2013年08月06日

2013年7月の読書ノート

2013年7月の読書ノートです。



先月の終わりから会社再生や組織変革の本を読みました。先月の柴田昌治(2010)『なぜ社員はやる気をなくしているのか(日経ビジネス人文庫)』日経ビジネス人文庫とか引頭麻実(2013)『JAL再生』日経新聞社も面白かったのですが,この『なぜ会社は変われないのか』はもっとも面白かったです。

会社や組織が変わるためには,社員間の「コミュニケーション」が重要だということです。人は他部署や経営陣の考えていることがわからないために疑心暗鬼に陥りがちです。自分たちで何ができるのか,自らが組織変革の中心になるには,社員同士がお互いを理解し,会社の方針について自分の意見を持つようになると自分がやるべきことがわかります。引頭(2013)でも稲盛イズムの浸透の幹部研修,幹部や社員の私的な勉強会などが活発になってきて,社員一人一人が会社を変えるという意識につながったようです。

当校でも,大学の社会的責任について考えるというプロジェクトがありましたが,各部署各教職員のもっとも共通した当校の問題点は他部署,他学部との交流がない,自部署や自学部であってもコミュニケーションがとれていないというヒアリング結果が出てきていました。

組織の改革には,「真面目に」雑談する機会を意識的に持つ必要がありそうです。


<経済>

ジョン・デ・グラーフ、ディヴィッド・K・バトカー(高橋由紀子)『経済成長って、本当に必要なの?』早川書房 人の幸せのために経済はある。家族と過ごす時間、医療保険が欲しい、安定した仕事が欲しい、子供を大学に行かせたい、健全な環境が欲しい。私たちが経済に求めているものを話し合うべき。

三輪芳朗(1997)『規制緩和は悪夢ですか』東洋経済新報社 秩序、安定、混乱の回避、安全、文化、伝統というスローガンで我々は膨大なコストを支払っている。強い政府への信頼と日本は政府によって産業的成功を納めたなどの誤解が拍車をかける。必要なのは情報開示による透明性。

鶴田俊正(1997)『規制緩和―市場の活性化と独禁法 (ちくま新書 (096))』ちくま新書 日本の経済諸制度は産業の保護・育成という視点からのものが数多く存在している。参入や価格を規制する政府規制、市場がゆがむことを防ぐルールとしての独禁法は表裏の関係。裁量型行政からルール型行政に転換する必要がある。

吉田和男(1995)『行革と規制緩和の経済学 (講談社現代新書)』講談社現代新書 財政が経済に悪影響を与えるのは限界税率の高さ。防衛、警察、司法、外交の純粋公共財は一般会計予算の一割の8兆円。政府が起こす所得移転は既得権益、レントとなって特定グループの利益導く政治的手段になりやすい。


<中国>

福島香織(2013)『中国絶望工場の若者たち 「ポスト女工哀史」世代の夢と現実』PHP研究所 今の工場は昔より条件は改善しイベントも充実。賃金よりも自由な労働環境を望む第二世代農民工たち。都市住民との壁は厚く自己実現や自己表現の欲求がストライキ、暴力などの潜在的リスクに。


<自己啓発>

ロイ・バウマイスター、ジョン・ティアニー(渡会圭子)『WILLPOWER 意志力の科学』インターシフト 自制心が働く人は成功する。意志力は消耗するのでグルコースを補給する。計画を立てることにより脳の負担を減らし、記録することで自己認識を高めると意志力は強くなる。

ジョセフ・ジャウォースキー(金井壽宏野津智子)(2013)『シンクロニシティ[増補改訂版]-未来をつくるリーダーシップ』英治出版 リーダーシップを取ることになった事業の立ち上げの自伝を通じ、何かを必要とすればそれは偶然にほぼ時を同じくして現れる(シンクロニシティ)、と。

ジョセフ・ジャウォースキー(金井壽宏野津智子)(2013)『源泉-知を創造するリーダーシップ』英治出版 起きていることを判断せずに観察する。現在持っているメンタルモデルやものの見方を手放す。経験やプロセスにどっぷり浸かると新たな啓示が得られる。そのひらめきを即座に行動に移す。

橋本陽輔(2013)『悟る技術』ヒカルランド 「私は自分自身を愛しています、受け入れています、周りから愛されています」という言葉を使いながら湧き上がるいやな感情をピンク色の服、タッピング、伊勢神宮の言葉で透明化する。これが幸せに生きる技術。

柴田昌治(2003)『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ (日経ビジネス人文庫)』日経ビジネス文庫 言っても無駄という風土・体質を変えるには意識的に質を高めた「気楽にまじめな話をする場」をつくる。危機に対する創造は会議という収束の場ではなくまじめな雑談の場、発散の中で発生する。


<社会>

日経産業新聞(2012)『新産業連関図-急成長する5大市場を読む』日経新聞出版社 日本の最終製品メーカーが地盤沈下する中で素材・部品産業ではまだ強さと広がりを持つ。スマートフォン、エコカー、航空機、スマートハウスでは素材の技術開発が進み、テレビ産業でも部品・技術+αで活路が。

ベノワ.B.マンデルブロ、リチャード.L.ハドソン(高安秀樹監訳)(2008)『禁断の市場』東洋経済新報社 金融市場の価格変化はフラクタルモデルで説明できる。今までの金融工学は変動を正規分布で考えていたためにリスクを過少評価し、暴落や暴騰を説明できない。

清水洋(2013)『国家が個人資産を奪う日』平凡社新書 人口が減り土地が余る。土地・不動産が上がる要素はない。国債発行が続く中で金融緩和は金利と物価をあげるだけ。日本人の資産は収奪が始まっている。世界の為替、実物経済を合わせたポートフォリオの構築を。

河野哲也(2011)『道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ (ちくま新書)』ちくま新書 道徳教育の基本は民主主義を維持・発展させていく(自由と平等)教育である。必要な徳性はシチズンシップであり、道徳的に善きものであるためには同質の強要ではなく、他者のニーズを発掘しようとする態度。

J.S.ミル(竹内一誠)(2011)『大学教育について』岩波文庫 文化と文明をもつ他の国民の言語と文学を知ることは有意義。真理発見に有用な観察と推論、モデル、規則、実践という科学は正しい判断に必要。真理にもとづいて行動する人を育てるには道徳教育、宗教教育が必要。

J.S.ミル(山岡洋一)(2011)『自由論 (日経BPクラシックス)』日経BP社 人が誰かの行動の自由に干渉できるのが正当だといえるのは、自衛を目的とする場合だけである。思想の自由、嗜好と目的追求の自由、個人間の団結の自由が尊重されていない限りその社会は自由ではない。

関嘉彦責任編集(1967)『世界の名著38 ベンサム J.S.ミル』中央公論社 ベンサムは、道徳で重要なのは苦痛より快楽を重視する功利の原理を主張。立法の目的は道徳と同じく最大多数の最大幸福を増進することと考えた。ミルはこれを引き継ぐ。ベンサム、ミルの主著を含む。

児玉聡(2012)『功利主義入門 : はじめての倫理学 (ちくま新書)』ちくま新書 社会全体の幸福を増やす行為が人のなすべきことという功利性の原理、最大多数の最大幸福を指針とする功利主義。功利主義を基本としながらも規則と義務も大事であり、分配的正義や個人の自由にも配慮しなければならない。

西尾幹二(2007)『個人主義とは何か』PHP研究所 ヨーロッパと日本とを進歩の尺度で述べることは無意味になった。日本は仲間社会の調和を大事にし、西洋は個人の価値を大事にするとされるが、個人、自由、民主主義は社会の文脈で成立する。

長山靖生(2013)『バカに民主主義は無理なのか? (光文社新書)』光文社新書 政治不信は民主主義の未成熟から説明されてきたが近年は改革のためには改憲が必要という議論に。民主主義は国民のオレの話を聴け!状態。古代ギリシャでは民衆はバカだと思われており、そのバカが口を出す政治のため悪政扱い。

森村進(2001)『自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)』講談社現代新書 リバタリアニズムとは経済的自由と財産権、精神的・政治的自由も共に最大限尊重するもの。背景には、自分の人身への所有権、労働あるいはその代価としての財産の権利を含む自己所有権テーゼがある。

蔵研也(2007)『リバタリアン宣言』朝日新書 国民生活の向上のためにすべての制度を「国がキチンと」整えるという考えは、経済的自由を束縛するだけでなく、社会の集権的資源配分を肯定することになり結果的に精神の自由を束縛する。

ロバート・ノージック(嶋津格)(1992)『アナーキー・国家・ユートピア-国家の正当性とその限界』木鐸社 無政府状態から誰の権利も犯す必要のない過程で最小国家ができあがる。最小国家こそが正当であり,分配的正義を批判。


<その他>

真山仁(2005)『虚像(メディア)の砦』角川書店 民放放送局PTBのビデオにより1人の優秀な弁護士が殺されたという。イスラムで日本人が人質になり政府や世間は自己責任として突き放す。ニュース番組Pの風見が政府与党の権力、放送局内部の権力闘争にせまる。

碧野圭(2012)『書店ガール』PHP文芸文庫 書店大手ペガサス書房吉祥寺店の副店長理子とその社員亜紀は、業界の中でも恋愛も対照的、全く合わない天敵だった。吉祥寺店の店長に昇格した理子は店舗閉鎖を聞かされ、亜紀と共に書店の売り上げ増に邁進する。半年後の結果は…

江上剛(2013)『起死回生』講談社文庫 社長の座を狙う東亜銀行頭取の北川が女でつまづく。その尻拭いとして政治家秘書、怪しいゴロツキへ京都支店長の臼井が融資へ。焦げ付いた債権は住専や黒川建設に移動させられる。銀行マンとしてのモラルを問う臼井が最後にとった行動は。。。

津村俊充(2012)『プロセス・エデュケーション: 学びを支援するファシリテーションの理論と実際』金子書房 設計されたグループ体験、コミュニケーション体験を通して学習者がプロセスに気づく。そのプロセスを素材にして自分と他者の成長を探求するラボラトリー式体験学習。

小野田博一(2010)『13歳からの作文・小論文ノート』PHP研究所 「要するに何」の部分を決めて、事実と理由でそれを支えるのが基本。小論文の形式はintroduction概要紹介、development詳しい説明、conclusion結論になる。

坂口恭平(2012)『独立国家のつくりかた』講談社現代新書 路上生活者のブルーシートハウスから家、土地、パブリックとプライベートの境界などの捉え方で新たなレイヤーがある事に気づき、1人で新政府を立ち上げる。福島の子どもを熊本に三週間招待するなどの活動を展開。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/370713370
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック