ちょっと難をいえば,学術的な根拠を示さずに論じているのですが,新書ということでまあしょうがないかなと。
でも人の生き方で示唆に富むものがありました。ヒトの脳は,10〜20代に入力,30代は失敗などで経験を選別し(不要な信号を削除),40代で成功体験になぞった生き方になるので楽になるそうです。
50代になると連想記憶力(経験によった知識をつかい素早く的確な出力をする)のピークを迎えるそうです。この説が正しいとすれば,人生40代50代を輝かせたいものです。
共感した文章を紹介。
「他者に依存して生きてきた人は「愚痴と堂々巡り」の達人になり,無難に生きてきた人は「心配と依存」の達人となり,自分の足で歩いてきた人は「発見と発想」の達人となり,エリート街道を順調に歩いてきた人は「知識の踏襲と選別」の達人となる。」(p.192)
<経済>
山本健兒(2005)『経済地理学入門 新版』原書房 経済地理学は格差の理由に迫り、場所、領域、地域が抱える課題を明らかにする。場所による差異を、経済学的に解明するだけでなく、自然条件などの環境や価値観、技術体系、社会組織の3要素とも関係する。
富田和暁(2006)『地域と産業 新版』原書房 古典的産業立地論、チューネンの農業立地論は農業のみならず土地利用を理解する原理として、ウェーバーの工業立地論は工業の集積や分散現象を、クリスタラーの中心地論は都市の商業集積,オフィスの立地を理解するのに役立つ。
矢田俊文・松原宏編(2000)『現代経済地理学-その潮流と地域構造論』ミネルヴァ書房 主要な経済地理学理論を、世界経済は世界システム論(ウォーラーステイン)、情報経済は都市システム論(プレッド)、地域経済は新産業空間論(スコット)プロフィットサイクルモデル(マークセン)に整理。
水岡不二雄編(2002)『経済・社会の地理学―グローバルに、ローカルに、考えそして行動しよう (有斐閣アルマ)
黒田辰朗・田渕隆敏・中村良平(2008)『都市と地域の経済学 新版 (有斐閣ブックス)
<中国>
内藤二郎(2004)『中国の政府間財政関係の実態と対応-1980~90年代の総括』日本図書センター 中国の改革は政府から企業へ中央から地方への分権という二重のプロセス。政府間関係も中央の財政一元管理から財政請負制へ。分税制、下級政府への補助、積極財政政策によって中央が強くなる。
岡本隆司編(2013)『中国経済史
福島香織(2013)『現代中国悪女列伝 (文春新書 946)
吉岡桂子(2013)『問答有用――中国改革派19人に聞く
吉岡桂子(2008)『愛国経済-中国の全球化』朝日新聞出版 「経済の相互依存が「国家」を侵食する一方で、中国のカネは時に剥き出しの「国家」を意識させる」。人民元、資源を求める中国の援助、技術の自主創新と愛国、環境問題と戦うNGO、中産階級の就職、安い労働力、反日デモなど。
加藤弘之編(2012)『中国長江デルタの都市化と産業集積 (神戸大学経済学叢書)
小林弘二(1974)『中国革命と都市の解放:新中国初期の政治過程』有斐閣 1949年3月の共産党第七期二中全会において1927年井崗山で革命根拠地創設以来の農村主導型革命を放棄、都市主導型革命へ移行した。
<自己啓発>
矢作直樹(2011)『人は死なない-ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索』バジリコ出版 「人間の知識は微々たるものであること、摂理と霊魂は存在するのではないかということ、人間は摂理によって生かされ霊魂は永遠である、そのように考えれば日々の生活思想や社会の捉え方も変わるのでは」。
野口嘉則(2012)『人生は「引き算」で輝く 本当の自分に目覚める話
<社会>
正井泰夫監修(2013)『今がわかる時代がわかる世界地図 2013年版 特集:70億人の地球 日本経済の立ち位置 (SEIBIDO MOOK)
石川幸一・清水一史・助川成也編(2013)『ASEAN経済共同体と日本-巨大統合市場の誕生』文眞堂 2007年ASEAN経済共同体創設行動計画のブループリントが発表。実施状況はスコアカードで評価。単一輸送市場、エネルギー相互供給、インフラ建設、格差是正などの壮大なプロジェクト。
斎藤貴男(2010)『消費税のカラクリ (講談社現代新書)
<その他>
浅見康司・福井秀夫・山口幹幸編(2012)『マンション建替え-老朽化にどう備えるか』日本評論社 区分所有法の建替え決議要件が過大、売り渡し請求の補償が反対インセンティブを持つ、土地と保留床の売却ができないマンションの金融融資のハードルが高い、などの問題がある。
村上佳史(2006)『マンション建替え奮闘記
中野雅至(2013)『テレビコメンテーター - 「批判だけするエラい人」の正体 (中公新書ラクレ)
吉田たかよし(2012)『元素周期表で世界はすべて読み解ける』光文社新書 元素は最も外側の電子の数で性質が決まり、その性質がよく似たものが縦一列に並んでいるのが周期表。性質が似ていると体が取り込みやすい。左上の元素が宇宙に最も存在。レアアースは中国の鉱床が安価で採取しやすい。
南川高志(2013)『新・ローマ帝国衰亡史』岩波新書 ローマ帝国はローマ人であるというアイデンティティによる国家統合。ローマ人以外の外部部族も重用されるようになり、辺境ではローマ人たらんとする生き方は薄れていった。地方はローマ軍ではなく地方の有力者によって統治されるようになった。
青木薫(2013)『宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書)
黒川伊保子(2012)『キレる女 懲りない男-男と女の脳科学』ちくま新書 女性脳は左右脳の連携がよい。お互いの脳の良さを互いに補うことが必要。女性脳は「察する」脳。男性が察する能力を得るとうまくいく。男性脳は目の前のことに頓着しない。女性が男性に思いやりや愛を測らないこと。
井上昌次郎(2012)『ヒトはなぜ眠るのか (講談社学術文庫)
柳下記子(2013)『発達障害がある人のための みるみる会話力がつくノート (こころライブラリー)
平澤紀子(2010)『子ども観察力&支援力養成ガイド』学研 その場で求められる適切な行動をとることができないのが行動問題。これは未学習、不足学習、誤学習からもたらされる。理由はその行動をとることによって注目や欲しいモノが得られる。先行条件、行動、結果を記録し適切な支援をする。
吉崎静夫編(1997)『子ども主体の授業をつくる-授業づくりの視点と方法』ぎょうせい 新しい授業づくりの特徴とは「ひらく」「つなぐ」「あらわす」である。自由な空間で人と関わり物を利用して学ぶ。教室と外の世界をつなぎ、表現活動の機会を与える。
岡本裕一朗(2013)『思考実験-世界と哲学をつなぐ75問』中公新書 思考実験とは「もし?だったら?どうなるか」という仮定的推論であり、今までとは違う発想のためのマップ。自己、他者、倫理、社会、人間、生きることを思考実験から考える。
竹内薫(2007)『もしもあなたが猫だったら-「思考実験」が判断力を磨く』中公新書 脳内シミュレーションである思考実験。「もしも?だったら」と考えることによって個人の見方、宇宙は多様化。思考実験からモノは曖昧で最終的にはコトになることがわかる。
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