編著などで人の論文を修正したり、自分の原稿を校正したりするときに、なんとなくパターンがありそうな気がしていました。
本書はその日本語の気をつけるべきものを整理して、例文とともに修正例を示しています。例文も実際にあったものを使っているようで、説得力があります。
英語にはofやtheなどの使い方、英語の文章の書き方で注意する点など、英語文章の書き方に関する良書は数多く存在します。日本語の書き方でこれほど具体的な本は初めて読みました。改めて、「てにをは」の使い方、「する」「なる」の区別などが勉強になりました。
<経済>
猪木武徳(2012)『経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み (中公新書)
若田部昌澄(2012)『もうダマされないための経済学講義 (光文社新書)
飯田泰之・雨宮処凛(2012)『脱貧困の経済学』ちくま文庫 日本は自由競争は嫌がるし、貧しい人を面倒見るのもおかしいと考える社会。世間に後ろ指さされない生き方をしている人は守るべきだかそうでない人は自己責任。この空気が問題。2%成長と年100万のベーカムは可能か。
小島寛之(2012)『ゼロからわかる 経済学の思考法 (講談社現代新書)
ノルベルト・へーリング、オラフ・シュトルベック(熊谷淳子)(2012)『人はお金だけでは動かない―経済学で学ぶビジネスと人生
トーマス・カリアー(小坂恵理)(2012)『ノーベル経済学賞の40年(上)』筑摩書房 ノーベル賞で評価されたアイデアの一部は重要だが、アイデアは現実に生かされてこそ真価が認められる。自由主義、ミクロ経済学、株式市場、行動主義、ケインジアンのテーマ別。
トーマス・カリアー(小坂恵理)(2012)『ノーベル経済学賞の40年(下)』筑摩書房 古典派の復活、モデルの発明者、ゲーム、一般均衡、世界経済、数字、歴史と制度のテーマで。ノーベル賞受賞者のみならず優れた経済学者は世の中に対する私たちの見方を変えてくれる。
<中国>
馮文猛(2009)『中国の人口移動と社会的現実』東信堂 出稼ぎ労働者の調査。差別は、職種、社会保障、雇用契約の理解不足などに現れている。子弟教育は改善しつつあるが、高校、大学進学は難しい。社会階層の上昇もあるが出稼ぎ労働者内部での差異もある。
園田茂人・新保敦子(2010)『教育は不平等を克服できるか (叢書 中国的問題群 第8冊)
王名、李妍焱、岡室美恵子(2002)『中国のNPO──いま、社会改革の扉が開く
李妍焱編著(2008)『台頭する中国の草の根NGO
古賀章一(2010)『中国都市社会と草の根NGO
李妍焱(2012)『中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)
<社会関連>
平田哲(2005)『NPO・NGOとは何か』中央経済社 NGOは国連憲章で定められ地球・国際的な活動に関連した団体。日本のNPOは阪神大震災の市民ボランティアを基盤に市民参加型ボランティア活動の団体。共通なものも多く、主要なテーマは貧困、人権、環境に関わり、教育、福祉なども。
タイラー・コーエン(池村千秋)(2011)『大停滞
リチャード・フロリダ(仙名紀)(2011)『グレート・リセット-新しい経済と社会は大不況から生まれる』早川書房 19世紀末の不況から工業大都市が生み出され、1920年代の大恐慌から郊外住宅開発が進む。2008年の金融危機は第三次リセットの時である。新しいイノベーションが起こるか。
カーメン・M・ラインハート、ケネス・S・ロゴフ(村井章子)(2011)『国家は破綻する-金融危機の800年』日経BP社 銀行危機が政府の財政支出増加、税収の落ち込みをもたらし、政府の債務を増大。GNP比債務率は減少することはなく、デフォルトは世界中、歴史上頻繁に起きている。
ラグラム・ラジャン(伏見威蕃月沢李歌子)(2011)『フォールト・ラインズ-「大断層」が金融危機を再び招く』新潮社 アメリカの格差や社会保障の不備が政府をして持ち家や消費を奨励。金融部門は政府の衝動に乗ってリスク増大融資に走り、政府が債務保証などの介入で、金融部門を歪める。
<その他>
本川裕(2010)『統計データはおもしろい!-相関図でわかる経済、文化、世相、社会情勢のウラ側』技術評論社 所得水準と出生率、貧富の格差、BMI、平均寿命などを相関図、散布図で示す。相関の違い、片相関、意味のある無相関、散布図によるグルーピングなど使い方のヒントも。
山本ケイイチ(2008)『仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか』幻冬舎新書 「自らの意思で、自らに辛いことを課す」これは精神にも筋肉にも共通する普遍の成長原理。動機と目的を明確にして、続ける仕組みをつくる。トレーニングとビジネスには共通点が多い。
ディヴィッド・エマーソン、エリザベス・ホッパー(伊藤久子)(2011)『トラウマをヨーガで克服する』紀伊国屋書店 トラウマ解消には暴露、認知療法などがあるが、問題があるケースも。ヨーガの呼吸やポーズによって、自分が選択している、コントロールしているという感覚はトラウマ解消に有効。
ジョン・J・レイティ(野中香方子)(2009)『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方
川島直子・福田素子(2012)『「世界基準の授業」をつくれ―奇跡を生んだ創価大学経済学部IP
清水亮・橋本勝・松本美奈編(2009)『学生と変える大学教育-FDを楽しむという発想』ナカニシヤ出版 使えるFDとして、チーム編成、エントリ、発表をする橋本メソッド、ディベート大会、グループ研究を入れる木野茂、「全員先生」方式大門正幸、クイズとクリッカーを活用する鈴木久男など。
ジル.B.テイラー(竹内薫)(2012)『奇跡の脳-脳科学者の脳が壊れたとき』新潮文庫 脳神経学者のジルが脳卒中で体験し、ひらめいたこと。右脳の意識の中核には静かで豊かな感覚、平和、愛、歓びがある。左脳は時間や言語を司っている。右脳マインドの重要性を強調。
大津秀一(2009)『死ぬときに後悔すること25』致知出版社 終末期患者の緩和ケアを専門とする医者の臨床から見えてくる人の後悔の共通点。自分のやりたいことをやらなかったこと,夢を叶えられなかったこと,他人に優しくしなかったこと,愛する人にありがとうと言えなかったこと,など。
ジェイムズ・D・スタイン(熊谷田沢松井)(2012)『不可能,不確定,不完全-「できない」を証明する数学の力』早川書房 解決できない問題は手段がないか,情報がないか,ないものねだりをしているか,複数の正解があるケースに分けられる。行き詰まった場合,最後の頼みの綱は近似解である。
イーヴァル・エクランド(南條郁子)(2009)『数学は最善世界の夢を見るか?――最小作用の原理から最適化理論へ
阿部紘久(2009)『文章力の基本
近藤勝重(2011)『書くことが思いつかない人のための文章教室』幻冬舎新書 憶えていること、思ったことを分けて記憶を呼び起こす。記憶を視覚的に描写し、説明は少なく。描写では全体→部分→細部に。独自の視点は社会の既成概念から追い払うことから。納得、共感、驚きが見方・視点を養う。
古賀史健(2012)『20歳の自分に受けさせたい文章講義』星海社新書 いい文章とは思いを「翻訳」し読者に伝えられるもの。視覚的リズム(句読点、改行など)、主張理由事実があるのが論理的、特定の人を読者にする、書かないことをを考える、サンクコストに引きずられずに文章を切り刻む、等。
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