2017年01月17日

財と人の移動

イギリスのEU離脱の方向がだんだん見えてきました。

これまで、離脱にあたっては、相反する命題

移民コントロールとEU統一市場へのアクセス

をどれだけ確保するかが、現政権の課題でした。

EU側の強い交渉態度(人の移動をコントロールするのに、財の自由な移動を認めろというのはけしからん)により、イギリス側はEUへの統一市場へのアクセスを手放さなければならない、つまり自由貿易地域からイギリスは出るということになりそうです。

イギリスの人口は6000万人弱です。高齢化が進んでおり、市場規模は拡大する見込みはありません。一方EU市場はイギリスを除いても5億人あります。中には東欧のようにこれから発展していく可能性のある国もあるので、市場の将来性は大きいです。

イギリスはこのEU統一市場から出ていくことになります。財、サービスの取引に関しては自由な取引はできません。その分、関税やらサービス規制などでイギリスはEU市場アクセスにおいてハードルが高くなります。

一方でイギリスは移民問題のコントロールを手に入れることができます。EU統一市場では、多くのEUの人々がイギリスに職探しに来ましたし、実際、街や学校の清掃、小売り、建設業などではEUからの移民が支えています。彼らがいなくなるとイギリス経済は回らなくなりますが、彼らの帰国を求めることも可能となります。(実際には不可能だと思う。)

アジアでの自由貿易協定は人の移動以外の協定です。アジアでも財、サービスの貿易が進み、さらに人の移動の自由化を進めると、財・サービスの統一市場は欲しいけど、雇用に影響のある移民は困るという同じ問題が発生するでしょう。

とはいえ事実上、東京にも多くの外国人が働きにきています。上海で就職している日本人も多いです。今後都市間で国際的な人材獲得競争が激しくなってくるとともに、自由貿易と人の自由移動は、人の国籍に対する排他的な感情も重なって、経済的な問題というよりも感情的な問題になっていくように思います。

参考
Theresa May to say UK is 'prepared to accept hard Brexit'
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2017年01月09日

ロンドン地下鉄のスト

1月8日の午後6時から24時間のロンドン地下鉄ストライキが始まりました。

私が学校を卒業して就職してから公共交通機関のストの覚えはないので、かなり珍しい現象に直面したことになります。

ロンドン地下鉄労組(実際には2団体の連合のようですが)と市政府の争点は、ボリス・ジョンソン(前市長、現外務大臣)時代の人員削減と切符売り場の閉鎖です。これにより職を失う職員もさることながら、大量の人員輸送を行う現場にとって、安全が保障できないという主張です。

日曜日に最終交渉が行われました。報道によると、800の人員削減に対し、150を撤回する、しかし切符売り場の閉鎖はそのままというロンドン地下鉄側の提案に労組側は不服。結局、ストが始まりました。

今日は一日ロンドンは混乱しそうです。

http://www.bbc.co.uk/news/live/uk-england-london-38529140
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2017年01月03日

都市に必要なもの

日本のニュータウンの疲弊や中国のゴーストタウンの問題を見ていると、共通点があるように思います。

それは短期間に一度に多くの建物(住居地)を建設したものの、そこに職がないというのが非常に大きいです。日本の場合は鉄道で都心とつながっていたからすぐにはゴーストタウン化しませんでした。でも中国の場合交通機関の発達はあとで来るので、それがないと自分の交通手段(車や自転車等)で通勤しなければなりません。結局、通勤場所との近接性こそが街として発展するかどうかがかかっています。

でも新しい街はきれいです。フランスの都市計画家ル・コルビュジェが合理的な集合住宅を提唱し、世界中のニュータウンに影響を与えました。コンクリートや鉄筋で高層、近隣には公園を配置したりと現代的な住宅として非常に魅力的でした。でも失敗しているケースがあります。それは、仕事終わった後に帰りにくい、あるいは結構歩くという問題です。

つまり職住接近こそが街の発展としてとても重要なのです。

それが永続的に発展するにはどうすればいいのでしょう。それは多様性です(ジェイコブズ)。町が町として機能するには、職住の近接性に加えて、職の多様性、エンターテイメントの幅が広く、そしてモザイクのように交じり合っているほうがいいのです。機能性、効率性を都市計画に入れて、この区画は住居、この区画は文京区のように分けてしまうと町が単調になり町としての魅力がなくなります。

多摩ニュータウンができても、仕事は都内に求めればいいというのが東京の状況でした。青島(チンタオ)の旧市街地ではなく、フェリーで渡った開発区に新しい住居を立てて、企業を呼び込むというのはどの都市でも見られました。

でも結局、東京の下町や青島の旧市街地の方が魅力があります。それは職があり住がありエンターテイメントがあり、それが入り乱れているので、町として「歩かなくても」なんでもできるのです。

千葉ニュータウンはいろいろあって40年かけて開発してきました。職の問題は千葉県企業局も早く気がついたので、物流企業を中心として誘致をすすめてきました。職と住の融合は千葉ニュータウンの重要な課題です。なぜなら北総線が他の路線より圧倒的に高いからです。

また幸いなことに土地の収用に時間がかかり、時代の流れとともに規模を縮小してきたので、場所によって入居年代が違います。幸いなことにこれで年代別の多様性は残ります。そしてエンターテイメント(それでも外食とショッピング程度)を導入してきています。あとはモザイク性なのですが、都市計画によってばらばらに分けられており、自動車がないと不便です。結局、高齢化すると移動に不便が出てくるので、今後の高齢化社会においては、新市街地(ニュータウン)よりも旧市街地(都内)の方がいいということになります。



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2016年12月13日

なぜ日本は長期的な経済低迷なのか?

12月7日に中国とは関係ないけど、気になっていたことがセミナーであったので、参加してきました。

Japanese-style long-term recession - the future of the world?
Prof Richard Werner (University of Southampton)

日本の長期的な低迷は世界経済の将来か?というテーマです。日本でも翻訳本が結構出ていますが、関連ではこれでしょう。



2年前に映画化もされているようです。



主張は、中央銀行の力は強く積極的な介入が功を奏する、具体的には、バブル崩壊は中央銀行の窓口指導の間違いであり、長期低迷は中央銀行が信用創造を何も行っていないからだというものでした。

以下備忘録として。

・アベノミクスの三本の矢(財政、金融、構造改革)+軍事化
・長期低迷のきっかけ
1991年に世界のトップ銀行は日本だったし、名目成長7%、金利も6.25%だった。
・中央銀行理論(ウェルナー)では成長を決めるのは利子率。「利子率が低ければ成長を促し、利子率が高ければ成長を遮る」=>実証研究がない 実証してみると結果は・・「成長率が高いと利子率が高い、成長が低いと利子率が低くなる」利子率は成長率の結果であるので、中央銀行理論は間違い。
・なぜ中央銀行は間違えた理論を信奉するのか?何が成長率を決めるのか?
新古典派「市場は効率的である。ゆえに価格(利子)が重要。価格が量の調整をして均衡を決める。」ただし情報の完全性、完全競争、瞬間的に価格が調整、などが保障されればそうなるが。。。現実は市場はクリアではない。
・市場は「量」「short-side principle(力が働く)」、Moneyはサプライが決める(貨幣需要には際限がない)
・貨幣はどこから来るか?中央銀行だというが実際には3%だ。答えは民間銀行だ。民間銀行はお金を貸すのではなくお金を創る。銀行は仲裁機能ではなく貨幣を創る?実証研究はYes
・信用(credit)の量理論。
銀行の信用創造(credit creation貨幣創造)がどこに配分されるかで成長かそうでないかを生む。消費信用に配分されると、成長はなくインフレになる。金融信用はGDPにはなんの貢献もなく、資産インフレ、バブルを生む。投資信用は新しい製品やサービスを創る(=>productive credit creation)。
・金融取引での信用はブーストと破滅を生む。したがって中央銀行は銀行信用を操作して経済を管理すべきである。中央銀行へのインタビュー結果、公式の政策ツール(価格、量など)を使わず、銀行の負債を指導(窓口指導)する。実証でも窓口指導と銀行融資は相関が高い。つまり中央銀行がバブルを創った原因。与えられた枠組みで貸し出しを続けた。銀行信用供与の指導が成長を支えてきた。もちろん日本だけでなく世界的に似たようなことは行われている。
・91年以降停滞に入ったあと、なぜ日本銀行は何もしなかったのか。90年代は介入よりも構造変革を待っていたところがある。金融政策では何もできないという立場だった。
・バブル崩壊後、日本は簡単に、コストかからずに素早く問題を解決できたはずだ。1945年の金融危機と1991年と比べてみても小さい。違いは中央銀行の政策だ。1945年時には不良債権を買い取り、直接企業へ融資を行い、窓口指導で融資枠を広げていった。
・日本銀行は20年以上銀行信用(Bank Credit)を増やすことをしなかった。量的緩和も本当の銀行信用を増加させるものになっていない。
・理論では「市場が成長を生む」現実は「日本は規制緩和するほど成長がだめになる」実際にカルテルの数が減ると成長率が下がっている。
・人口問題も解決する必要がある。ロシア、オーストラリアはBaby Bonusを導入。それで出生率が回復。重要な中央銀行の必要なものは、Baby Bonusという量的緩和だ。
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2016年12月06日

イスラム法と中国の国内法

11月28日にいつものChina Instituteセミナーに参加しました。

The Impossible Law: Sharia in China
Prof. Matthew Erie (University of Oxford)



甘粛省でのイスラム社会(回族)で1カ月滞在して研究した成果のようです。

概要に入る前に確認しておくと、欧米では多くのイスラム教徒が住んでおり、彼らは彼らの宗教法(シャーリア法)にしたがって結婚や離婚などを行います。ただ中には女性の人権を無視するような法運用があり、その国の男女基本法のようなものと抵触したりします。

一方で国家の法律がイスラム法を厳しく制限する場合もあります。例えば、フランスでイスラム教徒用の水着(ブルキニ)の着用を禁止する法律が公布されたりします。イスラム法と国家法との関係は常に緊張関係にあります。

いわんや中国は漢族を主体として共産主義を標榜します。そして宗教を認可しません。でもこの中で多くの回族がイスラム教徒して生活しています。中国の国家とイスラム法との関係を考えたのが今回の報告でした。

備忘録として。


・イスラム教徒は国内法で認められていない中どのようにシャリア法を守るのか。
・清真(pure and true)という形で食事の禁忌は守っている。1億1700万人の少数民族の中で2300万人のモスリム。憲法第4条で少数民族を規定、寧夏と新疆が法で認められた自治区、回族習慣法を名目的に認める。
・清真寺(モスク)、教法(イスラム法)、UKとは違ってシャリア法は法で規定されていない。中国は宗教は認めず、国家の介入を認める。(今年、法を改正してextreamistを禁止)他の少数民族でも習慣や規範は認められている。
・UK、フランス、USでもモスリムを認めないことはよくある。
・中国ではどうしているのか?モスクに入るとモスリムの教えに従い、モスクを出れば国家に従う。
・清真(ハラル)の概念は国家recognizedされたシャリア法の一部。ハラル証の申請には中国モスリム協会や宗教局の許可をもらう。生産から消費までの過程すべてにおいて各局が許可していく。ハラル食品の輸出がマレーシアやインドネシアなどに始まっている。国内法に従うとともにハラルとして認められなければならない。回族自体は中東などと交渉できない。
・2002年ハラルフード管理法ができる。その中で基本は清真の飲食習慣としつつ「イスラム法」という言葉を使っている。
・海外でのモスリムの活動が過激化、上海で回族が牛肉麵屋を襲う、これは400Ⅿ以内に同じ店は作れない(?)というイスラムの教えに違反している、もう一つの新疆、寧夏が使っているハラルのサインを青海の回族が使用してたという問題もあった。
・禁忌(タブー)をどのように法律にするか。漢族が禁忌を起こすと回族との対立につながる可能性も。
・回族の危機は国家の危機にもつながりかねない。国家は強い態度で臨んでいるが・・・

Q&A
・回族の政府職員のラマダンは認められていない。
・中国イスラム協会は政府側だけども、地元の要望も吸い上げなければならないので、重要な役割。
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2016年11月29日

世界の貿易システムの将来

11月21日に自由貿易に関するフォーラムに参加。

"Mega-regionalism" and the Future of the Global Trading System

Michael G. Plummer (Director, SAIS Europe and Eni Professor of International Economics: The Johns Hopkins University)

以下、備忘録として。

・貿易自体は、職を作り、貧困を解決する。
・Megaregionalsは、WTOの失敗、FTAのスパゲティボール現象、RTAは改善してきた、ということが背景にある。
・ASEANにとって貿易が占める割合はGDPの100%近くにまで上昇してきた。
・APEC21か国その中の12か国がTPPに参加。
・過去の研究では40%から250%の貿易上昇効果があるという。
・TPPでは、関税の撤廃、サービスや投資ではティブリスト方式に、政府購入、デジタル経済のルール化、IPの保護、そして新しく貿易促進策、国有企業扱い、規制の統一化などが入る。
・GTAPデータベース、現在の貿易理論、関税、非関税障壁、貿易合意を考慮したモデルを構築。
・分析の結果、アメリカ、日本が最も利益を得る。%レベルでみるとベトナム、マレーシア、ブルネイが利益を得る。ただしヨーロッパ、その他の国がスピルオーバー効果で利益が得られるにもかかわらず中国がもっとも損を被る。
・アメリカは熟練労働者、日本は未熟練労働者の要素にいい影響がある。
・TPPは重要かつ利益をもたらし、発展のインパクトを最大化する。

・政治的には、Brexitやトランプ現象と同じく企業.が利益を得るだけ(左派)、統治権の侵害(右派)から批判され、中国の孤立化の可能性がある。
・トランプ政権はTPPを破棄し、中国との対立の可能性(中国製品に課税の姿勢)。
・詳細はこのサイトへ→www.asiapacifictrade.org
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2016年11月22日

「張り子の虎、隠れた龍」

11月17日にSOASで開かれたBook Launchに参加しました。

Paper Tigers, Hidden Dragons
Professor Douglas B. Fuller



Fuller教授が上梓した上記の本の概要を話すというセミナーでした。意味深なタイトルですが、要点は

国家が国有企業に資金面等でR&Dを支援しているにも関わらず、技術水準は向上していない(張り子の虎)。それでも中国が技術的に向上してきているのは、海外資本と国内起業家の組み合わせHybridsの活躍がある(隠れた龍)。

です。

話の内容を備忘録として。

・中国は、市場経済制度が不完全にもかかわらず、そして過剰に国有企業に技術改造を応援しているにも拘わらず、技術向上が観察される。その答えは合弁企業(Hybrid)、すなわち海外資本と国内起業家の組み合わせにある。
・技術向上は技術的な学習と技術発明からなる。
・企業タイプは、国内企業(国家資本調達がしやすい)、国内企業(国内資本調達が難しい)、多国籍企業、Hybrids企業がある。
・国内国有企業は金融を支援を受けて技術向上に取り組む→しかし技術向上への貢献は少ない。多国籍企業、Hybridは貢献が大きい。
・開発区の役割ー政治的に投資を呼び込みGDPの上昇が背景。それ以外の要因国内調達などは軽く見られる。
ファンディング制度が弱いーFundが設置されても、アーリーバードの段階やアイデアの段階での投資は行われない。しかし、華人VCや海外VCは技術関連の投資を行う傾向がある。
・LENOVOは最初は資金不足、その後国家サポート(資金面、国家調達(国内市場)面)した結果、低利益のPCにこだわっている。(他の海外企業は多角化しているにもかかわらず)
・しかしHUAWEIは例外だ。民間企業として同じように国家認識はあがったが、海外市場へ展開し自己資金調達にこだわっている。
・多国籍企業は最初は安い労働力から進出してきた。技術漏えいを防ぐためにR&D過程を細分化、人材を集められない。一方でHybrids企業は中国資源を最大限活用、興味ある技術職を提供し、国内人材を受け入れている。 
・中国国内企業のR&D投資は大きいが、Patent申請数は少ない。(Hybridsがトップ)
・外国投資が外国制度を持ち込み、発展のエンジンになっている。ただ人種的なshareは必要だろう。
・グローバリゼーションの進展で、市場モデル、国家モデルではなく、国際ネットワークは技術的な資源配分を可能にしている。

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2016年11月08日

イングランド銀行

イングランド銀行の博物館に行ってきました。日本銀行の貨幣博物館のようなものです。

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1)イングランド銀行は民間投資家が出資して1694年に設立されました。これはフランスとの戦争に必要な戦費を調達する政府にお金を貸すところからはじまっています。ナポレオン戦争期の1790年代には政府銀行としての役割を持つようになりました。

2)1800年代に国家の銀行としての役割を固め、第一次世界大戦期に国家負債は増え続けるとともに、国家の金保有、外国為替を管理し、金融政策を行う銀行になりました。1946年に国有化されたようです。

3)イングランド銀行は国家の中央銀行として、インフレを低く抑えること(2%を目標としている)、金融システムを安定させることを主な役割としています。

インフレをコントロールするゲームがあるなど、中央銀行の役割がわかりやすく説明しているいい展示でした。

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2016年11月01日

時間をどうするか―イギリスのサマータイムから

ロンドンに赴任してから、なぜか日照時間が気になっています。とくに日照時間を人為的に動かすサマータイム(Daylight Saving Time)を10月30日に経験し、「時間を決める」ことに興味を持っています。

ということで今日は、サマータイムを考えてみようと思います。

サマータイムは日本でも導入が時々議論されます。期待される効果は夜の日照時間を人為的に長くして、経済活動を活発化させることです。

効果についてはまだ議論がありますが、日本に馴染みのないサマータイムについて簡単に整理してみました。

1)歴史

1907年William Willettがイギリス・サマータイムという概念を紹介しました。彼は貴重な日照時間を大事にすべきだいうことを主張し、具体的には4月に4回に分けて80分早め、9月に同じように80分もとに戻すという方法を提案しました。しかし、彼のアイデアは採用されませんでした。

(ただし1895年にニュージーランドの昆虫学者George Vernon Hudsonがこのような計画を提案したことがあります。)

彼がなくなる年にドイツは時計変更方案を作成、1916年4月30日に初めてのサマータイムを導入、イギリスもその後を追って5月21日にサマータイムを導入しました。(第一次世界大戦期間で英独は戦争していた。)

2)議論

サマータイムの支持者は、国内石炭消費量を抑えられる、第一次世界大戦のための製造業生産を増加させられる、と主張しました。

一方で反対意見もあります。エネルギー消費への効果も疑問、健康リスクもあるという意見です。

夜が来るのが遅くなるので、夏のエアコン消費量が増えること(ただしイギリスはエアコン使わないのであまり影響がない)、そして朝は暗くなるので子供たちの徒歩通学が危険にさらされるというものです。

支持者たちは、交通事故が減少し、エネルギー消費が抑えられ、観光業を後押しし、人々の野外活動が増加する、と主張します。1980年代ではサマータイムの導入でゴルフ産業の売上が4億ドル伸びたというデータもあります。


3)時間をどうするか

イギリスの世論調査では、53%の人々が永久にサマータイムにしてしまうことを支持し、32%は時間を変更することに反対しています。

2011年にサマータイムのままにしようじゃないかという方案が議会に出されましたが、通りませんでした。

とくにスコットランドにとっては、時間がサマータイムのままになると9時ごろまで朝の太陽が出てこないことになってしまうので、農業や建設業で影響が出るためです。

イギリスでは過去、時間に関する取組みが試行錯誤されてきました。標準時子午線のある国ですが、一時期は現在の時間よりも2時間早めていたこともあります。

時間をどう決めるか、日本でも『天地明察』という小説にありましたが、別の意味で国のあり方を決める重要なテーマのように思います。

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<参考>
ICYMI, the clocks have gone back one hour in the UK - but why do we have Daylight Saving Time?
The Telegraph, 30 Oct 2016
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2016年10月26日

国民投票以降のイギリスの将来は?

今日は趣向を変えて、イギリスのEU脱退についてのトークに参加して来ました。

Prof Michael Dougan: What is the future for Britain in Europe after the Referendum?

ドーガン教授はリパプール大学でEU法、憲法など法律の専門家です。

スピーチは短めであとはディスカッションでしたが、話の要約を備忘録として。

・これからUKは内部的な挑戦(UK法の改定、スコットランド国民投票など)と外部的な挑戦(例えばアイルランド、フランスにおける国境の取り扱い(注))にある。
・EU条約、UKは加盟国としてずっと特別に扱われていた中で、UKは何が国家利益なのかそれを特定する必要がある。これからの交渉はUKが一国として再定義される過程である。
・脱退過程は、知られているように来年3月UKが通知して、EUが委員会を立ち上げ50条に基づき進められる。前例がないし、途中で気が変わったなんていうこともできない。もし再度EU加盟となるとすべての特例はなくなるだろう。300万人がUKで働いているし、逆もしかりなのでこの取り扱いは難しい。
・脱退が同意されると、移行期の取り扱いが重要となる。得るものがあるわけではない。損失を小さくしていく過程である。
・いい意味では、これまでEU法に縛られていたものがとれる。実際 スイス、ノルウェーは特別にされているが実際にはEUが上にあるので例えば一つのマーケットと言われれば聞き入れなければならない。
・北アイルランドは難しい問題。UKの中でもっともEUの農業補助金を受けているし、政府雇用も多い。

(注)話ではよくわからなかったが、移民管理の特別な措置が行われている模様。
posted by okmtnbhr at 03:49| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする