2016年07月19日

中国の都市化の特徴

中国の都市化について、滞在先のSOASのセミナーで報告しました。そこでの議論を通じていろいろ感じることがあったので、ここで今の考えをちょっとまとめておきたいと思います。

中国の都市化とは何か?という根源的な問いに対して、私はこう答えておきたい(仮説)と思います。

他の諸国とは違い、中国の都市化は経済政策であり経済体制改革である。

この考えは、現在アジ研で行っている研究会の基本的テーマでもあります。(ここ


まず他国の都市化について考えてみましょう。

他国の都市化とは、自然発生的な人の経済活動の結果であり過程でした。日本でも戦後多くの人が職や教育のために東京をはじめとする三大都市圏に集まってきました。そこで発生するのが、住宅と医療、教育機関の不足、道路、地下鉄などの交通インフラの不足です。そのため政府は「対策として」都市インフラの整備を行い、住宅を供給し、医療や教育などの公共サービスを増強させてきました。それに伴って、いい都市づくりを目指して、都市計画が作られ、都市行政が発展してきました。

他国の都市化に関する政策とは、空間的に集中する人口や企業に関する「対策」であった側面が強いです。

一方、中国は都市化が不自然に抑えられてきたために、一挙に政策として都市化を押し出すことになります。

空間的な人口や企業の一部地域への集中を都市化を「空間的都市化」と定義すれば、中国の都市化は改革開放とともに始まり、多くの農民工が沿海都市部に流入してきました。そのためハード面で都市インフラの拡張は行われてきました。農民の土地を取り上げ、住宅を建築し、道路を拡張し、地下鉄は延伸されてきました。しかしソフト面、とくに公共サービスについては、都市住民には提供されても、流入した農民工には提供されませんでした。彼らはあくまで一時的居住者として扱われていたからです。一時的居住者であって都市住民でない、この取り扱いこそが中国の都市化が遅れてきた原因です。

そこで、現政権から都市化を推進するようになりました。問題はまさに都市化を妨げていた制度を取り除く「制度的都市化」を行わなければなりません。「制度的都市化」とは、一時的居住者として扱われていた農民工たちを都市の制度の中に取り込むこと、そして農村と都市の制度を共通化することによって、都市化をスムーズにすするめることを意味します。

以上のように、他の国では空間的都市化、そしてその対策が一般的に行われてきました。中国は空間的都市化に加えて制度的都市化を行わなければならない、これが中国の都市化の最大の特徴だと思います。

こう考えると、中国の都市化は、空間的都市化については他国との比較研究が有益でしょうし、制度的都市化については、これまでの経済改革の流れの一環として研究することが有益だろうと思っています。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 岡本式中国経済論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする