2018年06月12日

比較経済体制学会で

先週末に比較経済体制学会(北海道大学)に参加し、一帯一路について考えさせられたので、備忘録として。

一帯一路は具体的なイメージのないものである。中国自身もイニシアチブ(構想)としているし、プロジェクト自体もこの構想が習近平が提唱する前からあるものも多い。またシルクロードという言葉も昔からあるので、政策として分析するのも難しい(伊藤)。

国内的に見ると一帯一路は「政治運動」のようにも見える。地方政府の指導者は「一帯一路」を口実にプロジェクトを実施する。本屋でも一帯一路関連の書籍が大量に出版される(伊藤)。中国の指導者が打ち上げた政策に関する意義を論じるものは多いが(西部大開発など)、学術界自体も踊っているように見える。

一帯一路はユーラシア大陸周辺諸国を対象にするためにロシアの旧ソ連圏とくに中央アジアを巡って利害の衝突と対立が起こる。ロシア側はユーラシア経済連合として中央アジアを取り込み、出稼ぎ先、原油輸入面で中央アジアにメリットがある(金野)。中央アジア側には貿易相手国としてインフラ開発面で中国に期待する向きもある。政治的にはロシアと経済的には中国といった分業も見られるという(広瀬)。

一帯一路を考えるアプローチとしては、安全保障面での国際関係論、国際(国内)政治としての分析(海外、国内からの支持集め)、政策分析というものが考えられるが、ongoingな現象ということもあり、分析角度を設定したりするのが難しい。
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2018年05月10日

寄稿



『世界平和研究』という雑誌のインタビューを受け、インタビューをもとに寄稿しました。

岡本信広(2009)「中国経済発展のしくみと経済改革の行方」『世界平和研究』Vol.44, No.2(通巻217号)pp.48-55



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2018年03月27日

アジ研の中国の都市化プロジェクト

アジ研で実施された中国の都市化プロジェクトの成果が公表された。

岡本信広編(2018)『中国の都市化と制度改革』日本貿易振興機構アジア経済研究所



この中に、私の二本の論文が掲載されている。

岡本信広(2018)「中国の都市化―政府の退出と介入のバランス―(総論)」
岡本信広(2018)「内陸部の都市化―貴州省を事例に―(第3章)」

総論では、中国の都市化を捉えるにあたって、先行研究と中国の歴史から位置づけ、中国の都市化を「政府の退出と介入のバランス」から捉えることを提案するとともに、本書全体の概要をまとめている。

第3章の貴州省の事例では、人が集まりにくい内陸部の都市化は「ビッグプッシュ型都市化」になりやすいことを主張した。

中国の都市化を考えるにあたってのマストアイテムを目指したつもりである。

ちなみにもう少し政治的な側面からはアジ研から以下の本も出ている。

天児慧・任哲編(2015)『中国の都市化 −−拡張,不安定と管理メカニズム−−』アジア経済研究所

この書評(PDF4ページ目)を中国経済経営学会に書いているので参考にしていただきたい。

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2018年03月20日

「一帯一路」構想の展開と日本の対応

アジ研の専門講座「『一帯一路』構想の展開と日本の対応」に行ってきた。

「一帯一路」といっても、何か特別なすごいものではなく、地政学的な中国による直接投資活動という側面が強いと認識している。

確かにアジア地域、ユーラシア大陸、一部アフリカを含めて、今後の経済発展を考えると、インフラ需要やそれに対する資金需要が大きいことは間違いない。この状況を利用して、中国のプレゼンスを高めるべく余剰気味の国内生産力を海外で展開し、その資金を潤沢な外貨準備が支えている。簡単にいってしまえば、これが「一帯一路」である。

実際講演会でも、大西さんは「中国主導の経済圏構築」と「経済構造転換を上から主導」というふうに「一帯一路」構想を位置づけている。

そもそも「一帯一路」は何が問題なのか。川島先生は@援助秩序との関係性、A中国パワーとの関係性、B軍事力(?)、Cソフトパワー(?)、D人権問題、を指摘する。結局、ユーラシア大陸における中国経済の進出(援助、貿易、投資)がこれまでの秩序とどのような関係を築くかが重要だといえるだろう。

中国の対外進出の受け手であるパキスタン(箱崎さん)、スリランカ(荒井さん)の事例を見てみると、各国の経済インフラの構築には役立っている。懸念されたAIIBも他国際機関と協調して国際標準で融資をしているようである(川島先生)。

もちろん各国が負債を抱えてしまい、返済できないとなると、各国のインフラ所有権が中国に移転する可能性もあるわけで、この意味で、ただの援助ととらえていいのかという問題もあろう(川島先生)。

しかし、「一帯一路」は経済学的に分析するとなると難しい。資本や労働に色(国籍)を考えない場合、地球規模での労働や資本の再配分は歓迎すべきなんだろうけど、実際には「色(国籍)」が前面に出ており、これが既存秩序(アメリカ等の影響力)に大きく影響する。

その意味では、「一帯一路」は政治経済学的な現象だ。
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2018年02月27日

Battle for the City

以前、「ジェイン・ジェイコブズ」藤原書店の仕事をした関係で、ジェイン・ジェイコブズのドキュメンタリーである「Battle for the City」の試写会に招待されたので、いってきた。

ジェイン・ジェイコブズの本は面白かったのでいろいろ読んできた。
【参考】
『都市の原理』
『都市の経済学』

今回のドキュメンタリー映画は、『アメリカ大都市の死と生』に代表されるジェイン・ジェイコブズの都市論と、それまでのモダニズムや進歩主義者たちが考えていた都市論(その代表としてモーゼス)の対立として、描くことによってジェイコブズの都市に対する考え方を際立たせているという意味で、いい映画だった。

世界的に都市化は不可逆的に進んでおり、多くの人を収容する都市をどのように計画するかというのが都市の長年のテーマであった。発生するスラムを現代的な建築物に置き換えることによって、都市を魅力的にしようとする都市計画論者の発想は、都市を物理的な建築物の集まりとしてしか見ていない、とジェイコブズは批判する。彼女は都市を人々が住む場所として、その観察力から都市の多様性を大事にして、画一的な街づくりを強く批判してきた。

このドキュメンタリーは、都市を考えるにあたっては「行政と住民は永遠に対立関係」であることを強く示唆している。私も藤原書店の原稿では、都市は政府と個人が対立する場所であることを指摘し、個人の自由意思に基づく都市への移動と都市での経済活動、そしてそれをコントロールしたい政府の関係を中国を舞台に書いた。

この映画も最後に中国で進められている急激な都市化、画一的な建築物の乱立に警鐘を鳴らしている。そこには一見無秩序に見える都市は、複雑だけども秩序的になっているという観点が必要であることを私たちに教えてくれている。

都市を考えている人にとって、本ドキュメンタリーは必見の価値がある秀作である。

リンク先
映画『ジェイン・ジェイコブズ―ニューヨーク都市計画革命』
4月28日から公開予定。

ちなみに昔、この本(↓)を読んだ時にはピンと来なかったことが、このドキュメンタリーを見ることによって、非常に深く理解することができた。


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2018年01月23日

地方の統計が修正されている

昨年1月の遼寧省に続き、今月内モンゴルも工業生産高と財政収入を意図的に多めに推計していたことが判明。

そして、天津濱海新区もGDPデータを1/3下方修正したようだ。昨年の遼寧、今月の内モンゴルについで3件目。

もともと地方幹部にとって、昇進のためにはGDPはとても重要な評価対象なので、数字を誤魔化す意図は理解できるけど、なぜこの1月に公開する気になったんだろうか?

Why Chinese officials are coming clean over cooking the books

この記事によると、習近平のGDP追求から持続成長への意識が地方政府に浸透してきたことと、財政収入の過大推計は今後の負債返済において北京から援助を引き出すのに不利という考え、を指摘している。また昨年、習近平が経済政策決定の際に、数字の不正確さが判断を誤ったという怒りがあったとも伝られている。

また海南省の12市はGDPは幹部評価に入っていないとも指摘しているので、一部地域では確実にGDP一辺倒はなくなってきているのかもしれない。

なぜ、その三地域が修正する気になったのか。とあるチャイナウォッチャーの人によると、習近平との政治的軋轢を指摘していた。つまり習近平に睨まれたので、公開に踏み切ったのではないかという。

