2017年05月09日

現代中国経営者列伝

著者の高口さんよりいただきもの。




中国の本屋では日本人経営者も含めて企業経営者の自伝(本書でいう励志書籍)が大量に並ぶ。起業意識が高いという国民性もあるからだろう。

本書はこの経営者立志伝から中国経済史をも述べてしまおうというなかなか「大胆な試み」だ。

私として面白かったのは、学校購買部を経営権請負という形で始まった娃哈哈、青島電動機廠という小さな町工場の工場長から始まった張瑞敏(ハイアール)など、当時の民営化の流れが具体的にわかるところがよかった。

また、地上げ屋の大連万達が国有企業だったために社員研修旅行が規律違反の警告を受けるという話は政府と国有企業の関係を具体的に理解できる事例だった。

立志伝は「思い出補正」(良い思い出ばかりが残ること)バイアスが働いて書かれるので、どうしても「苦労がんばって克服したよ!」といういいことしかない。その意味では、客観性がかけるような気がするが、それでも、中国の改革開放の流れで経営者が時代にそってどう企業を切り盛りしてきたかが生き生きと書かれているので、読み物として楽しめた。

日本では中国経営者の情報が少ない、あるいは経営者視点からみた中国市場情報は少ないので、楽しく読めて中国経済がわかるという意味ではお得である。

(しかし、今思うと昔活躍した企業が結構消えていることに気づいた。中国の変化は激しい。)
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2015年07月14日

2015年6月読書ノート

2015年6月読書ノート

最近、読書時間である通勤時間を英語の学び直しに使うようになっているので、読書量が減っています。

今回は自己啓発ばかりでした。とくに紹介できるほどのいい本はなかったので、今月の一冊は今回もなしでw

<自己啓発>

清流院流水(2015)『努力したぶんだけ魔法のように成果が出る英語勉強法』PHP研究所 成果を出すために迷宮メソッドと魔法のメソッドを比較。結局英語が伸びない勉強法はちょっとした一手間を惜しんでいることにある。覚えること,繰り返すこと,書いてみること,話してみることを惜しまない。

スティーブ・シーボルト(2012)『金持ちになる男、貧乏になる男』サンマーク出版 「貧乏になる男は一握りの人が富の大半を独占していることを批判し、金持ちになる男は貧乏人が富裕層の仲間入りすることを歓迎する」

宇都出雅巳(2014)『合格る思考』すばる舎リンケージ わからない自分と向き合い、わからないことが何かわかることを大きな進歩ととらえる。少しでもわかっていることは何か、何ができないのか、全体からみてわかるわからないにとらわれない、など。

宇都出雅巳(2011)『合格る技術』すばる舎リンケージ 過去問とテキストを用意し、わかるところわからないところをわける。何度も繰り返すうちにわからないところが減る。過去問は解くのではなく解説を読む。過去問、テキストにそのままメモを書き込む。

堀正岳・まつもとあつし(2014)『知的生産の技術とセンス-知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術』マイナビ新書 知的生産とは世界に対して小さなプラスを積み重ねていくこと。情報のインプットとアウトプットの中で自分のセンスを付け加える。

竹田恒泰(2014)『日本人が一生使える勉強法』PHP新書 西洋式成功哲学の問題は巨万の富が目的であること。日本式成功哲学は勉強し、よい仕事をして、世のために尽くすこと。夢は自己願望、プラス思考はマイナス思考が積み上げたものでなければならない。

小川仁志(2014)『覚えるだけの勉強をやめれば劇的に頭が良くなる』PHP新書 大人の勉強とは@疑いA削ぎ落としB批判的に考えB根源的に考えDまとめること。 勉強テクニックは@スケジュールを立てA情報を入手しB整理しC分析する。考えをD図示してE記憶する。

<その他>

中村圭志(2014)『教養としての宗教入門 - 基礎から学べる信仰と文化 (中公新書)』中公新書 宗教を薄さと濃さから世界の宗教を整理。物語と伝統として宗教は薄く存在し,信仰,戒律,儀礼によって宗教は濃くなる。諸宗教が比較可能になったことで宗教文化は相対化され,個人主義化が伝統戒律の保持と社会の連帯を難しくする。
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2015年06月16日

『よのなかを変える技術』

出版社よりご恵投いただきました。



本書は、いわゆる「社会起業家」になるためには、何をすればいいか、が書かれています。

社会には多くのこれでいいのか?という「世の中の仕組み」が存在します。その仕組みによって生み出されている「困っている人達」のニーズをどのように把握し、どのような解決策があるのか、この問題点が「世の中の仕組み」を解決する出発点です。

障がい者が低賃金労働に甘んじているのはおかしいし、彼らは生活できないという困りを、スワンベーカリーという形で変えたヤマト運輸の元会長、小倉昌男さん。

500円で健康診断ができるようにしたケアプロ株式会社。

このような事例をもとに、どのように問題を発見し、世の中の仕組みを変えていくか、そして仲間をつのり、活動をし、活動の中で必要なノウハウが具体的にかつ誰でも利用可能な形で提供されています。

文章も非常によみやすく、社会起業家に興味がある方には必見の一冊でしょう。とくにうちの学部ではNGOに興味がある学生たちが多いので、すすめてみたいと思います。
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2015年06月02日

『大格差』

前から感想を書こうと思ってた本の紹介。



この本の主張は,技術進歩によって機械と一緒に働ける人と働けない人の二極化が進んでいる,機械によって生産性があがるかどうかは,人が機械ができないことをどのように補完するか,機械との協働が鍵となる,です。

Google自動車,Siri,恋人探しのサイト,など機械ができることが増えてきています。となると,このような仕事はどんどん価格が低下していき,反対に土地,知財,特殊技能労働者が稀少となって価格は上昇します。アメリカではアメリカ人が低賃金仕事をやらない,そして中間職のような仕事は機械がとって代ってきているので,そもそも労働参加率が低下しているといいます。

となると人ができるのは,専門性の高いものとコミュニケーションが必要な分野になってきます。女性はコミュ力が高いので女性の労働参加率は上昇していきます。

今後の見通しとしては,機械にできないもの,あるいは機械をより発展させるといった人が必要になってくるわけで,このような人の給料は高くなる(生産性が高いので),そうなると格差は広がっていく,ということになります。

たしかにパソコンが使える,使えないというのは機械と協働できるかどうかということであり,パソコンができない,でも肉体労働はいや,それに加えてコミュニケーションが苦手,といった人は社会で労働を提供することが難しくなってくるのかもしれません。

いろいろ考えさせられる本でした。
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2015年05月19日

2015年4月の読書ノート

2015年4月読書ノート



松尾さんとはちょっと考え方が違うと思っていましたが、これはかなり同意できた本です。彼自身も思考の変遷があって、今回は左派的な考え(ケインズ)と右派的な考え(ハイエク)の中から、なんとなく共通点を見出したという感じです。政府の役割は基本的にルール型であるべきだというところに落ち着いています。


<経済>

トマ・ピケティ(山形浩生守岡桜森本正史)(2014)『21世紀の資本』みすず書房 民間資本収益率が所得と産出の成長率を長期的に大幅に上回り得るという事実は、格差を縮小する力よりも拡大の力がある。正しい解決策は資本に対する累進課税である。

松尾匡(2014)『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 (PHP新書)』PHP新書 ソ連の崩壊、反ケインズの流れから1970年代社会は小さな政府への転換が起こっていた。しかしこれは自由主義的転換ではなく裁量的な政府から基準的な政府への転換であった。

水野和夫(2014)『資本主義の終焉と歴史の危機』集英社新書 利潤を求めて資本主義は地理的空間的拡大を遂げ、電子金融空間にまで進出した。金利の低下、成長、物価の低下により利潤を上げられなくなり、資本主義は終わりを迎えつつある。

<中国>

安田峰俊(2014)『知中論-理不尽な国の7つの論理』星海社 「蔑視や憧憬を一方的に押し付ける形での「中国の関心の持ち方」自体が、ヒステリックな対中姿勢を誘発しかねない危険性を持っている」216

小林史憲(2014)『騒乱、混乱、波乱! ありえない中国 (集英社新書)』集英社新書 四川大地震で子どもを失った親に補償金で反乱の芽を摘む、西部大開発以降押し寄せる漢族とウイグル人との摩擦、投資話で損をしても共産党への解決を期待するオルドスの農民、ウカン村の成功から外国メディアを利用する村,など。

高原明生・丸川知雄・伊藤亜星編(2014)『東大塾 社会人のための現代中国講義』東大出版会 国家体制(高原)、少数民族(平野)、ナショナリズム(村田)、外交(川島)、安全保障(松田)、資本主義(丸川)、二つの罠(関)、中国法(高見澤)、社会の変化(園田)、公民社会(阿古)など。

丹羽宇一郎(2014)『中国の大問題』PHP新書 世界は日本ほど中国を敵視していない。領土問題は「フリーズ」し、4つの共同声明の精神を確認し、経済交流、青少年、地方間の交流を復活すべきである。交流ない中では国民感情が固定化してしまう。

丸川知雄・梶谷懐(2015)『超大国・中国のゆくえ4 経済大国化の軋みとインパクト』東大出版会 過剰資本蓄積、金融抑制、地方政府の土地財政(梶谷)、中国がもたらす途上国のモノカルチャー化、キャッチダウン型技術発展(丸川)。課題は多いもののトーンとしては中国経済は力強い、と。

<自己啓発>

村上憲郎(2012)『一生食べられる生き方』PHP新書 進化できる企業とできない企業の違いはモンキートラップを逃れらるかどうか。自分のスキルを一般化して他社でも役立つ形に自分の経験やノウハウを組み替える。自分のスキルを会社依存型から独立自立型に。

白取春彦(2014)『思考のチカラをつくる本: 判断力・先見力・知的生産力の高め方から、思考の整理、アイデアのつくり方まで (単行本)』三笠書房 新しい考えを生めるかどうかは、自分の生活、自分の言葉の量と質に依存。新しい自分は新しい考えを生む。考えは何も生まないし、書き留めないと意味がない。「言葉だけで何事もなしうる可能性がある」

グレッグ・マキューン(高橋璃子)(2014)『エッセンシャル思考』かんき出版 より少なくより良くを追求するのがエッセンシャル思考。規律なく仕事を拡大すると失敗する。仕事を見極めやらない仕事にノーと言う。実現しやすくするために仕組み化する。

宇津出雅巳(2011)『どんな本でも大量に読める「速読」の本 (だいわ文庫)』大和書房 自分の知っていることストック,読書慣れが速読技術より重要。ストックを補うために本を繰り返してストックとし,それを使って速読する。高速大量回転法。

<社会>

矢作弘(2014)『縮小都市の挑戦』岩波新書 都市は郊外化、主要産業の移転に伴う移住(人口減少)、脱製造業を要因として縮小。日本は出生率低下と求職や郊外化による都市間移動で縮小。コンパクトシティ論は理念であり空間計画、縮小都市論は現実論かつ学際的アプローチ。

三浦展・清水千弘研究室(2014)『日本の地価が3分の1になる!』光文社新書 現役世代の負担率が高い地域は地価の下落は激しい(そういうモデル)。足りない生産人口を外国人が埋めている現状も。74歳まで働けば地価は上がる。


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2015年04月28日

2015年3月読書ノート

ちょっとまとめるのが遅くなりましたが,2015年3月の読書ノート。



速読系の本はいろいろ読みましたが,ストックとの関係で読むスピードが変わる,という点に着目しているところが本書の特徴です。その意味では同じ分野の本を同時並行で読むとよくわかるというのもこれと関係するでしょう。同じ分野であれば,読み進めると知識が増えていくので,同時に広げる方が読書効率が上がるように思います。

<経済>

トマ・ピケティ(山形浩生守岡桜森本正史)(2014)『21世紀の資本』みすず書房 民間資本収益率が所得と産出の成長率を長期的に大幅に上回り得るという事実は、格差を縮小する力よりも拡大の力がある。正しい解決策は資本に対する累進課税である。

矢作弘(2014)『縮小都市の挑戦』岩波新書 都市は郊外化、主要産業の移転に伴う移住(人口減少)、脱製造業を要因として縮小。日本は出生率低下と求職や郊外化による都市間移動で縮小。コンパクトシティ論は理念であり空間計画、縮小都市論は現実論かつ学際的アプローチ。

三浦展・清水千弘研究室(2014)『日本の地価が3分の1になる!』光文社新書 現役世代の負担率が高い地域は地価の下落は激しい(そういうモデル)。足りない生産人口を外国人が埋めている現状も。74歳まで働けば地価は上がる。

<中国>

安田峰俊(2014)『知中論 理不尽な国の7つの論理 (星海社新書)』星海社 「蔑視や憧憬を一方的に押し付ける形での「中国の関心の持ち方」自体が、ヒステリックな対中姿勢を誘発しかねない危険性を持っている」216

小林史憲(2014)『騒乱、混乱、波乱! ありえない中国 (集英社新書)』集英社新書 四川大地震で子どもを失った親に補償金で反乱の芽を摘む、西部大開発以降押し寄せる漢族とウイグル人との摩擦、投資話で損をしても共産党への解決を期待するオルドスの農民、ウカン村の成功から外国メディアを利用する村,など。

高原明生・丸川知雄・伊藤亜星編(2014)『東大塾 社会人のための現代中国講義』東大出版会 国家体制(高原)、少数民族(平野)、ナショナリズム(村田)、外交(川島)、安全保障(松田)、資本主義(丸川)、二つの罠(関)、中国法(高見澤)、社会の変化(園田)、公民社会(阿古)など。

丹羽宇一郎(2014)『中国の大問題』PHP新書 世界は日本ほど中国を敵視していない。領土問題は「フリーズ」し、4つの共同声明の精神を確認し、経済交流、青少年、地方間の交流を復活すべきである。交流ない中では国民感情が固定化してしまう。

丸川知雄・梶谷懐(2015)『超大国・中国のゆくえ4 経済大国化の軋みとインパクト』東大出版会 過剰資本蓄積、金融抑制、地方政府の土地財政(梶谷)、中国がもたらす途上国のモノカルチャー化、キャッチダウン型技術発展(丸川)。課題は多いもののトーンとしては中国経済は力強い、と。

<自己啓発>

村上憲郎(2012)『一生食べられる生き方』PHP新書 進化できる企業とできない企業の違いはモンキートラップを逃れらるかどうか。自分のスキルを一般化して他社でも役立つ形に自分の経験やノウハウを組み替える。自分のスキルを会社依存型から独立自立型に。

白取春彦(2014)『思考の力を作る本』三笠書房 新しい考えを生めるかどうかは、自分の生活、自分の言葉の量と質に依存。新しい自分は新しい考えを生む。考えは何も生まないし、書き留めないと意味がない。「言葉だけで何事もなしうる可能性がある」

グレッグ・マキューン(高橋璃子)(2014)『エッセンシャル思考』かんき出版 より少なくより良くを追求するのがエッセンシャル思考。規律なく仕事を拡大すると失敗する。仕事を見極めやらない仕事にノーと言う。実現しやすくするために仕組み化する。

赤羽雄二(2013)『ゼロ秒思考』ダイヤモンド社 考えても浅く空回りする。考えをすべて書き留めると、堂々巡りがなくなり、感情が整理され仕事の判断が速くなる。A4の紙を横にして、タイトルを書いて4-6行20から30字を毎日10ページ、1ページを1分以内で書く。

宇津出雅巳(2011)『どんな本でも大量に読める「速読」の本 (だいわ文庫)』大和書房 自分の知っていることストック,読書慣れが速読技術より重要。ストックを補うために本を繰り返してストックとし,それを使って速読する。高速大量回転法。
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2015年03月17日

2015年2月の読書ノート

先月は英語学び直しのために英語勉強法の本をいろいろ読みました。

オススメはこれ。



語学学習もずいぶんと科学的に解明されてきているという印象を受けました。白井さんの本は全部先行研究を丁寧に追っていて,学習方法の科学性が裏付けられています。

竹内さんも科学的に迫っているのですが,ちょっと実験(統計)分析と目的が今一歩わかりませんでした。それでも多くの英語学習者の共通点を探しだそうとする『「達人」の英語学習法―データが語る効果的な外国語習得法とは』は面白かったです。

勉強したいけど,どう勉強すればいいかわからない人には森沢さんの『英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法』がおすすめ。


<英語>

村上憲郎(2008)『村上式シンプル英語勉強法』ダイヤモンド社 英語はグローバル社会を走り回るための「2台目の自転車」。息継ぎなしで小説10冊ノンフィクションで5冊読み、毎日1万語の単語を眺め、1000時間英語を聞き、借りて来た表現で書き、自分のことで100の英文を持っておく。

イムラン・スィディキ(2014)『これを読むまで英語はあきらめないでください!』大和書房 英語勉強のモチベーションを維持できないのは、上達しているけど上達を実感できていない、目標を見失っている、勉強内容と英語学習の目的があっていないのどれか。上達者はインプットを重視。

野島裕昭(2010)『「超音読」英語勉強法 留学経験なし! だけどTOEIC テスト満点!』日本実業出版社 ネイティブに近い自然なスピードで音読できればリスニングの基礎となる。速音読→リスニング→速音読→スピーキングへとつながる。

國弘正雄(1999)『國弘流 英語の話し方』たちばな出版 只管朗読こそが英語を身につける方法。楽をして英語を身につけることはできない。中学のリーダーの繰り返しの音読で直読直解、多読が可能になり、会話表現や英作文の基礎ができる。

森沢洋介(2005)『英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法』ベレ出版 英語を自由に話す基盤となる「基底能力」は知識と知識を活動させる回路からなる。回路を作るための短文暗唱=瞬間英作文,音読パッケージを基本に精読,多読とボキャビルへ。

竹内理(2003)『より良い外国語学習法を求めて-外国語学習成功者の研究』松柏社 学習方法の意識化などのメタ認知方略、リーディング・リスニングは深く読み分析的に聞き、音読、その後量拡大。スピーキング・ライティングは基本文型の大量暗記、パターンプラクティスなど。

竹内理(2007)『「達人」の英語学習法―データが語る効果的な外国語習得法とは』草思社 年齢による臨界点は懐疑的。否定的思い込みは学習に不利。目的明確に、集中と定期的学習というメタ認知を前提に、リスニング、リーディングは最初丁寧に後は量、英作文は英借文、語彙は音声化、文脈化、身体化、ネットワーク化、リスト化が有効。

鎌田浩毅・吉田明宏(2013)『一生モノの英語勉強法』祥伝社新書 目的をたて戦略(学習すること)を明確にする。学習する内容について戦術(参考書)を選ぶ。持ち時間とゴールを明確に。発音,文法,読解,単語,リスニング,スピーキングの六分野について方法を伝授。

門田修平(2007)『シャドーイングと音読の科学』コスモピア シャドーイング・音読にはリスニング・リーディングの音声知覚、単語認知を自動化し、内語反復の効率化・顕在化による語彙・文法などの学習事項を内在化する機能がある。

千野栄一(1986)『外国語上達法』岩波新書 言語習得に必要なのは目的と目標、お金と時間。覚えなければならない項目は語彙と文法で、習得のための三つの大切な道具はよい教科書と良い先生とよい辞書である。

猪浦道夫(2003)『語学で身を立てる』集英社新書 理想的なプログラムは、文法体系の把握、平易な現代文の精読、作文演習、会話演習(独習)。

白井恭弘(2004)『外国語学習に成功する人、しない人―第二言語習得論への招待 (岩波科学ライブラリー)』岩波書店 言語習得はかなりの部分がメッセージを理解することから起こり、意識的な学習によって発話の正しさをチェックし、自動化により実際に使える能力に貢献し、普通に聞いているだけでは気づかないとを気づかせる効果がある。

白井恭弘(2008)『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)』岩波新書 第二言語習得論 外国語学習の成功は学習開始年齢、適性、動機づけによって決まる。母語と外国語が違う部分が学習の邪魔になりやすい。そのため「インプット理解とアウトプットが必要」。例文暗記で補足しながら言語のデータベースを増やすこと。

白井恭弘(2012)『英語教師のための第二言語習得論入門』大修館書店 外国語習得に成功する学習者は若い、母語が学習対象言語に似ている、外国語学習適性が高い、動機づけが強い、学習法が効果的、という特徴を持つ。言語習得の本質はインプット仮説と自動化理論の二つ。

<その他>
杉山貴章(2011)『図解 クラウド-仕事で使える基本の知識』技術評論社 自社サーバやネットワーク機器を用意することなく,Webブラウザで大部分を利用することが可能なクラウドサービス。データベース,アプリ,開発環境などを必要なだけ物理的設備や場所に左右されずに利用可能。
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2015年03月03日

ピケティと中国の格差

私がこの本についてうんぬんする必要があるのかというとそうでもないけど,話題になっているので取り上げてみます(笑)

kaikaji(梶谷さん)いわく

kaikaji.jpg

じゃないけど,ピケティに便乗して中国の格差を語ってみますwww (あ,でも内容はまじめ)





主張は非常にシンプルです。

民間資本収益率が所得と産出の成長率を長期的に大幅に上回り得るという事実は、格差を縮小する力よりも拡大の力がある。正しい解決策は資本に対する累進課税である。

このシンプルさのゆえ,多くの人がこの主張にかみつき,事実の解釈をめぐって議論になっています。

この本のおもしろさは「格差」を経済学の主要テーマとし,長期データからあきらかになるものを突き止めたという点でしょう。

資本収益率が経済成長率も高い事実をめぐっていろいろ議論になっています。その辺は他にゆずるとして,彼の発見と仮説が正しいとして中国の格差はどうなるかと考えてみました。

中国では資本は国家独占でした。企業も資源も土地も国家がもっていましたが,市場経済化の流れの中で,企業の民営化,土地の流動化は進みつつあります。(資源はまだ税金は低いし,使用権はあいまいなままなので,ちょっとわきにおいておく。)

とくに国有企業の民営化で,国有資本を低い価格で引き受けていった元官僚たち,官僚,共産党員と関係が密接な新興資本家たちが恩恵を受けました。

また社会科学院の調査によると,親が体制内就業しているとその子が体制内就業できる確率は有意に高いといいます。つまり官二代,富二代という裕福さが世代に受け継がれています。

ピケティも格差は縮小する力をもっているといいます。それは情報であり,教育だといいます。人的資本や教育は労働所得を高めるので間違いなく貧しい人裕福な人の差を縮めます。途上国が先進国にキャッチアップするのも途上国での教育の普及と人的資本の充実が大きな役割を果たしています。

でもピケティは資本の力はあなどれないとしています。事実,資本収益率は経済成長率より高いので,資本は資本を生み出します。働かなくても食べていける不労所得者を生み出します。

中国の資本家は国有資産と一緒に民間にスピルオーバーした人たちです。そして何のコネもなく資本ともゆかりも縁もない人たちはただひたすら労働に汗を流さなければなりません。ピケティが指摘するように,彼らに教育の機会が提供され,人的資本となるなら,格差縮小の力になるでしょう。教育の機会,就業訓練などが充実すれば労働面での格差縮小が期待できます。

でも,資本の力が強いとなると,

革命でも起きない限り,この格差は存在し続けるのかもしれません。

中国で資産税や相続税の話題は出ていますが,どうなるやら,といったところです。
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2015年02月03日

2015年度1月読書ノート

2015年1月の読書ノートです。

今回はやっぱりこれかな。



水野敬也のガネーシャシリーズはこの本で3部作となりました。最初の一冊目が爆笑と感動だったのですが,2冊目でふーんとなり,3冊目のこの本はどかーんと爆笑と感動があります。最後泣いちゃったしww


<経済>

岡田彰(2014)『ゲーム理論・入門 新版--人間社会の理解のために (有斐閣アルマ)』有斐閣アルマ 戦略ゲームは必ずしもパレート最適にならず、囚人のジレンマは利害の対立と協力を示す。協力ゲーム、進化ゲーム、ゲームの実験など。

佐藤康裕(2014)『都市・地域経済学への招待状』有斐閣ストゥディア 地域の産業と県民所得、人口移動、都市化、住宅と土地、都市モデル、地域間交易、立地、空間経済学、交通サービス、地方政府の役割など。

日経新聞編(2014)『身近な疑問が解ける経済学 (日経文庫)』日経文庫 きまり、ルールとゲーム(松井、安田)、民主主義(加藤)、リスク、医療(小塩、井伊)、経済地理(河端)、組織・人事(大湾)、行動経済学(池田)など平易な解説。

<中国>

福島香織(2014)『中国食品工場のブラックホール (扶桑社新書)』扶桑社新書 外資に肉製品をおろしていた上海福喜。潜入報道と政府の対応から政治的な外資バッシングがある?食品問題の背景には都市農村の二元化による農民工のテロ、厳しい基準にも関わらず賄賂を要求する検査官、密告を奨励する制度など。

<自己啓発>

水野敬也(2012)『夢をかなえるゾウ2 文庫版 ~ガネーシャと貧乏神~』飛鳥新社 芸人の道に進んだ西野勤。貧乏神の幸子さんに取り憑かれ,ガネーシャとコンビを組み,ゴッド・オブ・コントに出場。自分が困っている時に人を助けるのは,自分の困っているという感情から抜け出すこと。

水野敬也(2014)『夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え』飛鳥新社 女性の夢をかなえるべく現れたガネーシャ。ブラックガネーシャ対黒ガネーシャの対決、私は夢を叶え幸せになれるのか。すぐ諦めてしまう人生か頑張る人生か、両方を経験して好きな方を選んだら良い。

野上洋幸(2006)『人生が劇的に変わる心の習慣』こう書房 人は頭を使う生き物。問題は書き出して取り組んでこそ解決する。振り返って変えるべきものを明らかにして取り組む。人格と世俗的成功はバランス取れたもの。


<社会>

サンジーヴ・スィンハ(2014)『すごいインド-なぜグローバル人材が輩出するのか』新潮新書 カースト、現地言語、多人口、低教育の古いインドからカースト意識を持たず英語を標準語とし、高経済効率を求める新しいインドへ。英語教育と特権階級以外はインド工科大学で技術者の道へ。

チャールズ・アーサー(林れい)(2012)『アップル、グーグル、マイクロソフト-仁義なきIT興亡史-』成甲書房 グーグルは検索事業からスマートフォン事業に、アップルはデジタル音楽、携帯電話、タブレットで先行、マイクロソフトはPCを基盤としたのでリーダーにも革新者にもなれなかった。

佐藤優(2014)『創価学会と平和主義』朝日新書 日蓮の縁起観、初代、二代、三代会長が投獄された経験、SGIという国際組織、創価学会を体現する池田大作という名が創価学会の平和主義を形成。それを支持母体とする公明党は現実的な中道左派となり安全保障において重要なブレーキ役に。

<その他>

斉藤淳(2014)『世界の非ネイティヴエリートがやっている英語勉強法』中経出版 英語は特定の状況→文のインプット→単語と文法の理解へと、状況を大事に。動画は状況から英語に入るので深く広く記憶できる。単語も意味ではなく絵で、動画を使って英語のイメージを蓄積。

長谷川裕雅(2014)『磯野家の相続入門 節税は「花沢不動産」にきけ!』中公新書ラクレ 相続税対策の基本は、贈与、収益不動産などで相続財産の量を減らす、タワマン、所有不動産の組み替えなどで評価を下げる、控除、非課税限度額を増やす、である。

山並陞一(2011)『語源の音で聴きとる!英語リスニング』文春新書 太古の生活、捕える、食べる、村落、部族などの生活語が原語となり、英語の短い音を構成する。「知る」はノゥであるが、この音からnote、know、noticeがつながる。

山並陞一(2003)『語源でわかった!英単語記憶術』文春新書 英語の多くは印欧祖語。takeの語源degはtek、teg、tag、takでその音が伝える意味「ふれてえらび、つかみ取る」を理解すればその原音と原義から意味が類推可能。
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2015年01月20日

ニコラス・カー『クラウド化する世界』

ずいぶん前に読んだのですが,カーのクラウド化する世界



おもしろかったです。もっと早くに読んでおけばよかったと思う本でした。インターネットの変化ははげしいのですが,本書は現在でも参考になります。

本書の主張は,情報技術は電力と同じようにコンセントに繋げば様々な用途に使えるようになった。自社でコンピューターやシステムを持つ必要はなくなった。これからはユーティリティーコンピューティングの時代である,というものです。

クラウドは,超分散と超集中の両方の特徴を持ちます(小池2012)。データはすべてデータセンターに集まり,パソコンはただの端末になっていく一方,端末自体はモバイルも含めて多様化していっています。

私たちの生活はインターネットによって,大きく変化しました。物理的な空間で行われていた日常のやりとり、銀行、オフィス、学校、店、図書館、劇場、遊び場などで起きていた活動がいまや仮想空間でより効率的に行うようになってきています。実際,私もパソコンさえあれば,上記の活動はほとんどできています。銀行窓口にいかなくてもネットでほとんどのことができますし,今や英会話もスカイプで行なわれ,ハーバードの授業がネットで視聴できます。楽天やAmazonで買い物をして,iTunesで本や映画をレンタルします。今やゲームセンターにいかなくても友達とゲームができます。

