2014年12月09日

2014年11月読書ノート

2014年11月読書ノート

先月は,都市計画や都市についていろいろ本を読みました。



本書は,都市計画の教科書です。都市をつくるというのは公共事業的なので,国家が関与するより自然に任せた方が味のあるまちづくりになると思っていました。

しかし歴史をみても,都市計画は多くの国で実施されていますし,都市計画は国家の権力誇示の象徴であったりもします。

本書を読んで,都市計画の必要性として,「市場経済は可逆的な世界であるが都市開発は非可逆である」と述べられており,目からうろこでした。一旦建物ができ道路ができてしまうと元に戻すことは簡単ではありません。乱開発するよりも計画的に都市を作る方が人にやさしい町ができる可能性は高まるといえるでしょう(だからといって都市計画にすべて賛成というわけではない)。

本書は,政府の役割は、公共財の供給、民間活動を調整するための私権の制限、空間開発のための事業手法(土地区画整理、市街地再開発事業)や資金調達の多様化である,としています。


<経済>

チャールズ・ウィーラン(山形浩生守岡桜)(2014)『統計学をまる裸にする-データはもう怖くない』日経新聞社 統計学は、情報をまとめる数字(打率など)で現象を説明し(記述統計)、情報が揃っていない大きな問題について手元のデータを利用して推定すること。

チャールズ・ウィーラン(山形浩生守岡桜)(2014)『経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い』日経新聞 個人、企業の行動と市場、政府の役割や景気、国際、開発経済学まで。社会問題の解決のために市場を豊かに使えるだろうか。

ウィリアムJボーモル、ロバートEライタン、カールJシュラム(原洋之助田中健彦)(2014)『良い資本主義 悪い資本主義: 成長と繁栄の経済学』書籍工房早山 国家主導的、オリガルヒ的、大企業的、起業家的資本主義の4つを提起し、成長には生産的起業家が多いことが必要。

<中国>

鈴木譲仁(2013)『ルポ「中国製品」の闇』集英社新書 厚生労働省で認めた歯科技工士だけが許される義歯が雑貨として輸入され、発がん性物質ベリリウムが含まれていた。問題は中国政府の組織的弊害と日本の技術権威、組織第一主義と密接に結びついている。

<自己啓発>

クリス・バーディック(夏目大)(2014)『「期待」の科学-悪い予感はなぜ当たるのか』阪急コミュニケーション 期待の力は大きい。偽物のステロイド剤であっても競技成績は伸び、マイナスの期待ではPKの成功率を下げてしまう。期待によって物の価値や嗜好にも影響。

<社会>

葦原敬・饗庭伸・姥浦道生など(2014)『これからの日本に都市計画は必要ですか』学芸出版社 日本の都市計画にはマスタープランが存在せず,公園,道路だけが作られた。経済成長時にはフローの部分(団地や公共施設)を増やすので土地利用が都市計画の柱。衰退すると区画整理や再開発などが必要。

伊達美徳編(2008)『初めて学ぶ都市計画』市ヶ谷出版社 産業革命によりロンドンの生活環境が悪化、近代都市計画誕生のきっかけ。機能主義や近隣住区論は単調で人間的な魅力がない。しかし地域経済の発展を促し活力を生む効率的な都市づくりは今日でも必要。

伊藤雅春・小林郁雄など編(2011)『都市計画とまちづくりがわかる本』彰国社 都市計画は都市総合計画、法定都市計画、まちづくりからなる。都市計画は環境や防災、定住など地域の多様化に従って一律の計画は難しくなる。地域の特性にあったまちづくり条例ができ、市民参加のまちづくりへ。

石原武政・西村幸夫編(2010)『まちづくりを学ぶ -- 地域再生の見取り図 (有斐閣ブックス)』有斐閣ブックス 1998年に制定されたまちづくり三法(改正都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法)。都市の課題は複雑になり、商業、財政、景観、安全などの分野に地域の情熱と新たな官民関係が必要。

ジェームズ・スロウィッキー(小高尚子)(2006)『「みんなの意見」は案外正しい』角川書店 集合的にベストな意思決定は意見の相違や異議から生まれるのであって、合意や妥協から生まれるのではない。多様性と独立性は重要。

長谷川英祐(2010)『働かないアリに意義がある』メディアファクトリー新書 7割ほどのアリは巣の中で何もしていない。働かないアリがいることで疲労したアリが出てくると働くようになる。社会を作る(協力)するのは血縁選択と群選択から。将来の報いを期待して社会に協力するのは生物の進化。

速水健(2012)『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代 (oneテーマ21)』角ONEテーマ21 鉄道、空港、テレビなど本来は公共的都市インフラであったものが、民営化や都市間競争などにより収益性を目指してショッピングモールとして生まれ変わる。

牧野知弘(2014)『空き家問題 (祥伝社新書)』祥伝社新書 人口減少により個人の空き家は急増、2040年には空き家率は現在の13%から3割へ。買い替えもできず、固定資産税に苦しみ、最悪は放置へ。空き家バンク、市街地再開発手法などの応用を。

毛受敏浩(2011)『人口激減-移民は日本に必要である』新潮新書 2035年には自治体の2割以上が人口5千人未満となり、年少人口1割未満の自治体が2/3を超える。短期労働者の受け入れから多文化主義政策をとるヨーロッパ。岡山県の難民受け入れ、山形県の移民受け入れにより地域は活性化。

増田寛也(2014)『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)』中公新書 2010年から40年までに若年女性人口が5割以下に減少する市区町村は896自治体、全体の約5割にのぼる。これらは消滅可能性都市である。

矢作弘(2009)『「都市縮小」の時代』角川ONEテーマ21 人口10万人以上の世界の都市の25%が縮小化している。産業衰退、出生率の低下、郊外化など縮小の原因は複合的。縮小都市の積極的な面を捉え都市規模の創造的縮小が必要。

ニコラス・G・カー(篠儀直子)(2010)『ネット・バカ-インターネットがわたしたちの脳にしていること』青土社 ネットは注意の分散、問題解決の外在化をもたらす。スキャニング、スキミング、マルチタスクの能力が強化されるが、集中した深い読みや思考を妨げる恐れも。

ニコラス・G・カー(村上彩)(2008)『クラウド化する世界』翔泳社 情報技術は電力と同じようにコンセントに繋げば様々な用途に使えるようになった。自社でコンピューターやシステムを持つ必要はなくなった。これからはユーティリティーコンピューティングの時代である。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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