2013年04月30日

李克強の経済学

財経網でブロガー管清友が「朱鎔基の経済学から李克強の経済学へ」と題して、新しく首相になった李克強がどのような経済政策をとるか論じていたので、簡単に内容を整理。

@朱鎔基時代はフロー改革が主でストック改革が補、李克強時代はストック改革が主でフロー改革は補になる。中国は利益分配で資源配分を行う時代になっている。政府が利益を調整し、市場が資源を配分する。見える手が見えざる手を引導する。

Aフロー改革では利益分配は結果であり、資源配分が因であった。ストック改革の過程では、利益分配は因になり、資源配分が果となる。資源配分は中国国内の利益分配が成功するかどうかがカギ。

B李克強政府のもとでは、管理を受ける市場化から全面的に規制緩和された市場に変化が必要である。中国の新リーダーや人事配置を見るに、李克強経済学の基本的思考は、市場強化、規制緩和、供給改善である。

C市場を強化するとは、政府と市場が立場を換えること、政府のやることを変えて、市場の基礎的作用を発揮させること。市場ができることは市場に任せる、政府がやりすぎるのでもなく、まったくやらないのでもない。

D規制緩和では、許認可を減らし市場を尊重する。市場主体が選択し、政府のミクロ的な関与はなくす。全人代で李克強は1700ある行政許認可権を3分の1以上減らすと約束。土地開発、戸籍問題、公共サービスなども地方分権を促し、地方で先行的に試行する。

E供給改善では、減税で投資を促進し、福利制度を改善する。国内の利益分配を調整し、国有部門から家計部門に利潤を譲る。投資型政府ではなく、民間家計収入を増加させる。

F李克強経済学はレーガン、サッチャー経済学、あるいは供給学派、公共選択学派に類似している。

私の印象では、李克強がどうでるか、まだなんとも言えないと思っています。朱鎔基は徹底した小さな政府を目指しました。一つは国有企業改革で、戦略的改組というフレーズで全国の中小国有企業を民営化させました。もう一つは行政改革で徹底的に部委員会を減らすとともに末端まで政府職員を減少させました(ただし成果は限定的という見方も多い)。

ただ言えるのは、李克強は中国経済のストックの部分に切り込まないといけないことは確かで強いリーダーシップがないと改革は難しいと思います。
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2013年04月25日

費用対効果

せちがらい世の中だな〜というエントリですが。。。今回も教育について。

学校予算はキツキツになってきています。私立大学の重要な収入源は学費収入と政府からの補助金です。

大学入学が容易になってくると、退学率が問題になります。とくに入りやすい(いわゆる偏差値が低い)大学では、面倒見のよさをアピールしつつ、就職のための力をつけるために四苦八苦しています。

退学が出ると、学費収入が減ります。教育的にも退学率は問題ですが、経営的にも退学率を減らすことは重要なのです。

安定した収入を確保することによって、安定した教育環境を提供することができます。とくに各大学は予算をもとに毎年学生のためにさまざまなプログラムを用意し、提供しています。

単純には、学びの多様化にしたがって多様な学問が学べるように多くの科目を開講し、非常勤講師を雇います。

英語教育や資格試験のために、対策講座を用意します。(もちろん一部は受益者負担としますが。)

就職を見据えた外部講師、セミナー、診断テストのようなもの等、キャリア教育にもお金が使われます。

昔は、学費、補助金以外にも受験料収入というのが収入の柱だったそうです。受験生が増加している時代は、収入も安定的であり、その分教育予算も潤沢でした。

ですから多くの私立大学が非常勤講師を抱えたものです。今は予算削減でどこも非常勤講師の削減に取り組んでいるのが現状です。

一方で、入口でつまづかないようにする導入教育、出口(卒業)を見据えたキャリア教育が重要になってきています。大学が抱えている専任教員で実施できるかというとそうはいかないのが現状で、どの大学も新規に人を採用するか、外部のプログラムを購入することとなります。

いずれにせよ、教育環境の提供には予算が必要なわけです。

その予算が、退学率の上昇、受験生の減少、補助金の見直し等、削減圧力が高まっています。その予算縮小の圧力の中、多くの大学が独自の教育をどれだけ展開するか、頭を絞っています。

