2014年10月09日

柏の葉スマートシティ

日本地域学会全国大会(麗澤大学)のエクスカーションの一環として「柏の葉スマートシティ」の見学にいってきました。

柏の葉スマートシティは三井不動産,柏市(千葉県),東京大学が一緒になって公民学一体型都市開発が行なわれているところです。場所は千葉県柏市で,秋葉原からつくばエクスプレスで約30分,東京中心部から25km圏のところにあります。

見学したのは,ウリのスマートシステムです。電力を街一帯で制御し,CO2や電力使用の削減に貢献しています。普段の電力は東京電力から供給され,夜の電力を蓄電し必要なところに必要な量が供給されます。そして太陽光発電,ガス発電を行なっており,その電力を供給することができます。その結果防災にも強い街になっています。東京電力からの供給がストップしたとしても,3日間は60%程度の電気供給が可能になっています。

KOIL(柏の葉オープンイノベーション・ラボ)というのも街の特徴です。作業所(3Dプリンターやレーザープリンターなど)があって安い価格で試作品を作ることが可能ですし,創業支援のためのオープンスペースが備えられており,自由にパソコンを持ち込み,人とディスカッションし,何か新しいものを生み出す空間作りがなされています。

その他健康長寿の街作りとして,まちの健康研究所「あ・し・た」が設けられ,住民が無料で健康相談ができます。

現在人口は7000万人ほど。将来は2万人を目指したいといいますが,どうなるか,将来が楽しみな街です。
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『東亜』COMPASSでの連載。第4回目

霞山会の月刊誌『東亜』1月号から,3ヶ月に1回のペースで時評を担当しています。 第4回は 「戸籍制度改革」 です。 リードより。

中国国務院は七月三〇日に《戸籍改革をさらに一歩すすめることに関する意見》を発表した。これまで都市・農村に分かれていた二元的戸籍制度を廃止し,統一された居住証制度に変換するというのが大きな政策の目玉だ。しかし居住証制度は新たな差別化された制度にしかすぎないこと,農民にとってメリットになるかどうかは疑問である。
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2014年09月23日

科研費申請の季節がやってきます。

さて,科研費申請の季節がやってきました。同業者の方々もそろそろソワソワしてくる頃かと思います。

先日,学内の科研費申請の説明会が開催され,私も「科研費申請のコツ〜基盤研究(C)の経験から」と題してお話をさせていただきました。

IMG_4591.JPG

幸い,これまで研究代表者として2回連続で申請,採択になっていることから,私が気をつけている書き方について紹介させていただきました。

科研費の第一段階審査(書面審査)では,以下の審査項目に対して,書く際に意識しているところ(☆印部分)を話しさせていただきました。

@研究課題の学術的重要性・妥当性
   ☆何を明らかにするのか。

A研究計画・方法の妥当性
   ☆どのように到達するのか

B研究課題の独創性及び革新性
   ☆自らの強みや応用可能性はどこか

C研究課題の波及効果及び普遍性
   ☆得られる結果と意義は何か

D研究遂行能力及び研究環境の適切性
   ☆どのような準備ができているのか

具体的に,私が申請書を作成しているときに,気をつけているのは以下の3点です。

(1)到達点を示す。
数年間の研究の結果,何がわかるのか,どのような状態になっているかを書くようにしています。例えば,「産業連関モデルを構築し,経済開発の波及効果を測定する」とすると,研究計画を考えるときに,どのようにモデルを作っていくか,波及効果測定のための前提にどのようなことを調べなければならないか,を意識することができます。到達点があると,計画が書きやすくなります。

(2)独創性を他の研究から位置づける
独創性のところで,「他に研究している例はない」とかは書かないようにしています。なぜかというと,@誰もやらないなら需要がない,A自己満足と思われる可能性がある,B他の分野への学術的貢献はないと誤解される恐れがある,からです。あくまで先行研究や過去の研究との対比において独創性を出すようにしています。

誰もやっていないから独創性があるのではなく,あくまで「巨人の肩の上に立つ」という謙虚さで,自分のオリジナリティを強調したいものです。

(3)成果の広がり,インパクトを考える
科研費が税金から支出されている以上,自らの研究が社会にフィードバックすることが必要です。私は中国経済が専門ですが,中国経済の研究成果が日本の何に役立つのかを考えています。地域開発のインパクトであれば,日本の地域再生に共通点はないのか,などを意識しています。

そして,ここが一番重要ですが,調書の一番最初の研究概要はわかりやすい文章で3行でまとめるよう気をつけています。
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2014年09月16日

日本におけるTOEICの位置づけ

TOEICを調べてみると日本ではずいぶんとメジャーな英語試験になっていることがわかりました。

(1)増加する人数

TOEICの受験者数って250万人超えています。英検が230万人ぐらいなので2012年からすでに英検を超えて日本最大の英語試験に成長しています。

正確には,一般のTOEICは236万人,TOEIC-SW,TOEIC-Bridge等を合わせて258万人(2013年度)になっています。リスニングとリーディングというInput手段としての英語能力を図るだけですが,受験料が安いこと,受験機会が多いこと,点数で実力が図れること,勉強がしやすいこと,内容がビジネスの現場で使われそうな英語に特化していること,など等の理由からメジャーな試験に成長しています。

とくに2011年から急速に受験者数が増加しました。2010年は楽天が社内公用語として英語を用いることを宣言した年です。多くの会社で英語が重要視されるようになり,また英語運用能力を図る手段としてTOEICを用いるようになったのがきっかけかもしれません。

TOEIC受験者数.jpg

(2)企業への影響

実際に,ETS(Educational Testing Service,TOEICテストの作成機関)が実施した日本の上場企業におけるTOEIC活用試験の結果をみてみると,その使いやすさから急速に普及しています。

上場企業の約75%が英語を使用する環境があり,企業としてもグローバル人材育成のため8割の企業が英語研修を実施しているようです。

海外出張者や海外赴任者の選抜には約3割の企業がTOEICを利用しているようで,その点数としては675から695が1つの基準になっています。国際部門での業務としては約7割の企業がTOEICの点数として700点以上のスコアを期待しているようです。

約6割の企業でTOEICの結果を利用しているようです。企業規模が大きいほどその傾向が強く,従業員数5000人以上になるとその比率は8割を越えます。

新卒採用でも約7割の企業がTOEICの点数を参考にしているようです。(でもこれは企業が就職活動する学生にTOEIC必須としている意味ではない。)


(3)大学教育への影響

大学教育でもTOEICは利用されてきています。やはり勉強の成果がスコアであらわれるので学校現場でも利用しやすいです。

本学でも,外国語学部英語学科,国際関係学部ではTOEICのスコアアップで単位が認定されています。

ETSの調査によれば,調査対象の751大学のうち,入学試験に利用している大学数は336校,単位認定に利用している大学数は360校になっています。約半数近い大学がTOEICを何かしら利用しています。

企業で利用されることが増えれば,大学としても無視することはできません。グローバル人材育成という文科省の方針も考え合わせると何かしらの英語教育充実が必要になってきます。この意味でTOEICは大学という教育現場でも利用されていくことになるでしょう。


(4)TOEICテストの問題点と今後

企業や大学がTOEICに「侵食」されてくると,TOEIC批判も多くなってきます。

リスニングとリーディングに偏っているので,実践的ではないとか,世界の受験者700万人のうち日本と韓国で500万人を超えるという非常に偏った試験,とかです。

批判はその通りですが,私は以下の理由から積極的にTOEICの存在を認めています。

1)インプットが大事
英語を使えるようにするには,アウトプットの前にインプットが必要です。話す書くのはもちろん必要ですが,聞く読むができてはじめて可能になるものです。TOEIC900点あるけど,しゃべれないというのはありうるとしても,900点取れるだけのインプットある人が海外赴任や海外出張の経験を増やせばすぐに話せるようになると思います。

2)成果が目に見える
英語にかぎらず語学の勉強は継続が大事です。TOEICはスコアという形で結果が目に見えますし,勉強すれば確実にスコアが伸びる試験なので,勉強を続ける動機付けになるでしょう(応用行動分析でいう強化子になっている)。

3)実務に役立つ英語
TOEICの出題範囲は,ビジネス英語です。シチュエーションも海外で仕事すれば体験する可能性の多いものなので,実用的だと思います。

4)受験料が最も安い
TOEFLや英検などに比べて受験料が安いです。私としてはここを最も強調したいです(笑)英語の勉強成果を確認するにはもっとも利用しやすい値段だといえるでしょう。それでも5000円強というのは学生にとって安くないので,英語勉強の継続のためには公開試験ではなく学校や企業など団体で行われるTOEIC-IPで十分だと思います。

TOEICの課題はスピーキングとライティングの能力を図るTOEIC-SWがどこまで普及するかでしょう。企業は英語4能力(リスニング,リーディング,スピーキング,ライティング)の中でスピーキングをもっとも重要視しているにもかかわらず,TOEIC-SWを評価の対象として利用している企業は非常に少ないようです。TOEIC-SWがマイナーだから企業が利用しないのか,企業が利用しないからTOEIC-SWがマイナーなのかわかりませんが,話す,書くという能力を計測するという意味では英検も捨てがたい試験かもしれません。


<参考>
ETS(2013)「上場企業における英語活用実態調査 2013年」報告書
http://www.toeic.or.jp/library/toeic_data/toeic/pdf/data/katsuyo_2013.pdf
ETS(2013)「TOEICテスト 入学試験・単位認定における活用状況 -大学・短期大学・高等専門学校-」
http://www.toeic.or.jp/toeic/about/data/search.html
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2014年09月04日

2ヶ月ガチで勉強してTOEIC(第192回7月27日)を受験した結果www

toeic910.jpg

・・・900点を突破できました。


(1)きっかけ

TOEICをガチで勉強してみようと思ったきっかけは,校務で他大学のグローバル人材育成支援事業の状況を調べている時でした。多くの大学が野心的な数値目標をかかげ,英語教育に力をいれていました。例えば,杏林大学は日中英の3カ国語を中心とし,英語の到達目標をTOEIC800に設定していますし,神田外語大学は留学組はTOEFL600,そうでない人でもTOEIC700を目標に掲げています。創価大学ではTOEIC730取った学生数をネットで配信しています。

2009年に受けたTOEICでは785点でした(ここ)。つまり学生が目指すレベルと私の英語レベルはそう変わらないわけで,これから大学のグローバル化やらなんやら言われるようになると,英語を勉強している学生から「先生,TOEIC何点ですか?」と聞かれたら,「・・・・785点」と答えるのは微妙だなと思ったわけです。

また学生にもTOEICの勉強の仕方が体験からアドバイスできれば,それもよかろうと思ったので,5月末にTOEIC900点を目指してみようと思いました。900点に設定したのは,英語学科の先生から895以上は英語ができるといえるぎりぎりの水準だろうということで,キリのいいところで900にしたわけです。

(2)得たもの

今回TOEICをガチで2ヶ月勉強してみて得たことは

時制,とくに現在形と現在進行形に敏感になった。(Part 1)
曖昧だった疑問文に対する応答の仕方がわかった。(Part 2)
勘違いしていた文法を復習できた。(Part 5,6)
うろ覚えだったよく見る単語(definitiveとかいろいろ)が身についたし,メールの書き方は参考になった。

です。もう一つは

TOEICにはまりそうになった(笑)

という点です。TOEICは自分の実力が点数になるので目に見えてわかりやすいこと,世界観が独特であること(しょっちゅうワークショップやってるとか,飛行機や電車は遅れるとか,企業は大体M&Aになっているなど),が魅力かもしれません。とくに世界観は,試験時に今日はどんな世界をみせてくれるんだろう,とわくわくすること間違いなしです。

受験後,感覚として900点前後かな〜と思っていたので,第193回のTOEIC(9月28日)も申し込んでしまいました。まぐれでないことを確認するために,もう一度受けておこうと思います。
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2014年08月02日

中国の失業率統計

前回,中国のフィリップス曲線を推計したときに,失業率統計の問題点を指摘しました。その後中国の失業率統計について『財新網』が面白い報道をしていたので紹介。

報道によると,中国では統計年鑑で公開される「登記失業率」の他に,公開されていないけれども国家改革発展改革委員会や財政部などが利用している「調査失業率」というのが存在しているようです。

「調査失業率」は国家統計局が2005年から実施しており,2009年には調査失業率のサンプルは31の省都から採られていたようで,その後2013年4月には65の大都市に拡大されたようです。7月下旬に国家発展改革委員会はそのHP上で今年上半期の「都市調査失業率」を発表しました。それによると6月末の全国31大都市の都市調査失業率は5.05%であり,4ヶ月連続で減少した,そうです。数時的には登記失業率よりも1%程度高くなっています。

ただこの公開された調査失業率はすぐにネットから消されたようです。財新の記者の取材によると,技術的には公開は問題ないけれども,現在の第12次五カ年計画が登記失業率にもとづいて策定・実施されていることから,新しい数字によって矛盾が発生する可能性があるとして公開を見送っているようです。

2015年以降,この数値が公開されるかどうか,注目しておきたいと思います。

「官方調査失業率連降四月至5.05%」『財新網』2014年7月25日(http://economy.caixin.com/2014-07-25/100708899.html,8月1日アクセス)
「国家統計局:公開調査失業率条件具備」『財新網』2014年7月31日(http://economy.caixin.com/2014-07-31/100711272.html,8月1日アクセス)
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2014年07月15日

長江流域のウォーター・フットプリント

Economic Systems Researchに論文が掲載されました。(こちら

Tomohiro Okadera, Nobuhiro Okamoto, Masataka Watanabe & Jaruwan Chontanawat (2014) Regional Water Footprints of the Yangze River: An Interregional Input-Output Approach, Economic Systems Research, Published online: 10 Jul 2014

論文要旨
 近年,他地域間産業連関モデル(MRIO)を用いてウォーター・フットプリントを計測する研究が増加している。本稿では,輸入の取り扱いの違う長江流域他地域間モデルMRIOを利用してウォーター・フットプリントの推計値の違いを確認した。輸入を含んだ他地域間モデルでは11%ほどウォーター・フットプリントを過大推計してしまう。この過大推計値は水豊富地域の社会的公平性の議論にも影響する。
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2014年07月03日

『東亜』COMPASSへの連載第3回目


霞山会の月刊誌『東亜』1月号から,3ヶ月に1回のペースで時評を担当しています。

第3回は
「『国家新型都市化計画』を労働,土地,資本から読み解く」
です。

リードより。

 本年三月に中共中央および国務院から《国家新型都市化計画二〇一四年−二〇二〇年》が発表された。日本ではあまり注目されていないが,本稿はこの国家新型都市化計画を生産要素である労働,土地,資本という観点から読み取り,中国の新型都市化政策は農民工の都市定住数に大きく依存した形であることを示す。
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2014年06月24日

比較経済研究

『比較経済研究』に昨年発表した論文を寄稿しました。

岡本信広(2014)「中国とアジアの経済統合−国際産業連関モデルからのアプローチ」『比較経済研究』比較経済体制学会,第51巻第2号,pp.31-41

要旨
 中国が積極的に推進するアジアでの経済統合について,空間経済学が想定する自国市場効果を産業連関分析によるフィードバック効果,スピルオーバー効果から推計する。推計の結果,中国のフィードバック効果は地域内で最も大きなものであるとともに,アジア各国は中国への依存も強めている。したがって中国では自国市場効果が働いていることを示唆しており,経済統合のメリットを享受している。

そのうちにJ-Stageで公開されると思います。
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2014年06月10日

第57回比較経済体制学会全国大会

6月7、8日と第57回6月7、8日と第57回比較経済体制学会全国大会が山口大学で開催されました。

私は初日の7日に討論者として参加しました。共通論題は「ロシア、中央アジア、中国のポリティカル・エコノミー―『国家資本主義(権威主義)を含む)』をめぐって―」です。主に丸川さん(東京大学)、梶谷さん(神戸大学)の報告について、コメント、論点を提供しました。

備忘録として簡単にまとめておきたいと思います。

丸川さんは
・数と資産の面において「国進」と呼べる状態がみられる。
・昨年の三中全会で今後さらなる民営化にすすむ可能性がある。
という報告でした。

梶谷さんは
・南京政府下の国家独占資本主義との類似性を述べつつ
・ピケティの議論を援用しつつ,国家資本の資本係数が上昇しつつも非国有資本の収益が高く,国有非国有間の格差が広がっている。
という報告でした。

私としては,二点議論を提起しました。

1点目は,「公有制主体」は経済に有利なのか?という点です。
国家が中心になって資本を蓄積せきし,成長点に配分することによって速い経済成長につながります。
また,2008年の金融危機に対して中国は4兆元の政策を実施しましたが,産業政策や経済政策の強い実行によって危機を乗り越えたということがあります。

もう1点目は,中国の政治制度は問題か?という点です。
アセモグル=ロビンソン仮説では「収奪的政治制度」は持続不可能ですが,本当にそうなのか,もしかしたら包括的政治制度がない第三の経済発展もあるのでは,と考えています。

その他,国家資本主義に関するさまざまな議論ができて楽しかったです。
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2014年05月27日

ニュースの見方

世の中でニュースになるものは,「人がネガティブに感じるもの」が多いです。ネガティブであるがゆえに,人は知りたいという欲求がわきます。ネガティブ情報だからこそ人は記事を読んでくれるというのを利用して,マスコミからネガティブ情報が多く提供されてしまいます。(テレビ情報番組の見過ぎは無駄に人の見方をネガティブにするような気がする。)

「他人の不幸は蜜の味」とはよく言ったもので,例えば,となりの鈴木さん夫婦が一緒に出かけているのをみて,夫婦の仲がいいとか,最近車を買い換えた,というのは,ニュースバリューとしては低いです。

一方で,鈴木さんの子どもの服は汚れてる,部屋は汚いという情報は価値がでます。また,旦那さんが不倫して家庭が荒れている,というのも最高の情報価値を持ちます。

人の本性として,ネガティブな情報に反応してしまいます。それを受け入れやすいからこそ,ネガティブ情報に価値を見いだしてしまいます。

上記のとなりの鈴木さんの例でも,鈴木さんを中国と置換えて,

仲がいい=政治が安定している
車買った=経済発展に成功
子どもの服が汚れている=環境問題
不倫で家庭があれている=腐敗撲滅運動

としてとらえれば,中国情報も似たような側面を持ちます。ポジティブな情報は誰も聞きたくないので価値をもたず,ネガティブな情報はみんな知りたいので価値を持ちます。

他国を冷静に分析するためには,「事実」と「意見」を立てわけ,中国で起きている「事実」を把握し,記者やマスコミの見方(意見)を排除するようにしないと,地域研究は客観性を持ちません。

流れてくる膨大な情報からネガティブな側面(往々にして取材者のネガティブな姿勢が反映される)を取り除いて,事実だけをとらえる,情報リテラシーを持ちたいものです。(もちろんプロパガンダ化している中国のマスコミ報道では極端なポジティブ情報にも注意しなければなりません。)
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2014年05月22日

昨年度研究会の報告書

昨年度のアジア経済研究所「2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と利用(II)」研究会の成果が出ました。

岡本信広(2014)「空間規模,立地と地域産業連関モデル」猪俣哲史・柴田つばさ編『2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と利用(II)』アジア国際産業連関シリーズNo.82,日本貿易振興機構アジア経済研究所,pp.1-17

概要は,地域規模と産業立地が地域産業連関モデルに与える影響について,理論的実証的に考察,地域規模よりも立地が地域産業連関モデル(技術係数)に影響する,というものです。

ブログトップの電子書籍コーナーから初稿を見ることが可能です。
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2014年05月01日

Discussion Paperを出しました。

昨年10月の日本地域学会で発表した内容をリバイスし,とりあえずDiscussion Paperにしました。

Nobuhiro Okamoto (2014) "Does Regional Size Matter in Regionalization of National Input-Output Table by the FLQ formula?-A Case Study of China-", Discussion Paper No. 222., Institute of Economic Research, Chuo University

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2014年04月17日

書評を書きました。

『中国経済研究』(中国経済学会)に書評を書きました。

岡本信広(2014)「【書評】渡邉真理子編『中国の産業はどのように発展してきたか』勁草書房」『中国経済研究』第11巻第1号,pp.63-66

本書評は,ブログ記事(ここ)を基本に,内容を詳細に紹介しながら,私の中国産業の見方を付け加えました。

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2014年04月15日

『東亜』COMPASSへの連載第2回目

霞山会の月刊誌『東亜』1月号から,3ヶ月に1回のペースで時評を担当しています。

第二回は
「中国大都市化の抑制:背景と手段」
です。

リードより。

「中国は新型都市化を推進しながらも,北京,上海,広州などの大都市については都市化を抑制する方針である。なぜ都市化の抑制を行うのか。それは流入する人口を都市が支えきれなかったという過去のトラウマがあるからだ。社会主義市場経済の下で現在市場メカニズムにもとづいた都市化の抑制政策を試行錯誤している。」
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2014年04月10日

2014年担当業務

今年度の業務予定です。

実質,学部授業6コマ,院(研究生)授業2コマ,合計8コマが教育業務の中心です。

≪学部授業≫
チュートリアル      火曜日1限
国際関係各論11(国際経済論A)    火曜日3限(前期)
国際関係各論12(国際経済論B)    火曜日3限(後期)
国際関係各論31(アジア理解の経済学)水曜日2限(前期)
国際関係各論32(国境を超える経済学)水曜日2限(後期)
東アジア地域研究3(現代中国経済論A)木曜日1限(前期)
東アジア地域研究4(現代中国経済論B)木曜日1限(後期)
卒論演習          木曜日3限
演習II           木曜日4限
(オムニバス形式のアジア概論では2回担当予定)

