2017年03月21日

アジア太平洋地域のメガ市場統合

中央大学経済研究所の成果として以下の本が出版。




私は

「第7章  中国の都市化と経済成長へのインパクト」

に寄稿しました。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月14日

高福祉国(北欧型)になる条件とは?

デンマーク(コペンハーゲン)、スウェーデン(エルムフルト、ストックホルム)を駆け足で出張して来た。

仕事以外でちょっと感じたことを備忘録として。

北欧は高福祉国として有名だけど、それが成り立つ条件というのがありそうだ。

1)高税金負担
高福祉の財源として、税金、社会保障費の徴収が必要。税金支払いに対して不快感を持たず、高税率に不満を持たない。(なお社会保障は企業負担)

2)国民総背番号制
徴収率を上げて福祉を効率的に分配するためには国民全員の所得等を透明にする必要がある。

3)政府への信頼
税金が無駄なく使われているという安心感、そしてそれが自分に跳ね返ってくるという期待が存在する。それに加えて政治家は清廉であり、少ない給与でも人のために働いていることに喜びを感じている人が選ばれているという信頼。

4)愛国心
徴兵制も含めて国を良くするためには自分も社会に貢献するというボランティア精神が強く、それが高福祉にもかかわらず社会貢献としての勤労意欲につながる。

5)個人と社会の絶妙な関係
働き方が多様であり、個人の都合(嗜好や事情など)を優先しつつ、それを職場や社会と共有する。職場も社会もそれに強く関与せずそれを認める。

感想として日本(もちろん他国も)では難しい。

1)政府に対する信頼はそう簡単に醸成されない。
2)子どもの入学式で休んだ教員が非難される社会で、安心して自分のプライバシーを社会と共有できない。
3)同様に職歴、収入、福祉などを社会に透明にさらすなどは日本にはできない。(北欧では情報がさらされるから高福祉に甘んじて働かないという選択ができないという事情もある。)

高福祉国、つまりある種社会民主主義って個人と社会が情報を強く共有しないと無理なんじゃないかなと思う。いやらしく言うと、相互監視しつつ、個人に干渉しないという絶妙なバランスが必要。卑近な例で言うと、町内の人は各世帯の状況を共有していて、町内会長は清廉な人なので安心してプライバシーを晒し、大好きな町内のためには一生懸命働きつつ、困ったことがあったら助けてもらえるという感じだろうか。

このような社会制度ができるには経済学的には初期条件が大きく効いているような気がする。

北欧という人口が少なく自然環境が厳しい中で、助け合いが必要だったというのもあるかもしれない。例えば、協同組合という考えはイギリスで生まれたけど、デンマークでは早くから農協が発達したらしい。こういうところから相互扶助(逆に言えば相互監視)が発達したのかもしれない。

このような条件がない他の資本主義国で、高税金高福祉をやると企業にとっても消費者にとってもやりにくいと思う。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月06日

北アイルランド

中国的には全人代開催中なのですが、関係なく、イギリスネタで(笑)

私が高校、大学生の頃にちょこちょことニュースでアイルランド紛争が報道されていました。その後世界は、天安門事件、ベルリンの壁、アイルランド和平と激動し、その90年代前後を体験できた世代です。

世界で話題になった場所にいっておきたいと思って、2月後半にベルファスト(北アイルランド首都)にいってきました。

ベルファストは、造船、航空機部品等を中心とする重工業都市です。タイタニックもここで作られたようで、タイタニック博物館があり、当時の重工業の発展ぶりが感じられます。

taitanic.jpg

またベルファスト中心部から数マイルいったところの郊外にシャンキル(Shankill)という地域があり、そのあたりが北アイルランド紛争の場所になったようで、たくさんの無実の罪で亡くなった人のを弔うように壁に絵が書かれていました。

Peace Wallというのは、北アイルランド紛争を避けるために、居住地域を分けた形になっています。カソリック(Republican)とプロテスタント(Royalist)を分けていた壁で、ここもたくさんの平和を祈る壁画が描かれていました。

Peace Wall.jpg
posted by okmtnbhr at 19:17| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月14日

議会制民主主義

イギリスが議会制民主主義の発祥の地ということで、Parliament見学に行ってきました。

議会の発祥は、国王が力のある地主たちに相談を始めたということにあるようです(1066年のノルマンディー公の頃)。その後、国王が勝手に権力を悪用して地主たちに課税したりしないように約束させたマグナカルタ(1215年)以降、地主たち(Barons男爵)が政治のことを相談するようになったのが議会という形になってきました。

(その名残が現在の貴族院。ただし貴族院は現在大部分が一代かぎりで、社会に貢献した人(称号をもらった人など)が任命されているようです。でも無給。)

その後、国王の権力は低下していき、イギリス内乱とその後のチャールズ1世の処刑(1649年)で王政が一旦終了し、共和国になります。その後チャールズII世が王政復古を果たし、1688年の革命でウィリアムIII世率いる議会派によって議会制がほぼ完成しました。

現在も、形式は国王(女王)と議会で政治をすすめることになっています。実質は内閣が国王に代わって政治をしています。

parliament.jpg
posted by okmtnbhr at 00:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月31日

中国は民主化するのか?

久しぶりにChina Instituteの講演。

Democratizing China: Insights and Lessons from history
Prof. Minxin Pei (Claremont McKenna College, USA)

刺激的なタイトルです。直球で中国の民主化を論じています。

備忘録として。
・どのように民主化が行われるのか。政権崩壊、社会圧力、外部からの影響の3要素がからみあう。一つの要素だけではレジーム交代は説明できない。
・社会圧力は3つ。社会能力の向上(物質的豊かさなど)、社会的な緊張(不平等など)、実行レベルの法律の崩壊(社会不安定、成長の停滞)。
・どのように中国は歴史と比較するべきか。社会の能力、中所得国の罠、政権の寿命の3点からみる。
・(1)社会能力。1人当たりの所得と自由民主国との相関は高い。レジーム転換リスクと所得は逆U字の関係。中所得国のリスクは高い。中国より所得が高くて自由がないのはほとんどが産油国。(産油国は税金を課さなくてもいいので独裁体制を維持しやすい)しかし選挙民主国になった国の年はさまざま。教育レベルからも、転換ゾーンにはある。
・(2)中所得国の罠。罠を抜けでた国は13か国。その中に独裁体制の国はない。スペイン、ギリシャ、ポルトガル、韓国、台湾などは民主化した。
・(3)政権には寿命がある。軍事政権はもっとも短い、一党独裁がもっとも長い(70年ほど)。中国はもうすぐ寿命に来る。
・一党独裁が次の10年まで持つかどうかだ。根拠として(1)2000年以降急激に大学卒業生が増えている。一党システムがこのグループに職を提供できるか。(2)レジーム転換した国の都市化率平均は60%程度。(現在中国は55%程度)(3)クリスチャンの人数が増えている。(4)増加する年金生活者を支えられるか。すでにキャッシュフローとしては支えられなくなってきている。(5)ヘルスケアのGDPシェアも増加している。
・政権崩壊の可能性は3つから観察される。支配層の汚職、権力闘争と団結の喪失、抑圧コストの増加。
・しかし、外部環境をみると、トランプが現れるなど、民主主義への信頼性の低下は中国共産党にとって短中期的な追い風でもある。
・もし政権が変わるとして・・・3つの古典的選択がある。改革(政権側による転換、タイミングが重要。)、革命(軍隊と支配層の分裂)、改革と革命(Refolution-reformとrevolutionの造語)(改革の遅れと革命を引き出す、旧ソ連のケース)。
・政権側が民主的な制度を導入することがなければ、Refolutionになる可能性がある。

