2016年01月12日

中央都市工作会議

昨年12月に中央都市工作会議が37年ぶりに開催されたんですが、中央経済工作会議の陰に隠れて、日本の報道ではほとんど触れられていないですよね。

ということで、中央都市工作会議の件をPlatnewsに寄稿しました。

多くの農民工が劣悪な環境で生活する中国ー7億人以上が都市に集中(岡本信広)(Blogosにも転載)

中国にも都市運営や都市経営の考え方が広がっている印象を持っています。

ところで、なぜ日本では中国の都市化が触れられないんだろうと思っていたところ、Platnewsの編集者と話ししていて気がついたのは、「都市」や「都市化」の内容や意味が一般の人はそんなにわかっていないんじゃないかという点でした。

日本では都市化は過去の事です。日本では東京一極集中とか言われますが、一般の人にとっては、あ〜人が東京に集まっているのね、程度であって、「それ何、おいしいの?」になっているような気がします。それに日本の都市化時代は1960年代がピークで、東京に集まる労働者のために、多摩ニュータウン、港北ニュータウン、千葉ニュータウンの開発が始まった時代です。ある意味過去のことです。

もう一つは、都市化の意味がつかみにくいという点です。都市は人を惹きつける魅力を持っています。多くの人が集まれば、市場が拡大するとともに、経済活動が活発になります。都市は経済活動の「場所」であり、経済発展の中心であることがあまり理解されていません。(むしろ経済成長はいらないみたいな議論もされるぐらいですし。)

今後も都市、都市化の重要性をもう少しわかりやすく語っていきたいと思っています。


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2015年12月29日

ERINA REPORTに寄稿

ERINA REPORTに寄稿しました。

岡本信広(2015)「一帯一路は内陸部を発展させられるか?-重慶を事例に」『ERINA REPORT』環日本海経済研究所,No.127, pp.46-52 (リンク先からPDFでみられます。)

結論として,「「一帯一路」による物流業の発展は中国国内の都市化の推進,さらなる経済発展をも期待できる。重慶はまさに「一帯一路」を活用しつつ,産業集積と物流業の発展が期待できる都市である。シルクロード経済帯にある渝新欧鉄道は重慶の経済発展をもたらす可能性を持っている。通関制度の共通化,運行時刻の改善や便数の増加,そしてコストの低下が進めば,内陸部であるにもかかわらず重慶は中国のさらなる物流拠点,産業集積拠点として発展が見込めるかも知れない。」としています。

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2015年12月22日

地方が消滅してもいい!?

アゴラから

地方創生を考えるには,地方消滅も考慮しないといけないだろうということで,ややあおり(笑)を入れて議論してみました。

さて,前回のエントリーで地方創生のためには、「地方と都市がつながること」と主張しました。

地方を創生するためにやるべきことは何か? --- 岡本 信広

今日は、地方の消滅について考えてみます。結論として、日本という一国全体でみると、地方消滅(その反義としての東京の一極集中)は、感情的には寂しいことですがメリットがあります。


1.地方は都市に吸い込まれる?

地方が東京圏とつながると,地方は恩恵を受けて豊かになりますが,たしかに消滅する可能性もあります。

都市経済圏との一体化は、地方を消滅させる、あるいは地方と都市の格差を拡大する(あるいは固定化しうる)という見方も経済学者にはあります。代表的なものでは,ウォーラーステインの世界システム論,ミュルダールの累積的因果関係,ハーシュマンの分極効果などです。

簡単にまとめると,

1)地方は産業基盤が弱いので常に都市からの財やサービスを購入しつづける。
2)地方の優秀な人材が都市の大学に進学する,就職して帰ってこない。
3)人が移動する→産業が衰退する→町に活気がない→さらに人が来ないという因果関係が累積的に繰り返される。

ということがあげられます。具体的には,東京湾にアクアラインができて木更津がさびれた,つくばエクスプレスができて秋葉原ばかりが得をした,という現象です。「ストロー効果」といわれたりします。


2.長期的にはメリットがある

都市と地方がつながるメリットは以下のメカニズムで働きます。

1)都市部の住民が地方の特産品や農業製品を購入する。
2)都市部の人たちが地方に観光にいく,あるいは混雑をきらって地方に移住する。
3)都市では競争が激しく利益が得られないので,地方に企業が投資をする。

などです。具体的には,木更津に有名アウトレットパークができたとか,つくば市の人口が増えているとか,です。

都市と地方が「つながる」ことによって地方は得をします。中国の事例ですが,私の研究でも地方都市化間の格差を固定化する効果よりも都市の恩恵が地方にいく効果の方が大きいと出ています(岡本2012)。


3.地方が消滅することは悪いことか?

すべての地方が都市とつながったとして、すべての地方にメリットがあるとは考えにくいのは確かです。日本の人口が減少傾向にあるために、地方に行くのが便利になった、都市の混雑がいやで地方に住みたいという需要が出てきますが、すべての地方を潤すほどの労働者と消費者がいるわけではありません。

となると、やはり一部地方には、消滅するリスクが存在します。

しかし、ミクロ的な個人の感情を除いて、マクロ的な経済全体としては地方消滅にはメリットがあります。

都市化は災害、環境、エネルギー、そして経済の生産性向上に力を発揮します(グレイザー2012)。

都市の方が災害の被害が少なく、環境にもやさしく、エネルギーを節約することが可能です。

自宅で各部屋に家族が散らばってエアコンを各部屋ガンガンかけるよりも、リビングに集まっているほうが、環境とエネルギーに優しいのと同じです。

それに加えて、多くの多様な人々が都市に集まるため、新しいアイデアが生み出され、生産性が向上する可能性も増します。生産性が向上すれば、その都市が経済発展を牽引します。この意味でも都市は「人類最大の発明」であるのです。(この意味では、東京はさておき大阪は頑張ってほしい。)

ただ、個人的あるいはミクロ的には、地方消滅には物悲しいものがあることは否定できません。自分の育った村が、朽ち果てていくのをみるのはつらいことでしょう。

しかし、それでも郷愁という感情を我慢すれば,自然淘汰としての地方消滅、そしてその反対の現象としての東京一極集中は、国全体としては便益の方が大きいのです。

<参考>
岡本信広(2012)『中国の地域経済: 空間構造と相互依存』日本評論社
エドワード・グレイザー(山形浩生)(2012)『都市は人類最高の発明である』NTT出版
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2015年12月15日

地方を発展させるためには

アゴラでの元ネタ

地方創生VS地方消滅という面白い議論が展開されていたので,遅ればせながら参戦(笑)

まあ何事も結論から単刀直入に言う方が人に伝わりやすいので,結論を先に行っておきますね。

経済活動は一部地域に集積するけど,距離とか移動の妨げがなくなって経済圏が一体化すると,消費と所得は平準化するというのが経済学の知見です。その法則(仮説)からすると,地方創生のためには都市とつながろう,というのが私の意見。


1.経済学の知見

世界銀行は『世界開発報告2009-変わりつつある世界経済地理』を発表しました。(日本語の概要版がこちらでダウンロード可能になっています。)

これは,地域,都市経済学(あるいは空間経済学)のこれまでの研究成果にもとづいてまとめられたものです。ざっくりこの本の主張をまとめると「経済活動は一部地域に集積するけど,距離とか移動の妨げがなくなって経済圏が一体化すると,消費と所得は平準化する」といいます。これが現在の経済学のスタンダードな見方です。これにもとづいて考えていきたいと思います。


2.都市化は進行する

まず,日本でみても,世界でみても都市化は上昇の傾向にあり,それがひっくりかえることはないです。

それは長坂さんのデータが示すとおり。

東京のみなさん、まだイケダハヤトで消耗してるの?


世界の都市化率についても同じことがいえます(UN-HABITATの統計もそれを示している)。

つまり,一部地域、都市に人々が集まり経済活動が行われるという集積の傾向は変わりません。なぜそうなるかは一言で言ってしまうと,企業はコストが減少し,消費者は便益が増すからです。市場経済が発達し,人々の意思決定が自由であるならば,都市の方が地方よりも経済活動は行いやすいのです。


3.都市ががんばれば地方も豊かに

経済活動が一部都市に集積すると地方はどうなるんだと思われるでしょう。でも、安心してください。都市の発展は都市以外の地域、過疎地域も含めて所得を引き上げます。

高知県が貧しいということはなく,人口の集積具合に比べれば,東京都と許せないぐらいの格差があるわけではないです。

平成24年度の統計(人口と1人当たり県民総生産)をみてみましょう。東京の人口は1324万人です。日本の総人口10%以上の人が東京に集まっています。一方高知県は75万人,日本総人口の0.6%です。圧倒的に東京という大都市に人が集まっています。(近隣の神奈川,埼玉,千葉を入れると3000万人を越える!)

