2014年09月30日

『協力と罰の生物学』



意外や意外,本書は経済学を学ぶ人にとっても必読書になるんじゃないかと思われる本です。

本書の主張は,生物の世界にも協力があり,協力しないというフリーライダーも存在するが,フリーライダーを許さないために罰という制度がある,というものです。

私たち人間の世界も,自分勝手に見えながらも協力して秩序を作って社会を構成しています。お互い協力する方がいい結果が得られるためです。

でも人間社会独自のものとして,市場メカニズムがあります。市場は人々が協力を意識しなくても,価格を参考に自分勝手な行動をしてもみんながハッピーになるとしています。これがパレート最適です。

しかし,このような市場メカニズムが成り立つためには,所有権がはっきりしている,情報が行き渡っている,外部性が存在しないなどのハードな条件をクリアしないといけません。

現実にはそのような条件がないので,実際の社会でパレート最適になることはなく,ほとんどが微妙なナッシュ均衡的なものになってしまいます。中国で食品安全の問題が起きるのも,企業家が自分の利益のみを考える(合理的な行動の)結果,市場には安全ではない食品が出回る(誰もが得しない結果)といった状態です。

このような状態をパレート最適に近づける,いわゆる協力的に行動させるためには罰が必要です。ですから中国でも食品安全法に違反した企業を罰するようになっています。

本書は生物の世界でも協力が成り立つためにいろいろな工夫がされていること,そして人間社会も行動経済学の実験結果などを引きながら,協力に向かう社会システムの設計が行われていることがわかります。

posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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