2014年05月22日

昨年度研究会の報告書

昨年度のアジア経済研究所「2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と利用(II)」研究会の成果が出ました。

岡本信広(2014)「空間規模,立地と地域産業連関モデル」猪俣哲史・柴田つばさ編『2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と利用(II)』アジア国際産業連関シリーズNo.82,日本貿易振興機構アジア経済研究所,pp.1-17

概要は,地域規模と産業立地が地域産業連関モデルに与える影響について,理論的実証的に考察,地域規模よりも立地が地域産業連関モデル(技術係数)に影響する,というものです。

ブログトップの電子書籍コーナーから初稿を見ることが可能です。
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2014年05月01日

Discussion Paperを出しました。

昨年10月の日本地域学会で発表した内容をリバイスし,とりあえずDiscussion Paperにしました。

Nobuhiro Okamoto (2014) "Does Regional Size Matter in Regionalization of National Input-Output Table by the FLQ formula?-A Case Study of China-", Discussion Paper No. 222., Institute of Economic Research, Chuo University

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2014年04月17日

書評を書きました。

『中国経済研究』(中国経済学会)に書評を書きました。

岡本信広(2014)「【書評】渡邉真理子編『中国の産業はどのように発展してきたか』勁草書房」『中国経済研究』第11巻第1号,pp.63-66

本書評は,ブログ記事(ここ)を基本に,内容を詳細に紹介しながら,私の中国産業の見方を付け加えました。

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2014年04月15日

『東亜』COMPASSへの連載第2回目

霞山会の月刊誌『東亜』1月号から,3ヶ月に1回のペースで時評を担当しています。

第二回は
「中国大都市化の抑制:背景と手段」
です。

リードより。

「中国は新型都市化を推進しながらも,北京,上海,広州などの大都市については都市化を抑制する方針である。なぜ都市化の抑制を行うのか。それは流入する人口を都市が支えきれなかったという過去のトラウマがあるからだ。社会主義市場経済の下で現在市場メカニズムにもとづいた都市化の抑制政策を試行錯誤している。」
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2014年04月10日

2014年担当業務

今年度の業務予定です。

実質,学部授業6コマ,院(研究生)授業2コマ,合計8コマが教育業務の中心です。

≪学部授業≫
チュートリアル      火曜日1限
国際関係各論11(国際経済論A)    火曜日3限(前期)
国際関係各論12(国際経済論B)    火曜日3限(後期)
国際関係各論31(アジア理解の経済学)水曜日2限(前期)
国際関係各論32(国境を超える経済学)水曜日2限(後期)
東アジア地域研究3(現代中国経済論A)木曜日1限(前期)
東アジア地域研究4(現代中国経済論B)木曜日1限(後期)
卒論演習          木曜日3限
演習II           木曜日4限
(オムニバス形式のアジア概論では2回担当予定)

≪大学院授業≫
○修士課程
経済研究2         水曜日1限
経済研究演習        水曜日5限

○博士課程(履修者なし)
経済研究演習I,II
経済研究論文作成指導

≪担当委員会等≫
教務委員会(学部) 2008年度〜
地域研究学会(学部)2006年度〜 2011年度〜委員長(引き続き)
入試(北京)担当委員(大学院)2011年度〜
国際交流センター管理委員会(全学)2009年度〜
北京事務所運営委員会(全学)2010年度〜
学校法人大東文化学園情報化推進委員会(全学) 2012年度〜

≪学外≫
日本私立大学協会大学教務研究委員会委員(2012年度〜2015年度)

≪研究≫
研究代表者
基盤研究(C)「中国の新区や都市圏による内陸開発は有効か?−小地域産業連関モデルからのアプローチ」(最終年度)

≪その他≫
2011年4月〜2015年3月(5年目)
中央大学経済研究所客員研究員

2011年4月〜2014年9月(4年目)
創価大学経済学部非常勤講師(中国経済論)
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2014年03月25日

人口減少には都市経済が重要だ。

人口減少がはじまると,現在の土地に分散しているよりも,人は集積して空間的にコンパクトな日本になった方がいいんではないかと思っています。日本は「おしくらまんじゅう政策」で人を都市圏に集めた方がよい,と吉本(2013)も指摘していますが,私もこの考えに賛同しています。

なぜ,集積することが必要なのでしょうか。

それは経済の持続的な成長には人口増加による生産拡大か,1人あたりの生産性の上昇が必要だからです。

前者の人口増加は「規模の経済」を意味します。人が多ければ多いほど市場が大きいわけですから,1つを生産するよりも多くを生産することによって生産コストは減少していきます。人口規模が大きければ大きいほど,生産コストが減少し,利益を生み出します。

でも,人口減少はこの「規模の経済」を期待することができません。実際,日本はアメリカ市場に依存していますし,今では中国市場に依存しています。

となると,人口減少の時代には2番目の1人あたりの生産性の上昇が重要になってきます。生産性の上昇には「集積の経済」が有効です。

「集積の経済」とは集まることによって,(1)熟練労働者が集まっていて雇いやすい,(2)原材料や中間財が手に入る,(3)新しい技術や情報がすぐに得られる,というメリットのことを指します。アメリカのシリコンバレーなどはまさにこの集積の経済を享受しています。

また集積の経済で重要なのは「多様性」です。多様性は新しい情報や技術の開発に貢献します。フロリダ(2007)の研究でも,多種多様な人たちが集まり議論したり交流したりして新しい考えが生み出されることが指摘されています。

技術進歩と人口には3つの効果があります(加藤2007)。一つ目は規模の経済喪失効果です。規模が縮小することによって技術開発の速度が低下します。二つ目は創造性喪失効果です。若年労働者が減ることによって若年層が持つ創造性や積極性が乏しくなり技術進歩が鈍ります。三つ目は労働節約促進効果です。労働以外の生産要素を相対的に多く使おうとすることにより技術進歩を促進させます。

平成15年の経済財政白書のOECD諸国を対象にした分析によれば,就業者数の減少は技術進歩を促すという結果もあります。つまり先進国における就業者数の減少は教育、職業訓練の向上によって生産性を高めることができたといえるでしょう。この意味では,技術進歩と人口の3つの効果のうち,規模の経済,創造性の二つの喪失効果よりも労働節約促進効果の方が大きかったと結論づけられそうです。

日本の生産性を上昇させるために,高等教育を充実させることはもちろんのこと,集積を促して創造性喪失効果を相殺することが重要だと思います。

ついでに指摘すると,集積して都市をコンパクトにすれば,都市以外の自然を保護し,広がりすぎた社会資本のメンテナンス費用が減るので,人口減少化では都市化は重要になってきます。

<参考文献>
加藤久和(2007)『人口経済学』日経文庫
リチャード・フロリダ(井口典夫)(2007)『クリエイティブ・クラスの世紀』ダイヤモンド社
吉本佳生(2013)『日本の景気は賃金が決める』講談社現代新書
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2014年03月18日

マレーシア,中国出張

3月11日から15日まで,クアラルンプールと厦門に出張してきました。

国際交流センターの仕事として,マレーシアでは教育省とBerjaya University College of Hospitality,そして中国は厦門大学を訪問し,交流関係の構築,拡大について話をしてきました。

とくに印象に残ったのが

Berjaya University College of Hospitalityです。

簡単に言うと,ホテル,不動産,小売,製造業など多彩な事業を展開しているBerjayaグループが経営する,「おもてなし(Hospitality)」専門の単科大学です。特徴はグループ企業での研修(インターンシップ)です。

日本からも杏林大学,創価大学が数週間の英語研修,そして数週間のインターンシップを体験するプログラムをやっていました。

正直,ホテルやレストランなどは専門学校がやることと思っていましたが,Hospitalityの内容が高度化して高等教育課程の一部になるというのは実際に見てみて,納得しました。

とくに多民族国家であるマレーシアでは,ただの接客業ではなく,客の文化的背景を理解しておかないと,国際標準の5つ★ホテルなどでは通用しないようです。

そもそもアメリカにもHotel Managementのような専門分野もあるわけで,サービス産業が発展してくるとそこで求める人材も高等教育が必要になってくるということかもしれません。

非常に勉強になりました。

<ホテルみたいな学生カウンター>
Berjaya1.jpg

<実習を行うレストラン型の教室>
Berjaya2.jpg

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2014年03月06日

グローバル人材に物申す

2月27日に開催された大学改革シンポジウム「グローバル人材になるには」(日本経済新聞社主催)に参加してきました。参加者の大部分が現役の学生でした。

違和感を感じたのは登壇者を含めて,海外経験はアメリカ,イギリスが中心だということです。(パネリストのうちのお一人は子どもの頃シンガポール滞在を経験していますが。)

グローバリズム,グローバリゼーションという流れはアメリカからやってきているので,アメリカの多民族共生,ツールとしての英語の重要性はよくわかります。インド,南米,アフリカなどの人々と交流し,多様性を理解していって,コミュニケーション能力をつけ,自分の意見をはっきりいうことの重要性をアメリカで学ぶことは多いでしょう。

現役の学生がこういうシンポを通じて,グローバル人材とは,アメリカで多民族の人々とコーラを飲みながらホットドックをかじりつつ英語で交流することと思われるとちょっとミスリーディングな気がします。なぜなら,地政学からみると日本はアジアに位置し,近隣諸国である韓国や中国,そして東南アジア諸国ともつきあっていかなければならないからです。

この意味では,アメリカだけでなく韓国や中国などでの異文化体験やその違いを受容する包容性をもったグローバル人材も必要ではないかと思います。ある意味,アジアのNon-Native English Speakerと英語でやりとりしつつ,アジアの多様性(や現地語)を理解して,近隣との関係をこなしていく人材も欲しいものです。
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2014年02月25日