1人当たり県民総生産では,1位の東京が442万円であり,2位愛知344万円,3位静岡320万円と続いていきます。高知県は225万円(45位),沖縄県204万円(47位)です。東京が圧倒的に経済活動が集積しているので当然としても,3位の静岡は高知県の1.5倍程度です。

つまり経済活動の集積具合に比べて,所得の差は小さいです。また,お隣中国の上海と貴州の差が約4倍あることを考えれば,所得水準は平準化しているといえるでしょう。(ちなみに10年前は10倍開いていた。)

世界的にみても、先進国は都市化が進んでもそれ以外の地域は貧しくなったかというとそんなことはなく、やっぱり豊かになっています。

経済活動はなくなってきて、地方は閑散としてきたという実感があったとしても,高知県の人の所得と消費が東京に劣っているということはあまり感じられません。

つまり集積して東京が発展すると,地方にもかならず恩恵があります。これが経済の波及効果といわれます(経済学者ハーシュマンは浸透効果と名付けた)。

東京が発展すると,フィリピンの辺鄙な島にはなんの効果はありませんが、高知県、はては沖縄県にも恩恵は波及しているのです。この違いはつながりです。東京と高知,沖縄はつながっていますが,東京とフィリピンのつながりは薄いです。

経済は相互につながっています。一部地域の都市化のみ,あるいはその反対に一部地域の過疎化に焦点をあてても,本質を見落とします。


4.地方は何をすべきか

地方は何をすべきでしょうか。水谷さんが,地方の観光化とかゆるキャラ戦略に金を使うなと,提案されましたが,まさしくこの通りだと思います。これは得策ではなく,確かに無駄な可能性が高いです。以上でも述べたように,人は都市に集まっていくからです。

では何をすべきか?

東京,愛知(名古屋),大阪といった都市圏と「つながる」ことです。高速道路,鉄道,空港,物流センターなどなど,都市とつながることです。情報でいえば,インターネットを普及させることです。財・サービス,人,お金,情報が常に都市とつながっている状態にすることを考えるべきです。

財・サービス,人の移動に関わるコストを下げる方が有益です。

もし,公共事業がきらいなら,iPadのようなガジェットを県民に配り,使い方の講習を行うべきです。そうすれば地方は都市という経済活動の恩恵を受けることが可能です。

イケダさんが高知県に住むことを可能にしているのはまさに現在の日本の各地方が都市との強い「つながり」を確保しているからだといえます。東京への移動に1週間もかかるとか,ネットがないとかになれば,高知県はもっと貧しくなっていたかもしれず,そうすると東京の人がそこに住むという選択肢もなくなります。

世界をみると先進国と途上国に分かれています。途上国の特徴は,先進国との垣根が高い,国境による封鎖度(手続きが煩瑣だとかVISAが発給されにくいとか),世界市場へのアクセス悪い(内陸部だとか,空港がないとか)といった問題があります(世界銀行の報告書)。

中国も地方と都市部(上海,北京,天津など)との格差は開いていましたが,高速道路,高速鉄道,空港の整備などによって一国の時間距離は大幅に改善しました。また戸籍など人の移動を妨げる制度もありましたが徐々に改善し,地方と都市部とのアクセスは改善してきています。これが近年の中国国内の格差縮小,地方発展につながっています。

日本も地方創生を考えるのであれば,都市とのアクセスをさらによくすることです。それにより,都市の発展の恩恵を地方に分配することが可能になるでしょう。
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2015年12月08日

物流や交通インフラ

中国でも日本でも国内市場の統一には物流センターや道路、鉄道、港湾の整備がなされます。物や人の集散地を設けることにより、効率的に物や人が市場の隅々にまで行き渡ることが可能になります。

問題はどこに物流・交通インフラを設置するかです。これは市場が決定するというよりも政府が決定します。

まず大都市間で物流・交通ネットワークを構築することが考えられます。大都市は財・サービスや労働を必要とするために、そこへのネットワークを構築することは利便性を高めることになります。

次は中都市を巻き込んだネットワーク、そして小都市を巻き込んだネットワークでしょう。これにより市場の隅々にまでネットワークが張り巡らされ、財・サービス、労働の取引が可能になります。

問題はこの次です。物流・交通インフラの整備が終わり、ネットワークの改善が行われたとします(鉄道の高速化、道路の拡張、港湾、空港の整備、物流センターの効率化など)。

