2016年10月04日

留守児童をみる祖父母の役割

さて、滞在先の大学では、先週新入学の学生登録、今週から学生の授業が始まりました。そして研究セミナーも毎週何かしら開催されるようになり、ロンドンではまさに学問の秋という感じです。

さっそく面白そうなセミナーがあったので、参加してみました。

今日はその備忘録。

Grandparents and Grandchildren in Rural China
Professor Merril D Silverstein (Syracuse University)

高齢化と一人っ子政策で少子化が進む中国人口で、人口構成の変化をミクロ面から探りつつマクロ的な解釈を加えるという面白い研究でした。

内容を簡単にまとめておくと、

1)高齢者人口の伸びは若者の出稼ぎによって農村の方が早いとみられており、将来的な労働力人口の減少、そして政治的には軍隊編成にも影響が出る可能性がある。

2)家族構成の基本は、祖父母4人、親2人、孫1人になってきている。この結果、農村では祖父母が孫の世話をすることになる。農村から出稼ぎに出ることによって6000万人の留守児童がいるという。

3)祖父母が孫をみるという現象について、協力家族corporate family(経済体としての家族、家長が家族資源を配分し家族の幸福を最大化する)?相互援助?保険政策?文化義務?投資戦略?などの仮説がある。

4)農村での調査の結果、孫の世話に対して親世代が祖父母世代に送金するという行為が非常に大きく、その送金によって総父母の健康、長寿が支えられ、さらに世話ができるという。そのためフルタイムで世話をするケースが増えてきている。パートタイムで世話をする家族に比べて、長寿であるという結果もある。

5)情の近接性はやはり高く、祖母の方が祖父より強い。結果、孫が祖父母の面倒をみるケースも調査結果から16.3%という結果もある。

6)結論として、祖父母の存在は出稼ぎに出る家族の物質的な生活の満足にはかかせず、孫の存在は祖父母の面倒をみるという点でも重要な存在である。


ディスカッションを通して、留守児童問題を好意的に捉えているのが印象的でした。確かに中国全体でもみても、農村の労働力を沿海に配分し、農村の祖父母が農村労働力の支えになっているとみれば、十五区全体の人口の年齢別資源配分は有益に配分され、中国全体としての利益(経済成長)は最大化されたといえるのかもしれません。

面白い報告でした。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 岡本式中国経済論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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