アジア経済圏研究部会研究合宿

中央大学経済研究所のアジア経済圏研究会の研究合宿が2月22日,23日と湯河原で行われました。

馬田先生(杏林大学)による「APECの将来:TPPとの気になる関係」という報告を聞いたので,備忘録として。

現在,APEC(環太平洋経済連携協定)の存在が薄くなっています。どうしてもTPPに注意が向きがちですが,馬田先生は,APECをFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を生み出す孵化器として位置づけられ,TPPはその前段階にあるものとしてあるようです。

APECの非拘束原則,緩やかな協力という体制のもとで1997年のバンクーバー会議で早期自主的分野別自由化交渉が決裂,これをきっかけにアメリカ,オーストラリア,ニュージーランド,チリ,シンガポールの出した結論がAPECの外にFTAを立ち上げることでした。これがTPPの発足につながります。

とはいえAPECは今でも毎年会議を開いていますし,2009年のシンガポール会議ではFTAAPの実現が目標であることが確認され,2010年にはAPEC横浜ビジョンの中で,APECは,ASEAN+3,ASEAN+6,TPPを基礎として更に発展させた包括的FTAとしてFTAAPを位置づけることとなりました。

今年は10月に北京でAPEC会議が開催される予定です。しかし11月に中間選挙を控えているアメリカは時期の調整を申し出ており,このあたりですでに米中のつばぜりあいが行われているそうです。
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2014年02月20日

中国統計年鑑のCD-ROMが開けなくなった場合の対処法

ついこの間まで利用できていた中国統計年鑑のCD-ROMが使えなくなりました。正確にはブラウザに表示されるのですが,目次から各データに入ることができないという現象です。

原因は,Windows7のアップデートではないかと思われますが,いずれにせよ統計年鑑推奨のWindows XP(あるいはWindows7)とInternet Explorer8がほぼ使われなくなった現在,過去の統計年鑑のCD-ROMが使えなくなっています。

今日は,統計年鑑のCD-ROMを復活させる方法を紹介します。(元の出所は「光盘版统计年鉴目录打不开的解决办法」ですが,ちょっとアレンジしました。)
(なお,試した環境はWindows 7 Home Premium 64 bit,Google Chromeです。Windows10でも同じでした。2015年1月7日追記)

まず問題点の確認。

CD-ROMをパソコンに入れると,自動的に統計年鑑のstart2013.execファイルが動き,「遊覧」をクリックすると統計年鑑の最初のページになります(図1)。

図1 最初の画面
Yearbookface.jpg

この左の部分が目次です。多くの人はこの目次をクリックしても下部フォルダにあるデータに行き着くことができません。

この対処方法は以下の手順で行います。

1.CD-ROMをパソコンのハードディスクに移動する。

「alt+A」でCD-ROM内部のファイルを全て選択し,パソコンのハードディスクに統計年鑑用のフォルダを作ってそこにコピーします。これはあとで述べるように一部のファイルを書き換えるためです。

2.left.htmlをメモ帳で開く。

統計年鑑のフォルダをあけると図2のようになります。

図2 統計年鑑のファイル
Explorer2.jpg

ここでindexch.htmlは最初のスタート画面,left.htmlはそのスタート画面の左の目次の部分です。

3.中の一部の記述を変える(なくす)。

Windowsアクセサリにあるメモ帳というプログラムを起動し,left.htmlファイルを開きます。

「編集」→「置換」コマンドをクリックします。

そして,【style="display:none"】を検索対文字列に入れて,置換後の文字列は空白のままにします(図3)。

図3 文字列の入れ替え
okikae.jpg

「すべて置換」をクリックして,ファイルを上書き保存し,メモ帳を終了します。

なお,Excelファイルを利用する場合は,lefte.htmlファイルも同じ作業を行ないます。(2016年1月7日追記)

4.indexch.htmlをダブルクリックしていつも使っているブラウザで開く。

最後に,indexch.htmlをダブルクリックすれば,以前のように利用することができます。

ただちょっとした問題点があります。それは文字化けです。

メモ帳のコードの問題だと思いますが,中国語の文字の一部が文字化けします。これがいやだという人には英語版の統計年鑑を利用する方法があります。やり方は上記と同じですが,left_.htmlを編集し,indexeh.htmlで開いてください。

一方で,この方法にはちょっとしたメリットがあります。それは,今まで互換性がなかったブラウザ(例えば私が使っているGoogle Chrome)でも利用できるようになるということです。

もちろん作業は自己責任で行って欲しいのですが,CD-ROMをいじらないでオリジナルとしてとっておくためにも,ファイルをハードディスクにコピーしてからファイルの書き換えを行って下さい。何かあってももとに戻れますので。
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2014年01月28日

予測・シミュレーションは科学か?

計量経済学は一般に最も科学的な手法と思われています。仮説をたてて,それが正しいかどうか検証するときには計量経済学の手法が用いられます。計量分析の結果が有効であれば仮説は支持されることになります。この意味で計量経済学は経済学の進展にとってもっとも重要な柱の一つとなっています。(実際,大学の経済学部では,ミクロ,マクロ,計量は3本柱です。)

でも,計量経済学の分野でも仮説検証(帰納的実証)に使われるのではなく,演繹的に利用されることがあります。その典型が,経済予測や経済シミュレーションの分野です。

経済予測やシミュレーションに使われる手法は,マクロ計量モデル,CGEモデル,IO(産業連関)モデルなどです。存在するデータベースを用いて,経済学的に確立されたモデルで,今後のことを予測,シミュレートします。


なかでもIOモデルはイベントや行事の経済に与える影響を計測するのに用いられます。例えば,東京都は2020年にオリンピック・パラリンピックを開催した場合,経済波及効果は約3兆円,雇用誘発効果は約15万人と推計しています(東京都報道発表資料2012年6月)。

経済予測の問題は,「予測が正しいかどうか」検証されることがほとんどない,という点にあります。毎年多くの民間機関がGDPの成長率を予測しますが,予測を外した場合,仮定が問題だったのか,それともモデルに問題があったのか,用いたデータが問題だったのか,詳しく検証されることはありません。この意味では,経済予測というのは言ったもん勝ちみたいなところがあります。(でも人々の期待形成には役立っていて,自己期待実現的に大体近いところに落ち着く傾向はあるように思いますが。)

IOモデルを用いた災害の被害予測も似た問題を抱えています。被害額のシミュレーションですので,オリンピック・パラリンピックの経済波及効果と同じく,正しいかどうか検証は難しいです。


経済の予測やシミュレーションは「科学」なのでしょうか?

検証してモデルが改善され,データ推計が基準化されていくと,当然予測やシミュレーションの精度は上昇していきます。この意味でモデルという仮説的構築物に一層磨きがかかりますので,予測やシミュレーションも「科学」といえるでしょう。

でも,検証しないシミュレーションが多いのも事実です。各民間機関で発表されたGDP成長率が合っているかどうか,外れていたらどこが問題だったのか,検証結果が公表されることはありません。そうすると予測やシミュレーションは科学足りうるかというと,なんとも言えないです。

ただ検証しない予測やシミュレーションでも,政策志向型のメニューを提示することが可能です。科学的手法を用いていますので,比較的信頼に足りうる判断材料を政策担当者に提供することは可能といえましょう。

例えば,災害予測は,災害前と災害後を予測することによって予防をする方がいいのか,それとも被害を復興するのがいいのか,費用便益を計算することが可能になり,政府の政策立案に資することとなります。(でも実際は人命が関わっているので,予防することに越したことはありません。ただ,どの分野,どの地域に重点に予防するかということについて,災害モデルは多くを語ってくれます。)

また公平性と効率性という経済学が悩ませるトレードオフ問題についても知見を提供します。都市部や農村部での被害,経済効果の違いを計算して,成長を求めるのか,所得再分配を行うのか,政策のメニューを提供することが可能です。

このように,予測やシミュレーションは,科学というよりも政策志向の科学的判断材料として扱うべきものなのかもしれません。
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2014年01月21日

マニュアル

大学入試センター試験が終わりました。毎年そこそこ分厚い「マニュアル」が渡されます。そのマニュアルに従って実施すればいいわけですが,どうも先生方には人気がありません。まず分厚いのと,マニュアルという人間味がないものに従うということ,あるいはマニュアルにないものの判断が困るというのが,どうもいやなようです。

そのためか,各大学で出た質問と大学入試センターの答え,いわゆるQ&Aが別冊であるのですが,これが結構面白い。

例えば,

Q:「北野天満宮と書かれた鉛筆の使用を認めていいのか?」A:「認めて下さい」

Q:「頻尿の学生が診断書をもってきて別室使用を希望するが認めていいか」A:「認めて下さい」

Q:「頻尿の学生がリスニング中,トイレにいったが解答終了時刻になっても戻ってこない。解答時間を延長すべきか」A:「延長しないで下さい」

です。4,5つほど頻尿ネタがあるのですが,私が想像するに,本当に頻尿の受験生がいたんではなく,質問した先生が自分の頻尿を気にして質問したんではないかと疑っています(笑)

私が笑ったのは

Q:「大学に爆破予告が来たら,どう対応すればいいか」A:「警察に電話してください。」

というものです。思わず,当たり前やん!? とツッコんでしまいました。

マニュアルが配られると,教員という人種は頭で想像していろいろ聞きたくなるのかもしれません。またマニュアルが配られると思考が停止するのかもしれません。

マニュアルは「原則」というのがあります。センターの場合ですと,

1)試験環境は公平である

2)不正行為を防ぐ

この観点からマニュアルを読めば,運営上マニュアルにないことが出ても,自分の頭で判断することができます。この原則を守ればそう対応を間違えることはありません。

私が担当した教室でも,薬の使用(下剤)を机の上において,途中で飲んでもいいのか,という質問がありました。答えは「他の受験生に迷惑にならないように,使用して下さい」です。個別の事情を組みながら,公平性と不正行為に注意する,これが重要だと思っています。

マニュアルといえば,ディズニーのマニュアルも分厚いと聞いたことがあります。でも原則は「ゲストの感動のために」というものだそうです。

この原則に従ってキャストが振る舞う限り,マニュアル以外の行為もOKだということなんでしょう。

Q:「頻尿なので,キャストさん代わりに並んでくれませんか?」

という質問にキャストはどう対応するんでしょう。ディズニーのマニュアルが見たい,あるいはキャストはどう対応してゲストを感動させるのか,知りたいです(冗談w)
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2014年01月14日

『東亜』に寄稿しました。

霞山会の月刊誌『東亜』1月号から,3ヶ月に1回のペースで時評を担当します。

第一回として
「中国が目指す「新型都市化」とは何か?」
です。

歴史的に都市化を制限してきた中国が,都市化を国家計画として盛り込みはじめたのが,第10次五カ年計画(2001年)です。歴史的な流れを追って,現在の「新型都市化」を位置づけようとしています。

よろしければご笑覧ください。
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2014年01月09日

空間規模,立地と地域産業連関モデル

昨年末12月26日にアジア経済研究所の研究会で報告を行いました。

地域産業連関モデルの基本は技術係数(投入係数)の正確性です。

地域の投入係数=技術係数(域内投入係数)+移入係数

地域のインパクトを正確に分析するためには,技術係数を把握する必要があります。でもこの技術係数は空間規模によって変化します。上記式でも明らかなように,空間規模が大きければ移入はあまりされません。でも空間規模が小さければ移入が増加します。

一国という空間規模を考えてみると,本州であればほぼ全国と同じ技術係数でしょうが,沖縄だけをみれば本州からの移入が増えるので自給的投入を示す技術係数は小さくなるものと考えられます。

また,立地によっても技術係数は変わると考えられます。企業が集積していると投入は増加すると考えられます。それは企業の立地が近いと遠くから移入するよりも近くから投入するため,相対的に移入よりも域内投入が増加すると考えられます。つまりWebberの立地論を前提にすれば距離が近いところで原材料投入を決定できます。

このような議論を拡張すれば,技術係数や移入(輸入)から地域の規模や地域の集積といった地域の特徴をつかむことが可能ではないかとも思っています。
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2014年01月07日

2013年12月読書ノート

2013年12月読書ノート

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

本年最初のエントリは昨年12月に読んだ本のまとめです。

オススメは,



です。以前このエントリでも書いたのですが,論文指導の時に「問いの立て方」について示唆するものが多いです。比較軸を持ったり,時間軸で広げたりしながら問いをふくらませていくという考え方は非常に勉強になりました。

この本によって,私にとって手元に置くべき文章読本三部作+αは以下のとおりになりました。

文章読本三部作

鹿島茂(2003)『勝つための論文の書き方』文春新書
山田ズーニー(2001)『伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)』PHP新書
戸田山和久(2002)『新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)』日本放送出版協会(私は旧版のみ読みました。)

+α(日本語の使い方)

阿部紘久(2009)『文章力の基本』日本実業出版社


<中国>

山本要(2013)『大団円』文芸社 物流会社の広州支店の総経理として派遣された武藤。現地職員を束ねる林国輝。会社への「忠」を持つ日本人、親族至上主義の「孝」に縛られる中国人。共に家族の問題を抱えながら、仕事のやり方でぶつかり、協力する。

関志雄(2013)『中国 二つの罠』日経新聞出版社 中所得国の罠、体制移行の罠の兆候を持つ中国。資本主義の様相を持つようになった中国は成熟した資本主義を目指すべき。公平を志向し、権力者による改革、漸進主義的改革、政府の役割を見直す必要がある。

加藤弘之(2013)『「曖昧な制度」としての中国型資本主義 (世界のなかの日本経済ー不確実性を超えて3)』NTT出版 中国の制度が持つ曖昧さを制度、歴史、包、不確実性から明らかに。競争と相容れない特徴、国有経済、官僚・党の利益集団、が成長を促進する場面を分析。資本主義の多様性と中国の関係も。

大沢昇(2013)『ワードマップ現代中国-複眼で読み解くその政治・経済・文化・歴史』新曜社 中国語辞典編集に携わってきた著者が、時代別の言葉、実事求是、振興中華、太子党などから中国史を振り返り、テーマ別の言葉中南海、核心的利益、海洋強国、中国特色社会主義、などから現代中国を解説。

在中日本人108人プロジェクト 編(2013)『在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由』阪急コミュニケーションズ 絵本で南京で日本語を教える人,中国映画で軍人を演じる俳優,日中の親をもつ高校生など,歴史認識の違いに戸惑いながらも中国の良さ・悪さを含んで中国を語る。


<経済>

パーサ・ダスグプタ(植田和弘山口臨太郎中村裕子)(2008)『経済学 (〈一冊でわかる〉シリーズ)』岩波書店 経済学は人々の生活がどのようにして今の状態になったのか、それに影響を及ぼす過程を明らかにするもの。信頼、共同体や市場の役割、科学技術、家計と企業、民主主義というテーマから明らかに。

浦田秀次郎・小川英治・澤田康幸(2011)『はじめて学ぶ国際経済 (有斐閣アルマ)』有斐閣アルマ 国際貿易・国際金融・開発経済の3分野から現状、理論、政策を説明。国際貿易、経済統合、海外直接投資の理由、資金の流れ、為替レートの決定と介入、国際通貨制度、格差、貧困削減、開発援助、開発と援助など。

渡部茂・中村宗悦編(2013)『テキスト日本経済』学文社 日本の経済成長を支えていた労働、技術導入、地理的特性、国際関係などの構造的特徴に変化。自由貿易、創造社会、個性化に対応するパラダイム転換が必要。産業構造、人口構造、環境、企業、政府のあり方を考える。

吉本佳生(2013)『日本の景気は賃金が決める (講談社現代新書)』講談社現代新書 日銀が進める金融緩和、安部政権の公共事業拡大に必要なのは、賃金格差に直面している女性、非正規雇用などの労働者の賃金を上昇させること、不動産価格の上昇で人を都市に集める、おしくらまんじゅう政策だ。

ポール・クルーグマン(2013)『そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書)』PHP新書 流動性の罠にはまっている日本に必要なのはインフレ期待(2%、できれば4%)を持たせる金融政策と積極的な財政拡大。財政再建論者を支えたロゴフ・ラインハートの実証、緊縮財政や増税は間違っている。


<自己啓発>

オダギリ展子(2011)『ストレスゼロを実現する!最強の文具活用術』PHP研究所 これは便利という文具を紹介し、文具の活用方法も。セロテープがぴったりサイズで貼れるディスペンサー、すべり止めがついたメモ、TO DO、スケジュールなどのハンコ、分別不要の紙クリップなど。

オダギリ展子(2010)『仕事がはかどるデスクワーク&整理術のルールとマナー』日本実業出版社 机上には1案件のみ広げる、書類は作業段階ごとにボックスに。書類の受け入れは一箇所、ざっと目を通して付箋でポイント記入。引き継ぎ関係書類は業務の流れに沿ってリングファイルに入れる。

奥谷隆一(2010)『デスクワークを3倍効率化するテクニック―エクセルの3つの機能で仕事のスピードを加速する (DO BOOKS)』同文舘出版 VLOOKUP関数、ピボットテーブル、マクロの3つを使いこなせれば、半分以上の業務を効率化することが可能。列の右の値を返すVLOOKUP関数、データを集め直すピボットテーブル、作業をパッケージ化するVBA。

中野雅至(2004)『投稿論文でキャリアを売り込め』日経BP社 個人の実力の時代になり知識社会の中では、資格よりも自分の仕事を文章化し、様々な雑誌に投稿して世間に発表して目に見える実績を残すことが有効になっている。

吉川英一(2009)『億万長者より手取り1000万円が一番幸せ』ダイヤモンド社 日本の税金システムで最も効率のいい税率は手取り1000万円。所得税率は23%に収まる。社会人からの勉強が重要、宅建と税金が役立った。株よりも不動産が安定。

吉川英一(2005)『年収360万円から資産1億3000万円を築く法』ダイヤモンド社 毎年似た動きをする小型、低位株に投資、日本株は海外投資家のパターン、年末に買って春に売る、になる。資金を優良物件にシフト。不動産購入資金は地元の信金や国民生活公庫にトライ。


<社会問題>

兼原信克(2011)『戦略外交論』日経新聞出版社 人は良心に従って種を保存し個体を保存するために共通の意味空間を作り群れを作る。国際社会を構築しようとしたのは米国が最初であり、その主張は人権と民主主義である。優れた価値観や倫理を持つ国は生存能力が強い。

石井研士(2008)『テレビと宗教―オウム以後を問い直す (中公新書ラクレ)』中公新書ラクレ 江原、細木の霊や占いを垂れ流す一方で宗教団体の放送をタブー化する。空白化した日本人の宗教性にステレオタイプ化した宗教情報が刷り込まれ、バラエティ化し、伝統宗教を伝統行事に押し込め、新しい宗教団体の危険性を煽る。

中野雅至(2009)『「天下り」とは何か』講談社現代新書 天下りの発生要因は早期退職勧奨や年次主義などの人事労務管理。公務員の転職や再就職を禁じることは職業選択の自由を奪う。昔は官僚の専門性が必要とされたが、成熟するに連れて人事となった。


