2013年06月04日

2013年5月読書ノート

2013年5月読書ノートです。

今日の紹介は奥田先生の本。



奥田先生はABA(応用行動分析)の専門家です。ABAは一般的に自閉症児などの障害児教育に使われる手法ですが,本書ではABAにもとづきながらも,ABAを一切表に出さず,科学的な根拠に基づく子育て論を展開しています。

例えば子どもが片付けしない場合は,まず1個から片付けたら褒めるということを推奨します。できればすぐに褒めるが基本です。

子どもが友だちを叩くなどの行為をする場合は,その場所からすぐに離し,楽しいことから遠ざかるという経験をさせます。鼻くそをほじる癖をやめさせる場合はすぐに手を洗わさせるなど面倒な手間をやめさせたい行為にプラスすることを薦めています。

電車で飛び跳ねたりするなどルールを守らない場合は,電車を降りて家に帰るということします。親もつらいですが,ルールを守れなかった場合は,楽しい経験ができないことを体にしみ込ませるわけです。

不登校においても,嫌なものから逃げているか,不登校によって何かを得ている可能性があります。この場合は,嫌なものを除去するようにする,家にいて得るものをなくす工夫が必要になります。

また最後には親の子育てビジョンにも触れます。将来的に子どもがどのような行動をとるのがいいのか具体的にすると親の行動にも変化が現れるといいます。中学校になったら自分の部屋の片付けができているといった具体的な行動のビジョンをもちその行動がとれるように取り組むというようにします。ビジョンを持つと子育てに迷った時に,その原点に戻ることが可能です。



<経済>

ダニエル・カーネマン(村井章子)(2012)『ファスト&スロー (上)』早川書房 繰り返された経験、見やすい表示、プライムのあったアイデア、機嫌などが認知容易性を生み、親しみ、信頼、快楽の判断をする。少数のものや利用可能な代表的なものから判断。

ダニエル・カーネマン(村井章子)(2012)『ファスト&スロー (下)』早川書房 効用は参照点に依存し、損失は回避しようとする(プロスペクト理論)。保有効果で高く評価し、死亡率生存率など提示の仕方(フレーミング)で判断は変わる。

池田新介(2012)『自滅する選択』東洋経済新報社 目先の利益が遠い先の利益よりも大きく見えてしまう双曲割引。肥満の人は負債が多く自滅的な選択の傾向が強い。目先の誘惑に負けないために断食道場に参加するなどコミットメントを。人の意思決定に影響を与えるリバタリアン・パターナリズム。

イアン・エアーズ(山形浩生)(2012)『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』文藝春秋 人は先のことよりも今を重視。待てば得するように選択制約をかけるコミットメント。インセンティブは行動に値付けし選択肢に誘導する。極端なムチ、人からの評価、定期的な意識化が続けるのに有効。

野口悠紀雄(2013)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社 今までの金融緩和が効果なかったのは投資需要がないから。日銀による国債購入は国債の貨幣化をもたらしインフレになり、財政規律は弛緩する。インフレは財政赤字を実質減少させるが資本流出、円安をもたらし日本経済の体力を奪う。

浜田宏一(2013)『アメリカは日本経済の復活を知っている』講談社 金融緩和はデフレ解消にはつながらないとする教え子白川・日銀を批判。金融緩和を実施し、名目所得を高めて税収の自然増に期待し、その後消費税率のアップが可能に。金融緩和によって円安、輸出の回復、景気の回復につながる。

吉川洋(2013)『デフレーション』日経新聞社 議論は不景気や人口がデフレを引き起こすのか、デフレが不景気をもたらしているのかである。ゼロ金利では貨幣数量説は成り立たない。設備投資の循環、貸し剥がし、イノベーションの欠乏がデフレをもたらした。古いマクロ経済学がデフレを救う。

小幡績(2013)『リフレはヤバい』ディスカヴァー携書 リフレ政策でインフレは起こらない。需要がない中のマネー供給は資産バブルはありうるが、インフレは起きない。合理的期待は仮説。円安をもたらし国債が下落し、日本経済を危機に落とし入れる。

<中国>

莫邦富(2010)『莫邦富が案内する中国最新市場 22の地方都市』海竜社 直轄市、副省級市、省会市、地級市、県級市にランク付けされる700近い都市から新区に沸く天津、重慶、華僑の里厦門、油田のある東営を。中部から奇瑞のある蕪湖、平和堂のある長沙、デパート戦争発祥の土地鄭州を。

何清漣(坂井臣之助中川友)(2002)『中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国』草思社 改革の本質は権力の市場化であり富の分配方式を変えたこと。国有企業の民営化、開発区の囲い込み運動が官僚のレントシーキングを生んだ。契約の不履行、偽物の氾濫とモラルが崩壊し、貧富の格差が拡がる。

遠藤誉(2012)『チャイナ・ジャッジ-毛沢東になれなかった男』朝日新聞出版 文革時代に父・薄一波の肋骨を折り革命分子として振舞った薄煕来。権力乱用と残虐行為はその時養われ遼寧、商務部、重慶でも発揮。最後の打黒唱紅運動は共産党体制の危機となった。

ロナルド・コース、王寧(栗原百代)(2013)『中国共産党と資本主義』日経BP社 中国の市場改革は国有企業という特権を付与された経済主体ではなく、国家計画から締め出され、社会の辺境に追いやられた人たちであった。経済に民間の行為者が復活し辺境革命によって資本主義となった。

朝日新聞中国総局(2012)『紅の党 習近平体制誕生の内幕』朝日新聞出版 薄煕来の「打黒」で重慶第二位の富豪は極悪マフィアに、5万人を拘束、中央との路線対立に。ハーバード大ケネディスクールは党高官子弟か多い。習近平の地方からの叩き上げ、李克強の背景,など。

<自己啓発>

樋口健夫(2004)『企画がスラスラ湧いてくるアイデアマラソン発想法』日経ビジネス人文庫 自分の頭に浮かんだ発想をアイデアとしてノートに記録する。毎日の習慣としてアイデアを出し続けると創造能力を拡大し、人生が豊かに。

樋口健夫(2011)『図解仕事ができる人のノート術 新版―アイデアマラソンが仕事も人生も豊かにする』東洋経済新報社 議事録、打合せ、計画、日記、感想、エッセイ、発想を毎日ノートに書くことで人生の芯が出来てくる。毎日の発想をノートに書きとめるのがアイデアマラソン。

美崎栄一郎(2009)『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』Nanaブックス 社会人のノートは学生のノートと違い、忘れるために書く。記録しノートに預け目の前の仕事に集中。自分固有の経験知を積み上げる。メモ、スケジュール、母艦ノートの三冊を使う。

奥野宣之(2008)『情報は一冊のノートにまとめなさい』Nanaブックス 100円のA6ノートを使う。時系列で何でも書く。一元化することで必ずあることになる。テキストエディタで日付とタグ、概要を残すことで索引として検索可能。

矢嶋美由希(2012)『ふだん使いのマインドマップ 描くだけで毎日がハッピーになる』阪急コミュニケーション 思考そのままを視覚化するマインドマップは記録、伝える、共有の最適ツール。買い物、スピーチ、計画、作文、受験、講義、手帳、トラブル対応、講義メモ、自己分析に活用できる。

佐々木正悟(2011)『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』中経の文庫 脳は作業をパッキングするのでやる時は分解する。目的意識ばかり高いと目の前の作業が手につかない(夢想的グズ)。結果を気にせず数や回数に注目する。フォルダを開かずにブラウザを立ち上げるという選好逆転に注意。

ケリー・マクゴニカル(神崎明子)(2012)『スタンフォードの自分を変える教室』大和書房 衝動と意志力。どちらも脳の発達過程でできたもの。意志力を強くするために,瞑想や運動を。良い行いのあとは悪いことをしたくなる,一度やけになるとさらにやけになる傾向が。行動の癖を科学的に観察を。

雲黒斎(2013)『極楽飯店』小学館 ヤクザの峰岸は子飼いの池上から殺され、あの世へ行く。あの世の閻魔から手ほどきを受けて、人はソースという源とつながっていること、個人の思考や恐れを手放せばソースにつながり願いが具現化することを知る。人間界に戻り池上の守護霊となる。

<社会問題>

塩沢由典(2010)『関西経済論-原理と議題-』晃洋書房 現状の経済学に批判的な著者がジェイコブズの著書との出会いによって都市主体で経済を考えるようになった。関西経済を一日交流圏として、情報の創造、発信、道州制を提案。

メラニー・ミッチェル(高橋洋)(2011)『ガイドツアー 複雑系の世界-サンタフェ研究所講義ノートから』紀伊國屋書店 数多くのコンポーネントで構成されながらも、単純な運用規則を持つのみで中央制御機構を持たない大規模なネットワーク。学習、進化による適応が生じるシステムが複雑系。

ニール・ジョンソン(阪本芳久)(2011)『複雑で単純な世界: 不確実なできごとを複雑系で予測する』インターシフト 道路渋滞や金融市場などの特定の系には予想もしなかった創発現象が起きる。系は規則と不規則の中間領域に存在する。ふるまいを決めるのは個の間にあるフィードバックである。

デイヴィッド・オレル(2010)『明日をどこまで計算できるか?-「予測する科学」の歴史と可能性』早川書房 天気、病気、景気の予測への科学的アプローチは19世紀の天文学と同じ。三分野の系は計算不可能でモデル誤差を招くパラメーターに依存。予測不可能だからこそ生命は進化してきた。

橘玲(2010)『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』幻冬舎 私たちの生活は愛情・友情空間から貨幣空間に変わった。新しくできたフリーの情報空間では評判が貨幣化してきている。情報空間では報酬の多寡ではなく好きなこと得意なことで評判を獲得する方が良い。

<その他>

横山秀夫(2012)『64(ロクヨン)』文藝春秋 県警の広報官三上。警察庁長官が14年前の未解決誘拐事件の被害者を見舞うとという。長官のぶら下がり取材を望むキャリア官僚赤間の意図とは別に、県警内部の利害が衝突、マスコミとの調整に奔走する三上がみた誘拐事件と本庁の意図とは。

東条健一(2013)『リカと3つのルール: 自閉症の少女がことばを話すまで』新潮社 3歳で自閉症と診断された娘は言葉を理解せず暴れるばかりだった。全財産をかけて取り組んだ上智大学中野研究室でのロヴァース式応用行動分析。静かに手をつないで散歩すること、娘の言葉を聞くこと、ができた。

奥田健次(2011)『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』大和書房 よい習慣をつけるにはすれば褒める、小さいことで褒める。気になるクセには、面倒なことを付け加える、機会を喪失させる。選択出来ない、禁止のルールを徹底する。子供の将来的なビジョンを持つ、など。ABAの子育て版。

下野新聞編集局取材班(2012)『ルポ・発達障害: あなたの隣に (下野新聞新書)』下野新聞新書 教えたいという教師と集中が続かないADHDの男の子、学校全体で共通の支援を考える、職場実習に参加するアスペルガー の子などのルポと医学的解説、学校現場の試行錯誤、告知の仕方など。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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