2017年11月21日

中国経済経営学会での報告

11月11日、12日に桃山学院大学で中国経済経営学会全国大会が開催された。

一本論文を報告した。

Spatial and Institutional Urbanisation in China

討論者は藤井大輔先生(大阪経済大学)がしてくださり、とても丁寧なコメントをいただいた。上記でもAcademiaでドラフトを公開するけど、コメントに基づいて修正して、はやめにどこかに投稿したい。

論文概要は以下の通り。

The paper casts new lights on the characteristics of urbanisation in China, which has started as a comprehensive social-economic plan since 2014, from the perspective of ‘spatial urbanisation’ and ‘institutional urbanisation’. The paper argues that urbanisation in China is not only just a ‘spatial urbanisation’, the concentration of population in certain areas, which has been commonly observed in developed countries, but also an ‘institutional urbanisation’ in which the institutional barrier has remained to refrain migrants from being city citizens and to suspend enhancing true urbanisation. The econometric analysis indicates that ‘spatial urbanisation’ will boost manufacturing sectors and the economic growth as a result, and ‘institutional urbanisation’ will cause a structural change towards service industry based economy, which could bring about avoiding so-called ‘middle-income trap’. Nevertheless, the advancement of ‘institutional urbanisation’ is highly costly.

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2017年11月07日

The Northeast Asian Economic Review

昨年、ドイツで報告した学会報告が公刊できた。

OKAMOTO, Nobuhiro.(2017) "What Matters in the Urbanization of China?," The
Northeast Asian Economic Review, Vol. 5, No.2, pp.1-13
(リンク先でPDFファイルが参照可能。)

要約
The paper reveals the characteristics of urbanisation in China, which has started as a comprehensive social-economic plan since 2014. This article examines the current ongoing urbanisation process from the perspective of history, the size of city, village urbanisation and cost-benefits of the settlement of rural migrants in cities. Then the paper argues that urbanisation in China is not only just a "spatial urbanisation", which has been commonly observed in developed countries but also an "institutional urbanisation" in which the institutional barrier is imperative to reform if the government eager to achieve the goal of ideal urbanisation.
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2017年10月31日

日本地域学会、PAPAIOS

日本に帰国して、いろいろとお声をいただいて、学会討論者をさせていただいた。

日本地域学会(10月8日立命館大学衣笠キャンパス)では以下の二本。

Akune and Anacker Measuring the vulnerability of the regional food system in Japan
石川・中村 地域経済効果の帰着分析:地域間産業連関モデルの拡張

阿久根先生のものはフードサプライチェーンへの影響を分析するためにゴッシュモデルを用いたもの、石川先生のものは消費者の行動を地元の人が地元の人によって消費されるという点で内生化モデルを構築しようとするものだった。どちらもIOの可能性の広がりを感じられるものだった。

環太平洋産業連関分析学会(10月23日立命館大学おおさかいばらきキャンパス)では、猪俣氏の

Development of Analytical Frameworks for Global Value Chains: the Role of Input-Output Analyses

をコメント。これはアジ研・WTOの付加価値貿易プロジェクトの一部。国際経済学の発展、グローバル化の進展という現実を振り返り、IOによる付加価値分析を位置づけようとするもの。

この2つの学会のコメントをさせていただいたおかげで、今やっている研究(都市農村のIO分析)に関するヒントを多くもらった。
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2017年10月24日

第19回党大会

現在、中国では第19回党大会が開かれているけど、それに関して10月19日木曜日に面白いセミナーに参加した。

中国の政治・経済報道をどう読むか』田原真司(フリージャーナリスト、元日経BP北京支局長)

仮説をたてて報道を読む、また報道の裏側にあるものを推測するという点でも大いに役立つ講演だった。

今回、19回党大会に関連した話では、主要4大紙から注目されるテーマは、

・習近平の右腕である王岐山の去就。
・習近平思想の党規約の明記や「党主席」の復活。(権力強化)
・習近平の後継者指名はあるのか、陳敏爾の常務委員入りはあるのか

という。

人事は党大会あとの19期一中全会で決まるので、もう少し先になるけど、党大会の重要な議題である党規約はどうなるかが、私個人の注目だ。

腐敗撲滅、社会安定を目指す習近平が自らの権力基盤を固めるようさらに独裁色を強めることができるか、でもこれは実は社会にとって反発を生む可能性さえある方向でもある。

田原氏は、常務委員会のトップ7で物事を決めるのが慣例になっているので習近平がそこまで強い独裁色を出すことに懐疑的だった。

いずれにせよ今週木曜日ぐらいから人事を含めて党大会の決定があきらかになる。

ちなみにSouth China Morning Postに面白い記事があったのでシェア。
Why China’s Xi Jinping is unlikely to anoint a successor
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2017年10月03日

私たちの経済を作った50の発明



ティム・ハーフォードの本を読んで面白かったので、紹介。

ちなみにティム・ハーフォードは


で有名で、Kindle版では2版から2013年版(実質3版)となっている。

日本語訳は以下が出ているけど、タイトルで『ヤバい経済学』を意識していてちょっと残念。(でもこの日本語本を読んで思ったけど私としては『ヤバい経済学』よりも面白かった。)




さて、この50の発明というかイノベーションで今の経済がどう影響しているのか、あるいはどう便利になっているのか、あるいはどう形作られたかが述べられている。

「鍬」によって農業生産、定住社会が作られてきた話をして、「有刺鉄線」によって所有権が明確になり、「パスポート」が人の移動を妨げ、「福祉国家」が誕生する、など(ずいぶんと端折ったけど)、50の人の発明品(ものでないことも多い)が私たちの生活を形作っていることがよくわかる。

個人的には、パスポートの歴史が浅いこと、貨幣のはしりとして、取引可能な負債とタリースティック(符丁のあう棒)などが面白かった。

ちなみにこれはBBCの放送で過去のものはポッドキャストで公開されている。

50 Things That Made the Modern Economy
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2017年09月05日

深圳のメイカーズ

弾丸だけど、サクッと深圳に出張してきた。

深圳で起きている新しい物作りのムーブメントを実際に知りたかったからだ。

最初は、伊藤亜聖氏(東京大学)が滞在しているSeg Makersを見学した。ここは日本の物作りのギークたちが情報交換する場所として機能しているようだ。

日本から新しいものを作りたいという人たちが集まるとともに、中国はもちろんのこと世界から来ている人たちと交流することが可能となっている。設備はパソコンだけだが、物作りに必要な3Dプリンターなども置かれている。そもそもこの建物は中国の秋葉原ともいうべき電子電気部品の卸売市場でもあり、試作品をすぐに深圳のサプライチェーンを使って生産することが可能である。

新しい物作りにHAXというアクセラレーターが深圳に来ている。元はサンフランシスコのベンチャーキャピタルである。世界中の物作りに興味あるグリークたちが競ってアイデアを出し、3%という狭き門をくぐりぬければ10万ドルを株式と引き換えに手に入れることができる。

二件目は、Luke Hendersonが開設しているラボ、STEAM HEADである。3Dプリンターを含めて物作りに必要な道具が所狭しと置かれており、またベッドも用意して世界の物作りグリークたちの居場所となっている。彼は主に教育面でのワークショップを開催しており、道具の使い方を近所のインターナショナルスクールの先生方に教えている。Lukeによると、今深圳には多くのメイカーズ空間があり、コアメンバーは20人ぐらいだという。またメイカーズには2種類あるという。一つは中国政府が資金力で持って開設するメイカーズ。これらには人が集まらず、機械のメンテナンスもあまりよくないという。もう一つは個人のホビーとしてはじめるメイカーズ。こちらの方が活気があると言う。彼のラボはインターナショナルスクールからファンドをもらって毎月5000元の家賃を賄っている。また知り合いからの依頼で物作りに関わりその報酬で生活している。

結局重要なのは人の出入りと活気あるコミュニティの存在である。

三件目に訪問したのはアメリカン・インターナショナル・スクールである。ここでは学校の中にメイカーズスペースを作り、PBL教育が行われている。子供たちが、社会の不便さをモノを使って解決しようとするものであり、物を作るだけでなく、損益計算をしてどう販売するかを考えたりする。総合型のプロジェクトである。教員、保護者の理解を得て、ほとんどの授業をこれでやっており、数学、理科、社会、英語(国語)を一体化させて社会と関連づけて行なっている。

これまで深圳で起きていることは、メイカーズというコミュニティと空間でアイデアが事業になるという単純な利益追求のスタートアップ支援というイメージだったが、今回の訪問で、もっと深いもの、単純に物作りが好きという人たちが集まり、コミュニティーを形成しているということだ。

まだ目に見えて何か世界を変えるようなモノが生まれているわけではないが、何かが起こりそうという意味で大変面白いムーブメントである。
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2017年08月29日

中国の情報化社会

先日「情報化する中国の個人 働き方生活は、どう変わるか(8/24)イブニングセミナー」に参加してきた。 最近のIT化の中国を直接体験されている人の話を聞きたいと思ったからだ。

講師、セミナー概要は

田中信彦「「信用」が中国人を変えるスマホ時代の中国版信用情報システムの「凄み」」Wisdom


とほぼ同じ内容であるが、最近の情報が聞けて大変勉強になった。

概要は、

1)中国のアプリが進み、タクシー、出前、出会い、などなどさまざまな場面でIT化している。

2)このIT化によってアリババの子会社「芝麻信用」(アントフィナンシャル)の信用点数付け(支払い履歴、タクシー運転手による顧客評価など)が中国人の行動に影響を与えつつある。人々は自分の信用をあげようとして、支払いはきちんとするし、借りたものはきちんと返す行為を促している。

3)最近、この情報を政府と共有化する動きがある。つまり個人情報が政府によって管理されてきている。これはいい悪いの問題ではなく、人々の社会に対する行動が反社会的なものから社会に協力的な方向へ動いている。

4)このような動きを支える中国社会の特徴について、@中国は社会問題は統治者が行うべきもの、A档案にみられるように情報を政府が扱うことに慣れていること、B安全感の方がプライバシーよりも優先されていること、C個人中心の社会であり、競争社会と親和性が高いこと、が指摘されている。

というものだ。

この動きについてさまざまな議論が行われたけど、先進国では社会が成熟していること、個人情報に敏感なことがあるので、このようなシステムを社会にいれることは難しいかもしれないこと、でも途上国ではインドも含めてITによる信用管理は社会をよりよいものにする傾向があるので、導入がすすんでいることなどが指摘されていた。

その一方で、AIによる情報一元化と党運営が衝突してくる可能性もあるかもしれないし、世界的にも情報管理と不管理といった新たな対立軸がでてくるかもしれない、といった意見も出た。

非常に刺激的な議論だった。
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2017年08月22日

問題の設定

前回、六甲フォーラムで報告した時に院生から指摘された、「−−の何が問題なのか?」という質問が頭をついて離れない。

社会科学ではたかだかの「事実」を「問題」として扱う傾向があるかもしれない。

例えば、中国では「都市化が工業化に比べて遅れている」という事実がある。これは、世界の工業化率(製造業比率)や都市化率と比較すれば中国の都市化率は低いということ、また時間軸でみても、中国の製造業比率が上昇していたにもかかわらず都市化率は上昇していないということからいえる「事実」がある。

中国政府はこの事実を指摘して、「都市化」の推進が必要とする。つまり、たかだかの「事実」が「好ましくない」ものとして捉えられ、それが解決すべき「政策課題」になっているということだ。客観的な事実に主観的な価値判断が含まれていることになる。

我々中国経済の研究者も「都市化が工業化に比べて遅れている」ということを疑問を持たずきわめて普通に「問題」としてとらえて、研究しているところがあった。

社会科学は客観的な科学であるべきで、事実と意見(仮説)を立て分けなければならない。ところが、

「都市化が工業化に比べて遅れている」という事実を

「都市化が工業化に比べて遅れている」のは問題である、という価値観が含まれた意見にすり替えているのだ。

これは私にとって大きな発見だった。

中国で「都市化が工業化に比べて遅れている」おかげで、農村工業化が進んだわけであり、郷鎮企業が中国経済をけん引していたという事実がある。「都市化が工業化に比べて遅れている」は問題でない。

何かを研究するとき、つねに問いを立てる必要があるが、問いの立て方にあらためて注意を払おうと思った次第。
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2017年08月15日

六甲フォーラムでの報告

8月8日に六甲フォーラムで「空間的都市化と制度的都市化」について報告。

内容的には、去年中国経済学会(UK/Europe)で発表したもののうち、都市化の概念をさらに整理し、それをなんとなく実証したいと思って、過去のシミュレーションをくっつけたというもの。実証分析については新しいデータを集めて、シミュレーションもブラッシュアップする必要はあるが、とりあえずペーパーを完成させて発表させてもらった。

今後のブラッシュアップのために、議論を備忘録として。

1)概念としては、制度的都市化と中国国内で議論される「人口都市化」の違いが明確でない。
2)都市化のコストとして社会保障や教育投資も考慮する必要があるだろうけど、教育投資は便益でもあるのでたてわけが必要。
3)制度的都市化が遅れていることの何が問題が明確でない。

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2017年08月08日

アジア経済研究所の夏期公開講座

更新が遅れたけど、7月24日に行われたジェトロ・アジア経済研究所の夏期公開講座に参加してきた。

今年のタイトルは「中国経済『新常態』の行方」だった。

講師陣とそのタイトル及び概要を備忘録として。

大西康雄「二期目の習政権と経済の『新常態』」

これまでの習政権の成果としては、一定の成長速度を維持し、構造改革を優先させ、行財政改革に取り組んだこと、新型都市化、貧困撲滅、一人っ子政策の緩和を打ち出したこと、対外経済としては、自由貿易試験区、人民元のSDR化、一帯一路、AIIBの設立などがある。

2015年12月の中央経済工作会議から言われるようになったサプライサイド改革はまだ目に見える成果はない。ただし民間の起業意欲と就業は順調。

見通しとしては、過剰生産能力の解消にはまだ時間がかかる、企業、政府財政は持ちこたえられそうであり、民間企業の起業意欲とイノベーションは持続する見込みである。


大橋英夫「対外経済政策の新展開」

これまでは外貨獲得・技術取得、輸出・直接投資を柱にした蛙飛び型の対外開放1.0であったが、近年産業調整、対外投資を中心として雁行形態的な対外開放2.0に移行している。

2013年に上海に自由貿易試験区が設置され、2017年には第三陣の自貿区が発足した。役割は外商投資に対するネガティブリスト、参入前の内国民待遇である。

2013年より「一帯一路」が提唱され、国境を越えた産業移転(国際産能合作)が進みつつある。


丁可「中国におけるイノベーションシステムの展開方向」

中国の起業意欲は高く、衆創空間(インキュベーター、アクセラレーター、メーカースペースなど各種起業支援組織)が爆発的に増加し、ユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上で非上場のベンチャー企業)もアメリカに追いつく勢い。

中国イノベーションの特徴は、@プラットフォーム企業とプラットフォームユーザーによってエコシステムが形成されている(人口が多いためネットワーク効果も大きい)、A十分な資金力(投資ファンドからタクシーアプリ普及のための補助金合戦)、B後発の利益(弱い抵抗勢力、不十分な法整備)、C産業連関効果、である。

問題点は、@インターネットの基づいたビジネスモデルのイノベーション、Aコア技術の先進国依存、などが指摘される。

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2017年07月25日

北京首都機能の移転

中国での都市化は、政府が主導して行われている。

典型的なのが特区、開発区、新区だ。

今年も首都北京の近郊に新都市を建設する国家計画が動き出している。北京の南西約100キロメートルにある河北省の農村に新都市「雄安新区」をつくる。

それだけでなく、北京の首都機能(政府機関)を東郊外の通州区に移すという。

1)過密化

移転の動機は北京の過密化だ。人口が2300万人を超え、地下鉄、バスなどの公共交通機関はほぼ限界にきている。

古都・北京の特徴的な建物や胡同(細い路地)は取り壊されて高速道路や商業施設、オフィスビル、国有銀行・企業に変わった。


2)人口対策

そもそも過密化とは人口増加現象だ。北京市と周辺の衛星都市にはほぼ2200万人が住む。1950年の人口は400万人、80年は900万人だった。現在の市長は建設用の土地利用を減らし、北京市の人口を2300万人に抑えるとしちえる。

再開発でも、農民工の移住を減らそうとしている。城中村の再開発もさることながら、北京市内では、移住労働者を雇用する町の商店や卸売市場を取り壊す動きが進んでいる。このような施策等により北京市への新規移住者数は15年に半減したという。


