2013年02月05日

2013年1月読書ノート

2013年1月の読書ノートです。



編著などで人の論文を修正したり、自分の原稿を校正したりするときに、なんとなくパターンがありそうな気がしていました。

本書はその日本語の気をつけるべきものを整理して、例文とともに修正例を示しています。例文も実際にあったものを使っているようで、説得力があります。

英語にはofやtheなどの使い方、英語の文章の書き方で注意する点など、英語文章の書き方に関する良書は数多く存在します。日本語の書き方でこれほど具体的な本は初めて読みました。改めて、「てにをは」の使い方、「する」「なる」の区別などが勉強になりました。

<経済>

猪木武徳(2012)『経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み (中公新書)』中公新書 経済学ができるのは論理を用いて説得が可能な価値選択以前の段階までであり、それ以降は政治的選択に任せるよりほかはない。賢い人弱い人がいる中では制度や政策が重要になる。

若田部昌澄(2012)『もうダマされないための経済学講義 (光文社新書)』光文社新書 人々のインセンティブを無視して政策はうまくいかない、トレードオフを無視して年金制度を維持出来ない。トレードの発展が人類の経済発展をもたらした。マネーでも金融緩和を渋った日本では停滞が続く。

飯田泰之・雨宮処凛(2012)『脱貧困の経済学』ちくま文庫 日本は自由競争は嫌がるし、貧しい人を面倒見るのもおかしいと考える社会。世間に後ろ指さされない生き方をしている人は守るべきだかそうでない人は自己責任。この空気が問題。2%成長と年100万のベーカムは可能か。

小島寛之(2012)『ゼロからわかる 経済学の思考法 (講談社現代新書)』講談社現代新書 市場は身勝手な個人が自由にアクセスする場。彼らの欲望を調和させるための仕組みが需要・供給の原理。一方、市場を個人たちの交渉と話し合いの場と捉え、誰も離脱しないような提携を達成するプロセスであるという捉え方も可能。

ノルベルト・へーリング、オラフ・シュトルベック(熊谷淳子)(2012)『人はお金だけでは動かない―経済学で学ぶビジネスと人生』NTT出版 人は利己的ではない部分があり信頼や社会規範が重要である。しかし研究成果を無条件で信じるのも問題だ。最新経済学成果をジャーナリストが紹介。

トーマス・カリアー(小坂恵理)(2012)『ノーベル経済学賞の40年(上)』筑摩書房 ノーベル賞で評価されたアイデアの一部は重要だが、アイデアは現実に生かされてこそ真価が認められる。自由主義、ミクロ経済学、株式市場、行動主義、ケインジアンのテーマ別。

トーマス・カリアー(小坂恵理)(2012)『ノーベル経済学賞の40年(下)』筑摩書房 古典派の復活、モデルの発明者、ゲーム、一般均衡、世界経済、数字、歴史と制度のテーマで。ノーベル賞受賞者のみならず優れた経済学者は世の中に対する私たちの見方を変えてくれる。

<中国>

馮文猛(2009)『中国の人口移動と社会的現実』東信堂 出稼ぎ労働者の調査。差別は、職種、社会保障、雇用契約の理解不足などに現れている。子弟教育は改善しつつあるが、高校、大学進学は難しい。社会階層の上昇もあるが出稼ぎ労働者内部での差異もある。

園田茂人・新保敦子(2010)『教育は不平等を克服できるか (叢書 中国的問題群 第8冊)』岩波書店 改革開放以降、科挙制度を髣髴とさせる猛烈な受験競争が復活。コネよりも平等と考えられているために競争に対する強い肯定感があり、能力主義的価値観が高まっている。教育報酬率も増加。一方都市農村間の教育格差は大きい。

王名、李妍焱、岡室美恵子(2002)『中国のNPO──いま、社会改革の扉が開く』第一書林 中国の非営利セクターを「政府でもない,営利企業でもない社会的活動部門」と定義。民間による自発的な組織活動「結社」から社会団体へ。環境,家族計画,教育,社区のNPOについて。

李妍焱編著(2008)『台頭する中国の草の根NGO』恒星社厚生閣 官製ではなく自発的にできた草の根NGOに焦点,発展を支えたカリスマリーダー(知識分子),資金集め,メディア戦略,国際NGOとの関係など。国は民間組織の管理から規制緩和へ。

古賀章一(2010)『中国都市社会と草の根NGO』御茶の水書房 国有企業が担っていた社会サービスを社区に。政府方針がうまくいかず,社区建設の基層社会管理と公共サービスの提供に草の根NGOが活躍。政府と草の根NGOの関係がその場凌ぎからガバナンスへ移行へ。

李妍焱(2012)『中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)』岩波新書 党・政府が公共問題のイニシアティブを握る中国で、異なる視点、異なる立場から公共問題に携わる「参加の仕組み」を創り上げるNGO。第二世代NGO、ソーシャルビジネスが表れ、市民による社会変革の動きが出てきた。

<社会関連>

平田哲(2005)『NPO・NGOとは何か』中央経済社 NGOは国連憲章で定められ地球・国際的な活動に関連した団体。日本のNPOは阪神大震災の市民ボランティアを基盤に市民参加型ボランティア活動の団体。共通なものも多く、主要なテーマは貧困、人権、環境に関わり、教育、福祉なども。

タイラー・コーエン(池村千秋)(2011)『大停滞』NTT出版 経済成長は停滞し所得格差が増大。政府、医療、教育部門はGDPに算入、成長が過大評価される。インターネットの恩恵は知的能力の高さに応じて得られるが、収入を生み出すものではない。豊かだという勘違いが金融危機をもたらした。

リチャード・フロリダ(仙名紀)(2011)『グレート・リセット-新しい経済と社会は大不況から生まれる』早川書房 19世紀末の不況から工業大都市が生み出され、1920年代の大恐慌から郊外住宅開発が進む。2008年の金融危機は第三次リセットの時である。新しいイノベーションが起こるか。

カーメン・M・ラインハート、ケネス・S・ロゴフ(村井章子)(2011)『国家は破綻する-金融危機の800年』日経BP社 銀行危機が政府の財政支出増加、税収の落ち込みをもたらし、政府の債務を増大。GNP比債務率は減少することはなく、デフォルトは世界中、歴史上頻繁に起きている。

ラグラム・ラジャン(伏見威蕃月沢李歌子)(2011)『フォールト・ラインズ-「大断層」が金融危機を再び招く』新潮社 アメリカの格差や社会保障の不備が政府をして持ち家や消費を奨励。金融部門は政府の衝動に乗ってリスク増大融資に走り、政府が債務保証などの介入で、金融部門を歪める。

<その他>

本川裕(2010)『統計データはおもしろい!-相関図でわかる経済、文化、世相、社会情勢のウラ側』技術評論社 所得水準と出生率、貧富の格差、BMI、平均寿命などを相関図、散布図で示す。相関の違い、片相関、意味のある無相関、散布図によるグルーピングなど使い方のヒントも。

山本ケイイチ(2008)『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』幻冬舎新書 「自らの意思で、自らに辛いことを課す」これは精神にも筋肉にも共通する普遍の成長原理。動機と目的を明確にして、続ける仕組みをつくる。トレーニングとビジネスには共通点が多い。

ディヴィッド・エマーソン、エリザベス・ホッパー(伊藤久子)(2011)『トラウマをヨーガで克服する』紀伊国屋書店 トラウマ解消には暴露、認知療法などがあるが、問題があるケースも。ヨーガの呼吸やポーズによって、自分が選択している、コントロールしているという感覚はトラウマ解消に有効。

ジョン・J・レイティ(野中香方子)(2009)『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方』NHK出版 学習機能、不安、ADHD、老化、ホルモン、依存性などと脳の関係を研究成果、臨床事例により明らかに。有酸素運動は神経伝達物質を増加させ脳内バランスを改善。

川島直子・福田素子(2012)『「世界基準の授業」をつくれ―奇跡を生んだ創価大学経済学部IP』時事通信社 低迷している経済学部を改善するために英語で経済学の授業をやるIPを立ち上げる。ネイティブ教員による立ち上げ,海外研修,インターンを導入。職員、教員、学生の苦闘とその成果。

清水亮・橋本勝・松本美奈編(2009)『学生と変える大学教育-FDを楽しむという発想』ナカニシヤ出版 使えるFDとして、チーム編成、エントリ、発表をする橋本メソッド、ディベート大会、グループ研究を入れる木野茂、「全員先生」方式大門正幸、クイズとクリッカーを活用する鈴木久男など。

ジル.B.テイラー(竹内薫)(2012)『奇跡の脳-脳科学者の脳が壊れたとき』新潮文庫 脳神経学者のジルが脳卒中で体験し、ひらめいたこと。右脳の意識の中核には静かで豊かな感覚、平和、愛、歓びがある。左脳は時間や言語を司っている。右脳マインドの重要性を強調。

大津秀一(2009)『死ぬときに後悔すること25』致知出版社 終末期患者の緩和ケアを専門とする医者の臨床から見えてくる人の後悔の共通点。自分のやりたいことをやらなかったこと,夢を叶えられなかったこと,他人に優しくしなかったこと,愛する人にありがとうと言えなかったこと,など。

ジェイムズ・D・スタイン(熊谷田沢松井)(2012)『不可能,不確定,不完全-「できない」を証明する数学の力』早川書房 解決できない問題は手段がないか,情報がないか,ないものねだりをしているか,複数の正解があるケースに分けられる。行き詰まった場合,最後の頼みの綱は近似解である。

イーヴァル・エクランド(南條郁子)(2009)『数学は最善世界の夢を見るか?――最小作用の原理から最適化理論へ』みすず書房 自然は最も小さい作用でできているという最小作用の原理は最適化理論として発展。数学・物理学・生物学・経済学からも「可能な中での最善世界」が見つからない。

阿部紘久(2009)『文章力の基本』日本実業出版社 文章を正しく意味が伝わるように書くための本。間違いの事例から改善例を示す。「〜することで」の「ことで」は不要、「〜していきたい」よりは「〜する」で不要な「いく」「くる」は省く、など豊富な具体例が日本語に対する感性を研ぎ澄ます。

近藤勝重(2011)『書くことが思いつかない人のための文章教室』幻冬舎新書 憶えていること、思ったことを分けて記憶を呼び起こす。記憶を視覚的に描写し、説明は少なく。描写では全体→部分→細部に。独自の視点は社会の既成概念から追い払うことから。納得、共感、驚きが見方・視点を養う。

古賀史健(2012)『20歳の自分に受けさせたい文章講義』星海社新書 いい文章とは思いを「翻訳」し読者に伝えられるもの。視覚的リズム(句読点、改行など)、主張理由事実があるのが論理的、特定の人を読者にする、書かないことをを考える、サンクコストに引きずられずに文章を切り刻む、等。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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