2015年03月31日

2014年度の研究成果

2014年度の研究成果

<論文(査読あり)>
Tomohiro Okadera, Nobuhiro Okamoto, Masataka Watanabe & Jaruwan Chontanawat (2014) Regional Water Footprints of the Yangze River: An Interregional Input-Output Approach, Economic Systems Research, Vol.26, No.4,pp.444-462(Published online: 10 Jul 2014)

岡本信広(2014)「中国とアジアの経済統合−国際産業連関モデルからのアプローチ」『比較経済研究』比較経済体制学会,第51巻第2号,pp.31-41

岡本信広・岡寺智大(2014)「中国の地域間仮想水交易と水資源配分の環境公平性評価」『地域学研究』第44巻第1号,pp.111-122

岡本信広(2014)「新型都市化政策の評価−中国は都市化の費用をまかなえるのか?」『東亜』No.569 ,2014年11月号,pp.32-53(投稿審査論文)

<論文(査読なし)>

岡本信広(2015)「中国の都市化とその課題−生産要素の観点から」国際関係学部国際学術会議実行委員会編『台頭する中国とアジアの新秩序(大東アジア学論集特別号)』2015年3月,pp.1-22

岡本信広(2014)『中国の都市システム−都市規模を抑制するのは合理的か?』『ERINA REPORT』No.121,環日本海経済研究所,pp.3-11

岡本信広(2014)「空間規模,立地と地域産業連関モデル」猪俣哲史・柴田つばさ編『2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と利用(II)』アジア国際産業連関シリーズNo.82,日本貿易振興機構アジア経済研究所,pp.1-17

Nobuhiro Okamoto (2014) "Does Regional Size Matter in Regionalization of National Input-Output Table by the FLQ formula?-A Case Study of China-", Discussion Paper No. 222., Institute of Economic Research, Chuo University

<その他>

時評
岡本信広(2015)「都市の中の村を再開発する−北京の「城中村」改造」『東亜』No.571(2015年1月号),pp.4-5
岡本信広(2014)「戸籍制度改革」『東亜』No.568(2014年10月号),pp.4-5
岡本信広(2014)「「国家新型都市化計画」を労働,土地,資本から読み解く」『東亜』No.565(2014年7月号),pp.4-5
岡本信広(2014)「中国大都市化の抑制−背景と手段」『東亜』No.562(2014年4月号),pp.4-5

書評
岡本信広(2014)「【書評】渡邉真理子編『中国の産業はどのように発展してきたか』勁草書房」『中国経済研究』第11巻第1号,pp.63-66

<学会発表>

11月29日 「中国の地域間分業と地域の「位置」」応用地域学会(琉球大学・沖縄産業支援センター)
12月6日 「日本後城市化時代郷村発展的問題与反思」第二回中国城郷(都市農村)規劃実施学術研討会(中国城市規劃学会)(広州市)

*コメンテーターなど
比較経済体制学会
日本地域学会
日本国際経済学会
環太平洋産業連関分析学会
神戸大学大学院経済学研究科

<講演>
東松山市きらめき市民大学
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2015年03月24日

国家新型城鎮化総合試点方案

2015年2月に国家発展改革委員会より《国家新型城鎮化総合試点方案》が発表されました。内容を簡単に整理して紹介しておきます。(文章の日付けを見てみると2014年12月になっており,中央経済工作会議のあと担当の中央城鎮化工作会議で主要任務を分担した模様。)

1.指導思想と基本原則
 ここでは人による城鎮化を核心とし,質の向上を鍵として,難題を解決するために改革試点を先遣隊の作用とすること,大胆に探索すること,試点先行して創造性を発揮する,ことなどが述べられています。新しい都市化モデルの構築が期待されています。

2.試点範囲と時間
 江蘇,安徽の省レベルから郷鎮レベルまで62の都市地域が試点として選ばれています。2017年までに得た成果を複製可能な形で2018年から2020年までに徐々に全国レベルに展開する予定になっています。

3.試点の主要な任務
 具体的な政策(といってもそんなに目新しいものはない)を紹介。

(1)農業人口の市民化コストの分担メカニズムを作る。居住証による居住年限などと公共サービス提供をリンクさせること,政府,企業,個人がこのコストを相応に負担すること。
(2)都市化の投融資メカニズムの多元化。地方政府の債務を全口径予算管理として,都市政府の資産負債表をつくる。地方政府債権発行管理制度をつくり,債権発行による都市建設を認める,PPPを積極的に利用するなど。
(3)農村宅地制度をいいものにしていく。
(4)行政コストを下げる管理方法の刷新。都市の設置は行政管理組織の簡素化と連動させつつ,鎮を廃止し市にする試点を設けて行政レベルと行政区域の新たな関係を探る。
(5)体制メカニズム改革の刷新。都市農村一体化メカニズム,規劃の編制や管理,農業現代化,環境生態,都市ガバナンスなど新しい体制を構築する。

4.政策支援
 財政移転支出では農民工の市民化人口とリンクさせる制度を確立し,省レベル政府が起債したお金の使用は試点に向かうようにする(地域傾斜),国家開発銀行などの参与や多くの手段で資金調達を行なうことが述べられています。あとは農民工の職業訓練などを支援するなど。

5.実施組織
 各試点で党組織に工作領導小組を設置すること,公安部,民生部,財政部,人力資源社会保障部,住房城郷建設部,農業部,人民銀行,銀監委,標準委などと協調すること,などが述べられています。


実際にどのような具体的な成果がでるか,一度どこかの試点を現地調査してみようと思っています。

<参考>
発展改革委員会の文件オリジナルは中国経済新聞網(2015/2/4)を参照。
http://www.cet.com.cn/sypd/syfxb/1462711.shtml


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2015年03月17日

2015年2月の読書ノート

先月は英語学び直しのために英語勉強法の本をいろいろ読みました。

オススメはこれ。



語学学習もずいぶんと科学的に解明されてきているという印象を受けました。白井さんの本は全部先行研究を丁寧に追っていて,学習方法の科学性が裏付けられています。

竹内さんも科学的に迫っているのですが,ちょっと実験(統計)分析と目的が今一歩わかりませんでした。それでも多くの英語学習者の共通点を探しだそうとする『「達人」の英語学習法―データが語る効果的な外国語習得法とは』は面白かったです。

勉強したいけど,どう勉強すればいいかわからない人には森沢さんの『英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法』がおすすめ。


<英語>

村上憲郎(2008)『村上式シンプル英語勉強法』ダイヤモンド社 英語はグローバル社会を走り回るための「2台目の自転車」。息継ぎなしで小説10冊ノンフィクションで5冊読み、毎日1万語の単語を眺め、1000時間英語を聞き、借りて来た表現で書き、自分のことで100の英文を持っておく。

イムラン・スィディキ(2014)『これを読むまで英語はあきらめないでください!』大和書房 英語勉強のモチベーションを維持できないのは、上達しているけど上達を実感できていない、目標を見失っている、勉強内容と英語学習の目的があっていないのどれか。上達者はインプットを重視。

野島裕昭(2010)『「超音読」英語勉強法 留学経験なし! だけどTOEIC テスト満点!』日本実業出版社 ネイティブに近い自然なスピードで音読できればリスニングの基礎となる。速音読→リスニング→速音読→スピーキングへとつながる。

國弘正雄(1999)『國弘流 英語の話し方』たちばな出版 只管朗読こそが英語を身につける方法。楽をして英語を身につけることはできない。中学のリーダーの繰り返しの音読で直読直解、多読が可能になり、会話表現や英作文の基礎ができる。

森沢洋介(2005)『英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法』ベレ出版 英語を自由に話す基盤となる「基底能力」は知識と知識を活動させる回路からなる。回路を作るための短文暗唱=瞬間英作文,音読パッケージを基本に精読,多読とボキャビルへ。

竹内理(2003)『より良い外国語学習法を求めて-外国語学習成功者の研究』松柏社 学習方法の意識化などのメタ認知方略、リーディング・リスニングは深く読み分析的に聞き、音読、その後量拡大。スピーキング・ライティングは基本文型の大量暗記、パターンプラクティスなど。

竹内理(2007)『「達人」の英語学習法―データが語る効果的な外国語習得法とは』草思社 年齢による臨界点は懐疑的。否定的思い込みは学習に不利。目的明確に、集中と定期的学習というメタ認知を前提に、リスニング、リーディングは最初丁寧に後は量、英作文は英借文、語彙は音声化、文脈化、身体化、ネットワーク化、リスト化が有効。

鎌田浩毅・吉田明宏(2013)『一生モノの英語勉強法』祥伝社新書 目的をたて戦略(学習すること)を明確にする。学習する内容について戦術(参考書)を選ぶ。持ち時間とゴールを明確に。発音,文法,読解,単語,リスニング,スピーキングの六分野について方法を伝授。

門田修平(2007)『シャドーイングと音読の科学』コスモピア シャドーイング・音読にはリスニング・リーディングの音声知覚、単語認知を自動化し、内語反復の効率化・顕在化による語彙・文法などの学習事項を内在化する機能がある。

千野栄一(1986)『外国語上達法』岩波新書 言語習得に必要なのは目的と目標、お金と時間。覚えなければならない項目は語彙と文法で、習得のための三つの大切な道具はよい教科書と良い先生とよい辞書である。

猪浦道夫(2003)『語学で身を立てる』集英社新書 理想的なプログラムは、文法体系の把握、平易な現代文の精読、作文演習、会話演習(独習)。

白井恭弘(2004)『外国語学習に成功する人、しない人―第二言語習得論への招待 (岩波科学ライブラリー)』岩波書店 言語習得はかなりの部分がメッセージを理解することから起こり、意識的な学習によって発話の正しさをチェックし、自動化により実際に使える能力に貢献し、普通に聞いているだけでは気づかないとを気づかせる効果がある。

白井恭弘(2008)『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)』岩波新書 第二言語習得論 外国語学習の成功は学習開始年齢、適性、動機づけによって決まる。母語と外国語が違う部分が学習の邪魔になりやすい。そのため「インプット理解とアウトプットが必要」。例文暗記で補足しながら言語のデータベースを増やすこと。

白井恭弘(2012)『英語教師のための第二言語習得論入門』大修館書店 外国語習得に成功する学習者は若い、母語が学習対象言語に似ている、外国語学習適性が高い、動機づけが強い、学習法が効果的、という特徴を持つ。言語習得の本質はインプット仮説と自動化理論の二つ。

<その他>
杉山貴章(2011)『図解 クラウド-仕事で使える基本の知識』技術評論社 自社サーバやネットワーク機器を用意することなく,Webブラウザで大部分を利用することが可能なクラウドサービス。データベース,アプリ,開発環境などを必要なだけ物理的設備や場所に左右されずに利用可能。
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2015年03月10日

周其仁と姚洋の講演(中国経済経営学会第2回国際交流セミナー)

3月8日に拓殖大学で開催された2014年度中国経済経営学会第2回国際交流セミナー「中国経済改革の課題と展望」に参加してきました。

報告者は,北京大学国家発展研究院教授の周其仁さんと姚洋さんでした。

ここでは周其仁の報告の概要を備忘録として。

・経済成長率は2007年第1四半期の15%を最高に2014年第3四半期の7.3%まで下がってきた。

・下がった原因は,行政の関与が増えていること,物価下落により実質金利が上昇したこと,企業家精神が減少していること(国との関係維持に忙しい)。

・経済成長が下がったことで見えてきたことは,中国の生産コストは高いということ,債務が増加しているということ(とくに国有),過剰生産であること,である。

・それでも中国の経済成長には依然強みがある。一つは競争が激しいということ。社会保障はなく一般民衆は大変かもしれないが,とにかく市場で何かしら生き抜いてきているということ。2つ目はグローバル化によって中国にとっても新興市場が存在するし,グローバル化人材が蓄積されてきている。3つ目は,品質向上の余地があること。中国製は悪いかもしれないが,逆に輸入品に代替できるような製品も生まれつつある。4つ目は人口集積である。まだ都市化の余地が残されており,人口集積による経済成長効果が期待できる。

・中国経済が挑戦しなければならないのは,制度コストを如何に引き下げるかということである。中国では政府の存在によって税負担,規制,許認可,腐敗など制度が生み出すコストが高い。企業にとって政府との関係維持は大きなコストになっている。


報告後の質疑応答で,「制度コスト」を引き下げるにはどうしたらいいか,質問しました。

彼の答えは

・税率の決定や施行は法律に基づくべきであり,予算法の設立などその方面に動いている。(今は財政部や税務局が全人代から税率権限を授権しているという建前)

・市場参入をすすめること。北京で新しく始まったアプリ(「滴滴打車」:タクシー予約アプリ)が事業を始めるときに,まず政府はそれを認めない方向だった。現在でも一部の都市ではそれを拒否している。政府自体が市場参入の障壁となっている。

・審査や許可についても裁量的であるため,企業家の仕事は政府との関係に費やされ,品質改善や新しい製品の開発に向かないという問題もある。

ということでした。


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2015年03月03日

ピケティと中国の格差

私がこの本についてうんぬんする必要があるのかというとそうでもないけど,話題になっているので取り上げてみます(笑)

kaikaji(梶谷さん)いわく

kaikaji.jpg

じゃないけど,ピケティに便乗して中国の格差を語ってみますwww (あ,でも内容はまじめ)





主張は非常にシンプルです。

民間資本収益率が所得と産出の成長率を長期的に大幅に上回り得るという事実は、格差を縮小する力よりも拡大の力がある。正しい解決策は資本に対する累進課税である。

このシンプルさのゆえ,多くの人がこの主張にかみつき,事実の解釈をめぐって議論になっています。

この本のおもしろさは「格差」を経済学の主要テーマとし,長期データからあきらかになるものを突き止めたという点でしょう。

資本収益率が経済成長率も高い事実をめぐっていろいろ議論になっています。その辺は他にゆずるとして,彼の発見と仮説が正しいとして中国の格差はどうなるかと考えてみました。

中国では資本は国家独占でした。企業も資源も土地も国家がもっていましたが,市場経済化の流れの中で,企業の民営化,土地の流動化は進みつつあります。(資源はまだ税金は低いし,使用権はあいまいなままなので,ちょっとわきにおいておく。)

とくに国有企業の民営化で,国有資本を低い価格で引き受けていった元官僚たち,官僚,共産党員と関係が密接な新興資本家たちが恩恵を受けました。

また社会科学院の調査によると,親が体制内就業しているとその子が体制内就業できる確率は有意に高いといいます。つまり官二代,富二代という裕福さが世代に受け継がれています。

ピケティも格差は縮小する力をもっているといいます。それは情報であり,教育だといいます。人的資本や教育は労働所得を高めるので間違いなく貧しい人裕福な人の差を縮めます。途上国が先進国にキャッチアップするのも途上国での教育の普及と人的資本の充実が大きな役割を果たしています。

でもピケティは資本の力はあなどれないとしています。事実,資本収益率は経済成長率より高いので,資本は資本を生み出します。働かなくても食べていける不労所得者を生み出します。

中国の資本家は国有資産と一緒に民間にスピルオーバーした人たちです。そして何のコネもなく資本ともゆかりも縁もない人たちはただひたすら労働に汗を流さなければなりません。ピケティが指摘するように,彼らに教育の機会が提供され,人的資本となるなら,格差縮小の力になるでしょう。教育の機会,就業訓練などが充実すれば労働面での格差縮小が期待できます。

でも,資本の力が強いとなると,

革命でも起きない限り,この格差は存在し続けるのかもしれません。

中国で資産税や相続税の話題は出ていますが,どうなるやら,といったところです。
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