<その他>

荒濱一・高橋学(2013)『新版やっぱり「仕組み』を作った人が勝っている』光文社知恵の森文庫 一度作ってしまえば自分は動かなくとも自動的に収入が得られるシステムが仕組み。各作業を細分化して誰がやっても同じ成果が出せるようにする「標準」化。(田中正博 年商一億の保険代理店)

日経PC21編(2010)『メキメキ上達!エクセル関数ワザ100』日経ビジネス人文庫 合計・概算の時の切り上げ切り下げ、分析・試算の条件に合う数値を計算、条件を分けて計算結果を表示、日付・時刻、他の表から転記、文字の結合・分割、条件付き書式で色つけ、など。

山内志朗(2001)『ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書)』平凡社新書 論文に必要なのは問題意識、問題設定、論証・分析、結論である。問題意識は自分の夢と同じでありやる気でもある。材料を仕入れて待つという作業が必要。ない時はケンカしてこのヤローと思うことがきっかけになったりする。

鹿島茂(2003)『勝つための論文の書き方 (文春新書)』文春新書 論文には生活で問題を立て自分の頭で思考し解決するプロセスが詰まっている。作文と論文の違いは「問い」。未知を見出すことが問いを作ること。良い論文は?で始まり!で終わる。

吉岡友治(2013)『いい文章には型がある』PHP新書 主張型文章は問題、解決、根拠の三つの要素を含む。困っている問題を取り上げ、解決を示す。根拠は理由を言い換え続ける蛇型が基本だが、並列的に根拠を示す孔雀型も用いられる。

小島直記(2012)『鬼才縦横(上)』日経ビジネス人文庫 文学少年だった小林一三は三井銀行に入行。仕事に熱意もなく、女性にうつつを抜かしていた。大阪支店時代の支店長岩下との出会いが、今後の鉄道事業につながる。

小島直記(2012)『鬼才縦横(下)』日経ビジネス人文庫 元上司の岩下によって阪鶴鉄道の監査役に。精算して箕面有馬電鉄(阪急電鉄)の創設に取り組む。サラリーマンから経営者へ脱皮。アイデアで沿線住宅開発、温泉、百貨店、宝塚歌劇団を設立。東京電気の経営にも携わり、商工大臣へ。

L. ディー・フィンク(土持ゲーリー法一監訳)(2011)『学習経験をつくる大学授業法』玉川大学出版社 統合コースデザインは学習目標、授業・学習行動、フィードバックとアセスメントが相互に機能しあうもの。どこにいてどこに行きたいのか、どのように到達するのか、授業では何をするか。

苅谷剛彦(2012)『アメリカの大学・ニッポンの大学』中公新書ラクレ 財政的援助と教育経験を積むTA、多くの文献を指定するシラバス、成績評価に敏感なアメリカの学生。大学の学びの軽量化が学習効果を下げている。が、アメリカの教育サービスに対する消費者意識が学習要求のかさ上げを困難に。

苅谷剛彦(2012)『イギリスの大学・ニッポンの大学』中公新書ラクレ オックスフォードの教育の中心はチュートリアル。教師が課題図書を指定し学生は要約と意見を書く。それをもとにして教師と学生が議論。卒業は試験により判定。採点は外部からも参加し大学が必要とする論じる能力を評価。

B・F・スキナー(山形浩生)(2013)『自由と尊厳を超えて』春風社 私たちが自由に決めて行動していると思っても実は環境の刺激によるもの、尊厳と思うものはいい行動に対する強化子。行動が環境によって決められているので、自由や尊厳というのは何か。環境は人が生存するための文化でもある。

鳥飼玖美子編(2013)『よくわかる翻訳通訳学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)』ミネルヴァ書房 翻訳の歴史は聖書や仏典。通訳は国際会議等で需要が増加。翻訳通訳は起点テクストから目的テクストへ。翻訳は目的テクストを目標に。通訳は起点テクストから状況判断が必要。
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2013年12月26日

今年もお世話になりました。

2013年もまもなく終わります。

今年も多くの人に助けていただきながら,いい1年を過ごすことができました。

とくに昨年の著書



が,日本地域学会(関連エントリはこちら)と環太平洋産業連関分析学会(関連エントリはこちら)の二つの学会から受賞することができました。

研究の一つの区切りがついたように思います。関わっていただいた多くの方々にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

来年もさらなる飛躍を目指してがんばりたいと思います。みなさまもよいお年をお迎え下さいませ。
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2013年12月24日

「中国はなぜ都市化を推進するのか?」

ERINA(環日本海経済研究所)より『ERINA REPORT』No.115が発刊されました。「中国の地域経済と地域発展戦略」を特集しています。

私も「中国はなぜ都市化を推進するのか?」と題して寄稿しています。

(『ERINA REPORT』はこちらからPDFで読めます。)