感想
これまで共産党に代わる政権担当能力のあるグループが存在しない中で、政権転換があるとは思わなかったけど、中国共産党の中で派閥が現れると、闘争ではなくなにかしらのシステム(選挙等)で民意を問う必要があるかもしれない。

大変面白かったです。

報告者の最近の成果はこちら。

posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月17日

財と人の移動

イギリスのEU離脱の方向がだんだん見えてきました。

これまで、離脱にあたっては、相反する命題

移民コントロールとEU統一市場へのアクセス

をどれだけ確保するかが、現政権の課題でした。

EU側の強い交渉態度(人の移動をコントロールするのに、財の自由な移動を認めろというのはけしからん)により、イギリス側はEUへの統一市場へのアクセスを手放さなければならない、つまり自由貿易地域からイギリスは出るということになりそうです。

イギリスの人口は6000万人弱です。高齢化が進んでおり、市場規模は拡大する見込みはありません。一方EU市場はイギリスを除いても5億人あります。中には東欧のようにこれから発展していく可能性のある国もあるので、市場の将来性は大きいです。

イギリスはこのEU統一市場から出ていくことになります。財、サービスの取引に関しては自由な取引はできません。その分、関税やらサービス規制などでイギリスはEU市場アクセスにおいてハードルが高くなります。

一方でイギリスは移民問題のコントロールを手に入れることができます。EU統一市場では、多くのEUの人々がイギリスに職探しに来ましたし、実際、街や学校の清掃、小売り、建設業などではEUからの移民が支えています。彼らがいなくなるとイギリス経済は回らなくなりますが、彼らの帰国を求めることも可能となります。(実際には不可能だと思う。)

アジアでの自由貿易協定は人の移動以外の協定です。アジアでも財、サービスの貿易が進み、さらに人の移動の自由化を進めると、財・サービスの統一市場は欲しいけど、雇用に影響のある移民は困るという同じ問題が発生するでしょう。

とはいえ事実上、東京にも多くの外国人が働きにきています。上海で就職している日本人も多いです。今後都市間で国際的な人材獲得競争が激しくなってくるとともに、自由貿易と人の自由移動は、人の国籍に対する排他的な感情も重なって、経済的な問題というよりも感情的な問題になっていくように思います。

参考
Theresa May to say UK is 'prepared to accept hard Brexit'
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月09日

ロンドン地下鉄のスト

1月8日の午後6時から24時間のロンドン地下鉄ストライキが始まりました。

私が学校を卒業して就職してから公共交通機関のストの覚えはないので、かなり珍しい現象に直面したことになります。

ロンドン地下鉄労組(実際には2団体の連合のようですが)と市政府の争点は、ボリス・ジョンソン(前市長、現外務大臣)時代の人員削減と切符売り場の閉鎖です。これにより職を失う職員もさることながら、大量の人員輸送を行う現場にとって、安全が保障できないという主張です。

日曜日に最終交渉が行われました。報道によると、800の人員削減に対し、150を撤回する、しかし切符売り場の閉鎖はそのままというロンドン地下鉄側の提案に労組側は不服。結局、ストが始まりました。

今日は一日ロンドンは混乱しそうです。

http://www.bbc.co.uk/news/live/uk-england-london-38529140
posted by okmtnbhr at 19:29| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月03日

都市に必要なもの

日本のニュータウンの疲弊や中国のゴーストタウンの問題を見ていると、共通点があるように思います。

それは短期間に一度に多くの建物(住居地)を建設したものの、そこに職がないというのが非常に大きいです。日本の場合は鉄道で都心とつながっていたからすぐにはゴーストタウン化しませんでした。でも中国の場合交通機関の発達はあとで来るので、それがないと自分の交通手段(車や自転車等)で通勤しなければなりません。結局、通勤場所との近接性こそが街として発展するかどうかがかかっています。

でも新しい街はきれいです。フランスの都市計画家ル・コルビュジェが合理的な集合住宅を提唱し、世界中のニュータウンに影響を与えました。コンクリートや鉄筋で高層、近隣には公園を配置したりと現代的な住宅として非常に魅力的でした。でも失敗しているケースがあります。それは、仕事終わった後に帰りにくい、あるいは結構歩くという問題です。

つまり職住接近こそが街の発展としてとても重要なのです。

それが永続的に発展するにはどうすればいいのでしょう。それは多様性です(ジェイコブズ)。町が町として機能するには、職住の近接性に加えて、職の多様性、エンターテイメントの幅が広く、そしてモザイクのように交じり合っているほうがいいのです。機能性、効率性を都市計画に入れて、この区画は住居、この区画は文京区のように分けてしまうと町が単調になり町としての魅力がなくなります。

多摩ニュータウンができても、仕事は都内に求めればいいというのが東京の状況でした。青島(チンタオ)の旧市街地ではなく、フェリーで渡った開発区に新しい住居を立てて、企業を呼び込むというのはどの都市でも見られました。

でも結局、東京の下町や青島の旧市街地の方が魅力があります。それは職があり住がありエンターテイメントがあり、それが入り乱れているので、町として「歩かなくても」なんでもできるのです。

千葉ニュータウンはいろいろあって40年かけて開発してきました。職の問題は千葉県企業局も早く気がついたので、物流企業を中心として誘致をすすめてきました。職と住の融合は千葉ニュータウンの重要な課題です。なぜなら北総線が他の路線より圧倒的に高いからです。

また幸いなことに土地の収用に時間がかかり、時代の流れとともに規模を縮小してきたので、場所によって入居年代が違います。幸いなことにこれで年代別の多様性は残ります。そしてエンターテイメント(それでも外食とショッピング程度)を導入してきています。あとはモザイク性なのですが、都市計画によってばらばらに分けられており、自動車がないと不便です。結局、高齢化すると移動に不便が出てくるので、今後の高齢化社会においては、新市街地(ニュータウン)よりも旧市街地(都内)の方がいいということになります。



posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月13日

なぜ日本は長期的な経済低迷なのか?