もちろん本学もその一つなわけです。

「学生のために」という言葉のもと、いろいろ案を絞っては、予算を申請します。全部が実行できるわけではないので、最終的には一部の提案しか実行できないのが現状です。

一方で、これ無駄じゃないかというような予算が認められたりします。記念撮影とかオリエンテーションでのお弁当とかです。

「学生のために」という文言は、多くの人の発言を黙らせる金科玉条です。学生のためなんだから必要だといわれると、なかなか反対しにくいのが現状です。

でも本当は「教育効果があるのか」どうかという観点が必要なように思います。教育のためにお金を使う以上は、どのような効果が期待されるのか、その期待はどのよう形で計測できるのか、そしてその効果と投入した費用を比較して、その教育プログラムを実施し続けるかどうか検討する必要があろうと思います。

教育効果は目に見えないものだと反対されるのですが、それでも効果を数量的に測定できなくても、定性的に言語化して説明する責任はあるかと思います。

せちがらい世の中です。大学教育であれば、おおらかになんでも学べ、という環境がいいのですが、出口を考えると教育効果がない教育予算の実施は無駄になります。

この意味で、大学教育自体も「ゆとり」から「効率」や「結果」が求められてきていると思います。

書いててやっぱりせちがらいなぁ,と。。。
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2013年04月23日

『どのような教育が「よい」教育か』

どの大学でも教育目的にしたがって科目が配置されるカリキュラムがあります。たとえ自分のやりたい勉強を提供してくれる学部に入学できたとしても、カリキュラムの中にすべて満足のいく授業が配置されているわけではありません。

「アジア史をなぜ学ばないといけないんですか?」
「中国経済に興味ないのに選択必修だからとらないといけない」

といった事態が発生します。

小学校の時に思った

「算数はなぜ勉強しないといけないか?」

的な疑問につながります。「〜をなぜ勉強するの?」と親に聞く時は、そもそも「やりたくない」という意思表示になっています。「なぜ勉強しないといけないのか?」=「勉強する意味がわからないので勉強したくない」になっています。

何を学ぶか、何を教えるかについて考えさせられる本を読みました。




人は「自分の生きたいように生きる」という欲望を持っています。この欲望を満たすこと、自由こそが重要な価値です。人の自由を保証し、そして他人の自由も保証する、これが社会で最も重要な価値であるとします。


そこから苫野さんは教育をこう定義します。


「教育とは何か。それは「各人の〈自由〉および社会における〈自由の相互承認〉の〈教養=力能〉を通した実質化」である。どのような教育を私たちは「よい」「正当」といいうるか。それは〈一般福祉〉に適う、さらにいえばこれを促進しうる教育である。」(苫野2011、p.211)


「実質化」のために教育が必要となってきます。何を学ぶかは各人の生きたい生き方に依存するのでさまざまになります。したがって何を学ぶかは自分がどのように生きるかのかという自分の主体性に依存します。自分がどのように生きるのか、これが何を学ぶのかにつながってきます。

となると学校という組織が提供するカリキュラムには限界が出ます。大人が何を学ぶかを用意しているために、生徒学生は学びの制限を受けることとなります。

苫野さんは学ぶことの内容についても3つ提案しています。

ひとつは基礎教養、二つ目は学ぶ方法、三つ目は社会でお互いの自由を承認するためのルール感度、です。

最低限の知識がないと社会で生きていく自由を獲得できません。自分の自由を広げるためには広い教養が必要となってきます。

また社会はさまざまなことが起きるために、新しいことを常に学び続けなければなりません。そのために学校教育で、自分での「学び方」を確立する必要があります。

最後に、社会は自分と他人によって構成されています。自分の自由を大きくしようとすれば相手の自由を制限することになることもあるかもしれません。スムーズに生きることができるように社会にはルールがあります。そのルールを受け止め、遂行する能力というのは社会において必要なことだと思います。

苫野さんは教育の方法についても議論をします。

教えこむ(知識の詰め込み)がいいのか、経験(体験学習)がいいのか、という問題です。大学でも座学からアクティブ・ラーニングへの流れがありますが、まったく同じ事です。

