2015年09月15日

中国の政策を追うということ

中国ウォッチャーは,中国共産党や政府が発する文件や政策に注目します。どの国でも経済政策は政府から提出されますが,中国の政府文件はとくに注目されているように思います。

中国の政策を文件から丹念に追うメリットはどこにあるのでしょうか。私は以下の二点が理由としてあげられると思っています。

(1)言論の自由がない
中国には言論の自由がないため,中国経済や現状の問題点や負の面が報道されることはほとんどありません。結局,中国の課題というのがつかみにくいということになります。

中国は改革を進めています。改革を進める分野がどこなのか文件が出され,改革を進めようということになります。これはとりもなおさず変えなければならない課題ということを意味しています。国有企業の経営効率を上げようという改革は,すなわち国有企業の経営効率は悪いという認識が政府内にあるということです。

(2)政府の力が強い
中国の経済政策は,とくに政府の役割が強いです。政府は国有企業を通じて大量の国家プロジェクトを配分するとともに,民間企業に対する有形無形の行政指導が行なわれています。そして幹部の評価制度により幹部は中央政府の政策を忠実に実行しようという動機になります。

中央の指示が厳密に実行されるかどうかはさておき,地方は何かしら形を変えて政策を実施しようとします。中央の指示に対する地方の反応により(いわゆる「上に政策あれば下に対策あり」),政治的には中央地方関係の動きがあわかるとともに,経済的には地域の特殊性や課題がわかります。


ただ政策ウォッチで注意する点として以下を指摘しておきたいと思います。

(1)過去との整合性
政策文件は過去からの流れがあるため,特別新しいことを言っていないということが多々あります。とくに国有企業改革のような既得権益の改革は表現が曖昧になったりする一方,一部では具体的になったりします。

一路一帯にしても新しいプロジェクトが一路一帯でいきなり出てきたように見えますが,すでに地域政策で実施されていたものが書き込まれたりします。過去の流れを把握しておかないと,意外に新規性は小さいということもよくあるので,新しい名前の文件には気をつける必要があります。

(2)現実の問題
政策文件は絵に描いた餅です。その餅が実際にどうなるかどうかは,政策が現実に実行されてはじめて判断されないといけません。政策文件は現実ではないという点に気をつける必要があります。つまり「中国経済は文件で起きてるんじゃない,現場で起きているんだ!」(踊る大捜査線風)というわけです。

私も含めてウォッチャーは往々にして文件ばかり気にして,現実把握が遅れがちになります。経済政策として文件を把握する場合はとくに,ある一定期間ののち,文件と現実を照らし合わせて,何かしらの政策評価は必要でしょう。

最近,自分の仕事をふり返りつつ自戒を込めて書いておきました。
posted by okmtnbhr at 09:33| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月08日

中国は脅威か?

ちょっと聞かれることがあるので,自分の考えをまとめる意味で。

中国は半植民地経験から先進国による覇権主義をひどくきらう傾向をもっています。

ソ連と蜜月の時代はあったものの,第三世界(途上国)の盟主(あるいは代表)という自認のもとで,独立した外交政策を展開してきました。

そのため自国の安全保障は,どの陣営に属するということなく,自らの軍備整備,核開発と人民解放軍の近代化で行なってきました。

安全保障という点では他国との同盟や協調という路線を採用しなかったので,軍事的には自衛の範囲を超えやすくなります。日本のように安全保障がアメリカの傘に入っている場合,自衛権以上の軍事力拡大は抑制されます。

中国の場合,他国から独立した外交戦略を採用するために,自衛武力の大幅な拡張を可能としています。

実際,台湾に対しては武力解放を辞さないという姿勢ですし,エネルギー安全保障という観点から南沙諸島への実効支配を強めてきました。

中国がアジアにおいて国際政治力における均衡(平和)に影響を与えているのは事実です。この武力拡張路線に傾倒しやすい点では脅威ですが,実際に他国への攻撃がおきるかどうかは疑問です。

それは対内的な問題(格差や腐敗など)への対応に力を注がざるを得ないという現実を抱えています。事実,国内治安維持費の支出が軍事費より大きいです。

したがって,中国がアジアの国際政治力の均衡を崩しつつあるのは事実です。しかし,他国へ武力行為を働くほどの政治力の均衡破壊はないでしょう。

現在のアジアは,安全保障という観点からは中国,アメリカ(韓日を含む)によって政治力の均衡が維持されているという現状がある以上,この2国の政治力の綱引きに注目しつつ,そしてその中にいる日本はどうあるべきかという認識は持つ必要があるでしょう。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月01日

千葉ニュータウン

千葉県企業庁(千葉県の街開発を行う公営企業)が今年度で終わるということで,千葉ニュータウンの開発についてもヒアリングを行いました。(千葉ニュータウンの案内はこのファイル(PDF)を参照)

ヒアリングの備忘録として。

・千葉ニュータウンが開発されるきっかけとなったのは,@都市化による住宅用地の需要拡大,A住宅乱開発を防いで秩序だったまちづくりの必要性,B県内陸部の発展,C成田空港へのアクセス,である。

・1966年から事業が開始され,最初は多摩ニュータウンとほぼ同じ規模2900㏊,計画人口34万人を目指していたが,1986年には1930㏊,14万人の規模に修正された。この事業を行なっている企業庁は今年で解散し,精算事業は平成30年で終了する。

・1969年に新住宅市街地開発事業法が適用。用地の全面取得から整備,造成を経て分譲する事業が開始する。千葉県で行なっていたが1978年宅地開発公団(住宅都市整備公団を経て現在のUR,都市再生機構)が参画。企業庁が用地の取得を担当し,公団側が造成,販売を担当することとなった。(多摩ニュータウンは,事業分担ではなく地区でUR,東京都と分かれている。)

・社会資本開発にも力を入れており,道路,水道,調整池などを整備し,維持は市にまかすようにしている。

・農地買収は,農家の再就職問題にかかわる。農業を続ける場合は代替地の提案、別の仕事(例えば商業)に転換する意思があるのであれば、商業施設へのテナント区画の提供などの方法がある。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする