2014年12月25日

『良い資本主義 悪い資本主義-成長と繁栄の経済学』

以前読んだボーモル、ライタン、シュラムの『良い資本主義 悪い資本主義-成長と繁栄の経済学』の書評です。



本書の主張は,資本主義は国家主導的資本主義、オリガルヒ(新興企業)的資本主義、大企業的資本主義、起業家的資本主義の4つに分けられ,さらなる発展を求めるには,国家の指導を断ち、起業家的,大企業的資本主義の何らかのブレンドを採用する必要があろう,というものです。


国家主導型資本主義は,その名の通り国家が主導して経済発展を行なう方法です。いわゆる一時期注目されたアジアの開発独裁のようなシステムです。この資本主義の問題点は,@国家主導が永遠にうまくいくと信じること,A過剰投資に陥りやすいこと,B政府によって重点産業の選択に勝者と敗者の選び間違いが起こること,C腐敗を招きやすいこと,です。

オリガルヒ的資本主義とは,経済成長は政府の中心的な役割ではなく、その狙いは国の資源のほとんどを所有する少数のオリガルヒ(新興財閥)によって行なわれていること,そして目的はオリガルヒの経済的地位を守り向上させること,です。これは中南米などに見られる資本主義です。この資本主義の問題は,財閥と政府の間が癒着しやすく,腐敗を生みやすいということです。

大企業資本主義は,寡占的になった大企業が中心の資本主義です。イメージでは日本のような資本主義です。この問題点は@寡占的になる結果,価格コントロールできるので超常的利益を得ることができること,A保護を求めてロビー活動などのレントシーキングを行う,ことが指摘されます。しかし悪い面だけではなく,トヨタのように利益が漸進的改善につながる開発に使われることもあります。

起業家資本主義は,企業家を生みやすい土壌をもつ資本主義です。この体制では,企業家によって斬新的なブレークスルー技術を生見出すとしています。

本書は革新的な起業家を生むには以下の前提条件が必要としています。

@開業しやすく、事業を伸ばしやすい。登記しやすく破産も容易で資本アクセスも容易。
A生産的起業家活動の報酬が保障されている。リスクをとる人には適切な報酬が用意されている。複雑な税制がなく、知的財産権が保護されており,政府も基礎科学研究に補助金を出している。
B非生産的活動に時間を使わさない(ロビー活動など)
C競争の結果残った勝者を油断させない。一度成功した後でも改革を続けていくようにする。独占禁止法の整備・運用、貿易と投資の自由化など。

ひるがえって中国を考えてみると,すべてを含んでいるように思います。国有企業は国家主導型であるとともに,オリガルヒ的ですし,ときには大企業として振る舞っています。一方で,起業家たちが小さな企業を立ち上げ,それが成功するという土壌も存在します(例,アリババなど)。

この意味では,資本主義体制を類型化するのは難しいのですが,起業家たちが生まれる土壌を持つ重要性には私も同意しています。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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