二者択一的な疑問の建て方ではなく、学ぶことの到達目標を意識し、その目標に到達するためにどちらがいいのかを考えるべきだとしています。

大学でも近年はシラバスに学習目標を書くように指導されます。ここが教員の悩みどころでもあります。


さて、最初の問題意識に戻ります。

アジア史を学ぶ意味がわからない
中国経済を知らなくても生きていける

という意見があります。まさにその通りだと思います。いくらアジアを勉強したいと思っても、歴史に興味がない、特定地域(ここでは中国)に興味がないということはよくあることです。「アジア」という学問は知識があれば「へ〜」といわれる程度の教養的学問です。

教養である以上、学生も自分の興味のないものは選択しなくてもいいはずなのですが、時間割の配置や必修という縛りによって、興味ない科目を履修する可能性があります。

これが学校という組織化された学びのカリキュラムの限界です。

どうすればいいのか、ここはやはり教師の工夫が必要になってくるでしょう。

あまりおもしろくないと思われる科目でも、「へ〜」と目からウロコ的なものを提供出来れば、学生の学ぶ意欲につながります。

あるいは題材には興味がわきにくいが「学ぶ方法」について身につく授業を展開すると学生の満足も上がります。

あるいは学問には本質的に共通する部分があったりするので、それを伝えると他の分野への応用が聞くので、学問の有機的連関を学生が感じ取り、学問の面白さ、奥深さをしることができます。

授業科目というのは

「なぜ勉強しないといけないのか?」

と問うのではなく、勉強の科目が私達に「どう学ぶのか」「どのように学ぶのか?」という姿勢を問うていると思います。どのように学ぶかを教えることができれば学生の満足度もかなり高くなるのかもしれません。
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2013年04月18日

『自己の探求』初年次教育オリエンテーション

昨年試験的に導入した『自己の探求』(by ラーニングバリュー社)を初年次教育のオリエンテーションとして4月16日火曜日に実施しました。

これは学生同士が自己紹介,記者会見,総当たりインタビュー,「バスは待ってくれない」というグループワーク,プレゼントカードの交換という学生主体のグループワークを通じて自分の良さを発見するというプログラムです。

近年,大学では社会での接続を意識しながら人と協同しながら主体的に学ぶアクティブラーニングが流行(?)しています。私も学生自身が能動的に学習できるような授業の工夫を行っています。でもまれに主体的学習がただの雑談に終わってしまうことが発生したりしてうまくいかなことがあります。

『自己の探求』は多くの大学で実際に利用されているプログラムということもあって,よくできています。配られる資料を中心に学生自身が相互理解のコミュニケーションを通じて,自分を発見していきます。グループ内での自分の受容感が学生のやる気を引き出すようです。

今回もっと気づいたのが,ファシリテーターによる学生へのフィードバックの重要性です。

複雑系という学問があります。個体同士がなにかしらの簡単な相互依存関係があるだけにも関わらず,全体として複雑な,それでいて何かしら秩序ある動きをみせることを複雑系といいます。

複雑系で重要なのは相互依存,フィードバックです。主体的に学びを行う学生同士のフィードバックも重要です。自分が思っている自分,人がみている自分像をフィードバックさせることにより自己をより深く認識することができます。

もっと重要なのが,ファシリテーターによる学生へのフィードバックです。主体的な学びというアクティブラーニングは知らない人が見れば一見「遊んでいる」ように見える,無秩序(カオス)に見える現象です。でもファシリテーターが,学生の活動をみながら適切に声をかけるというフィードバックによって,主体的な活動が学びにつながっていきます。

つまり学生同士のフィードバックに加えて,ファシリテーターがいいフィードバックを集団全体に返すことによって,相互依存している学生集団が大きなものを生み出します(複雑系でいう自己組織化,創発)。1+1が2以上の成果を生みます。

今後のアクティブラーニングへの参考になりました。
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2013年04月16日