まぁここは推測なので、なんとも言えないけど。

習近平政権はGDP一辺倒を修正しようとしているようだけど、共産党が国をリッチにしているよ!というアピールにはGDPは欠かせない道具だし、2020年の全面的小康までには年平均6.5%の成長は必要という。現実的には、GDP成長を続ける必要がある。

ちなみに記事によると、2001年の省別GDPデータを足しあげると、国のGDPを10%以上超えていたようだが(昔、計算した時にそれぐらいだった覚えはある)、2016年データでは、その乖離は3.7%だという。日本の県別GDPを足しあげるとそれぐらいあるはずなので、かなり正確になってきているという感じもする。

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2017年12月27日

合評会:習近平政権を読む

東大で開催された「合評会:習近平政権を読む」に参加してきた。

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これは今年発売されたジャーナリスト(奇しくも朝日の記者ばかり)による本の評論と議論というもの。

一冊目はこれ。


林さんによると、「2012年中国共産党には、指導者間の分裂可能性(薄煕来)、人民と党の乖離という危機があり」その結果、強い習近平政権ができたという。そして、習近平は農民への理解、中国的民主の自信があると指摘する。

高原明夫さんの評論では、横軸(指導者)縦軸(民衆と党)という観点からの話があり、「胡錦濤政権でさまざまな議論が噴出していた。だからリーダーシップが必要だった」と分析する。

二冊目は吉岡さんのこれ。


吉岡さんは「中国崩壊論に対する対応として、中国経済を描き出すために人民元からアプローチした」という。

評者の梶谷さんは、山形さんの評論を紹介しつつ、人民元の歴史やとっかかりにくい通貨をわかりやすく欠いていると評価する。

最後は、


金さんは「少数民族や人権は外国メディアしかできない。少数派からの視点で中国を語ろう」としたという。

評者として、阿古さんは、内容を紹介しつつ、現地調査の客観性、観察者の社会への影響などの問題が語られた。

私としては、林さんの本は習近平政権を理解するのに欠かせない一冊だと思ったし、吉岡さんは前半の人民元の歴史等はとても面白かった。また金さんは非常に精力的な取材で、かなりきわどい問題(新疆や宗教弾圧)に切り込んでいる。

どれも読んで面白い本だった。



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2017年12月12日

香港の過去・現在・未来

12月2、3日に立教大学で開催された香港返還20周年記念シンポが開催された。

学生時代に香港に留学していた身としては、最近の政治動向について憂慮していた。何が起きているのか知りたくて、参加して聞いてきた。

以下備忘録として。

政治(倉田徹)

香港の自治は衰退している。「全面的統治権」(2014)と香港の急激な政治化というバランスの中にある。
香港市民は政治的な関心が低かったが、ここ10年経済的関心よりも民生、政治的関心に移る。脱植民地化し「デモ文化」の復活、それに加えて若者の価値観は強い香港人意識と弱い愛国心という特徴を持つ。返還20周年式典の習近平の講話から考えると、香港を政治に無関心な経済都市に戻す意思を持つように思える。

経済(曽根康雄)

香港は返還時に大陸の市場化に貢献したが(例、資金調達や経営のやり方等)、中国は予想外に発展が速く立場が逆転した(香港株式市場ではすでに大陸系企業の取引額が半分を超えた)。SARS以降北京がCEPAや大陸の旅行解禁で香港の観光を支援してきた。とはいえ、香港の役割は今だ大きい。例えば、人民元の国際化に貢献した(為替が自由化されていないにもかかわらず2016年に人民元のSDR通貨の認定に貢献)。中国は多くの課題があり、それに対して香港の役割はまだまだ大きい。

司法(廣江倫子)

香港の法治はどうなるか?香港基本法はコモンローの体系を持ったまま中国法の中に取り込まれる。雨傘運動から立法会選挙で本土派が生まれたが宣誓で失職。基本法の解釈権は中国にあり、5回実行されている。一方で基本法はコモンロー体系にあり、国際人権法の点で国際化している。解釈は中央が管轄する業務と中央と地方の関係するものに限られていた。国連自由権規約やヨーロッパ人権条約がそのまま香港の人権規約に入っている。終審法院裁判官は外から来る。基本法は中国法、国際法のせめぎ合いの中にある。

教育(中井智香子)

国民教育(愛国教育)が失敗した後(2012年)、「中国歴史科」の中に近現代史、香港史、基本法教育を入れる方針となり、2017年に2018年9月から必修独立科目にするという政治的決定がなされる。香港の公教育は大部分が公的資金を受けた民間団体による自主運営を行う「資助校」が中心であり、その教員協会(教協)が反共なので、北京はここが問題としている。多元的・学校自主から一元、中央集権化が可能になるのか。

社会(澤田ゆかり)

少子高齢化が進んでいるが政府は何もしていない。流動居民は3%、出生率は急激に減少するが越境出産もその数字に影響する。生産人口が減れば香港の企業は大陸に移動するだけであり、問題は高齢者の問題。介護家政婦はインドネシアから急増、引退した高齢者は広東に移動、ただ広東のホームの価格が上がっているという問題がある。

たった2時間弱で多方面にわたる香港の現状がわかって勉強になった。
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2017年12月05日

安徽大学の研究者との交流

12月1日にERINA(環日本海経済研究所)の研究会に参加した。今回は、安徽大学から2名の研究者が来られたので、一般的な話を聞けるとともに、戦略的新興産業の融資についても意見交換ができた。

以下備忘録として、。

安徽省と他省経済水準比較(李光龍)

南京まで1時間、武漢2時間、上海3時間、北京4時間と重要拠点につながる1234戦略がある。安徽・合肥は北京、上海に次ぐ3番目の科学センターイノベーションセンターに指定されており、中国科学院がある。後発性の優位により全国より成長率は2ポイント高い。ただ、1人あたりGDPは全国よりも低く産業構造もサービス業の発展が遅れてるという現状がある。
今後、一帯一路、長江経済帯一体化、京津翼一体化(非首都機能の受け入れ)のチャンスを活かすことが発展への道となるだろう。

安徽省戦略性新興産業融資若干問題研究(斉美東)

戦略的新興産業を発展させるというのは、グローバル経済への対応、中国の持続的発展という環境的要請がある。新エネルギー、新材料、バイオは重要な発展ポイントである。
資金調達は戦略的新興産業の発展を支える。不確実性に対応する必要もある。
政策的金融、商業的金融、ベンチャーキャピタルとしてのリスク投資の3つが現在行われている。現状として規模の経済、集積の経済(安徽省の国家級開発区の数でいうと全国の4位)は働きつつある。
ただし、直接金融市場の発達が遅れ、商業銀行はリスクを恐れ、銀行の産業に対する理解が足らない、中小企業は資金調達に困難、政策性金融は広東に比べても相当低く、政策的基金が民間の呼び水になっていない、などの問題を抱えている。

ディスカッションをして気になったのは、ゾンビ企業の現状についてである。安徽省では破産等は難しく、社会的安定が優先であり、整理は進んでいないという。背景として、李教授が指摘するには、90年代の国有企業改革では一時帰休者が増えても、社会全体は改革を支持していたし、地方指導者も政策的失敗に対しても中央は寛容であったという。今は、社会全体の関心事は多様化しており、また指導者でも反腐敗運動というのもあり政治的な失敗が許されないという。


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2017年11月21日

中国経済経営学会での報告

11月11日、12日に桃山学院大学で中国経済経営学会全国大会が開催された。

一本論文を報告した。

Spatial and Institutional Urbanisation in China

討論者は藤井大輔先生(大阪経済大学)がしてくださり、とても丁寧なコメントをいただいた。上記でもAcademiaでドラフトを公開するけど、コメントに基づいて修正して、はやめにどこかに投稿したい。

論文概要は以下の通り。

The paper casts new lights on the characteristics of urbanisation in China, which has started as a comprehensive social-economic plan since 2014, from the perspective of ‘spatial urbanisation’ and ‘institutional urbanisation’. The paper argues that urbanisation in China is not only just a ‘spatial urbanisation’, the concentration of population in certain areas, which has been commonly observed in developed countries, but also an ‘institutional urbanisation’ in which the institutional barrier has remained to refrain migrants from being city citizens and to suspend enhancing true urbanisation. The econometric analysis indicates that ‘spatial urbanisation’ will boost manufacturing sectors and the economic growth as a result, and ‘institutional urbanisation’ will cause a structural change towards service industry based economy, which could bring about avoiding so-called ‘middle-income trap’. Nevertheless, the advancement of ‘institutional urbanisation’ is highly costly.