12月7日に中国とは関係ないけど、気になっていたことがセミナーであったので、参加してきました。

Japanese-style long-term recession - the future of the world?
Prof Richard Werner (University of Southampton)

日本の長期的な低迷は世界経済の将来か?というテーマです。日本でも翻訳本が結構出ていますが、関連ではこれでしょう。



2年前に映画化もされているようです。



主張は、中央銀行の力は強く積極的な介入が功を奏する、具体的には、バブル崩壊は中央銀行の窓口指導の間違いであり、長期低迷は中央銀行が信用創造を何も行っていないからだというものでした。

以下備忘録として。

・アベノミクスの三本の矢(財政、金融、構造改革)+軍事化
・長期低迷のきっかけ
1991年に世界のトップ銀行は日本だったし、名目成長7%、金利も6.25%だった。
・中央銀行理論(ウェルナー)では成長を決めるのは利子率。「利子率が低ければ成長を促し、利子率が高ければ成長を遮る」=>実証研究がない 実証してみると結果は・・「成長率が高いと利子率が高い、成長が低いと利子率が低くなる」利子率は成長率の結果であるので、中央銀行理論は間違い。
・なぜ中央銀行は間違えた理論を信奉するのか?何が成長率を決めるのか?
新古典派「市場は効率的である。ゆえに価格(利子)が重要。価格が量の調整をして均衡を決める。」ただし情報の完全性、完全競争、瞬間的に価格が調整、などが保障されればそうなるが。。。現実は市場はクリアではない。
・市場は「量」「short-side principle(力が働く)」、Moneyはサプライが決める(貨幣需要には際限がない)
・貨幣はどこから来るか?中央銀行だというが実際には3%だ。答えは民間銀行だ。民間銀行はお金を貸すのではなくお金を創る。銀行は仲裁機能ではなく貨幣を創る?実証研究はYes
・信用(credit)の量理論。
銀行の信用創造(credit creation貨幣創造)がどこに配分されるかで成長かそうでないかを生む。消費信用に配分されると、成長はなくインフレになる。金融信用はGDPにはなんの貢献もなく、資産インフレ、バブルを生む。投資信用は新しい製品やサービスを創る(=>productive credit creation)。
・金融取引での信用はブーストと破滅を生む。したがって中央銀行は銀行信用を操作して経済を管理すべきである。中央銀行へのインタビュー結果、公式の政策ツール(価格、量など)を使わず、銀行の負債を指導(窓口指導)する。実証でも窓口指導と銀行融資は相関が高い。つまり中央銀行がバブルを創った原因。与えられた枠組みで貸し出しを続けた。銀行信用供与の指導が成長を支えてきた。もちろん日本だけでなく世界的に似たようなことは行われている。
・91年以降停滞に入ったあと、なぜ日本銀行は何もしなかったのか。90年代は介入よりも構造変革を待っていたところがある。金融政策では何もできないという立場だった。
・バブル崩壊後、日本は簡単に、コストかからずに素早く問題を解決できたはずだ。1945年の金融危機と1991年と比べてみても小さい。違いは中央銀行の政策だ。1945年時には不良債権を買い取り、直接企業へ融資を行い、窓口指導で融資枠を広げていった。
・日本銀行は20年以上銀行信用(Bank Credit)を増やすことをしなかった。量的緩和も本当の銀行信用を増加させるものになっていない。
・理論では「市場が成長を生む」現実は「日本は規制緩和するほど成長がだめになる」実際にカルテルの数が減ると成長率が下がっている。
・人口問題も解決する必要がある。ロシア、オーストラリアはBaby Bonusを導入。それで出生率が回復。重要な中央銀行の必要なものは、Baby Bonusという量的緩和だ。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月29日

世界の貿易システムの将来

11月21日に自由貿易に関するフォーラムに参加。

"Mega-regionalism" and the Future of the Global Trading System

Michael G. Plummer (Director, SAIS Europe and Eni Professor of International Economics: The Johns Hopkins University)

以下、備忘録として。

・貿易自体は、職を作り、貧困を解決する。
・Megaregionalsは、WTOの失敗、FTAのスパゲティボール現象、RTAは改善してきた、ということが背景にある。
・ASEANにとって貿易が占める割合はGDPの100%近くにまで上昇してきた。
・APEC21か国その中の12か国がTPPに参加。
・過去の研究では40%から250%の貿易上昇効果があるという。
・TPPでは、関税の撤廃、サービスや投資ではティブリスト方式に、政府購入、デジタル経済のルール化、IPの保護、そして新しく貿易促進策、国有企業扱い、規制の統一化などが入る。
・GTAPデータベース、現在の貿易理論、関税、非関税障壁、貿易合意を考慮したモデルを構築。
・分析の結果、アメリカ、日本が最も利益を得る。%レベルでみるとベトナム、マレーシア、ブルネイが利益を得る。ただしヨーロッパ、その他の国がスピルオーバー効果で利益が得られるにもかかわらず中国がもっとも損を被る。
・アメリカは熟練労働者、日本は未熟練労働者の要素にいい影響がある。
・TPPは重要かつ利益をもたらし、発展のインパクトを最大化する。

・政治的には、Brexitやトランプ現象と同じく企業.が利益を得るだけ(左派)、統治権の侵害(右派)から批判され、中国の孤立化の可能性がある。
・トランプ政権はTPPを破棄し、中国との対立の可能性(中国製品に課税の姿勢)。
・詳細はこのサイトへ→www.asiapacifictrade.org
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月08日

イングランド銀行

イングランド銀行の博物館に行ってきました。日本銀行の貨幣博物館のようなものです。

IMG_9927.JPG

1)イングランド銀行は民間投資家が出資して1694年に設立されました。これはフランスとの戦争に必要な戦費を調達する政府にお金を貸すところからはじまっています。ナポレオン戦争期の1790年代には政府銀行としての役割を持つようになりました。

2)1800年代に国家の銀行としての役割を固め、第一次世界大戦期に国家負債は増え続けるとともに、国家の金保有、外国為替を管理し、金融政策を行う銀行になりました。1946年に国有化されたようです。

3)イングランド銀行は国家の中央銀行として、インフレを低く抑えること(2%を目標としている)、金融システムを安定させることを主な役割としています。

インフレをコントロールするゲームがあるなど、中央銀行の役割がわかりやすく説明しているいい展示でした。

001.jpg002.jpg
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月01日

時間をどうするか―イギリスのサマータイムから

ロンドンに赴任してから、なぜか日照時間が気になっています。とくに日照時間を人為的に動かすサマータイム(Daylight Saving Time)を10月30日に経験し、「時間を決める」ことに興味を持っています。

ということで今日は、サマータイムを考えてみようと思います。

サマータイムは日本でも導入が時々議論されます。期待される効果は夜の日照時間を人為的に長くして、経済活動を活発化させることです。

効果についてはまだ議論がありますが、日本に馴染みのないサマータイムについて簡単に整理してみました。

1)歴史

1907年William Willettがイギリス・サマータイムという概念を紹介しました。彼は貴重な日照時間を大事にすべきだいうことを主張し、具体的には4月に4回に分けて80分早め、9月に同じように80分もとに戻すという方法を提案しました。しかし、彼のアイデアは採用されませんでした。

(ただし1895年にニュージーランドの昆虫学者George Vernon Hudsonがこのような計画を提案したことがあります。)