そうすると各都市に作られた物流・交通インフラは競争を始めます。空港を例に挙げてみると、日本でも各地に空港が建設され、県によっては2つの空港が建設されます。路線によっては採算の度合いが違ってくるでしょうし、場合によっては行き先の乗り換えが便利という、ハブになる空港が出てきます。空港が競争淘汰の段階に入ります。

物流センターも同じで各地でコンテナ輸送の乗り換えや集散が行われます。そうすると、空港も物流センターも多層化します。つまり一部の物流・交通インフラは大広域を範囲とするハブとして、そして一部は中広域を範囲とする地域性のハブとして、そして残りは小地域を対象とするセンターになっていく、というように、カバーする範囲の違う役割を持ったインフラになります。

この競争によって、もしかしたらネットワークの中に必要のない物流・交通インフラが出てくるかもしれません。いわゆる無駄な交通インフラがあぶり出される可能性がでてきます。

国鉄がJRに変換した時に、不採算路線の閉鎖などが話題になりましたが、まさに物流でも交通でも使われなくなったインフラをどうするかという問題が発生します。

公共財として政府が補助金を出し続け維持していくのか、それとも市場淘汰に任せるのか、対象地域の持続的成長にもかかわる大きな選択が、政府と地域住民に迫られることになります。
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2015年11月24日

美麗郷村(貴州省の新型都市化の取り組み)

11月16日から20日まで貴州省で,新型都市化の調査を行ないました。とくに安順市は国家新型都市化の試点(実験地域)として,農村の小城鎮化に積極的に取り組んでいます。

貴安新区が昨年国家級新区に昇格し,国家による投資が大量につぎ込まれています。これは,2020年までの全面的小康状態への達成に向けて,国家が一番貧しい貴州省の貧困脱出に力を入れているからです。

とくに農村の貧困問題は深刻ですので,安順市でも農村開発の方向は,観光業,生態環境を活かした農業,小城鎮化というように,都市化を一つのキーワードとして,開発に取り組んでいます。

今回は農村でも「美麗郷村」の試点(示範点)をいくつか回りました。国家がお金を投入し,農村の城鎮化を行ない,産業としては観光に力をいれるというものです。

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(今回,一番気に入ったのは龍宮鎮桃子村。とてもきれいです。時間があったらパソコンだけ持って,ここでゆっくり原稿でも書きたい。)

ただ問題もあります。私が感じたのは以下の点です。

(1)極端に政府投入が多い。5千万元から8千万元が政府から投資されています。この政府投資によって建築業雇用を増やしており,これが1人当たりの平均収入を一時的に上昇させている可能性があります。ほとんどの村で1人あたり収入が1万元に到達しています。
(2)観光業が発展するほど観光資源は豊かなのかという問題です。上の写真にもあるような,龍宮鎮には国家級の景点がありますが,観光資源がなければ永続的に観光農村として永続するのは難しいように思います。また観光地は工夫を凝らし続けないとリピーターは生まれません。一回きりになっては永続的な観光農村としては難しいです。
(3)観光業による村づくりを各地が展開すると、似たようなものになります。また市場での競争は激しく、市場から見放されれば、村はまた貧困に陥る可能性があります。

それでも農村が豊かになってきているのは確かなので,これもまた将来的に再度訪問してみたいと思います。
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2015年11月10日

浙江工商大学学報に

昨年神戸大学で開催された都市化に関する会議でコメントした内容が発展して,以下の成果になりました。

冈本信广(2015)「城乡一体化的艰难前行」『浙江工商大学学报』(2015 年9 月)第4 期(总第134 期),pp.112-117(招待論文)DOI:10.14134/j.cnki.cn33-1337/c.2015.05.014

都市農村一体化の難しい点は,都市農村二元制度と農民の利益調整であることを主張しています。

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2015年11月03日

産業連関分析手法の動向

10月10日には日本地域学会第52回年次大会(岡山大学)で,10月31日には環太平洋産業連関学会(通称PAPAIOS)第26回大会(明治大学)で,討論者として参加しました。どちらも産業連関分析に関するものです。

藤岡明房 「産業連関表の単位構造分析 についての一考察 」 へのコメント
陳・申・山田 「中部地域における生産構造の経年変化に関する一考察」 へのコメント

です。上記は単位構造(故尾崎厳先生)について,後者はAPL(平均世代波及数,平均波及長)の分析手法を使っています。

1)産業連関分析の動向

産業連関分析には時代的な波があります。レオンチェフが産業連関分析を発明後、その経済予測の正確性から経済モデルとして世界的に普及、統計的にはSNAの発展につながるとともに、経済の実証分析としてはレオンチェフ・パラドックスなどで貢献しました。

これらの貢献でレオンチェフは1973年にノーベル経済学賞を受賞。この辺りが産業連関分析のピークとなります。しかし,その線形性,作表の困難さ,モデルの柔軟性のなさ,などから,1980年代、1990年代に衰退します。

復活のきっかけは,空間経済学の勃興です。空間分析のツールとして1990年代後半より実証用データとして使われるようになりました。最近ではサプライチェーンの広がりによって付加価値貿易の分析など、新たな活用が広がり、Koopmanらの論文がAERに採用されるなど、経済学的に大きく貢献しています。また環境、資源、道路計画など工学分野でも活用されています。

2)単位構造は復活可能か

慶応大学の故尾崎先生が提唱した単位構造分析(Unit Structure Analysis)というのがあります。これは最終需要一単位を生産するのに必要な中間財投入構造(すなわち単位構造)を明らかにするというものでした。そしれ彼の実証結果は,単位構造は時系列的に見ても安定しているというものです。

これは産業連関表の前提である投入構造の安定性を示しているともいえます。分析手法がシンプル,導かれるファインディングスも結構頑健性のあるものであるため,最近では誰もつかっていないのが現状です。

もしこれを復活させるとするならば,やはり空間的な使い方が必要でしょう。つまり非競争型(輸入と国産財は別ものとして扱う)の表での単位構造の位置づけができる,あるいは国産率(藤川先生,長谷部先生)に関連した展開があれば,何かしらの使い方は可能かもしれません。でも単位構造は安定しているという尾崎仮説を覆す発見ができるか,できたとして,その理由は何かを考える必要がでてきます。

3)APL(Average Propagation Length)

最近の注目手法はAPLです。産業連関が前方連関,後方連関の強さを表わすというところから,産業間のつながりの「長さ」を分析することに成功した手法です(Ditzenbacherなど2005)。猪俣(アジ研)はこれらを図解する方法を考え出し,見方によっては新たな産業連関の発見につながってきたといえます。

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2015年10月20日

郷村規劃師

10月17日,18日と中国都市規劃学会・中国城郷規劃実施学術研討会の第三回年次大会に参加してきました。

私は山口真美さん(アジア経済研究所)とともに幕張の都市計画とその発展,住民参加の問題などを報告するとともに,さまざまな報告を聞くことができました。この規劃実施学術研討会は学者のみならず実際の都市計画を実施する官僚などが参加するので現場の声が聞けるいい会議です。

今回の大きな収穫は成都の新型農村建設の現場を見ることができたこと,その鍵は成都独自の制度「郷村規劃師」にあるのではないかという仮説を持てたことです。

蒲江県明月村新型社区を見たのですが,その建設をその村の「郷村規劃師」の方が紹介してくれました。

<明月村>
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成都市規劃局は会議で「郷村規劃師」の役割を強調するとともに,全国に展開したいという意気込みを見せていました。

「郷村規劃師」とは,郷,村レベルの都市農村開発の責任を持つ人です。役割としては,郷村レベル政府各部門の意見調整,農民の意見聴衆,開発(保護,改造も含む)プランの制定,はたまた基層レベルで発生する矛盾の解決が求められています。規劃師は村の誰かを任命するのではなく,一般に公募され,一定の訓練を受けたあと村に派遣され,人間関係を築きつつ,村の開発問題に携わります。ブログも開設されているようで,ともに規劃師同士で意見交換できるようにするとともに,2,3年で再訓練のプログラムが用意されています。

この郷村規劃師制度,今後の新農村建設のキー・ロールになるか,注目しておきたいと思います。
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2015年10月06日

『東亜』COMPASSでの連載 第8回(最終回)

霞山会の月刊誌『東亜』2014年1月号から,3ヶ月に1回のペースで時評を担当しています。 最終回は 「都市化の推進には行政・財政改革が必要である」 です。 リードより。

【リード】

 新型都市化は農民工の都市住民化(市民化),都市建設が中心的テーマとして語られる。しかしこれらを実際に実施するには,行政と財政の改革が不可避だ。とくに均等化した公共サービスの提供,都市化に必要な資金調達,効率的な行政体制の確立が急がれている。

2ヶ月ぐらいすればWebで読めるようになるかと思います。約2年間,霞山会さんにお世話になりました。いい機会をいただき感謝です。

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岡本信広(2015)「都市化の推進には行政・財政改革が必要である」『東亜』No.580,pp.4-5
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