2014年11月11日

2014年10月読書ノート

2014年10月読書ノート



末廣先生が新しく出したこの本は,アジア全体の経済を学ぶのにぴったりの本です。生産,消費,老い,疲弊という観点からアジアを統一的にみようとしています。生産,消費についてはとくに目新しい議論はありませんが,押えておくべきポイントです。本書の特徴は高齢化が進んでいること,社会発展とともに人々のストレスも増大していることにも触れている点でしょう。

末廣先生は文章も読みやすい(わかりやすい)ので,アジアを学ぶ学生にはオススメ。

<経済>

多田洋介(2014)『行動経済学入門 (日経文庫)』日経文庫 標準的経済学が想定する超合理的、自制的、利己的人間像に対し現実は近道を選び、不確実性の中で生き、現在を重視し、他人の目を気にする。非合理な人間は市場の効率をも狂わす可能性がある。

アラン・ダブニー(山形浩生)(2014)『この世で一番おもしろい統計学――誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講+α』ダイヤモンド社 統計を使うと限られた情報で自信を持って決断できる。標本分布がステキな理由は母集団の平均を教えてくれること、それを使って母集団について確率が計算できること。

<中国>

トシ・ヨシハラ,ジェイムズ・R・ホームズ(山形浩生)(2014)『太平洋の赤い星-中国の台頭と海洋覇権への野望』バジリコ 中国の海洋戦略はマハンの影響を受けている。貿易,商業,資源へのアクセスをどう確保するか,海軍を通じて確保し,制海権を持つ。

<自己啓発>

長嶺義宣・外山聖子編(2014)『世界の現場で僕たちが学んだ「仕事の基本」』阪急コミュニケーション 海外でも日本でも社会を生き抜くために必要な要素は似ている、リーダーになる素質は誰でも持っている。今直面している問題に真面目に真摯に取り組むこと。

與良昌浩(2014)『他人の思考の9割は変えられる』マイナビ新書 仕事への思考のクセは会社の風土や上司・同僚との人間関係などの影響を受ける。今の自分の状態に戻ろうとする相手を「本当にそうなのか」という問題意識を持たせる。その環境には肯定という過程が必要。伴走型リーダーに。

<社会>

ダニ・ロドリック(柴山桂太大川良文)(2014)『グローバリゼーション・パラドクス-世界経済の未来を決める道』白水社 グローバリゼーション、民主主義、国民国家は世界経済の政治的トリレンマであり、二つしか実現不可能だ。民主主義と国民国家をグローバリゼーションに優先すべき。

末廣昭(2014)『新興アジア経済論――キャッチアップを超えて (シリーズ 現代経済の展望)』岩波書店 90年代以降のアジアの経済発展は域内貿易投資の拡大、生産するアジア、消費するアジアであった。老いてゆくアジアは要素投入型成長の限界を示し、人々の将来への不安とストレスを惹起する疲弊するアジアでもある。

飯田泰之(2014)『NHKラジオビジネス塾 思考をみがく経済学』NHK出版 仮定部分と現実に多少のズレがあっても大まかな傾向として成り立っている理論を重視するとビジネスの戦略でも役に立つことが多い。
行動する人とリスクを負う人が分断。計画担当者と現場。

荻上チキ・飯田泰之(2013)『夜の経済学』扶桑社 経済水準が高いとフーゾク価格は高いがワリキリはさらに地域格差が反映。10歳年上になるとワリキリ価格は2000円前後下落。技術系の職業、事務管理職系はフーゾクに通う可能性は2倍以上。

荻上チキ(2012)『彼女たちの売春(ワリキリ)』扶桑社 孤立、借金、教育からの排除などの社会的斥力が高収入、値段交渉、自由出勤などが引力となって女性をワリキリに向かわせる。

荻上チキ(2011)『セックスメディア30年史-欲望の革命児たち』ちくま新書 出会い系、オカズ系、性サービス系のメディアはテレクラからサイト系に、エロ本は動画サイトに、TENGA、オリエント工業の技術を生み、サービス系は店舗型から派遣型へ。性欲がある限り制約があっても変化は続く。

<その他>

蒲原聖可(2005)『ベジタリアンの医学』平凡社新書 植物性食品を多く摂取すると生活習慣病になるリスクが低減。植物性食品に含まれる抗酸化成分・ファイトケミカルが大きな役割を果たす。動物性食品はタンパク質、ミネラルを効率良く吸収できるが飽和脂肪酸、コレステロールの摂取が多くなる。

鶴田静(2002)『ベジタリアンの文化誌』中公文庫 ベジタリズムは単なる食事法ではなく思想と行動にもとづいた生き方、地球を健康に保ち平和に生きるための方法。肉食を攻撃することが目的ではない。

蒲原聖可(2011)『ときどきベジタリアン食のすすめ』日本評論社 最新の米国政府の食生活方針や米国栄養士会の報告書はベジタリアン食は栄養学的に適切と是認。ビーガンの場合はビタミンB12とDの不足が懸念。食糧事情が改善した現代はエコロジーの観点からも植物性食品の摂取を支持。

ジャン=ポール・ネリエール、ディビッド・ホン(2011)『世界のグロービッシュ』東洋経済新報社 非ネイティブ同士の英会話が74%。非ネイティブ同士の効率的な言葉がグロービッシュの始まり。英語をツールとして単語数、長さ、能動態を使うなどの制約をかける。
関口雄一(2011)『多忙社員こそグロービッシュ-完璧を求めない英語再入門』中公新書ラクレ 英語は意思疎通の手段。必要なのは手軽で大衆的な「ファストイングリッシュ」。1500語だけ、1年以内に取得、年齢不問で身につくというグロービッシュは凝縮した英語。これで十分というレベルで。

ニコラス・ディフォンツォ(江口泰子)(2011)『うわさとデマ 口コミの科学
』講談社 人は社会的存在であり、世界を理解したいという欲求を持っている。噂は共同で世界を理解し、脅威を取り除く手段でもあるが、人はとんでもないものを信じることがある。

G.W.オルポート、L.ポストマン(南博)(2008)『デマの心理学』岩波書店 デマは重要さと曖昧さとの積に比例する。デマは受け継がれているうちに平均的に5つの要素になり(平均化)、一部が強調され、聞き手の関心に同化する。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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