歴史的にみた中国の制度プロセス

4月8日(月)政策研究大学院大学の第75回GRIPSフォーラム、青木昌彦先生の講演「歴史的にみた中国の制度プロセス」を聴講してきました。

内容を簡単にまとめると

中国は19世紀は世界でも発展地域であったが20世紀は停滞であった。20世紀末から急速に発展してきたが、これはなぜだろう?という疑問から、中国の経済発展は農業人口の減少、労働生産性の向上によって近年の成長が説明される。

とします。そして、

停滞−発展をもたらしたのは制度である。清朝時代はマルサス状態で小作人を基礎とした経済であった。辛亥革命から新中国が成立するまでには中央集権化がすすみ、共産党で再中央集権化された。改革開放以降、請負制、省間競争などで分権化され、経済が発展してきている。

というものです。中央政府と地方政府(エリート)、農民や家計などの主体が取引関係を通じて制度を作り上げていること、また意思決定権が農民、地方エリート、中央の間を行き来しながら中央集権と分権化の間を動き、制度と経済を動かしているというのも理解できました。

ただ、制度は重要なのはわかるのですが、制度と経済は共相関、共進化の関係あるとしているので、日頃要素還元主義的な私としては、だから今後どうなるんだろう、という疑問を持ちました。私は過去の出来事から法則を見出し、その法則から将来を予測していくという態度で研究しています。というかそういうドグマに染まっています。農民や政府、地方エリートなどが相互取引をする中で信念が戦略になり、そして行動が常識となって制度を創り上げていくのはわかったのですが、比較制度分析で将来を見通すことは可能か、ということを感じました。

山形浩生さんも比較制度分析は経済発展の決定論になるのではないかという感想をブログで述べられています。参考までに。
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2013年04月11日

2013年担当業務

今年度の業務予定です。

実質,学部授業7コマ,院(研究生)授業1コマ,合計8コマが教育業務の中心です。

≪学部授業≫
チュートリアル      火曜日1限
現地研修(上海)     火曜日3限
国際関係各論31(アジア理解の経済学)水曜日2限(前期)
国際関係各論32(国境を超える経済学)水曜日2限(後期)
社会科学入門(経済学)  水曜日3限
東アジア地域研究3(現代中国経済論A)木曜日1限(前期)
東アジア地域研究4(現代中国経済論B)木曜日1限(後期)
卒論演習          木曜日3限
演習II           木曜日4限

≪大学院授業≫
○修士課程(研究生が履修)
経済研究演習        木曜日5限

○博士課程(履修者なし)
経済研究演習I,II
経済研究論文作成指導

≪担当委員会等≫
教務委員会(学部) 2008年度〜
地域研究学会(学部)2006年度〜 2011年度〜委員長(引き続き)
現代アジア研究所運営委員会(学部) 2012年度〜
アジア芸能の夕べ実行委員会(学部) 2012年度〜 
学部改組準備委員会(学部)     2013年度〜
キャリア支援委員会(学部)     2013年度〜
入試(北京)担当委員(大学院)2011年度〜
国際交流センター管理委員会(全学)2009年度〜
学校法人大東文化学園情報化推進委員会(全学) 2012年度〜

≪学外≫
日本私立大学協会大学教務研究委員会委員(2012年度〜2015年度)

≪研究≫
研究代表者
基盤研究(C)「中国の新区や都市圏による内陸開発は有効か?−小地域産業連関モデルからのアプローチ」(二年度)

研究会委員
「2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と利用」研究会(主査:猪俣哲史)日本貿易振興機構アジア経済研究所

≪その他≫
2011年4月〜2014年3月(4年目)
中央大学経済研究所客員研究員

2011年4月〜2013年9月(3年目)
創価大学経済学部非常勤講師(中国経済論)
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2013年04月09日

2013年3月読書ノート

2013年3月の読書ノートです。




西原さんのお金の話、最高でした。

ポイントは、生きていくならお金を稼ぎましょう、ということです。これだけ取り上げると誤解を生みますが、以下の言葉が心に残ったので紹介。

「くる仕事は断らなかった。場数を踏んでいるうちに慣れてくるし、自分の得意不得意なものがわかってくる。」

「今がツライとサイアクと思うが、最初から嬉しいことばかりだってすぐに退屈になる。嬉しいことの中に不満ばかり探すようになる。どこに行き着くかというと、これじゃなきゃダメだ、っていう考え。」

