2016年11月01日

時間をどうするか―イギリスのサマータイムから

ロンドンに赴任してから、なぜか日照時間が気になっています。とくに日照時間を人為的に動かすサマータイム(Daylight Saving Time)を10月30日に経験し、「時間を決める」ことに興味を持っています。

ということで今日は、サマータイムを考えてみようと思います。

サマータイムは日本でも導入が時々議論されます。期待される効果は夜の日照時間を人為的に長くして、経済活動を活発化させることです。

効果についてはまだ議論がありますが、日本に馴染みのないサマータイムについて簡単に整理してみました。

1)歴史

1907年William Willettがイギリス・サマータイムという概念を紹介しました。彼は貴重な日照時間を大事にすべきだいうことを主張し、具体的には4月に4回に分けて80分早め、9月に同じように80分もとに戻すという方法を提案しました。しかし、彼のアイデアは採用されませんでした。

(ただし1895年にニュージーランドの昆虫学者George Vernon Hudsonがこのような計画を提案したことがあります。)

彼がなくなる年にドイツは時計変更方案を作成、1916年4月30日に初めてのサマータイムを導入、イギリスもその後を追って5月21日にサマータイムを導入しました。(第一次世界大戦期間で英独は戦争していた。)

2)議論

サマータイムの支持者は、国内石炭消費量を抑えられる、第一次世界大戦のための製造業生産を増加させられる、と主張しました。

一方で反対意見もあります。エネルギー消費への効果も疑問、健康リスクもあるという意見です。

夜が来るのが遅くなるので、夏のエアコン消費量が増えること(ただしイギリスはエアコン使わないのであまり影響がない)、そして朝は暗くなるので子供たちの徒歩通学が危険にさらされるというものです。

支持者たちは、交通事故が減少し、エネルギー消費が抑えられ、観光業を後押しし、人々の野外活動が増加する、と主張します。1980年代ではサマータイムの導入でゴルフ産業の売上が4億ドル伸びたというデータもあります。


3)時間をどうするか

イギリスの世論調査では、53%の人々が永久にサマータイムにしてしまうことを支持し、32%は時間を変更することに反対しています。

2011年にサマータイムのままにしようじゃないかという方案が議会に出されましたが、通りませんでした。

とくにスコットランドにとっては、時間がサマータイムのままになると9時ごろまで朝の太陽が出てこないことになってしまうので、農業や建設業で影響が出るためです。

イギリスでは過去、時間に関する取組みが試行錯誤されてきました。標準時子午線のある国ですが、一時期は現在の時間よりも2時間早めていたこともあります。

時間をどう決めるか、日本でも『天地明察』という小説にありましたが、別の意味で国のあり方を決める重要なテーマのように思います。

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<参考>
ICYMI, the clocks have gone back one hour in the UK - but why do we have Daylight Saving Time?
The Telegraph, 30 Oct 2016
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2016年10月26日

国民投票以降のイギリスの将来は?

今日は趣向を変えて、イギリスのEU脱退についてのトークに参加して来ました。

Prof Michael Dougan: What is the future for Britain in Europe after the Referendum?

ドーガン教授はリパプール大学でEU法、憲法など法律の専門家です。

スピーチは短めであとはディスカッションでしたが、話の要約を備忘録として。

・これからUKは内部的な挑戦(UK法の改定、スコットランド国民投票など)と外部的な挑戦(例えばアイルランド、フランスにおける国境の取り扱い(注))にある。
・EU条約、UKは加盟国としてずっと特別に扱われていた中で、UKは何が国家利益なのかそれを特定する必要がある。これからの交渉はUKが一国として再定義される過程である。
・脱退過程は、知られているように来年3月UKが通知して、EUが委員会を立ち上げ50条に基づき進められる。前例がないし、途中で気が変わったなんていうこともできない。もし再度EU加盟となるとすべての特例はなくなるだろう。300万人がUKで働いているし、逆もしかりなのでこの取り扱いは難しい。
・脱退が同意されると、移行期の取り扱いが重要となる。得るものがあるわけではない。損失を小さくしていく過程である。
・いい意味では、これまでEU法に縛られていたものがとれる。実際 スイス、ノルウェーは特別にされているが実際にはEUが上にあるので例えば一つのマーケットと言われれば聞き入れなければならない。
・北アイルランドは難しい問題。UKの中でもっともEUの農業補助金を受けているし、政府雇用も多い。

(注)話ではよくわからなかったが、移民管理の特別な措置が行われている模様。
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2016年10月11日

個人の独立(Individualization)

今日SOAS恒例月曜セミナーは、中国の個人がどのように育つかという問題。

Educating the Chinese Individual: Political Ambitions and Processes of Individualization
Professor Mette Halskov Hansen (University of Oslo)

Hansen教授はSOASの卒業生で、そのため現地調査による参与観察によって中国の個人がどのように個人として独立していくか(いわゆるIndividualizationの過程)を分析しています。

そもそもIndividualismというのは個人主義と言われ、西洋社会の中で注目されてきた概念です。アジアは比較的個人の概念が弱く、「空気を読む」という言葉で知られるように、個人が前面に出るよりは社会を立てる傾向があります。

西洋では、所属組織(家族、階級、性別、制度(教会)など)からの独立が進み、福祉でも伝統的な家族で面倒を見るというものから、社会で福祉を補うようになって、個人が独立してきました。

一方、中国は皮肉なことに政府、あるいは著名な知識人によって封建主義からの脱却というスローガンの下、個人の独立が行われてきました。つまり国家主導による個人の独立過程です。改革開放以降は経済の自由化、制度の変化により、市場での私有化の概念がすすみ、個人が独立した存在として成長してきています。

Hansenは中国浙江省の農村地域にある公立学校を事例にその個人の独立化を考えようとしました。

例えば
Case1 新社会主義における個人の教育では、良い共産主義者としていまだに雷峰同志に学べとしてあるべき個人像が学ばれている。しかし学生も教員もカリキュラムとして学び教えており、形骸化が見られる。

Case2 生徒会での経験
 学校側から生徒会の立ち上げが提案され、生徒側から会長選挙を選ぶ際には先生からの介入が強い。生徒は学校を良くするとかの方針を述べることを許されず、自分は何者かを示すよう求められる。

Case3 学校集会
 学校の精神などを学ぶときに学校集会が開かれ、そして熱狂の中で個人が自己を吐露することがある。

彼女の結論としては、西洋的な個人は社会や政府への反抗で生まれてきたけども、中国のように個人は社会や制度の中でも生まれるのではないかとしています。

この議論はやや悩ましいと思いました。一つは学校を社会のミニチュア版としてみることの妥当性、もう一つは参与観察だけなので、個人が独立してきているのかどうかはなんともいえないでしょう。

むしろ経済学的には市場経済の中における「関係」の存在がどれだけ減ってきたかによって個人が独立しているというのを見ることが可能ではと思いました。

興味がある人はこちらで本が買えます。
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2016年09月13日

Chinese Economic Association Annual Conference 2016(3)

9月1日から3日にドイツ・デュイスブルグで開催された中国経済学会(ヨーロッパ/UK)に参加、報告してきました。

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私の報告を紹介。

Okamoto, N.(2016)"What matters in urbanisation of China?"(PDFバージョン), Draft Paper Presented at the Chinese Economic Association Annual Conference 2016, University of Duisburg-Essen, Germany. 2/Sep/2016

The paper reveals the characteristics of urbanisation in China, which has started as a comprehensive social-economic plan since 2014. The current ongoing urbanisation process is examined from the perspective of history, the size of city, village urbanisation and cost-benefits of settlement of rural migrants in cities, then the paper argues that urbanisation in China is not only just a "spatial urbanisation", which has been commonly observed in developed countries, but also a "institutional urbanisation" in which the institutional barrier would be needed to reform if the government wants it to be successful.

発表したとき、フロアからの反応があまりにも薄すぎて、まったく面白くないんだろうな(新規性がないんだろうな)と反省し、現在、鋭意修正中。

Academia.eduでみれる人はドラフト(ここ)として公開しているので、コメント等大歓迎します。

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2016年09月08日

Chinese Economic Association Annual Conference 2016(2)

9月1日から3日にドイツ・デュイスブルグで開催された中国経済学会(ヨーロッパ/UK)に参加、報告してきました。

前回の続きで、面白かったSusan Sirkの内容を紹介。

ちなみに彼女の本はこちら


私の書評はこちら。
危うい超大国

Susan Sirk, U.S. Policy Toward China: A Reassessment and Future Directions

・国際政治では、現存の大国に新しい大国が出てくる時には、価値観や制度の違いから摩擦が生じやすい。

・アメリカは一貫して中国を国際社会に入ることを支援してきた。具体的にはWTO、G7への参加、兵器の不拡散条約などであり、この中国の国際社会へのコミットメントという姿勢は変わらない。しかし基本的人権の側面では、アメリカは有効なツールを持ち得ていない。しかし、社会の進歩に従い、インターネットの浸透によって基本的人権は改善してきた。

・中国はこれまで海外には友好的であり安心させることを主眼としてきた(reassurance policy)。実際に、これによって周辺諸国との国境画定交渉は順調に進んできたといえる。

・中国の姿勢が大きく変わってきたのは2009年である。世界的金融危機によるアメリカ経済への打撃、一方中国の経済的回復の速さは中国をして中国の自信を強めた。この頃から南シナ海での領土拡張を図るようになる。中国の価値観を前面に押し出すようになり、中国は国際的に潜在的なリスクテイカ―になったようだ。

・近年の習近平政権をみていると、状況は以前に逆戻りしているようである。ただこれは将来的に揺り戻しがあるかもしれず、逆に習近平政権のリスクになるかもしれない。

・アメリカのアジアでの姿勢は基本的に変わっておらず、世界が平和的であってほしいと思っている。日中関係が安定的であれば、USは安心できる。ただ漁船衝突などで情勢が不安的になることは憂慮している。(ただ、第二次世界大戦前のドイツ、日本のような感じもしていると付け加えていた。)

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2016年09月06日

Chinese Economic Association Annual Conference 2016(1)

9月1日から3日にドイツ・デュイスブルグで開催された中国経済学会(ヨーロッパ/UK)に参加、報告してきました。

目玉のキーノートスピーチを備忘録としてまとめておきたいと思います。

Justin Yifu Lin(林毅夫), Demystifiying the Chinese Economy
中国経済の今後も当分は経済発展が続けられる。その根拠はマディソンによる長期推計によれば2008年時点で中国の1人当たりGDPは米国の21%であり、後発性の利益を活かす余地がまだ十分ある。これは1951年の日本、1967年のシンガポール、73年の台湾、77年の韓国と同レベルであり、これらの国々が高度経済成長を続けたことを考えればまだ生産性向上の余地があるだろう。また需要面でみても近年輸出が落ち込み、投資が過多になり、消費が伸びていないが、投資の側面でいえば、資本集約産業ではなく技術集約型産業への投資、内陸部のインフラ建設需要、グリーンエネルギー等収益性のある投資空間はまだまだ多い。

Fabrizio Zilibotti, The Economic Growth of China: Past, Present and Future
投資型経済からイノベーション型経済への転換が必要である。統計的分析によれば、新規産業の参入障壁が低く、腐敗が少なくて、R&D投資の多い国々は投資型経済からイノベーション型経済への転換を図り、中進国の罠を抜け出てきた。
中国が短期的な経済成長目標にこだわればこの転換が遅れる。

Guido Tabellini, The Clan and the Corporation: Sustining Cooperation in China and Europe
経済史の観点から、中国がなぜ遅れたかを社会組織(Social Organization)から説明しようと試みる。は中国はClan型であり、ヨーロッパはCorporation型であることが指摘される。Clan型とは血族を大事にし、関係が基本で、Clanへのモラル忠誠が中心で、Corporation型は利害(interest)中心にコミュニティーが形成され、一般化された規範に沿う。どちらが優れているというのはないが、経済発展という点では、法の下の平等、社会的セーフティーネットの整備、個人企業への融資などの観点から経済発展に有利だったといえる。

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2016年08月30日

イギリスのEU脱退が教えてくれるもの

ドイツのメルケル首相が、イギリスのEU脱退にあたってはチェリーピックcherry pick(いいところだけのつまみ食い)はありえないと釘をさしました。

これは、イギリスのEU国民投票で離脱派が主張していた、移民をコントロールするけどもEUとの単一市場は可能だ、という主張を否定するものです。

つまり、EU市場と一体化であることと移民コントロールは不可分であり、EUを出ることは、人の管理は可能になるが、同時に市場も失うことだ、とメルケル首相は言っています。

財とサービスの貿易、人の移動について考えてみたいと思います。

1)自由貿易の進展―グローバル化

財とサービスの自由貿易、あるいは貿易ルールの統一化のメリットは、市場の拡大と比較優位による各国の経済発展の可能性が広がるという点です。もちろん比較劣位にある産業への打撃はありますが、国際経済学の分野では、自由貿易は経済成長をもたらすことが実証されています。

したがって多くの国が自由貿易交渉を行っているわけですし、財とサービスの取引を自由にする方向に世界は進んでいます。

2)人の移動

近年では、自由貿易協定の中で、人の移動もトピックとしてあがってきています。つまり自由に労働移動を認めようという方向です。日本でもインドネシア、フィリピン等から看護師を認める等の話題がでました。

この流れが自由貿易地域の形成です。地域内では、財、サービス、お金、人、すべてが自由に移動できるようにしようという考えです。EUはその典型であったといえるでしょう。

経済学では生産要素である労働と資本の移動を考えます。現実問題として、お金はすでに自由に移動しています。ところが労働は国を越えて移動することが難しいです。(ビザ、パスポートなどで管理されている。)

3)生産要素の自由な移動は、「地域」という場所を関係なくする

もし労働移動が自由になると、どこで生産に従事しようが、どこで暮らそうか、それは国民の自由になりますので、「場所」=領土を管理する国家の力が弱まります。

ついでに貿易黒字、赤字も関係なくなります。同じ地域「内」になるので、財を別地域から購入するための所得は、自分が住んでいる地域から得なくても、別地域で働いて得てもいいからです。例えば、ベルギーの人がフランス産ワインを購入するお金は、ベルギーで得る必要はなく、イギリスで働いてもいいわけです。

生産要素の移動が自由になった時、地域という「場所」、そして場所を管理する国家の概念は消えてしまいます。

4)移民の管理

しかし人の移動の自由を認めた結果、イギリスへの大量移民問題でした。英語圏であることから多くのEU後進国から人が流れ込んできます。

そこでやはり人の移動は管理しよう、そのためにEUから出よう、だけど市場としては財・サービスの取引はもらっておこうとなりました。それを許さないとしたのが、ドイツのメルケル首相の発言につながります。

5)「場所」の復活

人の移動を管理するということは、人を一定の場所に縛り付けておくことですので、国家権力を強く必要とします。それに加えて、領土と国民の概念を強く国家に結びつけます。

このように地域境界(Boarder)を設ける意味は、徴税管轄権と公共サービスの実施、つまり政府の登場を意味しています。

EU国民投票は結果として、国家主権を取り戻す(take back control!「離脱派の主張」)ことにつながりました。

6)世界経済の政治的トリレンマ

結局、イギリスのEU国民投票が教えてくれたのは、世界経済の政治的トリレンマかもしれません。

ハーバード大学の経済学者ダニ・ロドリックはグローバル化、国家主権、民主主義の3つのうち、2つしか選択できないとしました。

EUというグローバル化は国家主権を小さくしました。民主主義が尊重され、国民投票が実施されると、国家主権が大きくなって、グローバル化は後退します。

7)イギリスの将来

イギリスは、メルケル首相の態度が変わらなければ、グローバル化から退出せざるを得ません。そして、人の管理という国家主権を取り戻すことはできますが、経済的には繁栄が難しくなるかもしれません。
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2016年08月09日

新しい都市アジェンダ‐World Cities Report 2016

昨年、国連で「持続可能な開発目標(SDGs)2030アジェンダ」が採用されました。2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継です。

都市人口が世界の54%を占めるようになった現在、そのSDGsを到達するために重要な役割を持っているのが都市です。都市開発においては、1996年イスタンブールでHabitat IIが開催され、今年はその20年目という節目になりました。今年10月にエクアドル・キトでHabitat IIIが開催され、新しい都市アジェンダ(A New Urban Agenda)が採択される予定です。

その下準備ともいえる資料が、World Cities Report 2016です。都市計画・政策の重要性が主張されています。

参考資料(要約)

World Cities Report 2016
(Quick FactとPolicy Pointsを整理。)

第1章 HABITAT IIからHABITAT IIIへ:都市発展の20年
現状
世界の都市地域は20年前の時よりもさらに巨大な課題と挑戦に直面している。

都市は経済、社会、文化、生態という面で運営されており、それらは20世紀の都市モデルとは大きく異なってきている。

過去20年間の恒久的な都市問題は、都市の成長、家族構成の変化、スラム人口の増加、非正式な定住、そして都市サービスの提供である。

それに関連して、都市統治と金融の中で新たなトレンドになっている問題がある。それらは気候変動、疎外と所得格差、治安の不安定、国際移民の増加などである。

政策
きちんと運営されると、都市化は社会と経済の進歩そして生活の質の改善につながる。

現在の都市化モデルは多くの点で持続不可能である。

世界の多くの都市が都市化にともなう挑戦に準備できていない。

新しいアジェンダはこれらの挑戦に効果的に対応でき、都市化が持ち込む機会を最大限利用できるものでなければならない。

新しいアジェンダは都市と人の定住を促すべきで、それらは環境持続的で、回復力を持ち、社会包摂的で、安全で暴力がなく、経済的には生産的なものでなければならない。

第2章 変化を起こす力としての都市化
現状
この20年間、都市は生産、イノベーション、貿易の経済プラットフォームとして台頭してきた。

都市地域は、フォーマルであれインフォーマルであれ就業機会を提供し、新たな民間部門での仕事を生み出してきた。

都市化は生産性の向上、就業機会、改善された生活の質、そしてインフラやサービスへの大規模投資によって何千万もの人々を貧困から救い出してきた。

都市化の変化を起こす力は、一部情報通信技術の発展に負っている。

政策
都市は、持続的な経済成長、発展、繁栄をもたらし、またイノベーションを生み出す積極的かつ潜在的な力を持つようになっている。

都市化のメリットを実現するには、都市の成長をどのように計画し、運営するか、そして都市化の便益をどのように平等に分配するかという点にかかっている。

部門介入から戦略的都市計画へ、そしてより包括的な都市政策プラットフォームが、都市を変えるのに重要である。

情報通信技術が偏って利用される時、デジタルデバイドが発生する。それは不平等を生み出し、情報につながっている裕福な人々と、情報サービスが受けられていない貧困層が共存する形となる。

第3章 住宅の運命
現状
この20年間、住宅事情は一国でも国際でも開発アジェンダの中心ではなかった。

実行可能なアプローチとして採用されてきた住宅政策は、適切かつ手の届く範囲での住宅建設を促すことはなかった。

政府がもっとも関わってきたのは、購入が可能な中産階級層のフォーマルセクターにおける住宅購入だった。

スラム問題は、発展途上国における都市の貧困問題の中心であり続け、全途上国のスラム居住者の割合は1990年から減少しているが、絶対数は増加している。

政策
都市の未来が持続可能なものとするためには、住宅を都市政策の中心におく新たなアプローチが必要である。

UN-Habitatは、持続可能な都市化を達成するために住宅に焦点をあて、新たな都市アジェンダの中心に住宅を置くことを提案している。

国家レベルでの目標は、住宅を国家都市政策に、そしてUN-Habitatが考える計画された都市化の戦略思考に組み入れることである。

地方レベルでは、住宅は、適切な日常のフレームワーク、都市計画とファイナンスの中で、人と都市の発展の一部として扱われ、強化されるべきである。

第4章 広がる都市格差
現状
今日の世界は20年前よりも不公平になっている。世界の75%の都市が20年前よりも所得格差が広がった。

歴史的に都市のダイナミズムとしてとらえられていた、多様な個人の能力、文化背景の機会は多くの地域で停滞している。

今日の多くの都市が、持続的な空間を物理的にも提供できておらず、市民社会、社会経済そして文化的領域のすべてにおいてそれが提供できていない。

隔離された形で低所得の非熟練労働者が空間的に集中しているという事実は、雇用の制限、ジェンダー不均衡、悪化する生活条件、社会的な疎外や限界、高犯罪率という貧困の罠として機能している。

政策
都市はイノベーションの場所である。新しい経済的なアイデアが結晶し、異質な集団が近隣として共存するスペースである。

都市の異質性、高密度、多様性は経済イノベーション、民主的な進展につながり、そのため計画され、管理されるべきであろう。

都市の市民空間から疎外されているという課題には、「都市での権利」や権利志向型アプローチで向き合う必要がある。

Habitat IIIはまさに包摂的な都市への国際的なコミットメントを新しくする時となっている。

第5章 「正しい」環境持続性
事実
2030年までに、世界のエネルギーと水需要はそれぞれ40%、50%増加すると予想されている。

固体廃棄物の処理では、低中所得国の地元政府の年間予算の30%から50%を占める。

都市では、熱波、深刻な降雨や干ばつにみられる気候変動がそれぞれの現象を混ぜ合わせ、災害危機管理をより複雑なものにしている。

極端な出来事に直面して、都市はより公平な環境に貢献できるよう、回復力をもった斬新な方法が必要であることをますます理解するようになってきている。

先進国は途上国に対して気候変動を和らげる金融支援を行っているけれども、この全地球気温が上昇し続けるならば、それは及ばなかったことになる。

政策
都市環境に対する人権志向型アプローチは、完全で豊富な資源に普遍的に依存していることを強調している。

「正しい持続可能性」という定義を都市計画や政策の主流にするには、現在優勢で、時代遅れの先入観に挑戦し、具体的な地域の生態学的制約を考慮していく。

新しい計画アプローチは環境活動への幅広い金融支援を提供し、ただの経済評価を超えた価値ある貢献を認識できるようになっている。

各レベルのガバナンスアプローチを強化することは、低炭素都市になること、将来の都市回復力をを上げることの必要条件である。

第6章 ゲームのルール:都市ガバナンスと立法
事実
多くの国で地方分権化を進めているが、一般的にHabitat IIで目指したものには到達しなかった。

非効率と実行不可能な立法改革は、「普遍性」へのこだわりの反映であり、海外の「ベストプラクティス」の導入は現場の状況を無視したものであった。

発展途上国や移行国の計画規則はしばしば詳細過ぎて、柔軟性がなく遵守するのが難しいので、人々はそれらをすり抜けてしまおうとしてしまう。

地元の詳細な情報に基づいた公共政策を行う行政能力と説明責任が、地方分権には必要であり、それが経済発展に貢献する。

政策
良質の都市法律は、投資、強い経済パフォーマンス、富の創出に貢献する。それは予測可能性と都市開発の秩序を指し示すからである。

効果的な地方政府のガバナンスは、参加型サービスの提供計画、予算、管理とモニタリングの上に成り立つ。一旦、適切な法律的な権力、適切な予算措置、人の能力が与えられると、変わるべき課題を動かすことができる。

成功した法改正のための重要な要素は、信頼性である。法律は文化的に共鳴し、強制力のあるとき信頼性が向上する。

基本的かつ本質的な法律、そして強制力のある派生的な立法への焦点が、持続可能な都市開発に最も効果的なサポートを提供する。

第7章 計画する都市:都市計画の再発明

事実
今日、世界の多くの都市は依然時代遅れの計画モデルに依存している。計画を中心におくこと、それが持続可能な都市開発を達成させることができる。

世界中の都市は、拡大しつつあり、そのため密度が大幅に減少してきている。発展途上国では、2000年から2050年の間に、年間密度が1パーセントずつ減少し、結果、都市部の土地面積は4倍になる見込みである。

ほとんどの都市の計画の枠組みは、ジェンダーに配慮されていない。その結果、女性は、多くの場合、計画プロセスと意思決定の外にある。

計画能力は、発展途上国の多くで不十分だ。ナイジェリア、インドでの都市計画プランナー人口10万人あたりそれぞれ1.44と0.23であるが、英国では、38人いる。

政策
統合された他部門の計画アプローチは、強力な成功体験がある。したがって、より多くの都市で採用されるべきであろう。

地方の状況、ニーズと要求は都市計画の最優先事項であるととともに、多様化する人口への対応としてジェンダーへの配慮と参画が必要である。

計画は、様々な地理的スケールで用意され、持続可能かつ協調的な道路、乗り換え、住宅、経済発展、をサポートするために統合されるべきであり、土地利用は地形的政治的境界を超えて実施されるべきである。

途上国では、教育とプロのプランナーの訓練を増加させ、計画教育の能力を向上させなければならない。

第8章 変化する都市経済のダイナミクス
事実
メガシティと大都市圏は、二次都市よりもグローバル化からより多くの恩恵を受けている。

不十分な都市インフラとサービスが最適な資源配分を可能にする経済成長や活動を妨げている。

集積のメリットは、欠点を補う傾向にあり、不経済を適切に管理するための資源を提供する。

フォーマルな雇用は、急速な都市化と並行して成長しておらず、そのため都市の社会的、経済的不平等を悪化させている。

政策
都市の計画と経済発展政策との間に関連をもたせ、政府のあらゆるレベルにわたって統合されなければならない。

官民パートナーシップ、土地税及び使用料を通じて都市の財政を強化すること、国と都市政府間のより公平な財政協定を発展させることは、持続可能な発展のために不可欠である。

責任の所在がわかるように地方分権化のための法的枠組みを提供することは、都市のガバナンス構造を改善するために不可欠である。

経済発展に都市政策をリンクすることは、競争力と地域経済のパフォーマンスを向上させるために重要である。

第9章 新しい都市アジェンダへの原則
事実
人口増加を予期して新たな都市部の出現と都市部の拡張は、それ自体で、前世期に世界が輩出したものよりも、多くの排出を引き起こしている。

この20年間の都市部での密度の減少は、人口統計と空間的拡大がともに協調していくことを示している。密度の低い都市は、より高いインフラストラクチャのコストをもたらし、モビリティを悪化させ、かつ農地を破壊する。

都市の新たな未来へのダイナミクスは、新しい都市の形、人々の新しい幸福な行動、行動や資源利用の新しいパターン、新しい機会とリスクの結果である。

豊かな国と貧しい国のどちらにおいても、経済と人口統計の重要性が増加しているにもかかわらず、都市の役割は広く理解されておらず、グローバルに政府や公式な場できちんと認識されていない。

政策
公共の利益が基本原則として考慮されなければならず、それによって都市部に影響を与える政策や行動が判断されるべきである。

新しい都市アジェンダが1国の政策で重視されないと、都市の将来は、生産性の低い、より不平等で、より気候変動の影響を受けやすく、貧困層の生活水準は低いままになりかねない。

ハビタットIIIは、持続可能な開発目標の下で包括的で上りゆく未来を示す地図となる。

戦略的・政策的思考で大きな変化を導く一連の原則は、その人権、法の支配を確かなものにするために提示され、公平な開発と民主的な参加こそが新たな都市アジェンダの要諦でもある。

新しい都市アジェンダは、部門ベースのアプローチを越えた一連の実行可能戦略に基づいてなければならない。地域の特異性は、信頼できる新しい都市アジェンダの策定のために考慮されなければならず、問題指向型であり、プログラムされたもので、そして実用的でなければならない。
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2016年08月02日

The State of Asian and Pacific Cities 2015 (簡単な要約)

昨年UNHABITATから発表された

The State of Asian and Pacific Cities 2015(無料PDF)

を簡単に紹介。来週紹介する予定のWorld Cities Report 2016のアジア版です。これらの報告書は10月にリオで開催されるUNHABITAT3のための報告書という位置づけです。UNHABITAT2が20年前に開催されたので、20年ぶりに新しい都市開発に関するアジェンダが発表されることとなります。

さて、大まかに内容を紹介しますが、主に各章の要約部分を訳出しています。(わかりにくいところ、間違いがあればお許しを)

第1章 人口と都市

1980年から2010年までの間に、この地域の都市は10億人増加し、2040年までにはさらに10億人が増える。地域の人口の半分が2018年までに都市に住み、農村地域は人口減少の時代に入る。

2050年までに中国とインドの都市だけで6億96百万人増加する(インド4.04億人、中国2.92億人)

地域はすでに、東京、デリー、上海の三大世界大都市を含む17のメガシティを擁し、2030年までに22メガシティになる見込みである。

メガシティは、都市、町、村や農村などを取り囲む、大きなメガ都市地域へ道を譲りつつある。そしてそれらの幾つかは計画、非計画的な都市回廊の形でもって国境をも超えている。

メガ都市地域は行政的に分割されていることがあり、その問題は行政的境界を超越している。この衝撃を管理するには新しく、多層的かつ強力的なガバナンスモーダリティーが必要である。

メガシティは地域の都市住民の10%をちょっと超える程度しか収容しておらず、それは全人口の7%に過ぎない。大部分の都市住民は中小都市に住み、地域の都市化移行の大部分がそこで行われている。しかし重要性が増しているにも関わらず、多くの賞都市は人的、資金的、組織的資源が足らない未来に直面している。

多くの都市が成長している中で、成長が停滞あるいは人口が減少している都市もある。理由は、高齢化から就業機会の喪失、脱工業化までさまざまである。

地域には正確なデータがなく、効果的な空間的、経済的、環境的、貧困減少政策が打ち出せない。「都市データ革命」が急務である。

第2章 都市経済

ここ数十年の間、多くのアジア太平洋諸国の政府は都市化を国の開発戦略とリンクしてきた。都市の経済的成功は、国家や地域のそれと完全に一緒になっている。

多くの都市は経済成長、富創出の重要なノードになっている。幾つかの都市経済はすでにアジア太平洋のいくつかの国のGDPを超えている。

多くの都市が「ワールドクラス」「地球的競争」になりたいと熱望しているが、小さな都市や町では、人的、金銭的、組織的資源が不足するという不利さを抱えており、世界的貿易につながる、あるいは利用することができていない。

国家の都市政策や都市計画は小都市・街の経済的機会を創出できるように考えられている。

競争的、低コスト生産は数百万人の人々を貧困から救い、多くの都市中産階級を生み出したが、多くの場合この移行は高い環境的社会的コストを支払っている。

生産の継続と低賃金労働は効果的な長期的発展戦略ではありえず、内包的でも持続的な都市発展にもなりえない。

地域の都市が「中所得国の罠」を乗り越えるには、新しいビジョンとパートナーシップが必要であり、他にも膨大な教育職業投資が必要である。質的成長に着目すべきだ。

都市の貧困と脆弱性は過小評価されたままだ。地域都市住民の三分の一は適切な避難場所、エネルギー、安全な飲み水と衛星にアクセスできていない。

女性と若者は就業と独立した生活障害に直面し続けている。それは正式な教育にアクセスできず、あるいは伝統的家族規範の結果による。

都市貧困が経済的競争への貢献にも関わらず、貧困対策の経済的社会的政策への反映は十分ではないままである。

第3章 移行期にある都市社会

都市社会はより多様に、複雑になってきており、政策担当者の新しい挑戦となってきている。

中産階級の成長は、消費形態、自宅所有、移動、サービスそして都市環境で変更をもたらしている。

しかし中産階級の成長は内包的なものではない。都市貧困層は近年の成長の縁に追いやられ、若者の失業率は高く、移民者はその権利において不利になっている。

都市居住コストの上昇により、貧困層は適切な住宅とサービスを受けることが難しくなってきている。拡大する格差は社会のまとまり、コンセンサスを脅かし、許容範囲はすでに多くの大都市で危機的ポイントに来ている。

よりバランスのとれた成長モデルが必要であり、貧困層、老人、障害を持って暮らす人々に恩恵をもたらすようにしなければならない。

繁栄と内包的な都市の未来へ向けた、競合する需要と格差への対応というバランスには、刷新された都市社会アジェンダ、そして社会政策に十分投資されたものが必要である。

地域の都市の大部分が安全な場所になりつつも、性別による暴力はいまだに大きな挑戦であり、女性の都市生活への完全な参加への障害となっている。

多様性を利用し、公共への関わりや参加への空間を作ること、そして生活の質への投資を行うことができる都市は将来への競争力、居住性という点でいい位置を占めることが可能となろう。

第4章 都市の環境と気候問題

この地域の都市経済は環境搾取的なモデルで成長してきた。その結果多くの都市で巨大な環境問題に直面し、ますます多くの都市が居住性の複数の危機に直面している。

幾つかの環境問題は新しく発生したものであるが(気候変動など)、その他は固定的なもの(大気汚染、衛生問題など)である。多くの都市が存在する新たな環境的なプレッシャーに同時に対応すべく戦っている。

地球温暖化の主要源として、アジア太平洋の都市は低炭素の経済、インフラ、交通を確立していくことが急務である。

新しい経済、都市発展のモデルは都市生態環境への投資、環境サービスが広く提供されるものでなければならない。

伝統的な都市廃棄物管理は耐えられるものではない。廃棄物から資源へというアプローチ、3Rの推進、循環経済という概念を通じて、都市はより効率的な資源利用と廃棄物処理を達成しなければならない。

地域の都市は災害や気候変動のインパクトに対して脆弱である。とくに貧困層と不利な共同体にとってはなおさらである。都市と住民がストレスやショックに対して生き残り、対応し、挑戦していく能力を強化していくことによって、都市の脆弱性を減らすことが可能である。

第5章 都市統治(ガバナンス)

アジア太平洋の都市は、急速な成長、経済転換、社会の複雑性、分裂性の増加、環境インパクトに対してどのように管理するか取り組んでいる。

都市移行を管理するにあたって、各レベルの政府は統治を提供しているという基本的な責任感を取り戻さなければならない。しかし複雑性、都市地域の成長から考えて、政府はすべてのことをしようとするべきではない。むしろ他のステークホルダーとのパートナーシップを結ぶことについて戦略的な役割を果たすべきである。

多くの大都市が都市スプロールと分裂という様相を呈している。都市成長はますます公共と私人、公式と非公式、国家と市民社会という垣根を超える、あるいは曖昧になってきている。都市発展の必要性に対処するためには、国の都市政策に支えられた新しい協力的なcollaborativeガバナンスが必要である。

中央集権的あるいは完全な分権、どちらも効果的な都市ガバナンスの万能薬にはなりえない。具体的な都市、国のコンテキストの中で機能する制度的な配置について注目されるべきである。

公共の政策決定過程を透明にすること、制度的なアカウンタビリティーを確保することは重要な目的となりうる。より責任をもち効率的な地方の制度は効率的なパートナーシップの創出や都市住民の支援と参加を促す上で重要である。

このような挑戦に向かう上で、国家と地方の政府は変化を生み出し管理する重要な責任を有する。これらは統一のとれた国家のガイダンスや政策に支えられて初めて可能である。多くのアジア太平洋の都市は法的、規範的なフレームワーク、制度的な配置を通じて運営されているが、それらは遅れている。

地方と中央政府の権力シェアのギャップに対応する必要がある。地方政府の予算と投資に関する金融的なギャップ、戦略的未来志向の都市計画を推進する上での地方政府の能力のギャップなどである。

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2016年07月05日

主権

イギリスのEU国民投票は、主権の範囲というか、国家による支配権という意味の国家主権というものについて考えさせられました。

究極的な理想だけでいえば、人類は一つ、みんな協力して世界政府(議会、裁判所)をつくる、というのが世界の国家間の争いをなくす一つの方法のような気がします。

EUは、各国が憎しみ、いがみ合い、殺し合いした歴史を乗り越えて、各国が統合していく、経済的統合はもちろんのこと、政治的にも統合していく壮大な実験でした。モノや人の移動が自由になり、どこに住んでも経済的活動をしてもEUの一員であり、政治的にもブリュッセルの欧州委員会(議会や裁判所)に統合していく流れでした。

イギリスのEU国民投票によってイギリス国民はEU統合へ反旗を翻しました。大きな理由は、EUのコントロール(法律的)が強い、移民が多く流れ込んできており国内の社会資源(医療、教育)の負担になっているといった点です。イギリスはEUと交渉しながらEUからかなりの優遇を引き出しながらも、国民はそれに満足しない、EUからの支配から抜けるべきだと主張したわけです。

イギリス国内でも割れています。北アイルランドやスコットランドではEU残留を望む声が大きかったので、とくにスコットランドはEUと独立して交渉したい、同時にイギリス(連合王国)から独立する(独立を問う国民投票を行う)準備まで始まっています。

経済的には、主権をもつ政府がその地域の租税と公共サービスを提供します。その地域の住民はその地域内で自由な経済取引が行われます。政治的には、その地域の住民がその地域の政治的代表者を決定し、その代表者たちが政治を行います。

主権の範囲、とくに空間的範囲(人口規模)はどれくらいがいいのでしょう。おそらくそれは公共サービス(負担と支出)の制約のもとで、規模の経済、住民厚生の最大化が図られるところで決まるべきでしょう。

でも政治的な空間的範囲を決めるのは難しいです。基本は民族自決なので一民族一国家なのでしょうが、イギリスのように4つの国が一つの国を構成しているケース、中国のように多くの少数民族を抱える地域もあります。どのように範囲が決められてきたかといえば、それは政治力(軍事力)で決まってきたわけです。

イギリスを例にすると、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各主権が抑えられ、連合王国に主権が委譲されてきたために、連合王国内の経済と政治的安定がもたらされてきました。

EUもそれと同じで政治経済の主権を各国がEUに譲り渡すことによって、EU内の経済統合と政治的安定、とくに平和が維持されてきたと言えます。

イギリスのEU離脱交渉はまだ先ですが、本当にイギリスがEUから離脱することになれば、EUの求心力は下がらざるを得ず、おなじように他国が主権回復を望む可能性もあるでしょう。そのとき、どのように国家主権を超えた地域主権を維持するのか、そして各主権間のバランスはどうするべきか、が問われるように思います。


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2016年06月28日

イギリスのEU国民投票

6月23日にEU加盟の是非を問う国民投票が行われました。結果はみなさんご存知のように、国民の意思はEUからの離脱です。

争点

大きな争点は、経済的利益VS主権であったと言えます。

キャメロン首相(保守党)をはじめ、労働党党首のジェレミー・コービン、イングランド銀行、そして国内エコノミスト、海外ではOECD, IMFなどがEU離脱はイギリスの経済に暗雲をもたらすと主張しました。

一方で、元ロンドン市長のボリス・ジョンソンが国民投票キャンペーンに離脱派として4月ごろから旗幟を鮮明にします。離脱派の主張は、増えすぎるEUからの移民の管理、その他EUからの規制の独立を訴えます。

離脱派の勝因

6月23日の投票の結果、離脱派が勝利します。

離脱派あるいは離脱に投票した人たちでさえ、離脱派が勝つことはあまり想像していなかったようです。各種インタビューをBBCで見ていると、ある意味、保守党のエスタブリッシュメントに対する反感、ワーキングクラスの代表であるはずの労働党が一般庶民の不満を汲み取っていない、という点にも離脱に投票したことがうかがえます。

とくにイングランドの労働者階級、そして高齢者が今回の離脱の原動力になりました。「Take Back Control」という耳に響きやすいフレーズで、イギリスの主権回復!といった気持ちに火をつけたようにも思えます。

移民の増加、NHS(国民保険制度)の破綻危機、失業率、物価の上昇、これらへの庶民の不満を現在の政治が汲取っていないというやりきれない思いが離脱という結果を導いたといえるでしょう。


今後の流れ

離脱とはいえ、すぐに離脱できるわけではありません。これからイギリスは約2年かけてブリュッセル(EU)と離脱交渉を始めていきます。

また残留派が多数を占めたスコットランドは2回目の独立国民投票をやる方向に向かいます。連合王国が離脱を決定したとはいえ、スコットランドの国民は残留を求めているので、その意思を尊重する、という形です。

EU自体も求心力を失うでしょう。EU加盟国でもドイツ、フランス、イギリスが拠出金についても重要な柱でしたが、イギリスが抜けることは政治的にも経済的にもダメージです。フランスでもFrexit(フランス離脱)という言葉も出始めているので、EUという壮大な政治経済統合という取り組みは失敗に終わるかもしれません。


中国への示唆

中国について考えてみると、北京上海の大都市が農民移住をコントロールする問題は、まさにイギリスがEUからの移民をコントロールする問題と同じです。イギリスでは教育、医療が無料のため、そして英語であること、給与が高いことから、EU内、とくに東欧の発展の遅れている国からの移民が増加しつづけました。これがイギリス国内の教室不足、医療不足を招くとともに、財政負担になっているとされます。

また民主化についても中国には衝撃が大きいでしょう。国民投票によって、国の意見が分裂するのをみると、香港、内モンゴル、チベット、新疆などを抱える中国には脅威に映っていると思います。共産党にとってますます国民による投票という行為は受け入れがたいでしょう。
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2016年06月14日

「ジェイン・ジェイコブズの世界」藤原書店

藤原書店の別冊『環』企画、「ジェイン・ジェイコブズの世界」に寄稿しました。

「ジェイン・ジェイコブズの世界」では多彩な顔触れで、都市思想家であるジェイコブズを語っているので、都市や地域を考えるのにオススメ特集です。(藤原書店のウェブサイトで目次が見られます。)

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私は、ジェイン・ジェイコブズの思想から中国の都市化にアプローチしてみました。ジェイン・ジェイコブズの考えを自分なりに咀嚼して、ジェイン・ジェイコブズから中国の都市をみたらどうなるかという感じで書いたので、私にとっても楽しい仕事でした。

アダム・スミスが経済に関する偉大な思想家であるとともに、ジェイコブズは都市に関するアマチュア思想家です。彼女が与えた影響は非常に大きく、経済学でもJacobs外部性としてモデルにも取り込まれています。もちろん思想ですので、スミスと同じく、読み返すと「?」という部分もありますが、読むたびに新たな刺激を受け、都市を考える上で示唆的です。

ジェイコブズの貢献は二つあると思います。

一つは都市の盛衰メカニズムを明らかにしようとしたこと、もう一つは政府と個人の関係を明らかにしようとしたことです。「ジェイン・ジェイコブズの世界」の寄稿では、前者を「都市動態メカニズム仮説」として整理し、中国の都市化を診断してみました。

後者については、私は都市を「政府の管理と個人の自由がせめぎ合う場所」として定義し、中国の新型都市化について一考してみました。これについては、政府がどのように都市化を推進し、個人や企業が市場でどのような反応を起こすのかという観察・作業がまだまだ必要です。

中国の都市化はこれからも続きます。中国の都市化が何を生み出すのか、分析を続けて、将来的に都市に関する見方や思想面でも貢献したいものです。
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2016年06月07日

地方税はどうあるべきか?―カウンシルタックスから考える

先月、居住地の区役所からカウンシルタックス(Council Tax)の請求書が届きました。

カウンシルタックスとは自分が住む区に納める税金で、ほんの一部はロンドン市にも納められる日本で言う市町村税(地方税)です。

この税金は、住居と住人(大人)にかかる地方税の位置づけであり、所得とは関係ありません。賃貸、持ち家に関わらず基本は住まいの広さとそこに住む住人の数によって決定されます。私の場合、60平米程度の2ベットルームの住居、大人2人で1333ポンド(1年)になりました。日本円にして、大人1人1カ月1万円程度になります。

公共サービスは所得に関係なく多くの人が受けるものなので地方税は一律に、国税は所得再分配機能を持たせて所得に比例させるというのが税の理想です。これは、応益性と応分性という概念に集約されます。

応益性とは、住んでいる人が受けるサービスの費用をみんなで平等に負担するという考えです。上下水道、道路工事や維持、公園の清掃管理、ごみ収集、教育などなど住んでいる地域の政府が行う公共サービスの範囲は広いです。この公共サービスは住んでいる住民全員に行き渡ります。したがって、これに関わる費用をみんなで均等に分けて、負担しようじゃないかと考えるのが応益性です。

一方、応分性とは、住んでいる人の所得が高い人はその分多く費用を負担しようじゃないかと考えるのが応分性です。この根拠は、その人の機会コストです。所得が高い人が仕事を休んで、公共サービスを提供する側に回った場合、彼に支払うべき機会費用は、所得が低い人に比べて高くなります。つまり生産性の高い人は生産性の高い公共サービスを提供するはずにもかかわらず、それが実際にはかなわないので、その分費用を負担してもらうという考え方です。

日本の地方税は所得で決まるので応分性が強く、イギリスの地方税はその存在にかかるので応益性によって決まっているといえるでしょう。

どちらがいいか、というのは税制として考えるのか、経済政策として考えるかによって変わってくると思います。公共性という点では、おそらく応益性で地方税を徴収する方がいいと思いますが、所得再分配を行うという点については応分性を考慮した税制の方がいいでしょう。

私も、イギリスの公共サービスを受けているので、カウンシルタックスは喜んで支払いました(笑)

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2016年05月28日

EU加入の是非に関する国民投票(イギリス)

6月、イギリスでは国の将来を大きく決める国民投票が行われます。それは、EUにこのまま加入すべきか、それとも離脱するべきかです。

世論の状況ではどちらも5分5分で、どうなるか予断を許しません。

EUはヨーロッパ各国が加盟する経済統合体です。加盟の程度によって、かなり主権が制限されます。イギリスはポンドを使っていますが、他の国ではユーロを使っています。ユーロを使う国は通貨発行権という国家の主権をEUに引き渡していることを意味します。EUには議会もありますし、政府のような委員会も、そして最高裁判所のようなものまで作られ、かなり政治的にも統合が進んでいます。

イギリスのEU離脱派は、この主権の喪失がイギリスを苦しめているとします。EU第3位の資金拠出国であるにも関わらずEU改革への影響が与えられない、EUからの移民がイギリスの社会保障制度を圧迫している、などがその例です。

一方、EU残留派は、経済統合によるメリットを主張します。経済統合によって、イギリスは経済成長を可能にしている、EUから離れれば失業が増え、輸出入にも影響を与え、私たちの経済生活が脅かされると、中央銀行、IMF高官の発言、経済学者のシミュレーション結果を用いて、主張しています。

これらの議論は、アジアの経済統合を考える上で参考になります。また移民コントロールの話は中国の戸籍制度改革(農民を都市に移住させない)を考える際にも、参考になります。

6月はこの国民投票でイギリス中の報道が過熱しそうなので、私も注視しつつ、中国経済の参考にしてみたいと思っています。
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2016年04月15日

在外研究に出ています。

4月1日よりイギリスのSOAS(東洋アフリカ学院,ロンドン大学)で研究することになりました。任期は来年の3月末までです。

Department of Economics
Faculty of Law and Social Sciences
SOAS, University of London

大学の海外研究員制度を利用して,一年間在外研究に取り組みます。研究テーマは日本で続けてきた中国の都市化です。SOASの各種セミナーに出席しつつ,また中国からくる専門家とも交流しながら,イギリスを中心とした英語圏における中国研究の状況を理解したいと思っています。
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2016年03月29日

中大経済研究所の研究合宿

3月19日〜20日と湯河原で中大経済研究所の研究合宿が開かれました。温泉を味わいつつ,集中的に研究会のテーマ(アジア経済圏)について議論するというものです。

今回もいろいろTPPについていろいろ勉強になりました。とくに石川幸一先生のTPPの解説と中国への影響が面白かったので備忘録として。

今回合意されたTPPの概要は以下の通り。

1)高い自由化率ー関税撤廃が100%、日本は95%(聖域5品目があるため)

2)新しいルールとして、@国有企業(非商業的援助の禁止)、A電子商取引(データセンターの設置、ソースの開示などの条件を設けない)、B知的財産(著作権保護期間70年)、C労働環境の保護(タイが不利)、D原産地規準(完全累積、ヤーンフォーワード)などがもうけられた。

TPPに加盟していない中国への影響としては,以下の通り。

1)完全累積基準により中国の輸出が減少する可能性。TPP域内国で生産された財の付加価値が50%以上になるように生産した方がTPPの恩恵を受けることができるため。

2)対中投資が減少する可能性。とくにヤーンフォーワードによって繊維製品の糸から製品までの生産チェーンは域内で行なわれることが前提になるので,繊維製品の生産拠点は中国からTPP域内国へ移転する可能性があるという。

3)もし,中国がTPPに加盟を求めるようになったとしても,国有企業改革など中国にとってはハードルの高いルールになった。

現在TPPは合意各国の批准手続きを待って発行されます。不安材料は,アメリカ大統領選の行方によって,アメリカ議会がTPPを批准しない可能性もあるという点でしょうか。

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2016年03月22日

中国の都市化の現状と課題

3月16日から19日まで、国家信息中心経済予測部と貴安新区発展研究中心の専門家が日本に来ました。3月16日にはERINA(環日本海経済研究所)でアジ研と一緒にワークショップを開催,また3月18日にはアジ研で日本の都市化について議論しました。

中国は工業化に比べて都市化が遅れてきました。実際、中国の都市は開発区に見られるように「生産拠点」であり「消費拠点」ではありませんでした。途上国の平均都市化率は約60%、中国の都市化率は14年で56%、戸籍人口では40%しかありません。16%の農民工(2億前後)が都市で生産活動に勤しむ形になっています。

現在行われている新型都市化は、まさに都市に住む人口の16%の農民を都市住民にしてて消費主体へと育てる政策です。社会保障を与えて定住させ、貯蓄から消費へ向かわせようとしています。

ただ問題はお金と制度改革の困難さです。

彼らの推計によると,1人の農民が都市に入ると10万元のインフラ投資が必要になるけども,彼らが消費住民になっても1万元の消費しか伸びない,といいます。この意味で都市化の財政的負担は大きいものとなります。

また都市,農村の二元化構造が改革を難しくしています。戸籍制度,土地制度の分断は労働と土地取引が分断されているということを示し,そのため政府のコストを引き上げています。

そして都市規模によって改革の程度が違います。北京,上海は相変わらず厳しく戸籍制度を実施していますが,中小都市では自由化が進んでいます。でも人は大都市に移動したがるため,都市管理の問題が発生してしまいます。

この制度改革が他の国にない都市化の難しさです。

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2016年03月15日

中国経済研究

中国経済経営学会の学術誌『中国経済研究』に論文を発表しました。

岡本信広(2015)「中国の地域間分業と地域の「位置」」『中国経済研究』第12巻第2号、pp.1-17

「おわりに」より

 「本稿では,地域間産業連関モデルを用い,基本的な産業連関分析と平均波及世代数(APL)を利用して,地域間分業を明らかにし,二つの作業仮説,「内陸地域は沿海地域の原材料供給 地域である」「都市化・サービス化が進む地域は地域間分業の上流に位置する」を検証した。
 最初の仮説,「内陸地域は沿海地域の原材料 供給地域である」という点については,ほぼ支持されうるであろう。逆の言い方をすると,沿 海地域の発展は原材料等の需要を生み出し内陸の発展をけん引する。ただし西部大開発で工業化の進む内陸地域,例えば重慶,四川や甘粛な どは下流に位置し,沿海と同じく成長の極として周りの地域をけん引する存在である。
 二つ目の仮説,「都市化・サービス化が進む 地域は地域間分業の上流に位置する」という点については,支持されそうにない。都市化が進 む省市は地域間分業,サプライ・チェーンの下流に位置するのが一般的であり,もっとも都市化率の高い上海や北京も下流である。これは国 際分業の分析結果(Inomata and Fathi, 203) と相違する。想像されうる解釈としては,中国 の都市化は新しいビジネスサービスを生み出したり,研究開発などが進んで新しい付加価値を生み出したりはせず,むしろ,現状では都市化 は中国特有の「都市建設」(都市インフラ建設などのハード整備)であることを示唆している。 インフラ建設のために必要なセメントや鉄筋など原材料を内陸などから必要とする形になって いる。 もう一つの解釈は,都市化が進む地域は北京, 上海,広東,江蘇,浙江などの沿海地域であり, 国際サプライ・チェーンの中で輸出を通して付加価値を海外に提供している可能性もある。国 内サプライ・チェーンの中では下流に位置しつつも,このような地域は国際サプライ・チェー ンでみると上流に位置する可能性もあろう。これに関する検証は今後の課題である。」

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2016年03月08日

2016年2月読書ノート

2016年2月の読書ノート

久しぶりに読書ノートの一覧をアップ。



オススメはこれ。同業者にも院生にもあてはまるけど、どうすれば論文が生産できるかがよくわかる本。私も心がけていることとがこの本と一致したので、非常に納得。生産性をあげるにはとにかく毎日決まった時間に取り組むこと。

<経済>
柴田章久・宇南山卓(2013)『マクロ経済学の第一歩』有斐閣ストゥディア GDP、成長、消費、投資、労働、再分配、政府支出、財政と開放経済まで。消費を考えるには恒常所得仮説、賃金が硬直化している時には政府支出増加による失業対策の可能性、高齢化、社会保障費こそが財政の赤字負担。

ルイジ・ジンガレス(若田部昌澄・栗原百代)(2013)『人々のための資本主義-市場と自由を取り戻す』NTT出版 アメリカの自由市場が企業と政府の馴れ合いのクローニー資本主義に堕してしまう。ロビー活動を禁止するためにピグー税は有用。競争と市場を高めることが大事。

アンガス・ディートン(松本裕)(2014)『大脱出-健康、お金、格差の起源』みすず書房 人々は貧困、欠乏、病気から脱出してきた。相関はないが豊かになり、健康になったが富裕国では格差は拡大。脱出できていない貧困層も多く,援助は役に立っていない。成長は貧困から脱出するための原動力。


<自己啓発>
ポール・J・シルビア(高橋さきの)(2015)『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)』講談社 文章をたくさん書くための唯一の方法が、書く気の有無にかかわらず決まった時間に書くこと。まとまった時間に執筆する人、独創的アイデアが降りた時に執筆する人は、量、アイデア回数ともに低い。

山口真由(2014)『東大主席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』PHP研究所 繰り返して読みながら全体、内容、細部に意識を向けて鮮明にしていく。気分転換も罪悪感を感じたりするので、とにかく続ける、場所を変える、教科を変える、使う器官を変えるなど。

<社会>
井上達夫(2015)『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門』毎日新聞出版 啓蒙は理性の独断化、絶対化を招く可能性、寛容は抑圧的体制とまで妥協する弛緩性を持つ。リベラリズムの核心は正義である。正義は反転可能性テストに合格しなければならない。

施光恒(2015)『英語化は愚民化-日本の国力が地に落ちる』集英社新書 土着から普遍へというグローバル史観、英語化史観の妥当性は疑問。翻訳と土着化のプロセスがなくなれば多くの人々が社会から取り残され、知的成長の機会を奪われ、愚民化してしまう。
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2016年03月01日

六甲フォーラム

2月15日に開催された神戸大学大学院経済学研究科の六甲フォーラムで貴州省の都市化について報告しました。

これは昨年11月に実施された現地調査の報告を主体とするものです。

1)貴州省の都市化の特徴は、山型の都市化である
2)貴安新区での急ピッチの都市化と観光農村化による農村都市化
3)これらは投資主導型であるために、持続可能性に疑問

であることを報告。

伊藤亜聖(東大)さんより

1)内陸での産業誘致を内陸工業化論との関係を論じる必要がある。
2)都市化はどうファイナンスされているのか。比較として重慶モデルをあげるといいのではないか。
3)「下からの都市化」を感じさせる動きはあるのか。

というコメントをいただくとともに、城鎮化とは事実上「都市化+農村振興」という側面があることを指摘してくれました。

今後の改訂に役立てるとともに、この成果はアジ研研究会の一年目の報告書として公開される予定です。
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