インターネットはクラウド化しています。そこから必要な道具を見つけてくれば自分でできます。Googleを使えば、文書も計算も絵描きも発表資料も作れます。ホームページを作る技術がなくてもブログのプラットフォームを借りれば自分の情報を発信できるしカウンターが必要であればネットから借りてくればいいです。パソコンもソフトもいらなくなっており,必要なのはウェブブラウザだけになっています。

私たちはインターネットに依存にしています。知らない情報はもちろんのこと知っていること、過去のことまでも調べています。ネット上の情報が私たちの経験や記憶に取って代ってきています。

Googleの検索エンジンは各個人が検索した履歴にそって最も的確だという情報を示しています。私たちが見ている情報は人が見ているものとは違っているのです。SNSのニュースフィードやタイムラインと同じように個別化されているが現状です。

インターネットは人から情報を与えられそれに従っていましたが,私たちはインターネットから情報を与えられそれに従って判断し行動しているようになっています。

これからクラウド化するインターネットと上手につきあっていかないといけないのかもしれません。

<参考文献>
小池良次(2012)『クラウドの未来-超集中と超分散の世界』講談社現代新書
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2015年01月06日

2014年12月読書ノート

新年あけましておめでとうございます。

今年最初のエントリは,先月の読書ノートから。

今月の紹介本はたまたま図書館で見つけた以下の本です。



異文化交流がどのように学問されるのかということもわかりましたし、良く使われる多文化共生について考えるきっかけとなりました。

<自己啓発>

松島修(2010)『聖書に隠された成功法則』サンマーク出版 人間は最初から最高のステータスを持つ。自己実現ではなく神が与えている目的に向かって進むこと、本来のステータスを回復する。

<社会>

石井敏ほか(2013)『はじめての異文化コミュニケーション-多文化共生と平和構築に向けて』有斐閣選書 異文化感受性発達モデルでは否定→防衛→矮小化→受容→適応→統合となる。異文化の障壁はステレオタイプの認識,偏見,差別,心理的な自己優位性にもとづく。

リチャード・ムラー(二階堂行彦)(2014)『エネルギー問題入門―カリフォルニア大学バークレー校特別講義』楽工社 エネルギー問題の原則はエネルギー安全保障と温暖化対策のバランスである。代替エネルギーとして期待されるのは天然ガス、シェールオイル。先進国の温室効果ガス削減は進むが,中国など途上国の削減が課題。

三木義一(2012)『日本の税金 新版 (岩波新書)』岩波新書 個人や法人の所得税、消費税、相続税、酒税などの間接税、固定資産税や都市計画税などの地方税の根本的問題の解決がなされずに毎年改定されている。人や法人の移動により一国課税主義は限界。

田中秀明(2013)『日本の財政 (中公新書)』中公新書 予算編成は共有資源問題。日本は編成に関与するプレーヤーが多く財政規律が働かない。財政法は補正予算が予定されており規律がない。中期財政フレームに基づき各省庁が予算見積もりと執行を責任持つようにする。政府内閣に権限を委譲するシステムが必要。

駒村康平(2014)『日本の年金 (岩波新書)』岩波新書 年金制度の課題は、少子高齢化社会での年金財政持続安定性、非正規労働者増加による未納者数の増加、低所得高齢者への生活保障、である。見直しがあるのは,年金制度が問題というより、その健全な持続のためである。

船瀬俊介(2013)『日本の真相』成甲書房 偽りの栄養学で食品は危険、化学肥料漬けの農産品、電磁波、輸血の問題、コンクリートや化学建材が健康と景観を破壊、都市は世界で一番アブナイなど、マスコミが報じない問題を。

<その他>

小林雅一(2013)『クラウドからAIへ-アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場』朝日新書 機械と人間の関係を変えるインターフェース革命、AI人工知能。アップルはSiri、グーグルはセマンティック検索、フェイスブックはグラフ検索でモバイルへの入り口を押さえる。

小池良次(2012)『クラウドの未来-超集中と超分散の世界』講談社現代新書 クラウドは超集中と超分散が進むビジネスモデル。アプリやデータはセンターに集約され、多彩な端末で利用。通信網や放送分野の制限、個人情報保護などか制約。クラウドは情報の発信、消費を区別しない。

岡本茂樹(2013)『反省させると犯罪者になります (新潮新書)』新潮新書 加害者が持っている被害者への否定的感情を抑圧して反省させても反省にならない。頑張るしつけや立派なしつけも抑圧と我慢を産むだけで否定的感情を持ったまま。小さい頃の親との関係を振り返り自分への内省が人を更生に向かわせる。

ダグラス・ケンリック(山形浩生森本正史)(2014)『野蛮な進化心理学』白揚社 私たちの行動の奥深くには遺伝子を残す交配戦略が関わっている。経済学の非合理的行動も交配戦略からは合理的(深い合理性)が見られる。
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2014年12月25日

『良い資本主義 悪い資本主義-成長と繁栄の経済学』

以前読んだボーモル、ライタン、シュラムの『良い資本主義 悪い資本主義-成長と繁栄の経済学』の書評です。



本書の主張は,資本主義は国家主導的資本主義、オリガルヒ(新興企業)的資本主義、大企業的資本主義、起業家的資本主義の4つに分けられ,さらなる発展を求めるには,国家の指導を断ち、起業家的,大企業的資本主義の何らかのブレンドを採用する必要があろう,というものです。


国家主導型資本主義は,その名の通り国家が主導して経済発展を行なう方法です。いわゆる一時期注目されたアジアの開発独裁のようなシステムです。この資本主義の問題点は,@国家主導が永遠にうまくいくと信じること,A過剰投資に陥りやすいこと,B政府によって重点産業の選択に勝者と敗者の選び間違いが起こること,C腐敗を招きやすいこと,です。

オリガルヒ的資本主義とは,経済成長は政府の中心的な役割ではなく、その狙いは国の資源のほとんどを所有する少数のオリガルヒ(新興財閥)によって行なわれていること,そして目的はオリガルヒの経済的地位を守り向上させること,です。これは中南米などに見られる資本主義です。この資本主義の問題は,財閥と政府の間が癒着しやすく,腐敗を生みやすいということです。

大企業資本主義は,寡占的になった大企業が中心の資本主義です。イメージでは日本のような資本主義です。この問題点は@寡占的になる結果,価格コントロールできるので超常的利益を得ることができること,A保護を求めてロビー活動などのレントシーキングを行う,ことが指摘されます。しかし悪い面だけではなく,トヨタのように利益が漸進的改善につながる開発に使われることもあります。

起業家資本主義は,企業家を生みやすい土壌をもつ資本主義です。この体制では,企業家によって斬新的なブレークスルー技術を生見出すとしています。

本書は革新的な起業家を生むには以下の前提条件が必要としています。

@開業しやすく、事業を伸ばしやすい。登記しやすく破産も容易で資本アクセスも容易。
A生産的起業家活動の報酬が保障されている。リスクをとる人には適切な報酬が用意されている。複雑な税制がなく、知的財産権が保護されており,政府も基礎科学研究に補助金を出している。
B非生産的活動に時間を使わさない(ロビー活動など)
C競争の結果残った勝者を油断させない。一度成功した後でも改革を続けていくようにする。独占禁止法の整備・運用、貿易と投資の自由化など。

ひるがえって中国を考えてみると,すべてを含んでいるように思います。国有企業は国家主導型であるとともに,オリガルヒ的ですし,ときには大企業として振る舞っています。一方で,起業家たちが小さな企業を立ち上げ,それが成功するという土壌も存在します(例,アリババなど)。

この意味では,資本主義体制を類型化するのは難しいのですが,起業家たちが生まれる土壌を持つ重要性には私も同意しています。
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2014年12月09日

2014年11月読書ノート

2014年11月読書ノート

先月は,都市計画や都市についていろいろ本を読みました。



本書は,都市計画の教科書です。都市をつくるというのは公共事業的なので,国家が関与するより自然に任せた方が味のあるまちづくりになると思っていました。

しかし歴史をみても,都市計画は多くの国で実施されていますし,都市計画は国家の権力誇示の象徴であったりもします。

本書を読んで,都市計画の必要性として,「市場経済は可逆的な世界であるが都市開発は非可逆である」と述べられており,目からうろこでした。一旦建物ができ道路ができてしまうと元に戻すことは簡単ではありません。乱開発するよりも計画的に都市を作る方が人にやさしい町ができる可能性は高まるといえるでしょう(だからといって都市計画にすべて賛成というわけではない)。

本書は,政府の役割は、公共財の供給、民間活動を調整するための私権の制限、空間開発のための事業手法(土地区画整理、市街地再開発事業)や資金調達の多様化である,としています。


<経済>

チャールズ・ウィーラン(山形浩生守岡桜)(2014)『統計学をまる裸にする-データはもう怖くない』日経新聞社 統計学は、情報をまとめる数字(打率など)で現象を説明し(記述統計)、情報が揃っていない大きな問題について手元のデータを利用して推定すること。

チャールズ・ウィーラン(山形浩生守岡桜)(2014)『経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い』日経新聞 個人、企業の行動と市場、政府の役割や景気、国際、開発経済学まで。社会問題の解決のために市場を豊かに使えるだろうか。

ウィリアムJボーモル、ロバートEライタン、カールJシュラム(原洋之助田中健彦)(2014)『良い資本主義 悪い資本主義: 成長と繁栄の経済学』書籍工房早山 国家主導的、オリガルヒ的、大企業的、起業家的資本主義の4つを提起し、成長には生産的起業家が多いことが必要。