「やりたいことがわからない、その問いに向き合うためにはカネという視点を持つのが、いちばん、シンプルに見えてくるものがあるんじゃないか。」

自分がこの世の中で何をするのか、わからない時はカネという観点を持ちましょう、やっていきながらもらえるお金と自分の我慢出来るものできないものとのバランスがわかり、やりたいことがわかってくるという話です。人は生きているとだんだん「これじゃなきゃダメ」と凝り固まった偏見になってきますが、オープンマインドで、いろんな仕事を受けながら自分のやりたいことを探していくだろうな、と考えさせられました。

薄い本ですし、読んで絶対損はしない本です。


<中国>

馬立誠(杉山祐之)(2011)『反日-中国は民族主義を越えられるか』中公文庫 中国は憲法で民族主義を否定的にとらえているにもかかわらず、民族主義が台頭している。民族主義は自大であり排外に繋がり、少数民族に影響を与える。中国は大国としての風格をもち、日本に対して寛容に。

金熙徳・林治(2003)『日中「新思考」とは何か』隣人新書日本僑報社 大国の品位を説く馬論文、中日接近を説く時論文。しかし中国の日本研究者は、中国側に問題があるという捉え方は事実に背く、政策提言は非現実的、である。「新思考」とは双方共通の前向き姿勢ではじめて意味を持つ。

上村幸治(1999)『中国路地裏物語』岩波新書 国有企業改革で仕事を失う人、居民委員会の様子、単位から離れることによってフリーになった作家、四合院の土地買い上げとマンションブーム、など急激に市場経済化が進んだ90年代の変化を普通の人々へのインタビューから。

柴田聡・長谷川貴弘(2012)『中国共産党の経済政策 (講談社現代新書)』講談社現代新書 国家が経済運営にコミットする中国独自の政経一体システム。共産党の人事と経済政策の明るさ、発展改革委の権限、4兆元の経済政策、日本と結んだ人民元の国際協力の中身など。日中関係は多方面で進む、と。

<自己啓発>

樋口健夫(2003)『図解 仕事ができる人のノート術 - ノートを使って深く考え、発想する122の方法!!』東洋経済新報社 日付をつけて時間順に発想、メモ、日記などの記録、家計簿、スケッチ、計画など、何でも記入する。空白があればあとで追記入する。発想を書き残し、仕事や生活の情報ノートになり、自分の人生が豊かになる。

西原理恵子(2008)『この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)』理論社 トップになることが目標じゃない、東京で絵を描いていくことが目標なんだ。ならば自分の得意なものと自分の限界点を知ること。やりたいこと、やれることの着地点を探すこと。貧困はループし暴力を生む。

トニー・ブザン、バリー・ブザン(近田美季子)(2013)『新版 ザ・マインドマップ(R)』ダイヤモンド社 脳と思考の仕組み、マインドマップの基本、使い方として創造的思考、意思決定、自己分析、スケジュール、学習とノートの取り方、会議、プレゼンなど応用編。iMindMapの使い方と将来性。

雲黒斎(2010)『あの世に聞いた、この世の仕組み』サンマーク出版 状況と幸せには関係がない。幸せは新たに手に入れるものではなく、すでに手にしているもの、自分自身である。幸せを認めようとすると、幸せではない理由を探し始め、不幸を継続させる。そして「思考が現実化」してしまう。

築山節(2006)『脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)』生活人新書 生活リズムを守り、朝の運動や声だしは脳の起動によい、時間の制約で作業を行うことで脳が活発化。睡眠は情報が整理される、雑用や一日の計画、机の整理は解決力、整理力がアップ。定期的な脳の検査も必要。

築山節(2008)『脳と気持ちの整理術』生活人新書 意欲を出すには、出来ると好きになる性質を利用し、五歩先に解決のある問題の1歩目を見つけ、短時間の集中×多数で脳に興奮を。前日に明日の予定を、何をするか脳に入れておく。気になることを書き出し、重要でないもの、人に任すものに分ける。