3)環境対策

過密化で大きな問題は、環境問題である。北京の大気汚染は有名だが、北京市の拡大に伴って地下帯水層の枯渇が危険域に達しているともみられている。

また同時に再開発時には、新たに建物はつくらず、緑地や公共スペースにするともいう。

つまり都市開発を通じて、人口抑制と環境保全を同時に目指そうとしており、すべてが公共事業につながるという意味で、中国らしい過密化対策ともいえる。

<参考>
「FT北京市、人口抑制で都市機能を一部移転へ」『日経新聞』2017年2月8日
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO12665990Y7A200C1000000/
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2017年07月04日

中国の都市伝説

留学生らと話していて,ふと気がついたことがある。それは彼らの中に

「中国の製品は三流である。例え中国製品(Made in China)を認めたとしても,一流品は海外に,二流品は北京,上海などの都市部に,三流品がその他国内に出回っている。」

という考えが染みついている。

これが本当かどうかはわからないし,ただの都市伝説といってしまえばそれまでだ。

でも,都市伝説といってはねつけてしまっても,このような「思いこみ」が彼らの消費行動に影響を与えているのは確かなようだ。

「爆買い」を支える一つの根拠にはなっている。

これを検証した論文があるのかどうかわからないけど,さまざまな中国製品(ただしブランドは海外ものだったりするが)が世界市場にあふれていることをみると,十分技術的には高く,いい物を生産しているように思う。

ちなみにググってみたらこんな記事があった。どうも中国人自身が中国市場での製品に信頼がないのかもしれない。

「日本は三流品を中国に輸出している?「いや、それはデマだ」=中国報道」
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2017年05月30日

中国人留学生の発言

メリーランド大学での一留学生のスピーチが波紋をよんでいる。



流れはこうだ。

彼女がアメリカに来て新鮮な空気を感じた、表現の自由は素晴らしいなどと発言。この発言について、中国国内、アメリカの中国人留学生から叩かれるととともに、中国政府も各個人は発言に気をつけてもらいたいと注文をつけた。

スピーチした本人は、祖国を貶める意図はなかったと謝罪。しかし国内、国外からの彼女への非難は続きそうだ。

スピーチ自体は一学生の感想に過ぎないと思うのだが、感じたことは二つ。

一つは、中国政府の発言の自由に対するコントロールは「国境を超えている」。これはインターネットの発展という要因もあるけど、海外に出て行っても中国人の発言は中国政府の耳に入ることになる。政府と違う意見を持っても、やはりそれは尊重されるべきだろう。でもこの一件で海外にいる中国人は政府と違う見解を持ちにくくなるかもしれない。

そもそも多くの中国人は在外大使館の意向を気にしているふしもある。当該国でデモを行う際にも、当該国の当局に申請するのはもちろんだが、大使館にも連絡しているようだ。とくに大学が招へいする台湾、チベットの要人に対しての反対抗議活動などは大使館が後押ししているようにも見える。

もう一つは、社会の同調圧力はアジアの共通点だ。個人の気持ちよりも社会の考えが優先されることがある。とくに愛国はそれに使われやすい。アジアは列強から支配された経験があり、どうしても西洋列強諸国に対してコンプレックスがある。中国も日本も西洋人が自国文化を褒め称えることがあると、ことさらそれを強調して報道することがあるし、日本でも日本人が海外で自国を貶めるような発言をしたら、同じように日本好きな人たち(愛国者)からなじられることになるだろう。愛国は同調に使われやすい。

それに加えて中国にとって「愛国」というのは政府支持を示す政治的にも重要な態度だ。この記事にもあるように中国国内国外の中国人コミュニティはまるで文化大革命時の「紅衛兵」にも見える。大陸出身の中国人はつねに中国人社会において政治的忠誠心を互いに監視することになっているようにも思える。つまり政治的忠誠心は社会同調圧力の主要な原動力になっている。

個人の自由な感想を持つことを、政府ではなく社会が許さないのである。政府だけでなく社会まで個人の発言を監視するようになったら、これは生きづらいと思う。

The new Red Guards: China's angry student patriots
http://www.bbc.com/news/world-asia-39996940
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2017年05月18日

一帯一路サミット

北京で「一帯一路」サミットが終了して,どのような成果があったのか,South China Morning Postの報道が簡潔にまとめてくれていたので,簡単に紹介。

1.次回の一帯一路サミットを2019年に開催する。次回の開催までに協議委員会と連絡事務所を準備していくという。

2.国際貿易推進として,国際輸入博覧会を来年開催し,海外製品の中国市場参入を促進する。北京は一帯一路国から次の5年間で1000億USドル分の輸入をするという。

3.習近平は新シルクロードのための基金に100億元追加すると発表。中国開発銀行や輸出入銀行も250億元,130億元の貸出枠を設定する。また中国は次の3年間沿線各国の貧困削減に60億元を拠出するという。

4.全部で68の国と国際機関が一帯一路に関する契約に調印したという。270以上の協力プロジェクトや契約がこのサミット期間に調印されたという。ただし詳細は習近平のスピーチでは触れられていない。

5.中国は異なる国に対してただよう疑念を払拭する必要がある。アメリカ,日本は一帯一路構想に疑問を投げかけており,インドは中国パキスタンの経済回廊に関する紛争のため代表団の派遣を見送った。またフランスやドイツ,イギリスは貿易に関する宣言に調印していない。これらの国々はこの構想が政府調達や社会・環境基準がどうなっているか不透明だとしている。

<参考>
South China Morning Post, Five things to watch as China’s belt and road plan unfolds, 17 May 2017

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2017年05月02日

東アジアにおける中国のプレゼンス

最近、北朝鮮問題で東アジアの安全保障が揺らいでいる。

北朝鮮の瀬戸際外交にアメリカの堪忍の緒が切れようとしている。これまではアメリカは北朝鮮に対し静観あるいは無視という方策だった(ブッシュ政権時に「悪の枢軸国」として指摘した以外は)。

トランプ政権に代わってから、シリアへの介入をはじめ、アメリカの態度も変わりつつある。このため、今がおそらく第二次大戦後の時期で、もっとも東アジアの安全保障が不安定になっている時期だろう。

よくも悪くも現在の北朝鮮、米国の緊張を和らげるのは中国しかない。安保理の北朝鮮決議に賛成も示し、エネルギー(石炭)の支援も切り始めた。中国もアメリカと歩調を合わせているかのようにも見える。中国が、圧力と対話で、北朝鮮とアメリカの緊張緩和ができれば中国のアジアにおける安全保障プレゼンスは上昇する。

しかし、基本的に中国の対韓半島への政策は冷戦時代と変わらない。米国支援の統一韓半島よりは核開発で暴れる北朝鮮の方が中国にとっては都合がよい。しかし、一方で経済関係は米国、韓国は欠かせなくなっており、その上北朝鮮の軍事エスカレートは日本の右傾化可能性もあるので、このままの北朝鮮政策を見直す必要に迫られているのは確かだろう。

北朝鮮への圧力はその変化の兆しだろうと思う。

一方で対話も強調しているので、もし中国がこの緊張緩和に成功したら、東アジア安全保障面で中国のプレゼンスは非常に高まる(これが日米が望んでいるかどうかは別にしても)。

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2017年04月25日

恵投御礼

執筆者の方々から昨年度以下の本をご恵投いただきました。



本書の特徴は,中国の勃興を追いつつ,「アジア・コンセンサス」というものを提示しようと試みているところです。



本書は,近年指摘されるようになった中国の二重の罠(中所得国の罠と体制移行の罠)の枠組から中国の今後を考えるものです。

執筆者の方々に感謝申し上げます。
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2017年03月21日

アジア太平洋地域のメガ市場統合

中央大学経済研究所の成果として以下の本が出版。




私は

「第7章  中国の都市化と経済成長へのインパクト」

に寄稿しました。
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2017年03月14日

高福祉国(北欧型)になる条件とは?

デンマーク(コペンハーゲン)、スウェーデン(エルムフルト、ストックホルム)を駆け足で出張して来た。

仕事以外でちょっと感じたことを備忘録として。

北欧は高福祉国として有名だけど、それが成り立つ条件というのがありそうだ。

1)高税金負担
高福祉の財源として、税金、社会保障費の徴収が必要。税金支払いに対して不快感を持たず、高税率に不満を持たない。(なお社会保障は企業負担)

2)国民総背番号制
徴収率を上げて福祉を効率的に分配するためには国民全員の所得等を透明にする必要がある。

3)政府への信頼
税金が無駄なく使われているという安心感、そしてそれが自分に跳ね返ってくるという期待が存在する。それに加えて政治家は清廉であり、少ない給与でも人のために働いていることに喜びを感じている人が選ばれているという信頼。

4)愛国心
徴兵制も含めて国を良くするためには自分も社会に貢献するというボランティア精神が強く、それが高福祉にもかかわらず社会貢献としての勤労意欲につながる。

5)個人と社会の絶妙な関係
働き方が多様であり、個人の都合(嗜好や事情など)を優先しつつ、それを職場や社会と共有する。職場も社会もそれに強く関与せずそれを認める。

感想として日本(もちろん他国も)では難しい。

1)政府に対する信頼はそう簡単に醸成されない。
2)子どもの入学式で休んだ教員が非難される社会で、安心して自分のプライバシーを社会と共有できない。
3)同様に職歴、収入、福祉などを社会に透明にさらすなどは日本にはできない。(北欧では情報がさらされるから高福祉に甘んじて働かないという選択ができないという事情もある。)

高福祉国、つまりある種社会民主主義って個人と社会が情報を強く共有しないと無理なんじゃないかなと思う。いやらしく言うと、相互監視しつつ、個人に干渉しないという絶妙なバランスが必要。卑近な例で言うと、町内の人は各世帯の状況を共有していて、町内会長は清廉な人なので安心してプライバシーを晒し、大好きな町内のためには一生懸命働きつつ、困ったことがあったら助けてもらえるという感じだろうか。

このような社会制度ができるには経済学的には初期条件が大きく効いているような気がする。

北欧という人口が少なく自然環境が厳しい中で、助け合いが必要だったというのもあるかもしれない。例えば、協同組合という考えはイギリスで生まれたけど、デンマークでは早くから農協が発達したらしい。こういうところから相互扶助(逆に言えば相互監視)が発達したのかもしれない。

このような条件がない他の資本主義国で、高税金高福祉をやると企業にとっても消費者にとってもやりにくいと思う。
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2017年03月06日

北アイルランド

中国的には全人代開催中なのですが、関係なく、イギリスネタで(笑)

私が高校、大学生の頃にちょこちょことニュースでアイルランド紛争が報道されていました。その後世界は、天安門事件、ベルリンの壁、アイルランド和平と激動し、その90年代前後を体験できた世代です。

世界で話題になった場所にいっておきたいと思って、2月後半にベルファスト(北アイルランド首都)にいってきました。

ベルファストは、造船、航空機部品等を中心とする重工業都市です。タイタニックもここで作られたようで、タイタニック博物館があり、当時の重工業の発展ぶりが感じられます。

taitanic.jpg

またベルファスト中心部から数マイルいったところの郊外にシャンキル(Shankill)という地域があり、そのあたりが北アイルランド紛争の場所になったようで、たくさんの無実の罪で亡くなった人のを弔うように壁に絵が書かれていました。

Peace Wallというのは、北アイルランド紛争を避けるために、居住地域を分けた形になっています。カソリック(Republican)とプロテスタント(Royalist)を分けていた壁で、ここもたくさんの平和を祈る壁画が描かれていました。

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2017年02月14日

議会制民主主義

イギリスが議会制民主主義の発祥の地ということで、Parliament見学に行ってきました。

議会の発祥は、国王が力のある地主たちに相談を始めたということにあるようです(1066年のノルマンディー公の頃)。その後、国王が勝手に権力を悪用して地主たちに課税したりしないように約束させたマグナカルタ(1215年)以降、地主たち(Barons男爵)が政治のことを相談するようになったのが議会という形になってきました。

(その名残が現在の貴族院。ただし貴族院は現在大部分が一代かぎりで、社会に貢献した人(称号をもらった人など)が任命されているようです。でも無給。)

その後、国王の権力は低下していき、イギリス内乱とその後のチャールズ1世の処刑(1649年)で王政が一旦終了し、共和国になります。その後チャールズII世が王政復古を果たし、1688年の革命でウィリアムIII世率いる議会派によって議会制がほぼ完成しました。

現在も、形式は国王(女王)と議会で政治をすすめることになっています。実質は内閣が国王に代わって政治をしています。

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