2014年08月12日

東北三省の都市化

7月30日から8月8日まで中国・東北三省(遼寧,吉林,黒竜江)の現地調査を行なってきました。

とくに都市化について調査,当地の研究者らと意見交換してきたのですが,東北地域は2つの点で他地域の都市化と違う問題を抱えていることがわかりました。

一つ目は,都市化には産業構造転換による農民工などの外来人口の吸収が必要だけども,東北三省はそれが難しいということです。

東北地域は計画経済時代に重点工業地域として重工業化を実施し,それにより全国に先駆けて都市化が進展しました。しかし改革開放以降は重工業の大型国有企業を抱える結果,その改革が重荷になり都市化の進捗が遅れました。とくに重工業は資本集約型であるために労働力の吸収力は小さいです。それに加えて国有企業改革は多くの一時帰休者を生んだために,他産業における雇用吸収が必要となりました。都市内部での雇用調整が必要であり,農村からの人口を受け入れる余裕がありませんでした。東北の都市化率は近年また上昇しはじめていますが,重工業から他産業への転換が必要であること,その転換には多くのコストを必要とします。

重工業地域として全国でも有名な瀋陽・鉄西区は重工業地帯を外資や土地売買によって資金を調達し,商業都市に生まれ変わることができました。しかし郊外に移転された重工業の問題はいまだ問題となっています。

鞍山鋼鉄や大慶油田(中国石油)は,国家に保護された独占力を活かし今のところとりあえず利潤を生んでいます。しかし鉄鉱石や石油という資源に多くを頼っているために,資源採掘のコストが高くなると利潤を生みだせません。とくに鞍山鋼鉄は他の産業への進出(業種の多様化)をしておらず今後資源枯渇に直面すると産業構造の転換は難しくなります。大慶油田も石油の産出量は減少していましたがここ数年は安定しています。これは内モンゴル地域へ採掘場所を拡大しているためであります。

二つ目は,都市化には国有企業と省,市の地方政府という縦割り関係の体制改革が必要だということです。

省や市に属していた国有企業改革はつい最近まで行なわれていました(例えば,ハルピンでは2011年に市直属の国有企業改革が終わったと言います)。この意味で農民工の社会福祉を初めとする公共サービスの提供は難しく,むしろ国有企業改革による人員整理の方に財政が使われます。それに加えて東北地域は多くの中央直轄の国有企業を抱えます。中央の国有企業の命令系統は北京にあり,一方で省市政府は地元の中央直轄国有企業に口を挟むことができません。もちろん大慶のように大慶油田(中国石油)が都市建設にお金を出すこともありますが,体制としては国有企業系統,省市政府の系統といわゆる縦割り(条条塊塊)状態になっています。戸籍制度改革も必要ですが,国有企業と省市政府の関係をどのようにするのか,今後のさらなる体制改革が必要でしょう。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 岡本式中国経済論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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