2017年01月31日

中国は民主化するのか?

久しぶりにChina Instituteの講演。

Democratizing China: Insights and Lessons from history
Prof. Minxin Pei (Claremont McKenna College, USA)

刺激的なタイトルです。直球で中国の民主化を論じています。

備忘録として。
・どのように民主化が行われるのか。政権崩壊、社会圧力、外部からの影響の3要素がからみあう。一つの要素だけではレジーム交代は説明できない。
・社会圧力は3つ。社会能力の向上(物質的豊かさなど)、社会的な緊張(不平等など)、実行レベルの法律の崩壊(社会不安定、成長の停滞)。
・どのように中国は歴史と比較するべきか。社会の能力、中所得国の罠、政権の寿命の3点からみる。
・(1)社会能力。1人当たりの所得と自由民主国との相関は高い。レジーム転換リスクと所得は逆U字の関係。中所得国のリスクは高い。中国より所得が高くて自由がないのはほとんどが産油国。(産油国は税金を課さなくてもいいので独裁体制を維持しやすい)しかし選挙民主国になった国の年はさまざま。教育レベルからも、転換ゾーンにはある。
・(2)中所得国の罠。罠を抜けでた国は13か国。その中に独裁体制の国はない。スペイン、ギリシャ、ポルトガル、韓国、台湾などは民主化した。
・(3)政権には寿命がある。軍事政権はもっとも短い、一党独裁がもっとも長い(70年ほど)。中国はもうすぐ寿命に来る。
・一党独裁が次の10年まで持つかどうかだ。根拠として(1)2000年以降急激に大学卒業生が増えている。一党システムがこのグループに職を提供できるか。(2)レジーム転換した国の都市化率平均は60%程度。(現在中国は55%程度)(3)クリスチャンの人数が増えている。(4)増加する年金生活者を支えられるか。すでにキャッシュフローとしては支えられなくなってきている。(5)ヘルスケアのGDPシェアも増加している。
・政権崩壊の可能性は3つから観察される。支配層の汚職、権力闘争と団結の喪失、抑圧コストの増加。
・しかし、外部環境をみると、トランプが現れるなど、民主主義への信頼性の低下は中国共産党にとって短中期的な追い風でもある。
・もし政権が変わるとして・・・3つの古典的選択がある。改革(政権側による転換、タイミングが重要。)、革命(軍隊と支配層の分裂)、改革と革命(Refolution-reformとrevolutionの造語)(改革の遅れと革命を引き出す、旧ソ連のケース)。
・政権側が民主的な制度を導入することがなければ、Refolutionになる可能性がある。

感想
これまで共産党に代わる政権担当能力のあるグループが存在しない中で、政権転換があるとは思わなかったけど、中国共産党の中で派閥が現れると、闘争ではなくなにかしらのシステム(選挙等)で民意を問う必要があるかもしれない。

大変面白かったです。

報告者の最近の成果はこちら。

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2017年01月17日

財と人の移動

イギリスのEU離脱の方向がだんだん見えてきました。

これまで、離脱にあたっては、相反する命題

移民コントロールとEU統一市場へのアクセス

をどれだけ確保するかが、現政権の課題でした。

EU側の強い交渉態度(人の移動をコントロールするのに、財の自由な移動を認めろというのはけしからん)により、イギリス側はEUへの統一市場へのアクセスを手放さなければならない、つまり自由貿易地域からイギリスは出るということになりそうです。

イギリスの人口は6000万人弱です。高齢化が進んでおり、市場規模は拡大する見込みはありません。一方EU市場はイギリスを除いても5億人あります。中には東欧のようにこれから発展していく可能性のある国もあるので、市場の将来性は大きいです。

イギリスはこのEU統一市場から出ていくことになります。財、サービスの取引に関しては自由な取引はできません。その分、関税やらサービス規制などでイギリスはEU市場アクセスにおいてハードルが高くなります。

一方でイギリスは移民問題のコントロールを手に入れることができます。EU統一市場では、多くのEUの人々がイギリスに職探しに来ましたし、実際、街や学校の清掃、小売り、建設業などではEUからの移民が支えています。彼らがいなくなるとイギリス経済は回らなくなりますが、彼らの帰国を求めることも可能となります。(実際には不可能だと思う。)

アジアでの自由貿易協定は人の移動以外の協定です。アジアでも財、サービスの貿易が進み、さらに人の移動の自由化を進めると、財・サービスの統一市場は欲しいけど、雇用に影響のある移民は困るという同じ問題が発生するでしょう。

とはいえ事実上、東京にも多くの外国人が働きにきています。上海で就職している日本人も多いです。今後都市間で国際的な人材獲得競争が激しくなってくるとともに、自由貿易と人の自由移動は、人の国籍に対する排他的な感情も重なって、経済的な問題というよりも感情的な問題になっていくように思います。

参考
Theresa May to say UK is 'prepared to accept hard Brexit'
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月09日

ロンドン地下鉄のスト

1月8日の午後6時から24時間のロンドン地下鉄ストライキが始まりました。

私が学校を卒業して就職してから公共交通機関のストの覚えはないので、かなり珍しい現象に直面したことになります。

ロンドン地下鉄労組(実際には2団体の連合のようですが)と市政府の争点は、ボリス・ジョンソン(前市長、現外務大臣)時代の人員削減と切符売り場の閉鎖です。これにより職を失う職員もさることながら、大量の人員輸送を行う現場にとって、安全が保障できないという主張です。

日曜日に最終交渉が行われました。報道によると、800の人員削減に対し、150を撤回する、しかし切符売り場の閉鎖はそのままというロンドン地下鉄側の提案に労組側は不服。結局、ストが始まりました。

今日は一日ロンドンは混乱しそうです。

http://www.bbc.co.uk/news/live/uk-england-london-38529140
posted by okmtnbhr at 19:29| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月03日

都市に必要なもの

日本のニュータウンの疲弊や中国のゴーストタウンの問題を見ていると、共通点があるように思います。

それは短期間に一度に多くの建物(住居地)を建設したものの、そこに職がないというのが非常に大きいです。日本の場合は鉄道で都心とつながっていたからすぐにはゴーストタウン化しませんでした。でも中国の場合交通機関の発達はあとで来るので、それがないと自分の交通手段(車や自転車等)で通勤しなければなりません。結局、通勤場所との近接性こそが街として発展するかどうかがかかっています。

でも新しい街はきれいです。フランスの都市計画家ル・コルビュジェが合理的な集合住宅を提唱し、世界中のニュータウンに影響を与えました。コンクリートや鉄筋で高層、近隣には公園を配置したりと現代的な住宅として非常に魅力的でした。でも失敗しているケースがあります。それは、仕事終わった後に帰りにくい、あるいは結構歩くという問題です。

つまり職住接近こそが街の発展としてとても重要なのです。

それが永続的に発展するにはどうすればいいのでしょう。それは多様性です(ジェイコブズ)。町が町として機能するには、職住の近接性に加えて、職の多様性、エンターテイメントの幅が広く、そしてモザイクのように交じり合っているほうがいいのです。機能性、効率性を都市計画に入れて、この区画は住居、この区画は文京区のように分けてしまうと町が単調になり町としての魅力がなくなります。

多摩ニュータウンができても、仕事は都内に求めればいいというのが東京の状況でした。青島(チンタオ)の旧市街地ではなく、フェリーで渡った開発区に新しい住居を立てて、企業を呼び込むというのはどの都市でも見られました。

でも結局、東京の下町や青島の旧市街地の方が魅力があります。それは職があり住がありエンターテイメントがあり、それが入り乱れているので、町として「歩かなくても」なんでもできるのです。

千葉ニュータウンはいろいろあって40年かけて開発してきました。職の問題は千葉県企業局も早く気がついたので、物流企業を中心として誘致をすすめてきました。職と住の融合は千葉ニュータウンの重要な課題です。なぜなら北総線が他の路線より圧倒的に高いからです。

また幸いなことに土地の収用に時間がかかり、時代の流れとともに規模を縮小してきたので、場所によって入居年代が違います。幸いなことにこれで年代別の多様性は残ります。そしてエンターテイメント(それでも外食とショッピング程度)を導入してきています。あとはモザイク性なのですが、都市計画によってばらばらに分けられており、自動車がないと不便です。結局、高齢化すると移動に不便が出てくるので、今後の高齢化社会においては、新市街地(ニュータウン)よりも旧市街地(都内)の方がいいということになります。



posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする