2016年11月29日

世界の貿易システムの将来

11月21日に自由貿易に関するフォーラムに参加。

"Mega-regionalism" and the Future of the Global Trading System

Michael G. Plummer (Director, SAIS Europe and Eni Professor of International Economics: The Johns Hopkins University)

以下、備忘録として。

・貿易自体は、職を作り、貧困を解決する。
・Megaregionalsは、WTOの失敗、FTAのスパゲティボール現象、RTAは改善してきた、ということが背景にある。
・ASEANにとって貿易が占める割合はGDPの100%近くにまで上昇してきた。
・APEC21か国その中の12か国がTPPに参加。
・過去の研究では40%から250%の貿易上昇効果があるという。
・TPPでは、関税の撤廃、サービスや投資ではティブリスト方式に、政府購入、デジタル経済のルール化、IPの保護、そして新しく貿易促進策、国有企業扱い、規制の統一化などが入る。
・GTAPデータベース、現在の貿易理論、関税、非関税障壁、貿易合意を考慮したモデルを構築。
・分析の結果、アメリカ、日本が最も利益を得る。%レベルでみるとベトナム、マレーシア、ブルネイが利益を得る。ただしヨーロッパ、その他の国がスピルオーバー効果で利益が得られるにもかかわらず中国がもっとも損を被る。
・アメリカは熟練労働者、日本は未熟練労働者の要素にいい影響がある。
・TPPは重要かつ利益をもたらし、発展のインパクトを最大化する。

・政治的には、Brexitやトランプ現象と同じく企業.が利益を得るだけ(左派)、統治権の侵害(右派)から批判され、中国の孤立化の可能性がある。
・トランプ政権はTPPを破棄し、中国との対立の可能性(中国製品に課税の姿勢)。
・詳細はこのサイトへ→www.asiapacifictrade.org
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2016年11月22日

「張り子の虎、隠れた龍」

11月17日にSOASで開かれたBook Launchに参加しました。

Paper Tigers, Hidden Dragons
Professor Douglas B. Fuller



Fuller教授が上梓した上記の本の概要を話すというセミナーでした。意味深なタイトルですが、要点は

国家が国有企業に資金面等でR&Dを支援しているにも関わらず、技術水準は向上していない(張り子の虎)。それでも中国が技術的に向上してきているのは、海外資本と国内起業家の組み合わせHybridsの活躍がある(隠れた龍)。

です。

話の内容を備忘録として。

・中国は、市場経済制度が不完全にもかかわらず、そして過剰に国有企業に技術改造を応援しているにも拘わらず、技術向上が観察される。その答えは合弁企業(Hybrid)、すなわち海外資本と国内起業家の組み合わせにある。
・技術向上は技術的な学習と技術発明からなる。
・企業タイプは、国内企業(国家資本調達がしやすい)、国内企業(国内資本調達が難しい)、多国籍企業、Hybrids企業がある。
・国内国有企業は金融を支援を受けて技術向上に取り組む→しかし技術向上への貢献は少ない。多国籍企業、Hybridは貢献が大きい。
・開発区の役割ー政治的に投資を呼び込みGDPの上昇が背景。それ以外の要因国内調達などは軽く見られる。
ファンディング制度が弱いーFundが設置されても、アーリーバードの段階やアイデアの段階での投資は行われない。しかし、華人VCや海外VCは技術関連の投資を行う傾向がある。
・LENOVOは最初は資金不足、その後国家サポート(資金面、国家調達(国内市場)面)した結果、低利益のPCにこだわっている。(他の海外企業は多角化しているにもかかわらず)
・しかしHUAWEIは例外だ。民間企業として同じように国家認識はあがったが、海外市場へ展開し自己資金調達にこだわっている。
・多国籍企業は最初は安い労働力から進出してきた。技術漏えいを防ぐためにR&D過程を細分化、人材を集められない。一方でHybrids企業は中国資源を最大限活用、興味ある技術職を提供し、国内人材を受け入れている。 
・中国国内企業のR&D投資は大きいが、Patent申請数は少ない。(Hybridsがトップ)
・外国投資が外国制度を持ち込み、発展のエンジンになっている。ただ人種的なshareは必要だろう。
・グローバリゼーションの進展で、市場モデル、国家モデルではなく、国際ネットワークは技術的な資源配分を可能にしている。

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2016年11月08日

イングランド銀行

イングランド銀行の博物館に行ってきました。日本銀行の貨幣博物館のようなものです。

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1)イングランド銀行は民間投資家が出資して1694年に設立されました。これはフランスとの戦争に必要な戦費を調達する政府にお金を貸すところからはじまっています。ナポレオン戦争期の1790年代には政府銀行としての役割を持つようになりました。

2)1800年代に国家の銀行としての役割を固め、第一次世界大戦期に国家負債は増え続けるとともに、国家の金保有、外国為替を管理し、金融政策を行う銀行になりました。1946年に国有化されたようです。

3)イングランド銀行は国家の中央銀行として、インフレを低く抑えること(2%を目標としている)、金融システムを安定させることを主な役割としています。

インフレをコントロールするゲームがあるなど、中央銀行の役割がわかりやすく説明しているいい展示でした。

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2016年11月01日

時間をどうするか―イギリスのサマータイムから

ロンドンに赴任してから、なぜか日照時間が気になっています。とくに日照時間を人為的に動かすサマータイム(Daylight Saving Time)を10月30日に経験し、「時間を決める」ことに興味を持っています。

ということで今日は、サマータイムを考えてみようと思います。

サマータイムは日本でも導入が時々議論されます。期待される効果は夜の日照時間を人為的に長くして、経済活動を活発化させることです。

効果についてはまだ議論がありますが、日本に馴染みのないサマータイムについて簡単に整理してみました。

1)歴史

1907年William Willettがイギリス・サマータイムという概念を紹介しました。彼は貴重な日照時間を大事にすべきだいうことを主張し、具体的には4月に4回に分けて80分早め、9月に同じように80分もとに戻すという方法を提案しました。しかし、彼のアイデアは採用されませんでした。

(ただし1895年にニュージーランドの昆虫学者George Vernon Hudsonがこのような計画を提案したことがあります。)

彼がなくなる年にドイツは時計変更方案を作成、1916年4月30日に初めてのサマータイムを導入、イギリスもその後を追って5月21日にサマータイムを導入しました。(第一次世界大戦期間で英独は戦争していた。)

2)議論

サマータイムの支持者は、国内石炭消費量を抑えられる、第一次世界大戦のための製造業生産を増加させられる、と主張しました。

一方で反対意見もあります。エネルギー消費への効果も疑問、健康リスクもあるという意見です。

夜が来るのが遅くなるので、夏のエアコン消費量が増えること(ただしイギリスはエアコン使わないのであまり影響がない)、そして朝は暗くなるので子供たちの徒歩通学が危険にさらされるというものです。

支持者たちは、交通事故が減少し、エネルギー消費が抑えられ、観光業を後押しし、人々の野外活動が増加する、と主張します。1980年代ではサマータイムの導入でゴルフ産業の売上が4億ドル伸びたというデータもあります。


3)時間をどうするか

イギリスの世論調査では、53%の人々が永久にサマータイムにしてしまうことを支持し、32%は時間を変更することに反対しています。

2011年にサマータイムのままにしようじゃないかという方案が議会に出されましたが、通りませんでした。

とくにスコットランドにとっては、時間がサマータイムのままになると9時ごろまで朝の太陽が出てこないことになってしまうので、農業や建設業で影響が出るためです。

イギリスでは過去、時間に関する取組みが試行錯誤されてきました。標準時子午線のある国ですが、一時期は現在の時間よりも2時間早めていたこともあります。

時間をどう決めるか、日本でも『天地明察』という小説にありましたが、別の意味で国のあり方を決める重要なテーマのように思います。

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<参考>
ICYMI, the clocks have gone back one hour in the UK - but why do we have Daylight Saving Time?
The Telegraph, 30 Oct 2016
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