<中国>

鈴木譲仁(2013)『ルポ「中国製品」の闇』集英社新書 厚生労働省で認めた歯科技工士だけが許される義歯が雑貨として輸入され、発がん性物質ベリリウムが含まれていた。問題は中国政府の組織的弊害と日本の技術権威、組織第一主義と密接に結びついている。

<自己啓発>

クリス・バーディック(夏目大)(2014)『「期待」の科学-悪い予感はなぜ当たるのか』阪急コミュニケーション 期待の力は大きい。偽物のステロイド剤であっても競技成績は伸び、マイナスの期待ではPKの成功率を下げてしまう。期待によって物の価値や嗜好にも影響。

<社会>

葦原敬・饗庭伸・姥浦道生など(2014)『これからの日本に都市計画は必要ですか』学芸出版社 日本の都市計画にはマスタープランが存在せず,公園,道路だけが作られた。経済成長時にはフローの部分(団地や公共施設)を増やすので土地利用が都市計画の柱。衰退すると区画整理や再開発などが必要。

伊達美徳編(2008)『初めて学ぶ都市計画』市ヶ谷出版社 産業革命によりロンドンの生活環境が悪化、近代都市計画誕生のきっかけ。機能主義や近隣住区論は単調で人間的な魅力がない。しかし地域経済の発展を促し活力を生む効率的な都市づくりは今日でも必要。

伊藤雅春・小林郁雄など編(2011)『都市計画とまちづくりがわかる本』彰国社 都市計画は都市総合計画、法定都市計画、まちづくりからなる。都市計画は環境や防災、定住など地域の多様化に従って一律の計画は難しくなる。地域の特性にあったまちづくり条例ができ、市民参加のまちづくりへ。

石原武政・西村幸夫編(2010)『まちづくりを学ぶ -- 地域再生の見取り図 (有斐閣ブックス)』有斐閣ブックス 1998年に制定されたまちづくり三法(改正都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法)。都市の課題は複雑になり、商業、財政、景観、安全などの分野に地域の情熱と新たな官民関係が必要。

ジェームズ・スロウィッキー(小高尚子)(2006)『「みんなの意見」は案外正しい』角川書店 集合的にベストな意思決定は意見の相違や異議から生まれるのであって、合意や妥協から生まれるのではない。多様性と独立性は重要。

長谷川英祐(2010)『働かないアリに意義がある』メディアファクトリー新書 7割ほどのアリは巣の中で何もしていない。働かないアリがいることで疲労したアリが出てくると働くようになる。社会を作る(協力)するのは血縁選択と群選択から。将来の報いを期待して社会に協力するのは生物の進化。

速水健(2012)『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代 (oneテーマ21)』角ONEテーマ21 鉄道、空港、テレビなど本来は公共的都市インフラであったものが、民営化や都市間競争などにより収益性を目指してショッピングモールとして生まれ変わる。

牧野知弘(2014)『空き家問題 (祥伝社新書)』祥伝社新書 人口減少により個人の空き家は急増、2040年には空き家率は現在の13%から3割へ。買い替えもできず、固定資産税に苦しみ、最悪は放置へ。空き家バンク、市街地再開発手法などの応用を。

毛受敏浩(2011)『人口激減-移民は日本に必要である』新潮新書 2035年には自治体の2割以上が人口5千人未満となり、年少人口1割未満の自治体が2/3を超える。短期労働者の受け入れから多文化主義政策をとるヨーロッパ。岡山県の難民受け入れ、山形県の移民受け入れにより地域は活性化。

増田寛也(2014)『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)』中公新書 2010年から40年までに若年女性人口が5割以下に減少する市区町村は896自治体、全体の約5割にのぼる。これらは消滅可能性都市である。

矢作弘(2009)『「都市縮小」の時代』角川ONEテーマ21 人口10万人以上の世界の都市の25%が縮小化している。産業衰退、出生率の低下、郊外化など縮小の原因は複合的。縮小都市の積極的な面を捉え都市規模の創造的縮小が必要。

ニコラス・G・カー(篠儀直子)(2010)『ネット・バカ-インターネットがわたしたちの脳にしていること』青土社 ネットは注意の分散、問題解決の外在化をもたらす。スキャニング、スキミング、マルチタスクの能力が強化されるが、集中した深い読みや思考を妨げる恐れも。

ニコラス・G・カー(村上彩)(2008)『クラウド化する世界』翔泳社 情報技術は電力と同じようにコンセントに繋げば様々な用途に使えるようになった。自社でコンピューターやシステムを持つ必要はなくなった。これからはユーティリティーコンピューティングの時代である。
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2014年11月18日

『都市と消費とディズニーの夢』

1997年に北京に赴任したときに,IKEAやカルフールに接して,その商品陳列があまりにも中国らしくなくてある意味感動したことを覚えています。帰国後,日本にも船橋にIKEAができ,そして幕張にカルフールができたわけですが(撤退して今はイオン幕張),国境を越えて,消費スタイルが似てきたことを感じました。



さて,本書は,都市の変容をショッピングモール化(筆者はそれをショッピングモーライゼイションと呼ぶ)として説明しています。(ディズニーの夢というのは,ウォルトディズニーの理想にショッピングモールがあったことによります。)

経済効率性の追求や消費の社会化によって公共機能が私的ビジネスの場になってきているとします。スタバは公共の病院の中に入り,役所に進出しています。駅や高速道路のSAも公共の場所ですが,多くのショップがテナントとして入り,ショッピングモール化しています。放送機関でも,お台場,赤坂サカスなど公共放送にもかかわらず私的なショッピングモールを設置し,オリジナルグッズを販売しています。

つまり都市の公共空間はすべてショッピングモールになっています。そして私たちの休日はショッピングモールに行って映画をみてご飯を食べ,買い物をして帰るといった消費中心の生活スタイルになっています。

外国からの観光客も同じです。本書によると外国からの観光客はショッピングモールに行くことを楽しみにしているそうで,ショッピングモールは消費の世界共通プラットフォームになってきています。

つまり世界の都市はショッピングモール化しているというのが本書の主張になっています。(ちなみに本書の著者はショッピングモール化について肯定的,否定的どちらの態度もとっていない。)

都市建築や都市計画の専門家からはショッピングモールは批判されています。それは画一化を嫌っているからです。都市がその魅力をもつためには独自性が必要で,どこもかしこもショッピングモールの風景になると都市の魅力がなくなってきます。(観光自体が都市の風景を楽しむもの。)

中国では都市化によって,旧市街地から新市街地が開発されていっています。新市街地とは経済開発区やハイテク開発区として設置され企業を誘致し,人が住むようになって開発されてきたところです。この新市街地の街のつくりは非常に似通っていて,整備された広い縦横の道路と新しいビルとショッピングセンターです。先進的になっていくのは発展の象徴かもしれませんが,旧市街地の良さは保存してもらいたいものです。

錦里古街(成都)街の独自性を活かした観光資源化とスターバックス
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(2014/11/1撮影)
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2014年11月11日

2014年10月読書ノート

2014年10月読書ノート



末廣先生が新しく出したこの本は,アジア全体の経済を学ぶのにぴったりの本です。生産,消費,老い,疲弊という観点からアジアを統一的にみようとしています。生産,消費についてはとくに目新しい議論はありませんが,押えておくべきポイントです。本書の特徴は高齢化が進んでいること,社会発展とともに人々のストレスも増大していることにも触れている点でしょう。

末廣先生は文章も読みやすい(わかりやすい)ので,アジアを学ぶ学生にはオススメ。

<経済>

多田洋介(2014)『行動経済学入門 (日経文庫)』日経文庫 標準的経済学が想定する超合理的、自制的、利己的人間像に対し現実は近道を選び、不確実性の中で生き、現在を重視し、他人の目を気にする。非合理な人間は市場の効率をも狂わす可能性がある。

アラン・ダブニー(山形浩生)(2014)『この世で一番おもしろい統計学――誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講+α』ダイヤモンド社 統計を使うと限られた情報で自信を持って決断できる。標本分布がステキな理由は母集団の平均を教えてくれること、それを使って母集団について確率が計算できること。

<中国>

トシ・ヨシハラ,ジェイムズ・R・ホームズ(山形浩生)(2014)『太平洋の赤い星-中国の台頭と海洋覇権への野望』バジリコ 中国の海洋戦略はマハンの影響を受けている。貿易,商業,資源へのアクセスをどう確保するか,海軍を通じて確保し,制海権を持つ。

<自己啓発>

長嶺義宣・外山聖子編(2014)『世界の現場で僕たちが学んだ「仕事の基本」』阪急コミュニケーション 海外でも日本でも社会を生き抜くために必要な要素は似ている、リーダーになる素質は誰でも持っている。今直面している問題に真面目に真摯に取り組むこと。

與良昌浩(2014)『他人の思考の9割は変えられる』マイナビ新書 仕事への思考のクセは会社の風土や上司・同僚との人間関係などの影響を受ける。今の自分の状態に戻ろうとする相手を「本当にそうなのか」という問題意識を持たせる。その環境には肯定という過程が必要。伴走型リーダーに。

<社会>

ダニ・ロドリック(柴山桂太大川良文)(2014)『グローバリゼーション・パラドクス-世界経済の未来を決める道』白水社 グローバリゼーション、民主主義、国民国家は世界経済の政治的トリレンマであり、二つしか実現不可能だ。民主主義と国民国家をグローバリゼーションに優先すべき。

末廣昭(2014)『新興アジア経済論――キャッチアップを超えて (シリーズ 現代経済の展望)』岩波書店 90年代以降のアジアの経済発展は域内貿易投資の拡大、生産するアジア、消費するアジアであった。老いてゆくアジアは要素投入型成長の限界を示し、人々の将来への不安とストレスを惹起する疲弊するアジアでもある。

飯田泰之(2014)『NHKラジオビジネス塾 思考をみがく経済学』NHK出版 仮定部分と現実に多少のズレがあっても大まかな傾向として成り立っている理論を重視するとビジネスの戦略でも役に立つことが多い。
行動する人とリスクを負う人が分断。計画担当者と現場。

荻上チキ・飯田泰之(2013)『夜の経済学』扶桑社 経済水準が高いとフーゾク価格は高いがワリキリはさらに地域格差が反映。10歳年上になるとワリキリ価格は2000円前後下落。技術系の職業、事務管理職系はフーゾクに通う可能性は2倍以上。

荻上チキ(2012)『彼女たちの売春(ワリキリ)』扶桑社 孤立、借金、教育からの排除などの社会的斥力が高収入、値段交渉、自由出勤などが引力となって女性をワリキリに向かわせる。

荻上チキ(2011)『セックスメディア30年史-欲望の革命児たち』ちくま新書 出会い系、オカズ系、性サービス系のメディアはテレクラからサイト系に、エロ本は動画サイトに、TENGA、オリエント工業の技術を生み、サービス系は店舗型から派遣型へ。性欲がある限り制約があっても変化は続く。

<その他>

蒲原聖可(2005)『ベジタリアンの医学』平凡社新書 植物性食品を多く摂取すると生活習慣病になるリスクが低減。植物性食品に含まれる抗酸化成分・ファイトケミカルが大きな役割を果たす。動物性食品はタンパク質、ミネラルを効率良く吸収できるが飽和脂肪酸、コレステロールの摂取が多くなる。

鶴田静(2002)『ベジタリアンの文化誌』中公文庫 ベジタリズムは単なる食事法ではなく思想と行動にもとづいた生き方、地球を健康に保ち平和に生きるための方法。肉食を攻撃することが目的ではない。

蒲原聖可(2011)『ときどきベジタリアン食のすすめ』日本評論社 最新の米国政府の食生活方針や米国栄養士会の報告書はベジタリアン食は栄養学的に適切と是認。ビーガンの場合はビタミンB12とDの不足が懸念。食糧事情が改善した現代はエコロジーの観点からも植物性食品の摂取を支持。

ジャン=ポール・ネリエール、ディビッド・ホン(2011)『世界のグロービッシュ』東洋経済新報社 非ネイティブ同士の英会話が74%。非ネイティブ同士の効率的な言葉がグロービッシュの始まり。英語をツールとして単語数、長さ、能動態を使うなどの制約をかける。
関口雄一(2011)『多忙社員こそグロービッシュ-完璧を求めない英語再入門』中公新書ラクレ 英語は意思疎通の手段。必要なのは手軽で大衆的な「ファストイングリッシュ」。1500語だけ、1年以内に取得、年齢不問で身につくというグロービッシュは凝縮した英語。これで十分というレベルで。

ニコラス・ディフォンツォ(江口泰子)(2011)『うわさとデマ 口コミの科学
』講談社 人は社会的存在であり、世界を理解したいという欲求を持っている。噂は共同で世界を理解し、脅威を取り除く手段でもあるが、人はとんでもないものを信じることがある。

G.W.オルポート、L.ポストマン(南博)(2008)『デマの心理学』岩波書店 デマは重要さと曖昧さとの積に比例する。デマは受け継がれているうちに平均的に5つの要素になり(平均化)、一部が強調され、聞き手の関心に同化する。
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2014年10月14日

『年収は「住むところ」で決まる』

都市経済学の入門としても,最新の成果を知りたい方にもいい本が出ました。



本書の主張は

イノベーション産業が地域経済を牽引し,その地域の賃金水準を上昇させる

というものです。副題にもあるように,労働経済学の空間バージョンとも言え(オリジナルタイトルが"The New Geography of Jobs"),雇用と賃金水準の違いが空間によってばらつきがあること,そしてそれがなぜかというのを明らかにする試みです。

ネタバレになるかもしれませんが,大枠を紹介しておきます。

筆者のモレッティは,アメリカを分析対象とし,海外生産の拡大や国内生産性の上昇によってアメリカ製造業の雇用は減少していることを示します。アメリカ国内の労働市場では高技能の労働者や肉体労働者の雇用は拡大するものの中技能の労働者はATMの進展など機械にとって変わられてきており,中技能労働者の雇用が減る空洞化が進んでいるとします。

経済はイノベーション産業など貿易部門の生産性向上が牽引しており,しかしそれによって非貿易部門の地域産業(ウェイター,配管工,インストラクターなど)の雇用を増やすといいます。具体的にはハイテク部門の雇用が1人増加すると地産地消型産業の雇用を5人増加させるそうです。

イノベーション産業が発展している地域ではそうでない地域よりも賃金水準が高いことを示しつつ,その理由を,@高技能労働者と肉体労働などは相互補完にあること,Aテクノロジー導入が促進され生産性が向上すること,B人的資本の外部性,人の生産性向上は他の人の生産性を向上させることを指摘しています。

じゃあどの地域がイノベーション産業を発展させることができるのでしょうか。IT企業を誘致して,大学が存在し,魅力ある街がイノベーションハブになり得るとします。もちろんことはそんなに簡単ではありませんが,ニューヨークのエンパワーメントプログラムの成功例を紹介しています。

最後に移民についても彼はいいます。高学歴の移民を受け入れることは特許や起業を増加させる地域になり,その地域の低学歴アメリカ人の生活も改善するであろう,と。

一方で,対象をアメリカ内の都市に限定せずに,世界の中の国としてみても同じことではないかと思いました。

例えば,日本の年収は単純労働であっても,途上国より高いですし,日本の製造業が海外に進出して空洞化しているといいながらも,サービス産業の雇用は増加しています(たしか戸堂(2011)はそのような実証研究を紹介していたはず)。

ですから,タイトルは当たり前といったら当たり前みたいなところがありますが,それでも空間経済学が都市でも国でも当てはまることを示しているという意味で,本書は他の地域を研究している人にも有益でしょう。

<参考文献>
戸堂康之(2011)『日本経済の底力 - 臥龍が目覚めるとき (中公新書)』中公新書
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2014年10月07日

2014年9月の読書ノート

2014年9月の読書ノート

今月の本は自閉症の東田くんをNHKの番組でみて読んだこの本。



この本の存在は昔から知っていたのですが,重度自閉症の中学生が文章を書くなんて,,,と若干懐疑的に見ていました。でもNHKの番組(こちら)を見て,納得。自閉症の人が何を感じ,どう困っているのかがわかる本でした。

自分でもうまくできないことを理解しており,それをできないといわれると辛いと思う感情はまったく定型発達の人と同じなんだなと改めて気がつきました。自分がうまく表現できないだけで,感じていること,この社会で適応しようとしていることはまったく同じです。

これから大学教育の現場でも発達障害(あるいは自閉症スペクトラム)を抱えた人たちが入学してくる時代になります。社会適応の程度の差はあれ,本書はその参考になりました。


<経済>

木暮太一(2014)『超入門 資本論』ダイヤモンド社 価値と使用価値、剰余価値の違いが資本論の肝。私たち労働者は使用価値で生きている。自分の経費を抑え、フリーランス・マインドで仕事をして、自分のウリを持つ。

木暮太一(2014)『社会人のためのやりなおし経済学』日経ビジネス人文庫 市場の失敗とは社会全体からみて本来の適正量でなくなること。これは外部性と市場支配力から発生。政府が原因を解明して介入すべき。しかし家賃規制や最低賃金制度は貧しい人にいいとは限らない。

エンリコ・モレッティ(池村千秋)(2014)『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』プレジデント社 製造業は衰退しているがイノベーション産業が発展し、新しい雇用を生み出す。一部の都市にハイテク産業が集積し高卒者であっても給与が高い。成長産業が集まる都市とそうでない都市が拡大。

<中国>

六六(青樹明子)(2012)『上海、かたつむりの家』プレジデント社 海萍一家は10平米の家で夫と子どもと暮らしていた。新しい不動産を得ようと人から6万元借りるところから,妹海藻は官僚宋思明の愛人になり,夫蘇淳は訴えられ,家族の災いは家を買う借金から始まる。

<自己啓発>

バーバラ・フレドリクソン(植木理恵高橋由紀子)(2010)『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』日本実業出版社 ポジティブ感情は考えや行動を広げ、リソースを形成して人を成長させる。ネガティブ感情は危険を回避する。ポジティビティ比が3:1を超えると繁栄に向かう。

<社会>

大槻久(2014)『協力と罰の生物学 』岩波書店 生物の世界にある協力。しかし協力はフリーライダーを生む。協力が起きるのは血液淘汰と互恵性。協力には罰が有効だが人間は報酬も効く。

<その他>

諏訪茂樹(2000)『人と組織を育てるコミュニケーション・トレーニング』日経連出版部 コミュニケーションは個人、組織・集団の機能的、情緒的側面に影響を与える。トレーニングによって自己理解、相互理解が深まり参加者、参加者集団も成長。コミュニケーション・トレーニング事例集。

児島将康(2010)『科研費獲得の方法とコツ』羊土社 応募分野、審査委員を下調べしておく。申請書の課題名は一般的な言葉を用い、目的、背景、項目にわけて読みやすく、初年度と次年度以降の計画を分け計画通りに行かない時の対応も。

東浩紀・笠井潔(2003)『動物化する世界の中で』集英社新書 ポストモダニズムはマルクス主義を十分に清算していない不徹底な思想(笠井)だが、現在はマルクスもポストモダニストも忘却されている「動物的」な世界にいる。オタクの中にも優れた表現者がいる(東)。

東浩紀(2007)『ゲーム的リアリズムの誕生-動物化するポストモダン2』講談社現代新書 ポストモダンなデータベース消費の世界で物語は人工環境の文学として生き残り、思想をマンガから輸入するオタクたちのキャラクター小説に最も先鋭的に現れた。

東田直樹(2007)『自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心』エスコアール出版部 見たこと思い出したことが刺激になり反射的に口にしてしまうので声が調整できない、同じことを繰り返し聞くことは聞いたことを忘れないためあるいは言葉遊びのため。僕たちもできるようになりたいと思っている。

東田直樹(2010)『続・自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない高校生がたどる心の軌跡』エスコアール出版部 こだわりフレーズや言葉は楽しむため,こだわりやじっとできないのは自分でもつらいがどうしようもないもの,何度も同じことをやってしまうのは,同じ結果が得られることが楽しいため。

shizu(平岩幹男監修)(2013)『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ (健康ライブラリー)』講談社 ABA(応用行動分析)を利用して声かけをすると子どもの社会性と言語能力がアップする。課題を細かく分けてできたらほめ,自己肯定感をアップ。定着させたい行動を褒めることによって強化。

エレナ・ポーター(村岡花子)(1962)『少女パレアナ』角川文庫 牧師の父が亡くなりバレー叔母さんに預けられた11歳のパレアナ。屋根裏部屋に住まされ厳しいバレー叔母さんにもかかわらず、父から教えられた「喜びを見つける」ゲームに興ずる。そのゲームは町の人にも影響を与えていく。
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2014年09月30日

『協力と罰の生物学』



意外や意外,本書は経済学を学ぶ人にとっても必読書になるんじゃないかと思われる本です。

本書の主張は,生物の世界にも協力があり,協力しないというフリーライダーも存在するが,フリーライダーを許さないために罰という制度がある,というものです。

私たち人間の世界も,自分勝手に見えながらも協力して秩序を作って社会を構成しています。お互い協力する方がいい結果が得られるためです。

でも人間社会独自のものとして,市場メカニズムがあります。市場は人々が協力を意識しなくても,価格を参考に自分勝手な行動をしてもみんながハッピーになるとしています。これがパレート最適です。

しかし,このような市場メカニズムが成り立つためには,所有権がはっきりしている,情報が行き渡っている,外部性が存在しないなどのハードな条件をクリアしないといけません。

現実にはそのような条件がないので,実際の社会でパレート最適になることはなく,ほとんどが微妙なナッシュ均衡的なものになってしまいます。中国で食品安全の問題が起きるのも,企業家が自分の利益のみを考える(合理的な行動の)結果,市場には安全ではない食品が出回る(誰もが得しない結果)といった状態です。

このような状態をパレート最適に近づける,いわゆる協力的に行動させるためには罰が必要です。ですから中国でも食品安全法に違反した企業を罰するようになっています。

本書は生物の世界でも協力が成り立つためにいろいろな工夫がされていること,そして人間社会も行動経済学の実験結果などを引きながら,協力に向かう社会システムの設計が行われていることがわかります。

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2014年09月02日

2014年8月読書ノート

2014年8月読書ノート

経済学者としては,大塚先生の以下の本は学生にオススメしたい一冊。



でも,TOEICを久しぶりに受験した私として今回印象に残ったのはこれ。



これは,TOEICの出題でよく題材になるシチュエーションを異次元サスペンスっぽく仕上げています。TOEIC問題では,飛行機が遅れるアナウンス,従業員の能力アップのためのワークショップ(研修会)などがシチュエーションとしてよく出ます。このシチュエーションを利用してTOEIC世界を物語にしているのですが,それが非常に面白いです。TOEICを受験したことのない人でもTOEICという試験は面白そうと思うでしょうし,TOEIC受験者にとってはTOEIC頻出問題のシチュエーションも理解できます。TOEICファンとしては,これ「あるある〜」と楽しめることは間違いないでしょう。


<経済学>

大塚啓二郎(2014)『なぜ貧しい国はなくならないのか 正しい開発戦略を考える』日経新聞出版社 開発経済学は「貧しい開発途上国の貧困削減に貢献する戦略を研究する学問分野」である。工業化戦略の成功が工業化都市化をもたらし、農業発展戦略の成功が農業発展をもたらす。両者とも目標は貧困削減。

<中国>

胡鞍鋼(丹藤佳紀)(2014)『中国集団指導制―チャイナ・セブンを生んだ独自の人材発掘、育成システム』科学出版社東京 中国の集団指導体制は、国家運営の分担協働制、後継者の交代チーム制、シンクタンクからの集団学習制、視察を行う調査研究制から成り立つ。

田島英一(2000)『「中国人」という生き方』集英社新書 実益優先、極端を嫌う性格は経済特区を産み、社会主義市場経済や一国二制度を生む。政治観念は現政権との絶妙なバランスをつくる。不公平なこと、道理の通らないことには声を荒げ人前でも喧嘩し、謝罪はしない。

春名徹(2008)『北京-都市の記憶』岩波新書 城壁に囲まれた都市はモンゴルや様々な民族を飲み込み、元の時代にその原型ができた。消費や欲望、憧れが集まる王府井、伝統中国と現代中国が接する天安門、都市の中で存在感を示す故宮、古い北京を胡同から。

榎本泰子(2009)『上海 - 多国籍都市の百年 (中公新書)』中公新書 1845年に英租界ができ、米仏が続いた。英米仏の軍隊に守られた上海は租界地中心に世界有数の国際都市に。英は自由都市の基礎を作りロシア革命から逃れたロシア人は仏租界の住人になり、日本人は国力増強の一歩として上海に進出。国別の上海発展史。

鈴木譲二(2008)『世界の中国人ジョーク集』中公新書ラクレ 万博のマナーブックには鼻毛を短く切ることまで書かれ世界が中国人観光客を必要とするが店や品物を信用せず値切りする、生まれ変われるなら2度と中国人に生まれたくない、など。

高橋五郎(2014)『日中食品汚染 (文春新書)』文春新書 原材料の見えないエキスのような加工物が増え食品のモジュール化が進む。モジュール化した食品が日中間で貿易されると汚染や安全が見えにくい。保存性の強化、付加価値向上という経済的動機の結果であり汚染させようという業者が多いわけではない。

<その他>

越智敏之(2014)『魚で始まる世界史』平凡社新書 中世のキリスト教社会では断食日に魚だけが食べられた。巨大な経済需要を支えるために漁業や輸送システムが発達、主役はニシンとタラ。オランダの発展はニシンの回遊コースの変更、大航海時代の北アメリカ植民地ではタラが重要な存在。

岡田尊司(2012)『マインド・コントロール』文藝春秋 つながりと自分の価値に対する欲求が強いと依存を求める。マインド・コントロールにはまりやすい人は依存症の人が多い。脱出するには本来あるべきつながりを回復し、その人の自己価値をもっと健全な形で取り戻す必要がある。

中島健二(2006)『家族のための<認知症>入門 (PHP新書)<認知症>入門 (PHP新書)』PHP新書 認知症の人には自尊心を損なわないよう否定をせず受け流す。物忘れと判断力、気分や行動の変化、MRTなどで診断、薬物治療も進む。家庭での介護が難しくなれば施設も考慮に。気持ちの余裕を訪問などで温もりの家族を維持して欲しい。

橘木俊詔・迫田さやか(2013)『夫婦格差社会』中公新書 夫の所得にかかわらず妻の有職率は上昇、高学歴夫婦は高所得の傾向があり、男性が結婚できるかどうかの境目は年収300万円、都市規模によって婚姻率に差異、など。

橘木俊詔(2014)『公立VS私立 (ベスト新書)』ベスト新書 平等な教育機会のために公立が創設、公立校が私立校に対して優位。私学助成と所得の増加により私学が発展。私学間の格差は公立より大きい。

平尾敏郎(2013)『教育で「未来」をひらけ-創価大の果敢な挑戦ドキュメント』毎日新聞社 12年連続で200人以上の教職合格者を輩出、通教出身が半分を占める。留学体験を教育に役立てようとする学生、挑戦する教職大学院、辺鄙な島や大変な工業高校に赴任して挑戦する卒業生、など。

ヒロ前田・清涼院流水(2013)『不思議の国のグプタ―飛行機は、今日も遅れる(DL特典付)』アルク TOEICの問題からTOEIC世界を物語りで再現。インド人グプタはこの国は繰り返されていることに気づく。飛行機は遅れ、クレーム処理はクーポンで解決し、道路は工事で渋滞し、図書館はいつも改修中だ。

関谷英里子(2009)『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳』ディスカヴァー・トゥエンティワン 言葉(単語)遣いが変わるだけで説得力が変わる。sayよりもclarify、doよりもexecute、tryよりもimplement、など。

関谷英里子(2010)『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳+70』ディスカヴァー・トゥエンティワン 単語を変えるだけでより自然になる。メリットはadvantage、具体的にはspecific、取り入れるはincorporate、など。
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2014年08月05日

2014年7月読書ノート

2014年7月読書ノート



どの大学も,どの大学教員も大学は変わらなければ生き残れないという意識はもっています。ただどう変わればいいのかわかりません。文科省の主導するグローバル化に対応することが必要なのか,それとも教育研究機関として懐古的ではありながらその存在をアピールしていく方向にいくべきか,多くの迷いがあり多くの意見が存在します。

本書は,アメリカの小さな大学の変革物語です。この大学変革ではやはりトップのリーダーシップがキーだったようです。アメリカらしく変わるべき像をあきらかにし,すべての面で目標到達を目指したことが描かれています。

日本でも最近大学変革の事例が増えています。下記は創価大学経済学部がグローバル化への対応にいち早く取り組み,高くない偏差値ながらも世界基準に合わせようとした学部改革の様子がわかります。




<経済学>

竹内健蔵(2013)『なぜタクシーは動かなくてもメーターが上がるのか-経済学でわかる交通の謎』NTT出版 タクシーは渋滞によって、その時間別の客を乗せられたはずの機会費用が発生している。本来稼げるはずの運賃収入(機会費用)を時間距離併用運賃を使って利用客が弁済している。

竹内健蔵(2008)『交通経済学入門 (有斐閣ブックス 454)』有斐閣 交通経済学はよりよい交通社会を創るため。1人しか住んでいない島に橋をかけるべきか、効率と公正の問題に直面。交通の移動は費用として捉えられ、機会費用で運賃などを考える。交通サービス、費用、運賃、規制、投資、補助と交通ネットワークなど。

松原宏(2006)『経済地理学-立地・地域・都市の理論』東京大学出版会 経済地理学は経済現象の空間性・地域性・場所性に着目しその連関と構造を明らかにするもの。技術によって立地が空間性から自由になり地域性や場所性が重要に。集積点としての都市のネットワークも重要になる。

ジェイン・ジェイコブズ(香西泰植木直子)(2013)『経済の本質-自然から学ぶ』日経ビジネス人文庫 成功している経済には、分化と結合による発展と共発展、エネルギーの多様かつ多角的な利用による拡大、活力自己再補給による自己保全がある。好循環は動的安定性をもたらし、悪循環は瓦解に。

ジェイン・ジェイコブズ(香西泰)(2003)『市場の倫理 統治の倫理』日経ビジネス人文庫 対立する統治者の倫理と市場の倫理。商業生活における暴力、詐欺、貪欲と戦い、私有財産と人権の尊重を統治者に承認させる。統治と商業の共生が達成されればそれが文明になる。

溝口哲郎(2010)『国家統治の質に関する経済分析〈2010〉』三菱経済研究所 経済成長には高質な市場が不可欠である(矢野)。腐敗と汚職は経済効率性を高める潤滑剤の役割を果たすという効率性賄賂の仮説は近年の実証分析で棄却されている。また投資や外国直接投資の水準を下げる。

中島隆信(2014)『経済学ではこう考える』慶應義塾大学出版会 経済学では世の中に存在するものには何らかの合理性があると考える。伝統文化は実用性を失った技術が生き残る道のひとつ、お寺は檀家制度が参入障壁に、弱者という身分を定義した上での福祉サービスの提供は限界に。

山崎圭一(2013)『進化する政治経済学-発展途上国研究ノート』レイライン 島、宮本によって発展してきた政治経済学の枠組みで途上国の内部構造・動態にアプローチ。政治経済学、欧米思想、開発諸理論からアフリカ、ブラジルを考察、外国人労働者も。

チャールズ・D・コルスタッド(細江守紀藤田敏之)(2001)『環境経済学入門』有斐閣 規制とインセンティブによる解決方法、どれほど環境保護をするかという社会選択、市場の効率性と失敗、財産権、ピグー税の設定か規制か、排出税と排出権取引、汚染者と規制者の情報の非対称など。

細田衛士・横山彰(2007)『環境経済学 (有斐閣アルマ)』有斐閣アロマ 環境経済学の基礎(公共財、外部不経済、コースの定理)を解説、再生可能・不可能資源の分析、環境税と排出権取引、廃棄物(リサイクルやデポジット制度)の経済学的分析。分配問題、負担の公平性、安定や安全など効率以外の価値観が入る。

細田衛士(2010)『環境と経済の文明史』NTT出版 環境問題は不確かさと判断基準の曖昧さがつきまとう。温暖化の理由、リサイクルすべきか焼却すべきかにもわからなさがつきまとう。農耕、技術の発展、化石燃料革命、日本文明と環境、貧困と環境、資本主義・共産主義など。

<社会>

室田康弘(2007)『YouTubeはなぜ成功したのか』東洋経済新報社 自作映像のネット品評会というアイデアから始まったユーチューブ。テレビ視聴時間は減少し著作権との軋轢を生む。無料ダウンロードとCD売上とは無関係という研究、VTRの軋轢はレンタルという派生市場を生んだ、など。

グイド・カルダレリ、ミケーレ・カタンツァロ(高口太朗増田直紀)(2014)『ネットワーク科学 (サイエンス・パレット)』丸善 食物連鎖、感染症、インターネットなど様々な異なる現象をネットワークという観点で明らかにできる。共通点は複雑で創発的で自己組織的なシステム。

カール・シャピロ、ハルR・バリアン(千本倖生宮本喜一)(1999)『ネットワーク経済の法則』IDGコミュニケーションズ 情報経済ではコンテンツの差別化、バージョン化は頻繁、システムに情報を入れるとスイッチングコストがかかりロックインされる。ネットワーク外部性は勝者の総取り。

山下一仁(2014)『農協解体』宝島社 組合員に高い資材価格を押しつけ、農家以外の準組合員の利用を拡大させ、信用・共済事業が柱になった。農家は兼業農家になり、農協は不特定多数を相手とする脱農化で生き残ってきた。都市周辺農家は農協を通さずに販売する。農協の政治力は低下している。

<その他>

高濱正伸(2013)『10歳からの子育て』総合法令出版 子育ての目標はメシが食える、モテて魅力のある大人に育つこと。重要なのは思春期の子離れと同性の親による性差の伝承。

ウッディー・ウェイド(野村恭彦監訳)(2013)『シナリオ・プランニング-未来を描き、創造する』英治出版 シナリオ・プランニングとは「現在のトレンドにもとづいて、未来のチャンスと脅威を描くことを助け、組織の成功確率を高める」こと。未来のシナリオが頭に入ると行動が変わる。

香取一昭・大川恒(2009)『ワールド・カフェをやろう-会話がつながり,世界がつながる』日経新聞出版社 ワールド・カフェとはメンバーの構成を変えながら4~5人単位の小グループで話し合いを続けることにより参加者全員が話し合っているような効果が得られる会話の手法。

香取一昭・大川恒(2011)『ホール・システム・アプローチ-1000人以上でもとことん話し合える方法』日経新聞出版社 ホールシステム・アプローチとは多くの関係者が集まり自分たちの課題や目指したい未来などについて話し合う大規模な会話の手法。ワールド・カフェ,シナリオプランニング等。

クリスティン・バーネット(永峯涼)(2014)『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』KADOKAWA 2歳で自閉症と診断されたジェイクは10歳で大学入学。好きなことをさせて創造性を発揮させれば他の面も成長する。他の自閉症児の受け入れ、自らの脳卒中、夫の失業などの自伝。

ジョナサン・ハイト(高橋洋)(2014)『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』紀伊国屋書店 人は理性よりも直感で動いており,六つの道徳基盤を持つ。リベラル(左)はケア,公正,自由に依存するが,保守(右)は他の忠誠,権威,神聖の全ての基盤を持っている。

片田珠美(2012)『なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃 (光文社新書)』光文社新書 怒りを表現できないようしつけられた私たちは怒り恐怖症に。怒りをためると沈黙や不機嫌など受動的攻撃の形で外に出る。怒りの原因について@行動A解釈B感情C影響D希望を人に伝える。相手の立場理解や諦めも必要。

榎本博明(2012)『近しい相手ほど許せないのはなぜか』角川SSC新書 心理的距離が縮まると遠慮がなくなり衝突することが増えるので、親しい人ほど腹が立つ。許せない人は他人と自分を切り離せず自分が感じるものは人も感じており自分の考えていることはみんなもわかるはずと思いがち。

岡田尊司(2014)『(017)母という病 (ポプラ新書)』ポプラ新書 母という病を抱えた人は相手の不機嫌に敏感に反応し相手の都合に合わせてしまう。母親に本音を言う、母親から適度な距離を持つ、理想の自分にとらわれない、ネガティブに反応しない、良いことに目を向ける。

マイケル・ブース(寺西のぶ子)(2013)『英国一家、日本を食べる(亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)』亜紀書房 辻の本で知った日本料理。マイケルは東京でちゃんこ、天ぷら、クジラ、北海道でカニ、ラーメン、昆布を知る。京都で懐石の奥深さ、流しソーメン、豆腐、日本酒を楽しむ。大阪の串カツ、沖縄料理など日本料理再発見。

マイケル・ブース(寺西のぶ子)(2013)『英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)』亜紀書房 味の素社の訪問で「うま味」を再発見、焼津の鰹節加工場を見学しうま味の想像を広げる。わさびの栽培、松阪牛の牧場、海女漁、キッコーマンの醤油を見学し、日本の食文化を理解する。

片田珠美(2011)『一億総うつ社会』ちくま新書 最近増えている新型うつには他責的傾向がある。他責になるのはこうありたいという自己愛イメージとこれだけしかない現実の自分のギャップを受け入れられないから。自分自身の問題を否認し他人に投影したりして自分に責任がないように振る舞う。

岡田尊司(2012)『発達障害と呼ばないで』幻冬舎新書 発達障害は遺伝子要因が強いが愛着障害の症状と似ている。生物学的基盤である子育てに関わるオキシトシン・システムの機能不全という共通性。視覚空間型の才能はイメージや体感で伸ばす。安全と共感的応答が必要。

岡田尊司(2004)『パーソナリティ障害--いかに接し、どう克服するか』PHP新書 偏った考え方や行動パターンのために社会生活に支障をきたした状態がパーソナリティ障害。自分に強いこだわり、傷つきやすいという特徴を持つ。自己愛性の人は謙虚に他人の言葉を聞く、他人のために生きる。

ジョージ・ケラー(堀江未来監訳)(2013)『無名大学を優良大学にする力―ある大学の変革物語―』学文社 電話応対からトイレまで質の向上を目指し、計画立案と優先順位、教職員学生の選考育成報酬にできる限りの配慮、学生参加型学習でニッチ市場を開拓、財政政策と積極的なマスコミ活用、など。

紀川しのろ(2014)『教養部しのろ教授の大学入門』ナカニシヤ出版 ミッション系大学のはきだめと言われる教養学部に移ったしのろ教授。学生に手厚くなる大学、入学式、授業開始、夏休みの過ごし方、オープンキャンパス、来年度授業組み立て、入試、卒業式など大学教授の1年をシニカルに。

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