2013年08月29日

現地研修(上海)2

8月4日から始まった現地研修(上海)が8月27日の帰国を持って終了しました。先方の上海師範大学対外漢語学院の先生方の協力もあって,無事故で終了することができ,ホッとしています。

写真 (23).JPG

改めて現地研修の教育について考えてみました。現地研修で何を期待しているかというと,言語を学ぶとともに異文化を体験してもらいたい,ということです。これを目的,方法,効果について考えてみます。

目的
語学については現地で学ぶことによって語学のコミュニケーションスキルをあげるということが重要な目的となります。一方,異文化体験をするというのは,海外に行けば誰でも体験できるので,目的にはなりません。体験を目的とするには,具体的に何を体験するか目的を立て,実際に現地で行動するということが必要となります。

私は今回の現地研修で上海の都市についてさらなる理解をすることを目的としました。

方法
語学については,現地での中国語オンリーの授業を受けることによって,語学力をつけることができます。

一方体験は,主体的な行動です。異文化体験で目的を明確にすると,自分で行動することが必要となります。どこに行くのか,何を見るのかを明確にする必要があります。

私は上記目的のために城市規劃展示館,JETRO上海事務所を訪問しました。

そして,体験したことを記録する必要があります。人は言語で記録することによって記憶に留めるとともに,情報を整理する能力を向上することができます。社会に出ても,訪問先との商談や会議の内容を記録することが普通です。この意味で,体験を言語化して記録するのはとても重要な教育訓練だと思います。

効果
以上の異文化体験をさらに良くするためには,現地に行く前に「仮説」を立てる必要があります。上海の都市構造は二元化している(例えば浦西と浦東),と仮説を立てて,実際に両地を訪問し,似ているところ,似ていないところを整理し,その仮説を検証するとよりよい現地体験になります。この仮説検証型の現地研修は,社会を見て,仮説を立て,実際に体験し,その仮説を検証するという一連の社会科学的手法を体で体験することになります。

仮説検証型の社会体験は,仕事をする上で非常に大きな力になります。販売やサービスにおける接客などでも,どのようにしたらものが売れるのか,どのような接客がお客さんのリピート率をあげてくれるのか,仮説を立てて,実際にやってみて,そして修正していく必要があります。そうすることによって仕事の能率をあげることができ,その会社は成長していくことになります。

このように現地研修では語学力を向上させることが一つの重要な柱ですが,その他にも体験を言語にすることを期待しています。

後期から現地研修の成果を発表し,レポートにまとめていきます。どのような発表やレポートが出てくるか,今から楽しみです。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月27日

『機械との競争』

『機械との競争』は,技術が発展し機械やパソコンが人の仕事を奪っている中で,人はどの分野で仕事をすることができるのか,を考えさせられる良書です。

近年の技術の発展によって雇用は増加していない,所得の中央値も増えていないという現実があります。この原因としてコンピュータ,つまりパソコンによって仕事が奪われているということが主張されています。

じゃあコンピュータができない仕事は何でしょうか,それは肉体労働と創造的な仕事です。配管工,看護師は肉体を使いますし,現場で創造的な対応が必要になるという意味で,人間がやるべき仕事です。このような仕事では,パターン認識能力や複雑な問題解決能力が必要ですし,看護師などの人を相手にする職業では,複雑なコミュニケーションを必要とします。

それでもコンピュータは進歩し続けています。自動車の運転は人間しかできないと思われていた仕事です。運転では道路や街などのパターンを認識する必要があります。これまでコンピュータはパターン認識はできないと思われていましたが,現在では運転も自動運転の技術が向上しています。

また翻訳のようなコミュニケーション能力についてもコンピュータ技術は進歩してきました。パソコンの翻訳能力はかなりの程度まで上昇してきました。

でもまだ医者,セラピスト,マネージャー,セールスマンのような仕事ではコンピュータ以上のコミュニケーション能力やパターン認識が必要です。周りから複雑な情報を収集し影響を行使しなければなりません。

私たちの社会では,コンピュータやインターネットは現代産業の汎用技術,汎用機械になっています。このような技術の進歩は社会のすべての人に自動的に恩恵を与えたわけではありません。現在,所得と雇用は格差が大きくなっています。コンピュータの汎用技術化によって,パソコンではできないある種のスキルを持った人に特に有利になるようになっています。スーパースターを生む一方,何もスキルない人は仕事がないということになります。

著者たちはコンピュータの発展によって仕事が奪われるということについて楽観的な結論を導きます。

所得の中央値が伸び悩んでいるのはイノベーションが停滞しているからではなく,人間のスキルや組織制度が技術の速い変化についていっていないのだ,人間のスキルアップをはかるための教育は重要だし,組織革新も必要だと主張しています。組織革新について例えば,イーベイやアマゾンのマーケットプレイス,アップルストアのアプリでは多くの人の仕事の参加を可能にし,雇用を生んでいると主張しています。

今後もパソコンやインターネット技術は向上していきます。このような中でどのような仕事をするべきか,考える材料として本書はオススメです。

posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月22日

『ブラック・スワン』

『ブラック・スワン』は危機について科学的に考察した本です。複雑系,とくにフラクタルの概念を用いて(数学を使うことなく)説明している良書です。

まず,「ブラック・スワン」は名前の通り黒い白鳥のことです。危機やリスクを私たちは白鳥と思っていますが,実は真っ黒な白鳥であることを指摘するために,象徴的なタイトルがつけられています。

ブラック・スワンという現象は,次の特徴を持ちます。

普通は起こらないこと、大きな衝撃があること、事後には予測可能であること、です。

しかし私たちはこのブラック・スワンを扱いやすい「型」で思考する傾向を持っています。私たちは,歴史的に起きた事件を,あとでわかりやすい形で説明しようとしますが,歴史の本質は,流れるものではなく移行するのだと言っています。

私たちは複雑なものを簡単なものとして取り扱いたがります。例えば,体重や身長,カロリーなど物理的な数値を扱いますが,これらは一つのデータが全体に与える影響は小さいです。(これらの数値は正規分布する!)

一方で社会的な情報は複雑です。所得,売上,引用回数,企業規模などは格差が大きくです。データ一つが集計量や全体に圧倒的に影響を与えます。(これらはべき乗分布になるし,私たちの世界ではこちらの情報が圧倒的に多い。)

しかし私たちはリスクを捉え間違えているようです。さまざまな社会のリスク現象を正規分布(ベル・カーブ)で把握しているからです。でもリスクや危機はフラクタルな現象である,と本書は説明しています。

本書の説明の仕方で感心したのが,七面鳥モデルです(私が勝手にモデルとしています)。

七面鳥は,毎日飼い主から餌をもらいながら成長していきます。そうすると七面鳥は予測します。明日も餌を貰えるだろう,と。

ところが,感謝祭の前日に悲劇が発生します。それは感謝祭に捧げる食事に供されるため殺されるのです。

この瞬間,七面鳥は今までの予測が間違えていたことを知ります。

私たちの日々の生活はこの七面鳥モデルです。予測が違って危機が発生し右往左往しています。

なぜでしょうか。それこそ私たち人間の性質が問題です。生まれつき人は、外れ値、黒い白鳥を過小評価する性質が備わっているとします。

リスクを正規分布としてとらえると過小評価してしまいます。リスクはフラクタルだと言われても,はあ,そうですかにしかなりません。

複雑系は複雑な現象を複雑なままで把握します。その結果複雑系では説明できたように見えて説明できていないという結果になりがちです。

本書もその枠からはみ出てはいません。

でも不確実性やリスクについてどう対処するかを述べてはいます。

とても稀な事象の確率は計算できませんが、その影響を想像することはできます。確率よりも影響に焦点をあてて意思決定するべきで,不確実性の本質はまさにそこにあると言えます。

彼の言い方でいえば,「電車を逃して残念なのは、捕まえようと急いだ時だけ(p.217)」なので,電車を逃したあとの影響について意思決定するべきだということでしょう。


posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月20日

高速バスの規制

2000年の規制緩和により,多くの企業が高速バスツアー事業に参入しました。とくに旅行を企画する旅行会社,バスの稼働率を上げたいバス会社のタッグによりさまざまな路線が開発され,都市間移動は安く移動できるようになりました。

しかし2012年の関越自動車道の事故をきっかけに安全性を求める声が増加,国土交通省は以下の要件を満たす企業のみを参入可能としました。

(1)停留所の設置,(2)車両6台以上の自社保有,(3)運行計画の事前届出,など。

この結果により停留所の確保,長距離運転の場合は運転手を確保する必要があるためにコストが増加します。これにより高速ツアーバスの事業者は7割が撤退を余儀なくされました。

「安全」を錦の柱とした政府の規制強化です。この「安全」という言葉は政府介入の強い理由になっています。でも「安全」を理由に政府は経済に介入することは正当化されうるのでしょうか。

1つの問題は,消費者が求める「安全」の概念はそれぞれであり,政府が一律に同じ「安全」の商品を提供するのは消費者の選択の幅を狭めるということです。

アイドルのおっかけをしている人にとって安い高速バスは彼らの重要な移動手段でした。アイドルにかけるお金と移動にかけるお金を考慮し,安い高速バスを使っていました。彼らは多少の安全リスクを抱えても安い手段で移動したいと考えるでしょう。また新橋で働くサラリーマンが夜行バスで大阪に移動して翌日朝から有意義に仕事をしたいと考えます。この場合,安全も必要です。価格よりも安全や快適を選ぶということが考えられるでしょう。

「安全」は消費者によって重み付けが違うということ,市場でさまざまな「安全」商品が提供される方が,消費者にとって厚生は上がると思われます。

2つめの問題は,政府は本当に「安全」な商品やサービスを提供するのかということです。それに加えてその責任を持つことができるのかということです。

「安全」は政府がやろうが企業がやろうが同じように問題は出ます。政府がやると「安全」であるという合理的な理由はありません。むしろ事故が発生した時に,腹を切らされるのは企業です。規制を強化したとはいえ事故の責任はあくまで企業です。つまり政府は本当に「安全」に責任を負っているわけではないのです。


この高速バスの問題について,政府が企業に対して情報公開を義務付ける,つまりどういう安全施策をとっているか,情報を提供させることの方が重要で,実質的な参入規制をかけるのは市場経済を歪めるように思います。


<参考>
「安さより安全…高速バス新規制、便数減や値上げ」YOMIURI ONLINE, 2013/8/1
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月15日

JETRO上海事務所を訪問

現地研修(上海)の引率期間中に,私の中国経済論を履修している学生を中心として,JETRO上海事務所を訪問しました。

JETROが実施している海外ブリーフィングサービスを利用し,所員の方から最新の中国経済についてお話を伺いました。

ヒアリング概要は以下の通り。

・中国の主要経済地域は,珠江デルタ,長江デルタ,環渤海経済圏(北京,天津,河北,山東,遼寧),西三角経済圏(重慶,成都,西安)である。
・GDP成長率は2010年10.4%,2011年9.2%,2012年7.8%,2013年第1四半期7.7%と低下しているが,日系企業などの話では数値の低下ほど経済が鈍化しているとは感じていない模様。
・世界GDPランキングで,中国は第2位だが,1人当たりGDPでは5432ドルであり,世界87位。上海,北京,天津のみが1人当たりGDP1万ドルを超える(東欧諸国なみ)。
・今年も最低賃金の引き上げが続く。上海は2013年4月の改定で1450元から1620元にまで上昇。深圳の1600元を超えた。
・日本の対中投資は90年代前半,2000年代前半にブームが起きている。2009年から2012年までも投資は増加しており,日中間の政治問題にもかかわらずブームが続くかどうか。

現地でのヒアリングで,学生の中国経済に対する理解度は深まったことと思います。

(学生向けのため,とくに目新しいものはありませんあせあせ(飛び散る汗)
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月13日

現地研修(上海)

今年も2年生の重要行事,現地研修が始まりました。私は現地研修で上海を担当しています。

8月4日から8月27日まで上海師範大学で語学研修と文化体験,小旅行(杭州,南京)が予定されています。

私は8月4日から13日までの前半と25日から27日までの後半だけ引率業務を行います。

本学部の現地研修は事前研修,現地研修,事後研修から成り立っており,通年授業の一環として行われています。授業目標は語学を上達させて体験を言語化(レポートに)することです。

事前研修ではアクティブラーニングを採用し,参加者31名が一つのチームになるように他己紹介,価値観,目的の共有などの話し合いを行い,ジェスチャーゲームを利用して異文化疑似体験を行いました。そして上海の状況をみなで調べて発表,同時に学生同士で発表を評価するようにしました。

現地研修では,私が滞在中に現地に慣れるようにスタートアップを行いました。具体的には,入寮,食堂の利用法,公共交通機関の使い方,換金などです。現地のボランティア学生にも手伝ってもらいながらスタートアップを行いました。

現在,語学研修を中心に学生が現地で学んでいます。この現地研修では日本とは違う不自由な環境の中で,自分の理解と行動を広げる取り組みが必要です。この取り組みが大きく学生を成長させることと思います。