彼がなくなる年にドイツは時計変更方案を作成、1916年4月30日に初めてのサマータイムを導入、イギリスもその後を追って5月21日にサマータイムを導入しました。(第一次世界大戦期間で英独は戦争していた。)

2)議論

サマータイムの支持者は、国内石炭消費量を抑えられる、第一次世界大戦のための製造業生産を増加させられる、と主張しました。

一方で反対意見もあります。エネルギー消費への効果も疑問、健康リスクもあるという意見です。

夜が来るのが遅くなるので、夏のエアコン消費量が増えること(ただしイギリスはエアコン使わないのであまり影響がない)、そして朝は暗くなるので子供たちの徒歩通学が危険にさらされるというものです。

支持者たちは、交通事故が減少し、エネルギー消費が抑えられ、観光業を後押しし、人々の野外活動が増加する、と主張します。1980年代ではサマータイムの導入でゴルフ産業の売上が4億ドル伸びたというデータもあります。


3)時間をどうするか

イギリスの世論調査では、53%の人々が永久にサマータイムにしてしまうことを支持し、32%は時間を変更することに反対しています。

2011年にサマータイムのままにしようじゃないかという方案が議会に出されましたが、通りませんでした。

とくにスコットランドにとっては、時間がサマータイムのままになると9時ごろまで朝の太陽が出てこないことになってしまうので、農業や建設業で影響が出るためです。

イギリスでは過去、時間に関する取組みが試行錯誤されてきました。標準時子午線のある国ですが、一時期は現在の時間よりも2時間早めていたこともあります。

時間をどう決めるか、日本でも『天地明察』という小説にありましたが、別の意味で国のあり方を決める重要なテーマのように思います。

DST.jpg

<参考>
ICYMI, the clocks have gone back one hour in the UK - but why do we have Daylight Saving Time?
The Telegraph, 30 Oct 2016
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月26日

国民投票以降のイギリスの将来は?

今日は趣向を変えて、イギリスのEU脱退についてのトークに参加して来ました。

Prof Michael Dougan: What is the future for Britain in Europe after the Referendum?

ドーガン教授はリパプール大学でEU法、憲法など法律の専門家です。

スピーチは短めであとはディスカッションでしたが、話の要約を備忘録として。

・これからUKは内部的な挑戦(UK法の改定、スコットランド国民投票など)と外部的な挑戦(例えばアイルランド、フランスにおける国境の取り扱い(注))にある。
・EU条約、UKは加盟国としてずっと特別に扱われていた中で、UKは何が国家利益なのかそれを特定する必要がある。これからの交渉はUKが一国として再定義される過程である。
・脱退過程は、知られているように来年3月UKが通知して、EUが委員会を立ち上げ50条に基づき進められる。前例がないし、途中で気が変わったなんていうこともできない。もし再度EU加盟となるとすべての特例はなくなるだろう。300万人がUKで働いているし、逆もしかりなのでこの取り扱いは難しい。
・脱退が同意されると、移行期の取り扱いが重要となる。得るものがあるわけではない。損失を小さくしていく過程である。
・いい意味では、これまでEU法に縛られていたものがとれる。実際 スイス、ノルウェーは特別にされているが実際にはEUが上にあるので例えば一つのマーケットと言われれば聞き入れなければならない。
・北アイルランドは難しい問題。UKの中でもっともEUの農業補助金を受けているし、政府雇用も多い。

(注)話ではよくわからなかったが、移民管理の特別な措置が行われている模様。
posted by okmtnbhr at 03:49| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月11日

個人の独立(Individualization)

今日SOAS恒例月曜セミナーは、中国の個人がどのように育つかという問題。

Educating the Chinese Individual: Political Ambitions and Processes of Individualization
Professor Mette Halskov Hansen (University of Oslo)

Hansen教授はSOASの卒業生で、そのため現地調査による参与観察によって中国の個人がどのように個人として独立していくか(いわゆるIndividualizationの過程)を分析しています。

そもそもIndividualismというのは個人主義と言われ、西洋社会の中で注目されてきた概念です。アジアは比較的個人の概念が弱く、「空気を読む」という言葉で知られるように、個人が前面に出るよりは社会を立てる傾向があります。

西洋では、所属組織(家族、階級、性別、制度(教会)など)からの独立が進み、福祉でも伝統的な家族で面倒を見るというものから、社会で福祉を補うようになって、個人が独立してきました。

一方、中国は皮肉なことに政府、あるいは著名な知識人によって封建主義からの脱却というスローガンの下、個人の独立が行われてきました。つまり国家主導による個人の独立過程です。改革開放以降は経済の自由化、制度の変化により、市場での私有化の概念がすすみ、個人が独立した存在として成長してきています。

Hansenは中国浙江省の農村地域にある公立学校を事例にその個人の独立化を考えようとしました。

例えば
Case1 新社会主義における個人の教育では、良い共産主義者としていまだに雷峰同志に学べとしてあるべき個人像が学ばれている。しかし学生も教員もカリキュラムとして学び教えており、形骸化が見られる。

Case2 生徒会での経験
 学校側から生徒会の立ち上げが提案され、生徒側から会長選挙を選ぶ際には先生からの介入が強い。生徒は学校を良くするとかの方針を述べることを許されず、自分は何者かを示すよう求められる。

Case3 学校集会
 学校の精神などを学ぶときに学校集会が開かれ、そして熱狂の中で個人が自己を吐露することがある。

彼女の結論としては、西洋的な個人は社会や政府への反抗で生まれてきたけども、中国のように個人は社会や制度の中でも生まれるのではないかとしています。

この議論はやや悩ましいと思いました。一つは学校を社会のミニチュア版としてみることの妥当性、もう一つは参与観察だけなので、個人が独立してきているのかどうかはなんともいえないでしょう。

むしろ経済学的には市場経済の中における「関係」の存在がどれだけ減ってきたかによって個人が独立しているというのを見ることが可能ではと思いました。

興味がある人はこちらで本が買えます。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月13日

Chinese Economic Association Annual Conference 2016(3)

9月1日から3日にドイツ・デュイスブルグで開催された中国経済学会(ヨーロッパ/UK)に参加、報告してきました。

IMG_9344.JPG

私の報告を紹介。

Okamoto, N.(2016)"What matters in urbanisation of China?"(PDFバージョン), Draft Paper Presented at the Chinese Economic Association Annual Conference 2016, University of Duisburg-Essen, Germany. 2/Sep/2016

The paper reveals the characteristics of urbanisation in China, which has started as a comprehensive social-economic plan since 2014. The current ongoing urbanisation process is examined from the perspective of history, the size of city, village urbanisation and cost-benefits of settlement of rural migrants in cities, then the paper argues that urbanisation in China is not only just a "spatial urbanisation", which has been commonly observed in developed countries, but also a "institutional urbanisation" in which the institutional barrier would be needed to reform if the government wants it to be successful.