≪大学院授業≫
○修士課程
経済研究2         水曜日1限
経済研究演習        水曜日5限

○博士課程(履修者なし)
経済研究演習I,II
経済研究論文作成指導

≪担当委員会等≫
教務委員会(学部) 2008年度〜
地域研究学会(学部)2006年度〜 2011年度〜委員長(引き続き)
入試(北京)担当委員(大学院)2011年度〜
国際交流センター管理委員会(全学)2009年度〜
北京事務所運営委員会(全学)2010年度〜
学校法人大東文化学園情報化推進委員会(全学) 2012年度〜

≪学外≫
日本私立大学協会大学教務研究委員会委員(2012年度〜2015年度)

≪研究≫
研究代表者
基盤研究(C)「中国の新区や都市圏による内陸開発は有効か?−小地域産業連関モデルからのアプローチ」(最終年度)

≪その他≫
2011年4月〜2015年3月(5年目)
中央大学経済研究所客員研究員

2011年4月〜2014年9月(4年目)
創価大学経済学部非常勤講師(中国経済論)
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2014年03月25日

人口減少には都市経済が重要だ。

人口減少がはじまると,現在の土地に分散しているよりも,人は集積して空間的にコンパクトな日本になった方がいいんではないかと思っています。日本は「おしくらまんじゅう政策」で人を都市圏に集めた方がよい,と吉本(2013)も指摘していますが,私もこの考えに賛同しています。

なぜ,集積することが必要なのでしょうか。

それは経済の持続的な成長には人口増加による生産拡大か,1人あたりの生産性の上昇が必要だからです。

前者の人口増加は「規模の経済」を意味します。人が多ければ多いほど市場が大きいわけですから,1つを生産するよりも多くを生産することによって生産コストは減少していきます。人口規模が大きければ大きいほど,生産コストが減少し,利益を生み出します。

でも,人口減少はこの「規模の経済」を期待することができません。実際,日本はアメリカ市場に依存していますし,今では中国市場に依存しています。

となると,人口減少の時代には2番目の1人あたりの生産性の上昇が重要になってきます。生産性の上昇には「集積の経済」が有効です。

「集積の経済」とは集まることによって,(1)熟練労働者が集まっていて雇いやすい,(2)原材料や中間財が手に入る,(3)新しい技術や情報がすぐに得られる,というメリットのことを指します。アメリカのシリコンバレーなどはまさにこの集積の経済を享受しています。

また集積の経済で重要なのは「多様性」です。多様性は新しい情報や技術の開発に貢献します。フロリダ(2007)の研究でも,多種多様な人たちが集まり議論したり交流したりして新しい考えが生み出されることが指摘されています。

技術進歩と人口には3つの効果があります(加藤2007)。一つ目は規模の経済喪失効果です。規模が縮小することによって技術開発の速度が低下します。二つ目は創造性喪失効果です。若年労働者が減ることによって若年層が持つ創造性や積極性が乏しくなり技術進歩が鈍ります。三つ目は労働節約促進効果です。労働以外の生産要素を相対的に多く使おうとすることにより技術進歩を促進させます。

平成15年の経済財政白書のOECD諸国を対象にした分析によれば,就業者数の減少は技術進歩を促すという結果もあります。つまり先進国における就業者数の減少は教育、職業訓練の向上によって生産性を高めることができたといえるでしょう。この意味では,技術進歩と人口の3つの効果のうち,規模の経済,創造性の二つの喪失効果よりも労働節約促進効果の方が大きかったと結論づけられそうです。

日本の生産性を上昇させるために,高等教育を充実させることはもちろんのこと,集積を促して創造性喪失効果を相殺することが重要だと思います。

ついでに指摘すると,集積して都市をコンパクトにすれば,都市以外の自然を保護し,広がりすぎた社会資本のメンテナンス費用が減るので,人口減少化では都市化は重要になってきます。

<参考文献>
加藤久和(2007)『人口経済学』日経文庫
リチャード・フロリダ(井口典夫)(2007)『クリエイティブ・クラスの世紀』ダイヤモンド社
吉本佳生(2013)『日本の景気は賃金が決める』講談社現代新書
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2014年03月18日

マレーシア,中国出張

3月11日から15日まで,クアラルンプールと厦門に出張してきました。

国際交流センターの仕事として,マレーシアでは教育省とBerjaya University College of Hospitality,そして中国は厦門大学を訪問し,交流関係の構築,拡大について話をしてきました。

とくに印象に残ったのが

Berjaya University College of Hospitalityです。

簡単に言うと,ホテル,不動産,小売,製造業など多彩な事業を展開しているBerjayaグループが経営する,「おもてなし(Hospitality)」専門の単科大学です。特徴はグループ企業での研修(インターンシップ)です。

日本からも杏林大学,創価大学が数週間の英語研修,そして数週間のインターンシップを体験するプログラムをやっていました。

正直,ホテルやレストランなどは専門学校がやることと思っていましたが,Hospitalityの内容が高度化して高等教育課程の一部になるというのは実際に見てみて,納得しました。

とくに多民族国家であるマレーシアでは,ただの接客業ではなく,客の文化的背景を理解しておかないと,国際標準の5つ★ホテルなどでは通用しないようです。

そもそもアメリカにもHotel Managementのような専門分野もあるわけで,サービス産業が発展してくるとそこで求める人材も高等教育が必要になってくるということかもしれません。

非常に勉強になりました。

<ホテルみたいな学生カウンター>
Berjaya1.jpg

<実習を行うレストラン型の教室>
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2014年03月06日

グローバル人材に物申す

2月27日に開催された大学改革シンポジウム「グローバル人材になるには」(日本経済新聞社主催)に参加してきました。参加者の大部分が現役の学生でした。

違和感を感じたのは登壇者を含めて,海外経験はアメリカ,イギリスが中心だということです。(パネリストのうちのお一人は子どもの頃シンガポール滞在を経験していますが。)

グローバリズム,グローバリゼーションという流れはアメリカからやってきているので,アメリカの多民族共生,ツールとしての英語の重要性はよくわかります。インド,南米,アフリカなどの人々と交流し,多様性を理解していって,コミュニケーション能力をつけ,自分の意見をはっきりいうことの重要性をアメリカで学ぶことは多いでしょう。

現役の学生がこういうシンポを通じて,グローバル人材とは,アメリカで多民族の人々とコーラを飲みながらホットドックをかじりつつ英語で交流することと思われるとちょっとミスリーディングな気がします。なぜなら,地政学からみると日本はアジアに位置し,近隣諸国である韓国や中国,そして東南アジア諸国ともつきあっていかなければならないからです。

この意味では,アメリカだけでなく韓国や中国などでの異文化体験やその違いを受容する包容性をもったグローバル人材も必要ではないかと思います。ある意味,アジアのNon-Native English Speakerと英語でやりとりしつつ,アジアの多様性(や現地語)を理解して,近隣との関係をこなしていく人材も欲しいものです。
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2014年02月25日

アジア経済圏研究部会研究合宿

中央大学経済研究所のアジア経済圏研究会の研究合宿が2月22日,23日と湯河原で行われました。

馬田先生(杏林大学)による「APECの将来:TPPとの気になる関係」という報告を聞いたので,備忘録として。

現在,APEC(環太平洋経済連携協定)の存在が薄くなっています。どうしてもTPPに注意が向きがちですが,馬田先生は,APECをFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を生み出す孵化器として位置づけられ,TPPはその前段階にあるものとしてあるようです。

APECの非拘束原則,緩やかな協力という体制のもとで1997年のバンクーバー会議で早期自主的分野別自由化交渉が決裂,これをきっかけにアメリカ,オーストラリア,ニュージーランド,チリ,シンガポールの出した結論がAPECの外にFTAを立ち上げることでした。これがTPPの発足につながります。

とはいえAPECは今でも毎年会議を開いていますし,2009年のシンガポール会議ではFTAAPの実現が目標であることが確認され,2010年にはAPEC横浜ビジョンの中で,APECは,ASEAN+3,ASEAN+6,TPPを基礎として更に発展させた包括的FTAとしてFTAAPを位置づけることとなりました。

今年は10月に北京でAPEC会議が開催される予定です。しかし11月に中間選挙を控えているアメリカは時期の調整を申し出ており,このあたりですでに米中のつばぜりあいが行われているそうです。
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