約2週間後,成長した学生を迎えに行くのが楽しみです。

1308SHNU1.jpg
<開学式の様子>
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月08日

第2回FD研究会

8月1日に本学の第2回FD研究会が開催されました。

テーマは

演習科目の活性化を考える
 〜「自己探求」プログラムの導入〜

です。ラーニングバリュー社の「自己の探求」を国際関係学部が導入してどうなったか,課題は何かを考える話題提供を行いました。

今までになく各学部から多くの先生方が参加してくださり,いろいろ議論できたので非常に勉強になりました。ありがとうございました。

写真 (4).JPG
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月06日

2013年7月の読書ノート

2013年7月の読書ノートです。



先月の終わりから会社再生や組織変革の本を読みました。先月の柴田昌治(2010)『なぜ社員はやる気をなくしているのか(日経ビジネス人文庫)』日経ビジネス人文庫とか引頭麻実(2013)『JAL再生』日経新聞社も面白かったのですが,この『なぜ会社は変われないのか』はもっとも面白かったです。

会社や組織が変わるためには,社員間の「コミュニケーション」が重要だということです。人は他部署や経営陣の考えていることがわからないために疑心暗鬼に陥りがちです。自分たちで何ができるのか,自らが組織変革の中心になるには,社員同士がお互いを理解し,会社の方針について自分の意見を持つようになると自分がやるべきことがわかります。引頭(2013)でも稲盛イズムの浸透の幹部研修,幹部や社員の私的な勉強会などが活発になってきて,社員一人一人が会社を変えるという意識につながったようです。

当校でも,大学の社会的責任について考えるというプロジェクトがありましたが,各部署各教職員のもっとも共通した当校の問題点は他部署,他学部との交流がない,自部署や自学部であってもコミュニケーションがとれていないというヒアリング結果が出てきていました。

組織の改革には,「真面目に」雑談する機会を意識的に持つ必要がありそうです。


<経済>

ジョン・デ・グラーフ、ディヴィッド・K・バトカー(高橋由紀子)『経済成長って、本当に必要なの?』早川書房 人の幸せのために経済はある。家族と過ごす時間、医療保険が欲しい、安定した仕事が欲しい、子供を大学に行かせたい、健全な環境が欲しい。私たちが経済に求めているものを話し合うべき。

三輪芳朗(1997)『規制緩和は悪夢ですか』東洋経済新報社 秩序、安定、混乱の回避、安全、文化、伝統というスローガンで我々は膨大なコストを支払っている。強い政府への信頼と日本は政府によって産業的成功を納めたなどの誤解が拍車をかける。必要なのは情報開示による透明性。

鶴田俊正(1997)『規制緩和―市場の活性化と独禁法 (ちくま新書 (096))』ちくま新書 日本の経済諸制度は産業の保護・育成という視点からのものが数多く存在している。参入や価格を規制する政府規制、市場がゆがむことを防ぐルールとしての独禁法は表裏の関係。裁量型行政からルール型行政に転換する必要がある。

吉田和男(1995)『行革と規制緩和の経済学 (講談社現代新書)』講談社現代新書 財政が経済に悪影響を与えるのは限界税率の高さ。防衛、警察、司法、外交の純粋公共財は一般会計予算の一割の8兆円。政府が起こす所得移転は既得権益、レントとなって特定グループの利益導く政治的手段になりやすい。


<中国>

福島香織(2013)『中国絶望工場の若者たち 「ポスト女工哀史」世代の夢と現実』PHP研究所 今の工場は昔より条件は改善しイベントも充実。賃金よりも自由な労働環境を望む第二世代農民工たち。都市住民との壁は厚く自己実現や自己表現の欲求がストライキ、暴力などの潜在的リスクに。


<自己啓発>

ロイ・バウマイスター、ジョン・ティアニー(渡会圭子)『WILLPOWER 意志力の科学』インターシフト 自制心が働く人は成功する。意志力は消耗するのでグルコースを補給する。計画を立てることにより脳の負担を減らし、記録することで自己認識を高めると意志力は強くなる。

ジョセフ・ジャウォースキー(金井壽宏野津智子)(2013)『シンクロニシティ[増補改訂版]-未来をつくるリーダーシップ』英治出版 リーダーシップを取ることになった事業の立ち上げの自伝を通じ、何かを必要とすればそれは偶然にほぼ時を同じくして現れる(シンクロニシティ)、と。

ジョセフ・ジャウォースキー(金井壽宏野津智子)(2013)『源泉-知を創造するリーダーシップ』英治出版 起きていることを判断せずに観察する。現在持っているメンタルモデルやものの見方を手放す。経験やプロセスにどっぷり浸かると新たな啓示が得られる。そのひらめきを即座に行動に移す。

橋本陽輔(2013)『悟る技術』ヒカルランド 「私は自分自身を愛しています、受け入れています、周りから愛されています」という言葉を使いながら湧き上がるいやな感情をピンク色の服、タッピング、伊勢神宮の言葉で透明化する。これが幸せに生きる技術。

柴田昌治(2003)『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ (日経ビジネス人文庫)』日経ビジネス文庫 言っても無駄という風土・体質を変えるには意識的に質を高めた「気楽にまじめな話をする場」をつくる。危機に対する創造は会議という収束の場ではなくまじめな雑談の場、発散の中で発生する。


<社会>

日経産業新聞(2012)『新産業連関図-急成長する5大市場を読む』日経新聞出版社 日本の最終製品メーカーが地盤沈下する中で素材・部品産業ではまだ強さと広がりを持つ。スマートフォン、エコカー、航空機、スマートハウスでは素材の技術開発が進み、テレビ産業でも部品・技術+αで活路が。

ベノワ.B.マンデルブロ、リチャード.L.ハドソン(高安秀樹監訳)(2008)『禁断の市場』東洋経済新報社 金融市場の価格変化はフラクタルモデルで説明できる。今までの金融工学は変動を正規分布で考えていたためにリスクを過少評価し、暴落や暴騰を説明できない。

清水洋(2013)『国家が個人資産を奪う日』平凡社新書 人口が減り土地が余る。土地・不動産が上がる要素はない。国債発行が続く中で金融緩和は金利と物価をあげるだけ。日本人の資産は収奪が始まっている。世界の為替、実物経済を合わせたポートフォリオの構築を。

河野哲也(2011)『道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ (ちくま新書)』ちくま新書 道徳教育の基本は民主主義を維持・発展させていく(自由と平等)教育である。必要な徳性はシチズンシップであり、道徳的に善きものであるためには同質の強要ではなく、他者のニーズを発掘しようとする態度。

J.S.ミル(竹内一誠)(2011)『大学教育について』岩波文庫 文化と文明をもつ他の国民の言語と文学を知ることは有意義。真理発見に有用な観察と推論、モデル、規則、実践という科学は正しい判断に必要。真理にもとづいて行動する人を育てるには道徳教育、宗教教育が必要。

J.S.ミル(山岡洋一)(2011)『自由論 (日経BPクラシックス)』日経BP社 人が誰かの行動の自由に干渉できるのが正当だといえるのは、自衛を目的とする場合だけである。思想の自由、嗜好と目的追求の自由、個人間の団結の自由が尊重されていない限りその社会は自由ではない。

関嘉彦責任編集(1967)『世界の名著38 ベンサム J.S.ミル』中央公論社 ベンサムは、道徳で重要なのは苦痛より快楽を重視する功利の原理を主張。立法の目的は道徳と同じく最大多数の最大幸福を増進することと考えた。ミルはこれを引き継ぐ。ベンサム、ミルの主著を含む。

児玉聡(2012)『功利主義入門 : はじめての倫理学 (ちくま新書)』ちくま新書 社会全体の幸福を増やす行為が人のなすべきことという功利性の原理、最大多数の最大幸福を指針とする功利主義。功利主義を基本としながらも規則と義務も大事であり、分配的正義や個人の自由にも配慮しなければならない。

西尾幹二(2007)『個人主義とは何か』PHP研究所 ヨーロッパと日本とを進歩の尺度で述べることは無意味になった。日本は仲間社会の調和を大事にし、西洋は個人の価値を大事にするとされるが、個人、自由、民主主義は社会の文脈で成立する。

長山靖生(2013)『バカに民主主義は無理なのか? (光文社新書)』光文社新書 政治不信は民主主義の未成熟から説明されてきたが近年は改革のためには改憲が必要という議論に。民主主義は国民のオレの話を聴け!状態。古代ギリシャでは民衆はバカだと思われており、そのバカが口を出す政治のため悪政扱い。

森村進(2001)『自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)』講談社現代新書 リバタリアニズムとは経済的自由と財産権、精神的・政治的自由も共に最大限尊重するもの。背景には、自分の人身への所有権、労働あるいはその代価としての財産の権利を含む自己所有権テーゼがある。

蔵研也(2007)『リバタリアン宣言』朝日新書 国民生活の向上のためにすべての制度を「国がキチンと」整えるという考えは、経済的自由を束縛するだけでなく、社会の集権的資源配分を肯定することになり結果的に精神の自由を束縛する。

ロバート・ノージック(嶋津格)(1992)『アナーキー・国家・ユートピア-国家の正当性とその限界』木鐸社 無政府状態から誰の権利も犯す必要のない過程で最小国家ができあがる。最小国家こそが正当であり,分配的正義を批判。


<その他>

真山仁(2005)『虚像(メディア)の砦』角川書店 民放放送局PTBのビデオにより1人の優秀な弁護士が殺されたという。イスラムで日本人が人質になり政府や世間は自己責任として突き放す。ニュース番組Pの風見が政府与党の権力、放送局内部の権力闘争にせまる。

碧野圭(2012)『書店ガール』PHP文芸文庫 書店大手ペガサス書房吉祥寺店の副店長理子とその社員亜紀は、業界の中でも恋愛も対照的、全く合わない天敵だった。吉祥寺店の店長に昇格した理子は店舗閉鎖を聞かされ、亜紀と共に書店の売り上げ増に邁進する。半年後の結果は…

江上剛(2013)『起死回生』講談社文庫 社長の座を狙う東亜銀行頭取の北川が女でつまづく。その尻拭いとして政治家秘書、怪しいゴロツキへ京都支店長の臼井が融資へ。焦げ付いた債権は住専や黒川建設に移動させられる。銀行マンとしてのモラルを問う臼井が最後にとった行動は。。。

津村俊充(2012)『プロセス・エデュケーション: 学びを支援するファシリテーションの理論と実際』金子書房 設計されたグループ体験、コミュニケーション体験を通して学習者がプロセスに気づく。そのプロセスを素材にして自分と他者の成長を探求するラボラトリー式体験学習。

小野田博一(2010)『13歳からの作文・小論文ノート』PHP研究所 「要するに何」の部分を決めて、事実と理由でそれを支えるのが基本。小論文の形式はintroduction概要紹介、development詳しい説明、conclusion結論になる。

坂口恭平(2012)『独立国家のつくりかた』講談社現代新書 路上生活者のブルーシートハウスから家、土地、パブリックとプライベートの境界などの捉え方で新たなレイヤーがある事に気づき、1人で新政府を立ち上げる。福島の子どもを熊本に三週間招待するなどの活動を展開。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月01日

「ものさし」と中国

中国について人と話をしていて,違和感を感じることがあります。それは人はみな自分の経験や知識に基づいて中国を語るため,その体験や知識がないとその人の語る中国について同意しづらいということがあります。

事例は中国を語る上で非常に重要なのですが,その事例について見方がわかれることが多々あります。最近のシャドーバンキングの事例でも,商業銀行が政府から保護されすぎている,地方政府の債務危機などいろいろなことが言われています。もちろんそれぞれの意見は現実の発生した事柄について述べられているわけです。ですから意見には一定の真理があると思うのです。

一定の真理があったとしても,話が納得できるか,議論が噛みあうかというとそうとも限りません。

小さい子どもがいるとします。その子をみて,元気そうだ,活発そうだ,背が高いな,などの意見を持つことが可能です。その子と接触し話すことによってその子を理解し,知らない人に「あの子はいい子だ」というように伝えることになります。

でも人によっては「あの子はちょっとひねくれているよ」という意見をもつ場合があるかもしれません。

こんな時時々思います,客観的な「ものさし」があればその子に対する評価について共通の土台で話せるのにな,と。

例えば身長計があれば,子どもの身長について客観的に高い低い等の議論をすることができます。テストの結果があれば,この単元での理解の度合いを他人と比較することが可能です。50m走を測れば足の速さについてその子のクラスの立ち位置がわかります。

身長計,成績,ストップウォッチといった物事を測定するもの,ここではそれは「ものさし」と表現しますが,この「ものさし」があれば中国に関しても同じ土俵で話ができ,理解がさらに進むと思います。

中国を理解するのにどのような「ものさし」があるでしょうか。

「ものさし」の候補として経済学の考え方があります。有名な経済学の教科書,マンキュー経済学では,経済学の10大原理をあげています。例えばその中に「人はトレードオフに直面する」というのがあります。中国の格差を理解するためにはこのトレードオフという考え方が使えます。また10大原理の中には「交易はすべての人々をより豊かにできる」というのもあります。自由な交易ができない計画経済時代と交易が自由な現在の改革・開放時代を比べることで中国が市場経済化を目指した理由がより深く理解することが可能になります。

経済学は中国を理解する上で「ものさし」足りうるか,今いろいろ試行錯誤しています。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする