関係に重点が置かれていましたが,本書は都市の形成に焦点をあてているのが特徴です。

本書の主張は,

都市は新しい仕事が追加される場所である。分業が増加し仕事が多様化する。輸入していたものを都市内部で置換し輸出していくことで都市は成長する。

というものです。

ジェイコブズは,ニュー・オブシディアンという黒曜石(オブシディアン)がとれる場所を設定します。農耕が発達するまで,狩猟民たちが黒曜石を求め,また黒曜石が売れることを知った狩猟民は交易品としてニュー・オブシディアンに定着します。

定着した狩猟民はニュー・オブシディアンを集落として形成していきます。食糧を他地域から輸入するとともに食糧を管理する仕事が増えます。穀物や家畜を管理,屠殺する仕事が増えます。生活の間に偶然あるいは意図的に育てやすい穀物や植物の種や苗を発明し,あるいは新鮮な肉を供給するために集落内で家畜を飼うようになります。輸入食料から自給食料に変化していきます。

集落の人口が増加していくと,集落の周辺に放牧地や穀物や植物の栽培が行われるようになります。農耕文化の発達と定着です。

ニュー・オブシディアンは交易都市として発展していきます。黒曜石を運搬する入れ物や普段の食糧を管理する入れ物などを輸入していましたが,交易の増加とともに入れ物の管理をする人々が入れ物を自分たちで作るようになります。大量に作り始めると,質が向上し,これがまたニュー・オブシディアンの重要な輸出品に変わっていきます。

このように,都市の発展とは,輸入置換の過程です。輸入したものを都市で蓄積しておき,地元の産業がそれらを製造することが可能になり,そして輸出していく,この一連の過程が都市の発展となります。

ところで,ジェイコブズは,都市が農村をつくったのであり,農村から都市がつくられたのではないと主張します。例えばアダム・スミスもマルクスも農業がさきにあっってそれから工業や商業が起こったと考えているが,これは間違いだと強く批判します。工業や商業が栄えている地域は農業地域の農業よりも発展している,都市が農業を創造する,と。


都市・地域経済学をやる人の必読文献です。


ところで『都市の経済学』はタイトルを変え、出版社も移って新しく文庫になって提供されています。






posted by okmtnbhr at 08:15| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする