2014年08月19日

周永康と王進喜

前政権時の中央政治局常務委員で公安,司法担当だった周永康氏が失脚しました。2012年12月から周永康氏側近が党規約違反で取り調べを受けるようになってから,2013年10月中国石油大学での記念式典以降,公式の場から姿を消しており,党内で取り調べが進んでいました。中国内外で周永康氏の拘束を正式にいつ発表するかが焦点になっており,全人代後の発表はなく,ようやく7月になってから失脚が発表されました。

習近平は2012年に党書記に就任したあと,腐敗の撲滅,党内の権力基盤確立のために,「ハエもトラもたたく」ということで党内の整風運動,群衆路線教育実践活動を展開してきました。これは各都市,各単位ごとの共産党組織において活動グループを組織し,メンバー全員で自己批判などを行なう活動です。活動して全く何もでないというのは変,ということから多くの(後ろ盾のない)人の腐敗が摘発され(党に差し出され),逮捕,立件されてきています。

さて,今回失脚,逮捕された周永康は江蘇省無錫出身で、1964年に共産党入党。66年に北京石油学院(大学)を卒業後,長らく石油業界で働いていました。大慶油田の社長(総経理)や,中国石油天然ガス集団公司(中国石油)の社長などを歴任し,98年に国土資源部長(大臣),四川省党書記,2002年に政治局委員,2007年に政治局常務委員として,胡錦濤政権のチャイナ・ナインの一人にまで上り詰めました。

大慶油田有限総公司は,中国石油のもっとも基幹の企業です。この企業の社長兼中国石油の副社長であった王永春も大慶油田での汚職で党から取り調べを受け,失脚しています。大慶油田関係の幹部は多くが腐敗で逮捕されています。

写真 1.JPG
<大慶油田本部(8月6日撮影)>

今回の出張で大慶油田の「大慶精神」としてあがめられる鉄人・王進喜記念館を訪問しました。2006年に今の場所に移転して大きな規模の記念館として開館しましたが,大慶油田も当然その設立に関わっています。王進喜は厳しい自然環境の中,学もなく大慶油田の採掘に全力を尽くした英雄としてまつられており,その精神は多くの中国人の心をとらえています。多くの庶民が記念館を訪れ,鉄人の偉業に感動し,何もなくても自らが率先して国家のために尽くす精神を学んでいるにもかかわらず,今回捕まった石油閥のリーダーたちは汚職に励んでいたわけです。

鉄人を利用して庶民にはつらい生活に負けず国家に尽くせというメッセージを送る記念館を建てながら,自らは私腹を肥やしていたわけで,中国の党幹部と一般庶民の乖離を強く感じました。もちろん今回の周永康事件は,党内権力闘争の側面もありますが,それにしても犠牲をしいられるのはいつも庶民だと感じた次第です。

写真 2.JPG
<鉄人王進喜記念館(8月6日撮影)>
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 岡本式中国経済論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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