本稿では,中国が地域開発戦略として都市化が推進されるようになったその流れ,そしてその理由について考えています。まず,地域開発戦略の重点が「地域」(面)から「都市」(点)に移ってきたことを確認しています。次に中国の課題はサービス産業化,環境問題などであることを指摘し,簡単に相関関係をみてみると,都市化はサービス産業化をすすめ,環境にもやさしいことが示唆されます。したがって,中国経済を抱える課題解決のためには都市化が有効であるから,中国は積極的に都市化を推進しているんだ,と結論づけています。
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2013年12月17日

応用地域学会(ARSC)第27回研究発表大会

応用地域学会(ARSC)第27回研究発表大会が12月14日,15日と京都大学で開催されました。

初日に「中国の都市化は経済成長を支えるか?」と題して報告しました。

全国産業連関表から地域産業連関表を推計する手段として「地域化(Regionalization)」という手法があります。一般的には立地係数(Location Quotient)を使って全国の技術係数を地域用に推計するものです。近年FleggらがFLQやAFLQという手法を開発しており,その中でも地域経済の特化(集積)を考慮したAFLQという方法があります。このAFLQを利用して,「都市化」のインパクトを計測しようというものです。

具体的には,都市化によって工業化,工業化+サービス産業化がすすみ,工業やサービス産業が集積することによって地域内取引が活発化し,その全国への影響を計測するというものです。分析の結果わかったことは,中国の四直轄市の中でも上海の都市化がもっとも中国の経済成長にインパクトを与えるとともに,西部開発にも役立つことがわかりました。

討論者として鄭小平先生(立命館大学)がコメントをしてくれました。

Gallup,Sachs and Mellinger(1999)は都市化が経済成長に正のインパクトを与えるというものの,都市化による負の影響(渋滞や環境問題)をどのように計測するか,という点を指摘してくれました。今回の分析モデルでは正の影響しか計測することができないという限界があります。都市化には多様な側面(外部経済や不経済)を考慮して,多面的な分析が必要です。今後,外部不経済も考慮したモデル化を考える必要があります。

また,座長である浜口伸明先生(神戸大学)からは,集積を地域内投入係数の増加とすると,投入係数が増大し,産業の生産活動としては非効率化するように思うという意見をいただきました。たしかに産業集積が進むと地域内投入が増えるとしても,その分地域外からの投入は減ると考えるのが自然であるかもしれません。IOの実証分析では,経済発展が進むと投入係数が増加していきます(生産工程の迂回化)。その後経済が成熟するにつれて,付加価値が増加して中間投入部分が減少していきます。中国経済が今どの段階にあるのかも考えて適切な仮定が必要になってくるのかもしれません。

これらは今後の課題としていきたいと思います。

今回の学会では,その他に細江先生(GRIPS)のIO表の推計がCGEモデルにどれくらい影響を与えるかという計測結果が発表されていました。また爲季,堤先生(筑波大)による「LQ法による地域投入係数の推定精度の比較」も勉強になりました。


写真 (12).JPG
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2013年11月12日

国際学術シンポジウム

国際関係学部,アジア地域研究科,現代アジア研究所の三者主催で,国際シンポジウムが開催されました(学部HPの紹介はこちら)。

私は「中国の都市化とその課題」と題して報告しました。

中国は農村と都市が二元化されていること,成都と重慶の事例を示して,土地,戸籍,就業の問題が解決されるように取り組みがなされていることを示しました。

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2013年11月07日

綏芬河,北京,西安への出張

10月27日から11月5日までアジ研の出張で牡丹江(綏芬河),北京,西安を回ってきました。今回の出張はアジ研の「2005年日中韓地域間アジア国際産業連関表の作成と応用(II)」研究会事業の一環です。

綏芬河(すいふんが)は黒竜江省の牡丹江の県級市です。ロシアと接しており,国境貿易が盛んなところです。鉄道,道路の税関があり,今回は税関を見学するととももに国境貿易の現場を見学しました。

ロシアからの商人も多く,衣類の買付けなどが盛んでした。ロシアからは主に原木や鉄鉱石などを輸入し,中国は衣類や家具類などを輸出しています。家具類などは加工貿易が行われており,日本の割り箸来料加工工場も見学しました。典型的な来料加工で,日本側がロシアで原木を買付け,それを綏芬河の工場におくり,できた割り箸はすべて日本側が買い取るというものです。綏芬河の工場はあくまで加工賃を受け取るものでした。(たしか100本の割り箸で数毛だったような)

<ロシア料理店,ロシア街,税関>
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北京では,国家信息中心とアジ研の共同ワークショップが開催されました。今盛んなグローバル・バリュー・チェーンに関するものです。

同じく西安では,西安交通大学,商務部,アジ研共催のグローバル・バリュー・チェーンの国際会議(中日全球価値鏈研討会)が開催されました。私は

「The Regional Economy in China - Core, Periphery and Overseas」

と題して報告。地域間の空間相互依存において周辺から中核に価値が移転しているがその額は小さくなっていることなどを報告しました。

研究会の原稿のネタがたくさん手に入りました。出張を手配してくれたアジ研,現地の各受入機関に感謝です。

<北京での会議>
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<西安での発表>
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