竹中平蔵(2011)『竹中式マトリクス勉強法』幻冬舎文庫 勉強には到達目標のある「天井のある」勉強とない勉強がある。また武器として身につけるものと人と人を結ぶ人間力をつける勉強がある。直前の目標と将来の夢を、逆算して計画を、基本を大切に、メモを常にとる、時間はつくる、など。

<社会>

伊藤亜紀(2010)『電子マネー革命-キャッシュレス社会の現実と希望』講談社現代新書 電子マネーとポイントは通貨との兌換可能性で保証された民間発行通貨。資金決済法により民間発行主体も供託金を国に出し、利用者を保護。送金コストが減少し、電子マネー口座や世界共通通貨の可能性も。

玉野和志(2008)『創価学会の研究 (講談社現代新書)』講談社現代新書 牧口の利を前面に押し出した価値観は現世利益を求める庶民の生活向上欲を刺激、貧困層から中流階級への階層上昇をもたらした。上昇した階層は自民党支持者層と重なり合い、自公連立を可能に。上昇した階層とそうでない階層との関係構築が課題。

工藤啓(2012)『大卒だって無職になる-"はたらく"につまづく若者たち』エンターブレイン 引きこもった有名国立大卒のH君、就活がうまくいかなかったRさん、働きたくても働けない若者に、まずやって見る、できたという体験を積み上げるプログラムを提供。NPO法人育て上げネットの事例。

苫野一徳(2011)『どのような教育が「よい」教育か (講談社選書メチエ)』講談社 「私は教育の本質を各人の自由および社会における自由の相互承認の教養=力能を通した実質化」と確信する。ヘーゲル社会原理論から教育原理論への援用を試みる。

宇沢弘文(1992)『「成田」とは何か-戦後日本の悲劇』岩波新書 成田闘争の問題点は、66年の閣議決定。国家権力は国民の本来の基本的権利を享受し、尊厳されるべきであるにも関わらず、新東京国際空港を三里塚に建設するという閣議決定がなされるに際してこのような配慮が少しもなかった。

山下祐介(2012)『限界集落の真実: 過疎の村は消えるか? (ちくま新書)』ちくま新書 高齢化が進む限界集落問題は現実に発生しているというよりも、昭和の変動期に家族の広域拡大化によって生じてきている問題。問題は戦前世代が退出していく2010年代にある。身近な市街地には帰還可能な集落出身者もいる。

砂原庸介(2012)『大阪―大都市は国家を超えるか (中公新書)』中公新書 橋下徹という政治的企業家の大阪都構想は、大阪が抱える中心部からの人口流出、権限と財源の分散という問題を解決する以前からのアイデアと同じ。大都市の領域を拡大し、権限と財源を集中し中心部に投資するというもの。

新雅史(2012)『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)』光文社新書 戦後の貧困層の小売参入を支え、近い商圏で横の百貨店となった商店街。バブル崩壊により地方は郊外化し、ショッピングモールが増加。日本の商店街はコンビニに転換していった。商店街の復活には給付でない規制が必要。

大沼保昭(2007)『「慰安婦」問題とは何だったのか―メディア・NGO・政府の功罪 (中公新書)』中公新書 日本政府の法的責任が問えない中で道義的責任を果たそうとしたアジア女性基金。国家補償を求める左派、慰安婦強制はないとする右派のどちらからも失敗とみなされるが、それでも元慰安婦の方々の尊厳は守れたのではないか。

浅羽祐樹・木村幹・佐藤大介(2012)『徹底検証 韓国論の通説・俗説』中公新書ラクレ 法と倫理が不可分の韓国(佐藤)。日本が韓国にとって相対的に重要でなくなり領土・歴史問題が重要に(木村)。自由と民主主義を共有できるのは韓国だが、情緒への対応をどうする(浅羽)。

山田吉彦(2005)『日本の国境』新潮新書 国連海洋法条約により海上権益は重要に。サンフランシスコ条約に北方領土、尖閣諸島、竹島の放棄は書かれていない。日本の国境論争には江戸期の林子平の著書に影響されている。小笠原諸島は有利だが尖閣には不利な記述がある。

田久保忠衛(2007)『早わかり・日本の領土問題-諸外国と何をモメているのか?』PHP研究所 領土問題は戦後処理の不手際(北方領土、竹島)、先占の実効性に関わるもの(尖閣、竹島)かある。国境意識をもち国のかたちを普通の民主主義に是正していくことが領土問題を解決する。

山本皓一(2007)『日本人が行けない「日本領土」』小学館 日本人の墓が風化しつつある北方領土、アシカ、アワビ漁が行われていた竹島、中国人漂流者を保護した魚釣島民、島か岩か議論になる沖ノ鳥島。日本国民の訪問と情報公開が必要。

孫崎亨(2011)『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)』ちくま新書 外交・国際関係からの領土問題。北方領土はサンフランシスコ条約の千島列島に含まれていた、竹島は棚上げしていた、尖閣は台湾と沖縄の帰属問題。現状米国はこの問題に安保を発動することはない=日本の領土として見ていない。

<その他>

ヤン・マーテル(唐沢則幸)(2004)『パイの物語』竹書房 小さい頃から神に興味をもったインド人パイ。イスラム、キリスト、ヒンディーと様々な宗教に。動物園経営をしている父親の決断で動物たちとカナダへ。途中貨物船が沈没し、パイはトラと220日漂流する。漂流中のパイの心理が見どころ。

高野和明(2011)『ジェノサイド』角川書店 難病の子を抱える傭兵イエーガーは特殊任務を背負ってコンゴに。人類学者と進化した人類の救出へ。進化した人類に怯えるアメリカ合衆国政府、新薬と新たな人類と関わりをもった研人の父。世界を舞台に人の残虐性をあぶり出す。

三浦しをん(2011)『舟を編む』光文社 新しい辞書を編纂することにした玄武書房、荒木。荒木のあとを引き継いだ真締(まじめ)は13年間辞書編纂に取組む。非常識な大学教授、真締の結婚、校正での間違い発見など、辞書編纂ドラマ。

大村大次郎(2011)『あらゆる領収書は経費で落とせる (中公新書ラクレ)』中公新書ラクレ 領収書が認められるルートは事業に関連すること、福利厚生費。会議費、接待交際費は事業に関連することであり1人あたり5千円まで、研修、研鑽は事業に、慰安旅行は福利厚生費。領収書を忘れた場合は記録を残す、など。

奥田健次(2012)『メリットの法則――行動分析学・実践編 (集英社新書)』集英社新書 奇声をあげるアキラくんへの行動の処方箋は奇声をあげると母親から離す、静かに遊ぶと母親から抱きしめられること。阻止の随伴性に注目し、強迫障害、不登校にも行動分析が有効。トークンエコノミー、FTスケジュールなど。

平岩幹男(2012)『自閉症スペクトラム障害――療育と対応を考える (岩波新書)』岩波新書 ASD(自閉症スペクトラム障害)は社会性、コミュニケーション、想像力の障害。学業、社会、身体的スキルを身につける。療育基本は、指示→実行→ほめる、こと。就園、就学、思春期、就業に関する一般的注意事項等。
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2013年04月04日

『21世紀の中国 経済篇』

著者のお一人である渡邉さんからご恵投いただきました。



本書は、

中国経済を、競争、混合経済、中央地方関係、官の利益集団化という特徴を持つ国家資本主義経済であると規定し、国進民退は進んでいるのか、それをどう評価するのか、対国際社会への影響、この発展モデルの普遍性に検討を加える

というものです。

その結果、

国進民退は数字的には出てこないが、財政、産業、地域の各政策によって国有企業の存在は強まっている

国有企業は公的権力や資本アクセスに有利で、私的利益を追求する存在であり

民間に対して不平等な競争環境であるとともに、ルールが恣意的に運用されている

ことが指摘されます。

また、

グローバル500企業の中に電力、石油、銀行、通信などの中央国有企業がランクインされているが、インフラ系であるため私たちには馴染みがありませんが

石油企業をみると、国家利益を追求しながらも商業利益を求める存在でもある

ことが言われます。

そしてこの中国の発展モデルは、

格差、環境破壊、腐敗というコストを生み出す、「開発独裁+漸進主義+大国」という本質をもつモデルであり,低賃金労働がなくなると成長が止まる「中所得国の罠」、権益が固定化する「体制移行の罠」に直面しているために,今後、経済重心が官から民へ移動する必要があろう

