2016年12月06日

イスラム法と中国の国内法

11月28日にいつものChina Instituteセミナーに参加しました。

The Impossible Law: Sharia in China
Prof. Matthew Erie (University of Oxford)



甘粛省でのイスラム社会(回族)で1カ月滞在して研究した成果のようです。

概要に入る前に確認しておくと、欧米では多くのイスラム教徒が住んでおり、彼らは彼らの宗教法(シャーリア法)にしたがって結婚や離婚などを行います。ただ中には女性の人権を無視するような法運用があり、その国の男女基本法のようなものと抵触したりします。

一方で国家の法律がイスラム法を厳しく制限する場合もあります。例えば、フランスでイスラム教徒用の水着(ブルキニ)の着用を禁止する法律が公布されたりします。イスラム法と国家法との関係は常に緊張関係にあります。

いわんや中国は漢族を主体として共産主義を標榜します。そして宗教を認可しません。でもこの中で多くの回族がイスラム教徒して生活しています。中国の国家とイスラム法との関係を考えたのが今回の報告でした。

備忘録として。


・イスラム教徒は国内法で認められていない中どのようにシャリア法を守るのか。
・清真(pure and true)という形で食事の禁忌は守っている。1億1700万人の少数民族の中で2300万人のモスリム。憲法第4条で少数民族を規定、寧夏と新疆が法で認められた自治区、回族習慣法を名目的に認める。
・清真寺(モスク)、教法(イスラム法)、UKとは違ってシャリア法は法で規定されていない。中国は宗教は認めず、国家の介入を認める。(今年、法を改正してextreamistを禁止)他の少数民族でも習慣や規範は認められている。
・UK、フランス、USでもモスリムを認めないことはよくある。
・中国ではどうしているのか?モスクに入るとモスリムの教えに従い、モスクを出れば国家に従う。
・清真(ハラル)の概念は国家recognizedされたシャリア法の一部。ハラル証の申請には中国モスリム協会や宗教局の許可をもらう。生産から消費までの過程すべてにおいて各局が許可していく。ハラル食品の輸出がマレーシアやインドネシアなどに始まっている。国内法に従うとともにハラルとして認められなければならない。回族自体は中東などと交渉できない。
・2002年ハラルフード管理法ができる。その中で基本は清真の飲食習慣としつつ「イスラム法」という言葉を使っている。
・海外でのモスリムの活動が過激化、上海で回族が牛肉麵屋を襲う、これは400Ⅿ以内に同じ店は作れない(?)というイスラムの教えに違反している、もう一つの新疆、寧夏が使っているハラルのサインを青海の回族が使用してたという問題もあった。
・禁忌(タブー)をどのように法律にするか。漢族が禁忌を起こすと回族との対立につながる可能性も。
・回族の危機は国家の危機にもつながりかねない。国家は強い態度で臨んでいるが・・・

Q&A
・回族の政府職員のラマダンは認められていない。
・中国イスラム協会は政府側だけども、地元の要望も吸い上げなければならないので、重要な役割。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 岡本式中国経済論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする