2016年08月02日

The State of Asian and Pacific Cities 2015 (簡単な要約)

昨年UNHABITATから発表された

The State of Asian and Pacific Cities 2015(無料PDF)

を簡単に紹介。来週紹介する予定のWorld Cities Report 2016のアジア版です。これらの報告書は10月にリオで開催されるUNHABITAT3のための報告書という位置づけです。UNHABITAT2が20年前に開催されたので、20年ぶりに新しい都市開発に関するアジェンダが発表されることとなります。

さて、大まかに内容を紹介しますが、主に各章の要約部分を訳出しています。(わかりにくいところ、間違いがあればお許しを)

第1章 人口と都市

1980年から2010年までの間に、この地域の都市は10億人増加し、2040年までにはさらに10億人が増える。地域の人口の半分が2018年までに都市に住み、農村地域は人口減少の時代に入る。

2050年までに中国とインドの都市だけで6億96百万人増加する(インド4.04億人、中国2.92億人)

地域はすでに、東京、デリー、上海の三大世界大都市を含む17のメガシティを擁し、2030年までに22メガシティになる見込みである。

メガシティは、都市、町、村や農村などを取り囲む、大きなメガ都市地域へ道を譲りつつある。そしてそれらの幾つかは計画、非計画的な都市回廊の形でもって国境をも超えている。

メガ都市地域は行政的に分割されていることがあり、その問題は行政的境界を超越している。この衝撃を管理するには新しく、多層的かつ強力的なガバナンスモーダリティーが必要である。

メガシティは地域の都市住民の10%をちょっと超える程度しか収容しておらず、それは全人口の7%に過ぎない。大部分の都市住民は中小都市に住み、地域の都市化移行の大部分がそこで行われている。しかし重要性が増しているにも関わらず、多くの賞都市は人的、資金的、組織的資源が足らない未来に直面している。

多くの都市が成長している中で、成長が停滞あるいは人口が減少している都市もある。理由は、高齢化から就業機会の喪失、脱工業化までさまざまである。

地域には正確なデータがなく、効果的な空間的、経済的、環境的、貧困減少政策が打ち出せない。「都市データ革命」が急務である。

第2章 都市経済

ここ数十年の間、多くのアジア太平洋諸国の政府は都市化を国の開発戦略とリンクしてきた。都市の経済的成功は、国家や地域のそれと完全に一緒になっている。

多くの都市は経済成長、富創出の重要なノードになっている。幾つかの都市経済はすでにアジア太平洋のいくつかの国のGDPを超えている。

多くの都市が「ワールドクラス」「地球的競争」になりたいと熱望しているが、小さな都市や町では、人的、金銭的、組織的資源が不足するという不利さを抱えており、世界的貿易につながる、あるいは利用することができていない。

国家の都市政策や都市計画は小都市・街の経済的機会を創出できるように考えられている。

競争的、低コスト生産は数百万人の人々を貧困から救い、多くの都市中産階級を生み出したが、多くの場合この移行は高い環境的社会的コストを支払っている。

生産の継続と低賃金労働は効果的な長期的発展戦略ではありえず、内包的でも持続的な都市発展にもなりえない。

地域の都市が「中所得国の罠」を乗り越えるには、新しいビジョンとパートナーシップが必要であり、他にも膨大な教育職業投資が必要である。質的成長に着目すべきだ。

都市の貧困と脆弱性は過小評価されたままだ。地域都市住民の三分の一は適切な避難場所、エネルギー、安全な飲み水と衛星にアクセスできていない。

女性と若者は就業と独立した生活障害に直面し続けている。それは正式な教育にアクセスできず、あるいは伝統的家族規範の結果による。

都市貧困が経済的競争への貢献にも関わらず、貧困対策の経済的社会的政策への反映は十分ではないままである。

第3章 移行期にある都市社会

都市社会はより多様に、複雑になってきており、政策担当者の新しい挑戦となってきている。

中産階級の成長は、消費形態、自宅所有、移動、サービスそして都市環境で変更をもたらしている。

しかし中産階級の成長は内包的なものではない。都市貧困層は近年の成長の縁に追いやられ、若者の失業率は高く、移民者はその権利において不利になっている。

都市居住コストの上昇により、貧困層は適切な住宅とサービスを受けることが難しくなってきている。拡大する格差は社会のまとまり、コンセンサスを脅かし、許容範囲はすでに多くの大都市で危機的ポイントに来ている。

よりバランスのとれた成長モデルが必要であり、貧困層、老人、障害を持って暮らす人々に恩恵をもたらすようにしなければならない。

繁栄と内包的な都市の未来へ向けた、競合する需要と格差への対応というバランスには、刷新された都市社会アジェンダ、そして社会政策に十分投資されたものが必要である。

地域の都市の大部分が安全な場所になりつつも、性別による暴力はいまだに大きな挑戦であり、女性の都市生活への完全な参加への障害となっている。

多様性を利用し、公共への関わりや参加への空間を作ること、そして生活の質への投資を行うことができる都市は将来への競争力、居住性という点でいい位置を占めることが可能となろう。

第4章 都市の環境と気候問題

この地域の都市経済は環境搾取的なモデルで成長してきた。その結果多くの都市で巨大な環境問題に直面し、ますます多くの都市が居住性の複数の危機に直面している。

幾つかの環境問題は新しく発生したものであるが(気候変動など)、その他は固定的なもの(大気汚染、衛生問題など)である。多くの都市が存在する新たな環境的なプレッシャーに同時に対応すべく戦っている。

地球温暖化の主要源として、アジア太平洋の都市は低炭素の経済、インフラ、交通を確立していくことが急務である。

新しい経済、都市発展のモデルは都市生態環境への投資、環境サービスが広く提供されるものでなければならない。

伝統的な都市廃棄物管理は耐えられるものではない。廃棄物から資源へというアプローチ、3Rの推進、循環経済という概念を通じて、都市はより効率的な資源利用と廃棄物処理を達成しなければならない。

地域の都市は災害や気候変動のインパクトに対して脆弱である。とくに貧困層と不利な共同体にとってはなおさらである。都市と住民がストレスやショックに対して生き残り、対応し、挑戦していく能力を強化していくことによって、都市の脆弱性を減らすことが可能である。

第5章 都市統治(ガバナンス)

アジア太平洋の都市は、急速な成長、経済転換、社会の複雑性、分裂性の増加、環境インパクトに対してどのように管理するか取り組んでいる。

都市移行を管理するにあたって、各レベルの政府は統治を提供しているという基本的な責任感を取り戻さなければならない。しかし複雑性、都市地域の成長から考えて、政府はすべてのことをしようとするべきではない。むしろ他のステークホルダーとのパートナーシップを結ぶことについて戦略的な役割を果たすべきである。

多くの大都市が都市スプロールと分裂という様相を呈している。都市成長はますます公共と私人、公式と非公式、国家と市民社会という垣根を超える、あるいは曖昧になってきている。都市発展の必要性に対処するためには、国の都市政策に支えられた新しい協力的なcollaborativeガバナンスが必要である。

中央集権的あるいは完全な分権、どちらも効果的な都市ガバナンスの万能薬にはなりえない。具体的な都市、国のコンテキストの中で機能する制度的な配置について注目されるべきである。

公共の政策決定過程を透明にすること、制度的なアカウンタビリティーを確保することは重要な目的となりうる。より責任をもち効率的な地方の制度は効率的なパートナーシップの創出や都市住民の支援と参加を促す上で重要である。

このような挑戦に向かう上で、国家と地方の政府は変化を生み出し管理する重要な責任を有する。これらは統一のとれた国家のガイダンスや政策に支えられて初めて可能である。多くのアジア太平洋の都市は法的、規範的なフレームワーク、制度的な配置を通じて運営されているが、それらは遅れている。

地方と中央政府の権力シェアのギャップに対応する必要がある。地方政府の予算と投資に関する金融的なギャップ、戦略的未来志向の都市計画を推進する上での地方政府の能力のギャップなどである。

posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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