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2017年11月07日

The Northeast Asian Economic Review

昨年、ドイツで報告した学会報告が公刊できた。

OKAMOTO, Nobuhiro.(2017) "What Matters in the Urbanization of China?," The
Northeast Asian Economic Review, Vol. 5, No.2, pp.1-13
(リンク先でPDFファイルが参照可能。)

要約
The paper reveals the characteristics of urbanisation in China, which has started as a comprehensive social-economic plan since 2014. This article examines the current ongoing urbanisation process from the perspective of history, the size of city, village urbanisation and cost-benefits of the settlement of rural migrants in cities. Then the paper argues that urbanisation in China is not only just a "spatial urbanisation", which has been commonly observed in developed countries but also an "institutional urbanisation" in which the institutional barrier is imperative to reform if the government eager to achieve the goal of ideal urbanisation.
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2017年10月31日

日本地域学会、PAPAIOS

日本に帰国して、いろいろとお声をいただいて、学会討論者をさせていただいた。

日本地域学会(10月8日立命館大学衣笠キャンパス)では以下の二本。

Akune and Anacker Measuring the vulnerability of the regional food system in Japan
石川・中村 地域経済効果の帰着分析:地域間産業連関モデルの拡張

阿久根先生のものはフードサプライチェーンへの影響を分析するためにゴッシュモデルを用いたもの、石川先生のものは消費者の行動を地元の人が地元の人によって消費されるという点で内生化モデルを構築しようとするものだった。どちらもIOの可能性の広がりを感じられるものだった。

環太平洋産業連関分析学会(10月23日立命館大学おおさかいばらきキャンパス)では、猪俣氏の

Development of Analytical Frameworks for Global Value Chains: the Role of Input-Output Analyses

をコメント。これはアジ研・WTOの付加価値貿易プロジェクトの一部。国際経済学の発展、グローバル化の進展という現実を振り返り、IOによる付加価値分析を位置づけようとするもの。

この2つの学会のコメントをさせていただいたおかげで、今やっている研究(都市農村のIO分析)に関するヒントを多くもらった。
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2017年10月24日

第19回党大会

現在、中国では第19回党大会が開かれているけど、それに関して10月19日木曜日に面白いセミナーに参加した。

中国の政治・経済報道をどう読むか』田原真司(フリージャーナリスト、元日経BP北京支局長)

仮説をたてて報道を読む、また報道の裏側にあるものを推測するという点でも大いに役立つ講演だった。

今回、19回党大会に関連した話では、主要4大紙から注目されるテーマは、

・習近平の右腕である王岐山の去就。
・習近平思想の党規約の明記や「党主席」の復活。(権力強化)
・習近平の後継者指名はあるのか、陳敏爾の常務委員入りはあるのか

という。

人事は党大会あとの19期一中全会で決まるので、もう少し先になるけど、党大会の重要な議題である党規約はどうなるかが、私個人の注目だ。

腐敗撲滅、社会安定を目指す習近平が自らの権力基盤を固めるようさらに独裁色を強めることができるか、でもこれは実は社会にとって反発を生む可能性さえある方向でもある。

田原氏は、常務委員会のトップ7で物事を決めるのが慣例になっているので習近平がそこまで強い独裁色を出すことに懐疑的だった。

いずれにせよ今週木曜日ぐらいから人事を含めて党大会の決定があきらかになる。

ちなみにSouth China Morning Postに面白い記事があったのでシェア。
Why China’s Xi Jinping is unlikely to anoint a successor
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2017年10月03日

私たちの経済を作った50の発明



ティム・ハーフォードの本を読んで面白かったので、紹介。

ちなみにティム・ハーフォードは


で有名で、Kindle版では2版から2013年版(実質3版)となっている。

日本語訳は以下が出ているけど、タイトルで『ヤバい経済学』を意識していてちょっと残念。(でもこの日本語本を読んで思ったけど私としては『ヤバい経済学』よりも面白かった。)




さて、この50の発明というかイノベーションで今の経済がどう影響しているのか、あるいはどう便利になっているのか、あるいはどう形作られたかが述べられている。

「鍬」によって農業生産、定住社会が作られてきた話をして、「有刺鉄線」によって所有権が明確になり、「パスポート」が人の移動を妨げ、「福祉国家」が誕生する、など(ずいぶんと端折ったけど)、50の人の発明品(ものでないことも多い)が私たちの生活を形作っていることがよくわかる。

個人的には、パスポートの歴史が浅いこと、貨幣のはしりとして、取引可能な負債とタリースティック(符丁のあう棒)などが面白かった。

ちなみにこれはBBCの放送で過去のものはポッドキャストで公開されている。

50 Things That Made the Modern Economy
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2017年09月05日

深圳のメイカーズ

弾丸だけど、サクッと深圳に出張してきた。

深圳で起きている新しい物作りのムーブメントを実際に知りたかったからだ。

最初は、伊藤亜聖氏(東京大学)が滞在しているSeg Makersを見学した。ここは日本の物作りのギークたちが情報交換する場所として機能しているようだ。

日本から新しいものを作りたいという人たちが集まるとともに、中国はもちろんのこと世界から来ている人たちと交流することが可能となっている。設備はパソコンだけだが、物作りに必要な3Dプリンターなども置かれている。そもそもこの建物は中国の秋葉原ともいうべき電子電気部品の卸売市場でもあり、試作品をすぐに深圳のサプライチェーンを使って生産することが可能である。

新しい物作りにHAXというアクセラレーターが深圳に来ている。元はサンフランシスコのベンチャーキャピタルである。世界中の物作りに興味あるグリークたちが競ってアイデアを出し、3%という狭き門をくぐりぬければ10万ドルを株式と引き換えに手に入れることができる。

二件目は、Luke Hendersonが開設しているラボ、STEAM HEADである。3Dプリンターを含めて物作りに必要な道具が所狭しと置かれており、またベッドも用意して世界の物作りグリークたちの居場所となっている。彼は主に教育面でのワークショップを開催しており、道具の使い方を近所のインターナショナルスクールの先生方に教えている。Lukeによると、今深圳には多くのメイカーズ空間があり、コアメンバーは20人ぐらいだという。またメイカーズには2種類あるという。一つは中国政府が資金力で持って開設するメイカーズ。これらには人が集まらず、機械のメンテナンスもあまりよくないという。もう一つは個人のホビーとしてはじめるメイカーズ。こちらの方が活気があると言う。彼のラボはインターナショナルスクールからファンドをもらって毎月5000元の家賃を賄っている。また知り合いからの依頼で物作りに関わりその報酬で生活している。

結局重要なのは人の出入りと活気あるコミュニティの存在である。

三件目に訪問したのはアメリカン・インターナショナル・スクールである。ここでは学校の中にメイカーズスペースを作り、PBL教育が行われている。子供たちが、社会の不便さをモノを使って解決しようとするものであり、物を作るだけでなく、損益計算をしてどう販売するかを考えたりする。総合型のプロジェクトである。教員、保護者の理解を得て、ほとんどの授業をこれでやっており、数学、理科、社会、英語(国語)を一体化させて社会と関連づけて行なっている。

これまで深圳で起きていることは、メイカーズというコミュニティと空間でアイデアが事業になるという単純な利益追求のスタートアップ支援というイメージだったが、今回の訪問で、もっと深いもの、単純に物作りが好きという人たちが集まり、コミュニティーを形成しているということだ。

まだ目に見えて何か世界を変えるようなモノが生まれているわけではないが、何かが起こりそうという意味で大変面白いムーブメントである。
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2017年08月29日

中国の情報化社会

先日「情報化する中国の個人 働き方生活は、どう変わるか(8/24)イブニングセミナー」に参加してきた。 最近のIT化の中国を直接体験されている人の話を聞きたいと思ったからだ。

講師、セミナー概要は

田中信彦「「信用」が中国人を変えるスマホ時代の中国版信用情報システムの「凄み」」Wisdom


とほぼ同じ内容であるが、最近の情報が聞けて大変勉強になった。

概要は、

1)中国のアプリが進み、タクシー、出前、出会い、などなどさまざまな場面でIT化している。

2)このIT化によってアリババの子会社「芝麻信用」(アントフィナンシャル)の信用点数付け(支払い履歴、タクシー運転手による顧客評価など)が中国人の行動に影響を与えつつある。人々は自分の信用をあげようとして、支払いはきちんとするし、借りたものはきちんと返す行為を促している。

3)最近、この情報を政府と共有化する動きがある。つまり個人情報が政府によって管理されてきている。これはいい悪いの問題ではなく、人々の社会に対する行動が反社会的なものから社会に協力的な方向へ動いている。

4)このような動きを支える中国社会の特徴について、@中国は社会問題は統治者が行うべきもの、A档案にみられるように情報を政府が扱うことに慣れていること、B安全感の方がプライバシーよりも優先されていること、C個人中心の社会であり、競争社会と親和性が高いこと、が指摘されている。

というものだ。

この動きについてさまざまな議論が行われたけど、先進国では社会が成熟していること、個人情報に敏感なことがあるので、このようなシステムを社会にいれることは難しいかもしれないこと、でも途上国ではインドも含めてITによる信用管理は社会をよりよいものにする傾向があるので、導入がすすんでいることなどが指摘されていた。

その一方で、AIによる情報一元化と党運営が衝突してくる可能性もあるかもしれないし、世界的にも情報管理と不管理といった新たな対立軸がでてくるかもしれない、といった意見も出た。

非常に刺激的な議論だった。
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2017年08月22日

問題の設定

前回、六甲フォーラムで報告した時に院生から指摘された、「−−の何が問題なのか?」という質問が頭をついて離れない。

社会科学ではたかだかの「事実」を「問題」として扱う傾向があるかもしれない。

例えば、中国では「都市化が工業化に比べて遅れている」という事実がある。これは、世界の工業化率(製造業比率)や都市化率と比較すれば中国の都市化率は低いということ、また時間軸でみても、中国の製造業比率が上昇していたにもかかわらず都市化率は上昇していないということからいえる「事実」がある。

中国政府はこの事実を指摘して、「都市化」の推進が必要とする。つまり、たかだかの「事実」が「好ましくない」ものとして捉えられ、それが解決すべき「政策課題」になっているということだ。客観的な事実に主観的な価値判断が含まれていることになる。

我々中国経済の研究者も「都市化が工業化に比べて遅れている」ということを疑問を持たずきわめて普通に「問題」としてとらえて、研究しているところがあった。

社会科学は客観的な科学であるべきで、事実と意見(仮説)を立て分けなければならない。ところが、

「都市化が工業化に比べて遅れている」という事実を

「都市化が工業化に比べて遅れている」のは問題である、という価値観が含まれた意見にすり替えているのだ。

これは私にとって大きな発見だった。

中国で「都市化が工業化に比べて遅れている」おかげで、農村工業化が進んだわけであり、郷鎮企業が中国経済をけん引していたという事実がある。「都市化が工業化に比べて遅れている」は問題でない。

何かを研究するとき、つねに問いを立てる必要があるが、問いの立て方にあらためて注意を払おうと思った次第。
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2017年08月15日

六甲フォーラムでの報告

8月8日に六甲フォーラムで「空間的都市化と制度的都市化」について報告。

内容的には、去年中国経済学会(UK/Europe)で発表したもののうち、都市化の概念をさらに整理し、それをなんとなく実証したいと思って、過去のシミュレーションをくっつけたというもの。実証分析については新しいデータを集めて、シミュレーションもブラッシュアップする必要はあるが、とりあえずペーパーを完成させて発表させてもらった。

今後のブラッシュアップのために、議論を備忘録として。

1)概念としては、制度的都市化と中国国内で議論される「人口都市化」の違いが明確でない。
2)都市化のコストとして社会保障や教育投資も考慮する必要があるだろうけど、教育投資は便益でもあるのでたてわけが必要。
3)制度的都市化が遅れていることの何が問題が明確でない。

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2017年08月08日

アジア経済研究所の夏期公開講座

更新が遅れたけど、7月24日に行われたジェトロ・アジア経済研究所の夏期公開講座に参加してきた。

今年のタイトルは「中国経済『新常態』の行方」だった。

講師陣とそのタイトル及び概要を備忘録として。

大西康雄「二期目の習政権と経済の『新常態』」

これまでの習政権の成果としては、一定の成長速度を維持し、構造改革を優先させ、行財政改革に取り組んだこと、新型都市化、貧困撲滅、一人っ子政策の緩和を打ち出したこと、対外経済としては、自由貿易試験区、人民元のSDR化、一帯一路、AIIBの設立などがある。

2015年12月の中央経済工作会議から言われるようになったサプライサイド改革はまだ目に見える成果はない。ただし民間の起業意欲と就業は順調。

見通しとしては、過剰生産能力の解消にはまだ時間がかかる、企業、政府財政は持ちこたえられそうであり、民間企業の起業意欲とイノベーションは持続する見込みである。


大橋英夫「対外経済政策の新展開」

これまでは外貨獲得・技術取得、輸出・直接投資を柱にした蛙飛び型の対外開放1.0であったが、近年産業調整、対外投資を中心として雁行形態的な対外開放2.0に移行している。

2013年に上海に自由貿易試験区が設置され、2017年には第三陣の自貿区が発足した。役割は外商投資に対するネガティブリスト、参入前の内国民待遇である。

2013年より「一帯一路」が提唱され、国境を越えた産業移転(国際産能合作)が進みつつある。


丁可「中国におけるイノベーションシステムの展開方向」

中国の起業意欲は高く、衆創空間(インキュベーター、アクセラレーター、メーカースペースなど各種起業支援組織)が爆発的に増加し、ユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上で非上場のベンチャー企業)もアメリカに追いつく勢い。

中国イノベーションの特徴は、@プラットフォーム企業とプラットフォームユーザーによってエコシステムが形成されている(人口が多いためネットワーク効果も大きい)、A十分な資金力(投資ファンドからタクシーアプリ普及のための補助金合戦)、B後発の利益(弱い抵抗勢力、不十分な法整備)、C産業連関効果、である。

問題点は、@インターネットの基づいたビジネスモデルのイノベーション、Aコア技術の先進国依存、などが指摘される。

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2017年07月25日

北京首都機能の移転

中国での都市化は、政府が主導して行われている。

典型的なのが特区、開発区、新区だ。

今年も首都北京の近郊に新都市を建設する国家計画が動き出している。北京の南西約100キロメートルにある河北省の農村に新都市「雄安新区」をつくる。

それだけでなく、北京の首都機能(政府機関)を東郊外の通州区に移すという。

1)過密化

移転の動機は北京の過密化だ。人口が2300万人を超え、地下鉄、バスなどの公共交通機関はほぼ限界にきている。

古都・北京の特徴的な建物や胡同(細い路地)は取り壊されて高速道路や商業施設、オフィスビル、国有銀行・企業に変わった。


2)人口対策

そもそも過密化とは人口増加現象だ。北京市と周辺の衛星都市にはほぼ2200万人が住む。1950年の人口は400万人、80年は900万人だった。現在の市長は建設用の土地利用を減らし、北京市の人口を2300万人に抑えるとしちえる。

再開発でも、農民工の移住を減らそうとしている。城中村の再開発もさることながら、北京市内では、移住労働者を雇用する町の商店や卸売市場を取り壊す動きが進んでいる。このような施策等により北京市への新規移住者数は15年に半減したという。


3)環境対策

過密化で大きな問題は、環境問題である。北京の大気汚染は有名だが、北京市の拡大に伴って地下帯水層の枯渇が危険域に達しているともみられている。

また同時に再開発時には、新たに建物はつくらず、緑地や公共スペースにするともいう。

つまり都市開発を通じて、人口抑制と環境保全を同時に目指そうとしており、すべてが公共事業につながるという意味で、中国らしい過密化対策ともいえる。

<参考>
「FT北京市、人口抑制で都市機能を一部移転へ」『日経新聞』2017年2月8日
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO12665990Y7A200C1000000/
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