と結論づけています。

「国家資本主義」「国進民退」「国有企業の走出去(海外投資)」を考える上で非常に有益な本となっています。とくに渡邉さんが担当された国進民退については資料価値も高い情報が多く詰まっているので、非常に勉強になりました。

ありがとうございました。
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2013年04月02日

2012年度の研究成果

2012年度の成果です。

<著書>
岡本信広(2013)『中国―奇跡的発展の「原則」 (アジアを見る眼)』アジアを見る目シリーズNo.115,日本貿易振興機構アジア経済研究所

岡本信広(2012)『中国の地域経済: 空間構造と相互依存』日本評論社

岡本信広(2012)「中国の国内市場統合と国際経済統合(第13章)」浦田秀次郎・栗田匡相編『アジア地域経済統合 (アジア地域統合講座テキストブック)』勁草書房

<論文(査読あり)>
Meng, Bo, Okamoto, Nobuhiro and Tsukamoto, Yoshiharu.(2012) Input-Output Based Economic Impact Evaluation System for Small City Development: A Case Study on Saemanguem's Flux City Design, The Journal of Econometoric Study of Northeast Asia, Vol.8, No.1, 21-57. (ISSN 1880-6988)

岡本信広(2012)「中国の産業連関分析-特徴と応用」『産業連関-イノベーション&I-Oテクニーク』環太平洋産業連関分析学会,第20巻1号,23-35,(ISSN1341-9803)

<論文(査読なし)>
岡本信広・石川良文・石倉智樹(2013)「国際分業と産業連関モデル」猪俣哲史・孟渤編『2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と利用』アジア国際産業連関シリーズNo.81,2013年3月,日本貿易振興機構アジア経済研究所,pp.43-60

岡本信広(2012)「胡錦濤政権における地域協調発展戦略は成功したのか?」『ERINA REPORT』Vo.109,環日本海経済研究所,pp.23-32 (ISSN1343-4225)

岡本信広(2013)「チーム・ビルディングの手法は学ぶ意欲を向上させるか?」『大東文化大学紀要』第51号,pp.21-35 (ISSN0912-2338)

<その他>
岡本信広(2012)「【書評】朱炎編『中国経済の成長持続性−促進要因と抑制要因の分析』」『中国経済研究』第9巻第1号,pp.50-53 (ISSN1348-2521)

岡本信広(2012)「書評:梶谷懐著『現代中国の財政金融システム −グローバル化と中央-地方関係の経済学−』」愛知大学現代中国学会編『中国21 vol.37(2012.12) 特集:中国水利史』東方書店,pp.208-214 ISBN4497212300

<学会発表>
6月27日 'Non-survey Method for Estimating a Multi-regional Input-Output Model in China'
20th International Input-Output Conference in Bratislava, Slovakia

10月8日 「中国の地域間仮想水交易と 水資源配分の公平性評価」(with 岡寺智大)日本地域学会第49回年次大会(立正大学)

11月17日 「生産工程の分散化(フラグメンテーション)の測定−先行研究の整理と比較」(with 石川良文・石倉智樹) 応用地域学会第26回研究発表大会


<講演等>

4月19日 「中国の経済 - 中国経済は崩壊するのか?」東松山市きらめき市民大学
6月1日  「経済大国・中国の過去,現在,将来」環日本海経済研究所(ERINA)主催賛助会セミナー
9月24日 「生活に浸透する中国-新しい中国経済論」彩の国大学コンソーシアム主催公開講座
10月18日 「『学び合い』による能動的学習 の推進 」私立大学協会教務部課長相当者研修会(神戸)
11月22日 「『チーム』が学ぶ意欲を増加させる!?」第6回FDフォーラム(大東文化大学)
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