発表したとき、フロアからの反応があまりにも薄すぎて、まったく面白くないんだろうな(新規性がないんだろうな)と反省し、現在、鋭意修正中。

Academia.eduでみれる人はドラフト(ここ)として公開しているので、コメント等大歓迎します。

posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月08日

Chinese Economic Association Annual Conference 2016(2)

9月1日から3日にドイツ・デュイスブルグで開催された中国経済学会(ヨーロッパ/UK)に参加、報告してきました。

前回の続きで、面白かったSusan Sirkの内容を紹介。

ちなみに彼女の本はこちら


私の書評はこちら。
危うい超大国

Susan Sirk, U.S. Policy Toward China: A Reassessment and Future Directions

・国際政治では、現存の大国に新しい大国が出てくる時には、価値観や制度の違いから摩擦が生じやすい。

・アメリカは一貫して中国を国際社会に入ることを支援してきた。具体的にはWTO、G7への参加、兵器の不拡散条約などであり、この中国の国際社会へのコミットメントという姿勢は変わらない。しかし基本的人権の側面では、アメリカは有効なツールを持ち得ていない。しかし、社会の進歩に従い、インターネットの浸透によって基本的人権は改善してきた。

・中国はこれまで海外には友好的であり安心させることを主眼としてきた(reassurance policy)。実際に、これによって周辺諸国との国境画定交渉は順調に進んできたといえる。

・中国の姿勢が大きく変わってきたのは2009年である。世界的金融危機によるアメリカ経済への打撃、一方中国の経済的回復の速さは中国をして中国の自信を強めた。この頃から南シナ海での領土拡張を図るようになる。中国の価値観を前面に押し出すようになり、中国は国際的に潜在的なリスクテイカ―になったようだ。

・近年の習近平政権をみていると、状況は以前に逆戻りしているようである。ただこれは将来的に揺り戻しがあるかもしれず、逆に習近平政権のリスクになるかもしれない。

・アメリカのアジアでの姿勢は基本的に変わっておらず、世界が平和的であってほしいと思っている。日中関係が安定的であれば、USは安心できる。ただ漁船衝突などで情勢が不安的になることは憂慮している。(ただ、第二次世界大戦前のドイツ、日本のような感じもしていると付け加えていた。)

posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月06日

Chinese Economic Association Annual Conference 2016(1)

9月1日から3日にドイツ・デュイスブルグで開催された中国経済学会(ヨーロッパ/UK)に参加、報告してきました。

目玉のキーノートスピーチを備忘録としてまとめておきたいと思います。

Justin Yifu Lin(林毅夫), Demystifiying the Chinese Economy
中国経済の今後も当分は経済発展が続けられる。その根拠はマディソンによる長期推計によれば2008年時点で中国の1人当たりGDPは米国の21%であり、後発性の利益を活かす余地がまだ十分ある。これは1951年の日本、1967年のシンガポール、73年の台湾、77年の韓国と同レベルであり、これらの国々が高度経済成長を続けたことを考えればまだ生産性向上の余地があるだろう。また需要面でみても近年輸出が落ち込み、投資が過多になり、消費が伸びていないが、投資の側面でいえば、資本集約産業ではなく技術集約型産業への投資、内陸部のインフラ建設需要、グリーンエネルギー等収益性のある投資空間はまだまだ多い。

Fabrizio Zilibotti, The Economic Growth of China: Past, Present and Future
投資型経済からイノベーション型経済への転換が必要である。統計的分析によれば、新規産業の参入障壁が低く、腐敗が少なくて、R&D投資の多い国々は投資型経済からイノベーション型経済への転換を図り、中進国の罠を抜け出てきた。
中国が短期的な経済成長目標にこだわればこの転換が遅れる。

Guido Tabellini, The Clan and the Corporation: Sustining Cooperation in China and Europe
経済史の観点から、中国がなぜ遅れたかを社会組織(Social Organization)から説明しようと試みる。は中国はClan型であり、ヨーロッパはCorporation型であることが指摘される。Clan型とは血族を大事にし、関係が基本で、Clanへのモラル忠誠が中心で、Corporation型は利害(interest)中心にコミュニティーが形成され、一般化された規範に沿う。どちらが優れているというのはないが、経済発展という点では、法の下の平等、社会的セーフティーネットの整備、個人企業への融資などの観点から経済発展に有利だったといえる。

IMG_9316.JPGIMG_9315.JPG
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月30日

イギリスのEU脱退が教えてくれるもの

ドイツのメルケル首相が、イギリスのEU脱退にあたってはチェリーピックcherry pick(いいところだけのつまみ食い)はありえないと釘をさしました。

これは、イギリスのEU国民投票で離脱派が主張していた、移民をコントロールするけどもEUとの単一市場は可能だ、という主張を否定するものです。

つまり、EU市場と一体化であることと移民コントロールは不可分であり、EUを出ることは、人の管理は可能になるが、同時に市場も失うことだ、とメルケル首相は言っています。

財とサービスの貿易、人の移動について考えてみたいと思います。

1)自由貿易の進展―グローバル化

財とサービスの自由貿易、あるいは貿易ルールの統一化のメリットは、市場の拡大と比較優位による各国の経済発展の可能性が広がるという点です。もちろん比較劣位にある産業への打撃はありますが、国際経済学の分野では、自由貿易は経済成長をもたらすことが実証されています。

したがって多くの国が自由貿易交渉を行っているわけですし、財とサービスの取引を自由にする方向に世界は進んでいます。

2)人の移動

近年では、自由貿易協定の中で、人の移動もトピックとしてあがってきています。つまり自由に労働移動を認めようという方向です。日本でもインドネシア、フィリピン等から看護師を認める等の話題がでました。

この流れが自由貿易地域の形成です。地域内では、財、サービス、お金、人、すべてが自由に移動できるようにしようという考えです。EUはその典型であったといえるでしょう。

経済学では生産要素である労働と資本の移動を考えます。現実問題として、お金はすでに自由に移動しています。ところが労働は国を越えて移動することが難しいです。(ビザ、パスポートなどで管理されている。)

3)生産要素の自由な移動は、「地域」という場所を関係なくする

もし労働移動が自由になると、どこで生産に従事しようが、どこで暮らそうか、それは国民の自由になりますので、「場所」=領土を管理する国家の力が弱まります。

ついでに貿易黒字、赤字も関係なくなります。同じ地域「内」になるので、財を別地域から購入するための所得は、自分が住んでいる地域から得なくても、別地域で働いて得てもいいからです。例えば、ベルギーの人がフランス産ワインを購入するお金は、ベルギーで得る必要はなく、イギリスで働いてもいいわけです。

生産要素の移動が自由になった時、地域という「場所」、そして場所を管理する国家の概念は消えてしまいます。

4)移民の管理

しかし人の移動の自由を認めた結果、イギリスへの大量移民問題でした。英語圏であることから多くのEU後進国から人が流れ込んできます。

そこでやはり人の移動は管理しよう、そのためにEUから出よう、だけど市場としては財・サービスの取引はもらっておこうとなりました。それを許さないとしたのが、ドイツのメルケル首相の発言につながります。

5)「場所」の復活

人の移動を管理するということは、人を一定の場所に縛り付けておくことですので、国家権力を強く必要とします。それに加えて、領土と国民の概念を強く国家に結びつけます。

このように地域境界(Boarder)を設ける意味は、徴税管轄権と公共サービスの実施、つまり政府の登場を意味しています。

EU国民投票は結果として、国家主権を取り戻す(take back control!「離脱派の主張」)ことにつながりました。

6)世界経済の政治的トリレンマ

結局、イギリスのEU国民投票が教えてくれたのは、世界経済の政治的トリレンマかもしれません。

ハーバード大学の経済学者ダニ・ロドリックはグローバル化、国家主権、民主主義の3つのうち、2つしか選択できないとしました。

EUというグローバル化は国家主権を小さくしました。民主主義が尊重され、国民投票が実施されると、国家主権が大きくなって、グローバル化は後退します。

7)イギリスの将来

イギリスは、メルケル首相の態度が変わらなければ、グローバル化から退出せざるを得ません。そして、人の管理という国家主権を取り戻すことはできますが、経済的には繁栄が難しくなるかもしれません。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月09日

新しい都市アジェンダ‐World Cities Report 2016

昨年、国連で「持続可能な開発目標(SDGs)2030アジェンダ」が採用されました。2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継です。

都市人口が世界の54%を占めるようになった現在、そのSDGsを到達するために重要な役割を持っているのが都市です。都市開発においては、1996年イスタンブールでHabitat IIが開催され、今年はその20年目という節目になりました。今年10月にエクアドル・キトでHabitat IIIが開催され、新しい都市アジェンダ(A New Urban Agenda)が採択される予定です。

その下準備ともいえる資料が、World Cities Report 2016です。都市計画・政策の重要性が主張されています。

参考資料(要約)

World Cities Report 2016
(Quick FactとPolicy Pointsを整理。)

第1章 HABITAT IIからHABITAT IIIへ:都市発展の20年
現状
世界の都市地域は20年前の時よりもさらに巨大な課題と挑戦に直面している。

都市は経済、社会、文化、生態という面で運営されており、それらは20世紀の都市モデルとは大きく異なってきている。

過去20年間の恒久的な都市問題は、都市の成長、家族構成の変化、スラム人口の増加、非正式な定住、そして都市サービスの提供である。

それに関連して、都市統治と金融の中で新たなトレンドになっている問題がある。それらは気候変動、疎外と所得格差、治安の不安定、国際移民の増加などである。

政策
きちんと運営されると、都市化は社会と経済の進歩そして生活の質の改善につながる。

現在の都市化モデルは多くの点で持続不可能である。

世界の多くの都市が都市化にともなう挑戦に準備できていない。

新しいアジェンダはこれらの挑戦に効果的に対応でき、都市化が持ち込む機会を最大限利用できるものでなければならない。

新しいアジェンダは都市と人の定住を促すべきで、それらは環境持続的で、回復力を持ち、社会包摂的で、安全で暴力がなく、経済的には生産的なものでなければならない。

第2章 変化を起こす力としての都市化
現状
この20年間、都市は生産、イノベーション、貿易の経済プラットフォームとして台頭してきた。

都市地域は、フォーマルであれインフォーマルであれ就業機会を提供し、新たな民間部門での仕事を生み出してきた。

都市化は生産性の向上、就業機会、改善された生活の質、そしてインフラやサービスへの大規模投資によって何千万もの人々を貧困から救い出してきた。

都市化の変化を起こす力は、一部情報通信技術の発展に負っている。

政策
都市は、持続的な経済成長、発展、繁栄をもたらし、またイノベーションを生み出す積極的かつ潜在的な力を持つようになっている。

都市化のメリットを実現するには、都市の成長をどのように計画し、運営するか、そして都市化の便益をどのように平等に分配するかという点にかかっている。

部門介入から戦略的都市計画へ、そしてより包括的な都市政策プラットフォームが、都市を変えるのに重要である。

情報通信技術が偏って利用される時、デジタルデバイドが発生する。それは不平等を生み出し、情報につながっている裕福な人々と、情報サービスが受けられていない貧困層が共存する形となる。

第3章 住宅の運命
現状
この20年間、住宅事情は一国でも国際でも開発アジェンダの中心ではなかった。

実行可能なアプローチとして採用されてきた住宅政策は、適切かつ手の届く範囲での住宅建設を促すことはなかった。

政府がもっとも関わってきたのは、購入が可能な中産階級層のフォーマルセクターにおける住宅購入だった。

スラム問題は、発展途上国における都市の貧困問題の中心であり続け、全途上国のスラム居住者の割合は1990年から減少しているが、絶対数は増加している。

政策
都市の未来が持続可能なものとするためには、住宅を都市政策の中心におく新たなアプローチが必要である。

UN-Habitatは、持続可能な都市化を達成するために住宅に焦点をあて、新たな都市アジェンダの中心に住宅を置くことを提案している。

国家レベルでの目標は、住宅を国家都市政策に、そしてUN-Habitatが考える計画された都市化の戦略思考に組み入れることである。

地方レベルでは、住宅は、適切な日常のフレームワーク、都市計画とファイナンスの中で、人と都市の発展の一部として扱われ、強化されるべきである。

第4章 広がる都市格差
現状
今日の世界は20年前よりも不公平になっている。世界の75%の都市が20年前よりも所得格差が広がった。

歴史的に都市のダイナミズムとしてとらえられていた、多様な個人の能力、文化背景の機会は多くの地域で停滞している。

今日の多くの都市が、持続的な空間を物理的にも提供できておらず、市民社会、社会経済そして文化的領域のすべてにおいてそれが提供できていない。

隔離された形で低所得の非熟練労働者が空間的に集中しているという事実は、雇用の制限、ジェンダー不均衡、悪化する生活条件、社会的な疎外や限界、高犯罪率という貧困の罠として機能している。

政策
都市はイノベーションの場所である。新しい経済的なアイデアが結晶し、異質な集団が近隣として共存するスペースである。

都市の異質性、高密度、多様性は経済イノベーション、民主的な進展につながり、そのため計画され、管理されるべきであろう。

都市の市民空間から疎外されているという課題には、「都市での権利」や権利志向型アプローチで向き合う必要がある。

Habitat IIIはまさに包摂的な都市への国際的なコミットメントを新しくする時となっている。

第5章 「正しい」環境持続性
事実
2030年までに、世界のエネルギーと水需要はそれぞれ40%、50%増加すると予想されている。

固体廃棄物の処理では、低中所得国の地元政府の年間予算の30%から50%を占める。

都市では、熱波、深刻な降雨や干ばつにみられる気候変動がそれぞれの現象を混ぜ合わせ、災害危機管理をより複雑なものにしている。

極端な出来事に直面して、都市はより公平な環境に貢献できるよう、回復力をもった斬新な方法が必要であることをますます理解するようになってきている。

先進国は途上国に対して気候変動を和らげる金融支援を行っているけれども、この全地球気温が上昇し続けるならば、それは及ばなかったことになる。

政策
都市環境に対する人権志向型アプローチは、完全で豊富な資源に普遍的に依存していることを強調している。

「正しい持続可能性」という定義を都市計画や政策の主流にするには、現在優勢で、時代遅れの先入観に挑戦し、具体的な地域の生態学的制約を考慮していく。

新しい計画アプローチは環境活動への幅広い金融支援を提供し、ただの経済評価を超えた価値ある貢献を認識できるようになっている。

各レベルのガバナンスアプローチを強化することは、低炭素都市になること、将来の都市回復力をを上げることの必要条件である。

第6章 ゲームのルール:都市ガバナンスと立法
事実
多くの国で地方分権化を進めているが、一般的にHabitat IIで目指したものには到達しなかった。

非効率と実行不可能な立法改革は、「普遍性」へのこだわりの反映であり、海外の「ベストプラクティス」の導入は現場の状況を無視したものであった。

発展途上国や移行国の計画規則はしばしば詳細過ぎて、柔軟性がなく遵守するのが難しいので、人々はそれらをすり抜けてしまおうとしてしまう。

地元の詳細な情報に基づいた公共政策を行う行政能力と説明責任が、地方分権には必要であり、それが経済発展に貢献する。

政策
良質の都市法律は、投資、強い経済パフォーマンス、富の創出に貢献する。それは予測可能性と都市開発の秩序を指し示すからである。

効果的な地方政府のガバナンスは、参加型サービスの提供計画、予算、管理とモニタリングの上に成り立つ。一旦、適切な法律的な権力、適切な予算措置、人の能力が与えられると、変わるべき課題を動かすことができる。

成功した法改正のための重要な要素は、信頼性である。法律は文化的に共鳴し、強制力のあるとき信頼性が向上する。

基本的かつ本質的な法律、そして強制力のある派生的な立法への焦点が、持続可能な都市開発に最も効果的なサポートを提供する。

第7章 計画する都市:都市計画の再発明

事実
今日、世界の多くの都市は依然時代遅れの計画モデルに依存している。計画を中心におくこと、それが持続可能な都市開発を達成させることができる。

世界中の都市は、拡大しつつあり、そのため密度が大幅に減少してきている。発展途上国では、2000年から2050年の間に、年間密度が1パーセントずつ減少し、結果、都市部の土地面積は4倍になる見込みである。

ほとんどの都市の計画の枠組みは、ジェンダーに配慮されていない。その結果、女性は、多くの場合、計画プロセスと意思決定の外にある。

計画能力は、発展途上国の多くで不十分だ。ナイジェリア、インドでの都市計画プランナー人口10万人あたりそれぞれ1.44と0.23であるが、英国では、38人いる。

政策
統合された他部門の計画アプローチは、強力な成功体験がある。したがって、より多くの都市で採用されるべきであろう。

地方の状況、ニーズと要求は都市計画の最優先事項であるととともに、多様化する人口への対応としてジェンダーへの配慮と参画が必要である。

計画は、様々な地理的スケールで用意され、持続可能かつ協調的な道路、乗り換え、住宅、経済発展、をサポートするために統合されるべきであり、土地利用は地形的政治的境界を超えて実施されるべきである。

途上国では、教育とプロのプランナーの訓練を増加させ、計画教育の能力を向上させなければならない。

第8章 変化する都市経済のダイナミクス
事実
メガシティと大都市圏は、二次都市よりもグローバル化からより多くの恩恵を受けている。

不十分な都市インフラとサービスが最適な資源配分を可能にする経済成長や活動を妨げている。

集積のメリットは、欠点を補う傾向にあり、不経済を適切に管理するための資源を提供する。

フォーマルな雇用は、急速な都市化と並行して成長しておらず、そのため都市の社会的、経済的不平等を悪化させている。

政策
都市の計画と経済発展政策との間に関連をもたせ、政府のあらゆるレベルにわたって統合されなければならない。

官民パートナーシップ、土地税及び使用料を通じて都市の財政を強化すること、国と都市政府間のより公平な財政協定を発展させることは、持続可能な発展のために不可欠である。

責任の所在がわかるように地方分権化のための法的枠組みを提供することは、都市のガバナンス構造を改善するために不可欠である。

経済発展に都市政策をリンクすることは、競争力と地域経済のパフォーマンスを向上させるために重要である。

第9章 新しい都市アジェンダへの原則
事実
人口増加を予期して新たな都市部の出現と都市部の拡張は、それ自体で、前世期に世界が輩出したものよりも、多くの排出を引き起こしている。

この20年間の都市部での密度の減少は、人口統計と空間的拡大がともに協調していくことを示している。密度の低い都市は、より高いインフラストラクチャのコストをもたらし、モビリティを悪化させ、かつ農地を破壊する。

都市の新たな未来へのダイナミクスは、新しい都市の形、人々の新しい幸福な行動、行動や資源利用の新しいパターン、新しい機会とリスクの結果である。

豊かな国と貧しい国のどちらにおいても、経済と人口統計の重要性が増加しているにもかかわらず、都市の役割は広く理解されておらず、グローバルに政府や公式な場できちんと認識されていない。

政策
公共の利益が基本原則として考慮されなければならず、それによって都市部に影響を与える政策や行動が判断されるべきである。

新しい都市アジェンダが1国の政策で重視されないと、都市の将来は、生産性の低い、より不平等で、より気候変動の影響を受けやすく、貧困層の生活水準は低いままになりかねない。

ハビタットIIIは、持続可能な開発目標の下で包括的で上りゆく未来を示す地図となる。

戦略的・政策的思考で大きな変化を導く一連の原則は、その人権、法の支配を確かなものにするために提示され、公平な開発と民主的な参加こそが新たな都市アジェンダの要諦でもある。

新しい都市アジェンダは、部門ベースのアプローチを越えた一連の実行可能戦略に基づいてなければならない。地域の特異性は、信頼できる新しい都市アジェンダの策定のために考慮されなければならず、問題指向型であり、プログラムされたもので、そして実用的でなければならない。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

The State of Asian and Pacific Cities 2015 (簡単な要約)

昨年UNHABITATから発表された

The State of Asian and Pacific Cities 2015(無料PDF)

を簡単に紹介。来週紹介する予定のWorld Cities Report 2016のアジア版です。これらの報告書は10月にリオで開催されるUNHABITAT3のための報告書という位置づけです。UNHABITAT2が20年前に開催されたので、20年ぶりに新しい都市開発に関するアジェンダが発表されることとなります。

さて、大まかに内容を紹介しますが、主に各章の要約部分を訳出しています。(わかりにくいところ、間違いがあればお許しを)

第1章 人口と都市

1980年から2010年までの間に、この地域の都市は10億人増加し、2040年までにはさらに10億人が増える。地域の人口の半分が2018年までに都市に住み、農村地域は人口減少の時代に入る。

2050年までに中国とインドの都市だけで6億96百万人増加する(インド4.04億人、中国2.92億人)

地域はすでに、東京、デリー、上海の三大世界大都市を含む17のメガシティを擁し、2030年までに22メガシティになる見込みである。

メガシティは、都市、町、村や農村などを取り囲む、大きなメガ都市地域へ道を譲りつつある。そしてそれらの幾つかは計画、非計画的な都市回廊の形でもって国境をも超えている。

メガ都市地域は行政的に分割されていることがあり、その問題は行政的境界を超越している。この衝撃を管理するには新しく、多層的かつ強力的なガバナンスモーダリティーが必要である。

メガシティは地域の都市住民の10%をちょっと超える程度しか収容しておらず、それは全人口の7%に過ぎない。大部分の都市住民は中小都市に住み、地域の都市化移行の大部分がそこで行われている。しかし重要性が増しているにも関わらず、多くの賞都市は人的、資金的、組織的資源が足らない未来に直面している。

多くの都市が成長している中で、成長が停滞あるいは人口が減少している都市もある。理由は、高齢化から就業機会の喪失、脱工業化までさまざまである。

地域には正確なデータがなく、効果的な空間的、経済的、環境的、貧困減少政策が打ち出せない。「都市データ革命」が急務である。

第2章 都市経済

ここ数十年の間、多くのアジア太平洋諸国の政府は都市化を国の開発戦略とリンクしてきた。都市の経済的成功は、国家や地域のそれと完全に一緒になっている。

多くの都市は経済成長、富創出の重要なノードになっている。幾つかの都市経済はすでにアジア太平洋のいくつかの国のGDPを超えている。

多くの都市が「ワールドクラス」「地球的競争」になりたいと熱望しているが、小さな都市や町では、人的、金銭的、組織的資源が不足するという不利さを抱えており、世界的貿易につながる、あるいは利用することができていない。

国家の都市政策や都市計画は小都市・街の経済的機会を創出できるように考えられている。

競争的、低コスト生産は数百万人の人々を貧困から救い、多くの都市中産階級を生み出したが、多くの場合この移行は高い環境的社会的コストを支払っている。

生産の継続と低賃金労働は効果的な長期的発展戦略ではありえず、内包的でも持続的な都市発展にもなりえない。

地域の都市が「中所得国の罠」を乗り越えるには、新しいビジョンとパートナーシップが必要であり、他にも膨大な教育職業投資が必要である。質的成長に着目すべきだ。

都市の貧困と脆弱性は過小評価されたままだ。地域都市住民の三分の一は適切な避難場所、エネルギー、安全な飲み水と衛星にアクセスできていない。

女性と若者は就業と独立した生活障害に直面し続けている。それは正式な教育にアクセスできず、あるいは伝統的家族規範の結果による。

都市貧困が経済的競争への貢献にも関わらず、貧困対策の経済的社会的政策への反映は十分ではないままである。

第3章 移行期にある都市社会

都市社会はより多様に、複雑になってきており、政策担当者の新しい挑戦となってきている。

中産階級の成長は、消費形態、自宅所有、移動、サービスそして都市環境で変更をもたらしている。

しかし中産階級の成長は内包的なものではない。都市貧困層は近年の成長の縁に追いやられ、若者の失業率は高く、移民者はその権利において不利になっている。

都市居住コストの上昇により、貧困層は適切な住宅とサービスを受けることが難しくなってきている。拡大する格差は社会のまとまり、コンセンサスを脅かし、許容範囲はすでに多くの大都市で危機的ポイントに来ている。

よりバランスのとれた成長モデルが必要であり、貧困層、老人、障害を持って暮らす人々に恩恵をもたらすようにしなければならない。

繁栄と内包的な都市の未来へ向けた、競合する需要と格差への対応というバランスには、刷新された都市社会アジェンダ、そして社会政策に十分投資されたものが必要である。

地域の都市の大部分が安全な場所になりつつも、性別による暴力はいまだに大きな挑戦であり、女性の都市生活への完全な参加への障害となっている。

多様性を利用し、公共への関わりや参加への空間を作ること、そして生活の質への投資を行うことができる都市は将来への競争力、居住性という点でいい位置を占めることが可能となろう。

第4章 都市の環境と気候問題

この地域の都市経済は環境搾取的なモデルで成長してきた。その結果多くの都市で巨大な環境問題に直面し、ますます多くの都市が居住性の複数の危機に直面している。

幾つかの環境問題は新しく発生したものであるが(気候変動など)、その他は固定的なもの(大気汚染、衛生問題など)である。多くの都市が存在する新たな環境的なプレッシャーに同時に対応すべく戦っている。

地球温暖化の主要源として、アジア太平洋の都市は低炭素の経済、インフラ、交通を確立していくことが急務である。

新しい経済、都市発展のモデルは都市生態環境への投資、環境サービスが広く提供されるものでなければならない。

伝統的な都市廃棄物管理は耐えられるものではない。廃棄物から資源へというアプローチ、3Rの推進、循環経済という概念を通じて、都市はより効率的な資源利用と廃棄物処理を達成しなければならない。

地域の都市は災害や気候変動のインパクトに対して脆弱である。とくに貧困層と不利な共同体にとってはなおさらである。都市と住民がストレスやショックに対して生き残り、対応し、挑戦していく能力を強化していくことによって、都市の脆弱性を減らすことが可能である。

第5章 都市統治(ガバナンス)

アジア太平洋の都市は、急速な成長、経済転換、社会の複雑性、分裂性の増加、環境インパクトに対してどのように管理するか取り組んでいる。

都市移行を管理するにあたって、各レベルの政府は統治を提供しているという基本的な責任感を取り戻さなければならない。しかし複雑性、都市地域の成長から考えて、政府はすべてのことをしようとするべきではない。むしろ他のステークホルダーとのパートナーシップを結ぶことについて戦略的な役割を果たすべきである。

多くの大都市が都市スプロールと分裂という様相を呈している。都市成長はますます公共と私人、公式と非公式、国家と市民社会という垣根を超える、あるいは曖昧になってきている。都市発展の必要性に対処するためには、国の都市政策に支えられた新しい協力的なcollaborativeガバナンスが必要である。

中央集権的あるいは完全な分権、どちらも効果的な都市ガバナンスの万能薬にはなりえない。具体的な都市、国のコンテキストの中で機能する制度的な配置について注目されるべきである。

公共の政策決定過程を透明にすること、制度的なアカウンタビリティーを確保することは重要な目的となりうる。より責任をもち効率的な地方の制度は効率的なパートナーシップの創出や都市住民の支援と参加を促す上で重要である。

このような挑戦に向かう上で、国家と地方の政府は変化を生み出し管理する重要な責任を有する。これらは統一のとれた国家のガイダンスや政策に支えられて初めて可能である。多くのアジア太平洋の都市は法的、規範的なフレームワーク、制度的な配置を通じて運営されているが、それらは遅れている。

地方と中央政府の権力シェアのギャップに対応する必要がある。地方政府の予算と投資に関する金融的なギャップ、戦略的未来志向の都市計画を推進する上での地方政府の能力のギャップなどである。

posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする