2025年12月04日

平均寿命が過去最高に

中国の平均寿命は2024年に79歳という過去最高を記録し、先進国(EU:81.7歳、OECD:81.05歳)との差を縮めている。これは「健康中国」構想に基づき、2030年までに平均寿命80歳を目指すという目標への大きな一歩である。

この長寿化は、医療体制の拡充に支えられている。医療機関数は109万(前年比2.1%増)、医療従事者は1,302万人(4.3%増)に増加した。また、乳児死亡率(1,000人あたり4.0)、妊産婦死亡率(10万人あたり14.3)も過去最低を更新した。

一方で、平均寿命の延伸は、過去最低水準の出生率と相まって、年金・医療制度への負担という深刻な人口動態の課題を浮き彫りにしている。中国の人口は3年連続で減少し、65歳以上人口の割合は2024年に15.6%に上昇している。長寿化の達成は素晴らしい成果だが、その裏側にある社会的な課題への取り組みが急務となっている。

Living to 79: China’s record longevity puts economic wrinkles in focus2025年12月3日
posted by okmtnbhr at 07:44| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月25日

中国の介護分野と雇用

急速な高齢化が進む中国において、高齢者介護サービス部門は新たな主要な雇用創出源として期待されているが、若年層の関心は低いままである。

経済への影響と雇用創出:

介護サービス産業は、今後、数百万人の雇用を生み出し、家計消費を押し上げる原動力となる見込みだ。

家計内の無償介護労働の経済規模は30兆元を超え、国内サービス産業の30倍に上る。この市場の活性化は、中国が目指す消費主導型経済への移行と、シルバーエコノミーの発展に不可欠である。

大学学長は、この分野が高い労働吸収力を持ち、高齢者への財政補助を通じて「雇用の問題」と「介護の問題」の同時解決につながると提言している。

人材不足と若者の意向:

介護が必要な高齢者は2035年には3,400万人以上に増加すると予測されており、専門人材の不足は深刻だ。

しかし若者は、老人ホームの求人(月額4,000〜5,000元程度)の給与水準が低いことや、分野に対する知識不足を理由に就職を避けている。

労働市場の逼迫:

経済減速と大卒者の増加により若年層の失業率は高水準(8月は18.9%)にあり、労働力供給の調整が急務だ。

介護分野は将来の経済成長と雇用吸収の鍵を握るが、若者の就職意欲との間に大きなギャップが存在している。

China’s senior-care sector: promising job growth clashes with young workers’ reluctance2025年11月25日
posted by okmtnbhr at 08:10| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月22日

中国の大豆 −輸入1億トン・自給率2割の現実

中国の食料自給において、年間約1億トン(世界貿易の6割)を輸入する大豆は最大の急所である。国内生産は昨年の増産後でも約2065万トンに留まり、需要のわずか2割しか賄えていない。

かつての米国依存(シェア最大38%)から、貿易摩擦を経てブラジル(直近で85%超)へ供給元を切り替えたが、海外依存の構造は変わらない。政府は2034年までに輸入を7900万トンへ減らす目標を掲げるものの、耕地不足により完全自給は不可能であり、厳しい舵取りが続いている。

China’s soybean revolution: the change that rewrote global trade and tested food security2025年11月25日
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月21日

蔡ム氏、家計消費率の目標設定が不可欠

中国の著名経済学者・蔡ム氏は、人口減少が進む中での成長維持には、GDP目標に加え「家計消費率」の数値目標設定が不可欠だと提言。

具体的には、現在GDPの約39%である家計消費を、2035年までに61%へ引き上げるべきと主張。将来の年金不安による「予防的貯蓄」が消費の足かせとなっているため、再分配政策やAIによる生産性向上を活かした社会保障の充実が必要だと説く。

政府も次期5カ年計画で内需拡大を掲げており、中間所得層の倍増(8〜9億人規模)による巨大市場の創出が、今後の中国経済の鍵となる。

Chinese economist calls on Beijing to add consumption target to long-term goals
2025年11月19日
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月20日

学歴インフレ

中国で「学歴インフレ」が深刻化し、過剰資格の人材が不適格な職務に就く事例が相次いでいる。

広東省始興県の衛生事務所が、ゴミ収集車や埋立地の監督者に博士号を必須とする求人を出し、世論の批判を浴びた。これは、業務内容が実行志向であるにもかかわらず、高学歴を求める極端な例である。

また、四川省瀘州のガス会社では、エディンバラ大学の国際関係学修士号を持つ人材らが検針員や修理作業員として採用された。

これは、経済減速と激しい就職競争を背景に、採用側が学位の威信を追い、才能の誤配分が生じている現状を象徴している。

Wanted in China: garbage supervisor with a PhD2025年11月17日
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月19日

中間所得層の拡大

中国は、今後10年で中間所得層を4億人超から8億人に倍増させるという野心的な目標を掲げている。これは、成長モデルを従来の投資主導型から人的資本への投資と国内消費拡大へ転換させる新たな戦略だ。

現在の課題は深い。杭州に住む幼稚園教諭補助員シャオ・メイ氏(38歳)の月収はわずか6,000元で、地元の公務員平均13,500元を大きく下回る。彼女は3年間給与が上がらず、将来に不安を感じている。

政府は、育児・高齢者介護・医療・教育といった社会保障網への支出を強化することで、シャオ氏のような層の生活を安定させ、貯蓄から消費への意識を変えたい考えだ。また、農村高齢者の月平均年金がわずか244元という深刻な所得格差も是正を目指す。この「人への投資」が実現すれば、シャオ氏の望む「ミドルクラス」の生活が現実味を帯びてくる。

800 million: how China plans to double its middle-income population2025年11月17日
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月18日

中国の消費低迷に関する盧鋒教授へのインタビュー

中国の消費低迷に関する盧鋒教授へのインタビュー(簡潔版)

#なぜ中国の消費は長期的に低迷しているか?

回答:構造的な原因は、所得分配、社会保障、戸籍制度が招く「二重経済」による一部低所得層の消費不足である。また、公共資源が長年生産・供給側に偏重投資され、急速な生産能力拡大に最終需要(消費)が追いつかず、供給過剰との矛盾が拡大しているためだ。

---
#大都市で特に消費が弱いのはなぜか?

回答:パンデミック後の厳格な規制により、高密度な大都市のサービス産業が特に打撃を受け、雇用が悪化した。その結果、若年層は競争の激しい低賃金労働に流れ込み、経済成長に必要な大都市の集積効果による需要創出が期待通りに進んでいない。

---
#反腐敗など非経済政策は消費に影響したか?

**回答:** 反腐敗・規律強化は必要だが、**過度な適用**による飲食消費への影響や、**頻繁な規制変更**によるハイエンド消費の**萎縮効果**を生んだ。**科学的根拠の曖昧な規制**で産業が消滅し、経済コストが発生した。政策評価で**マクロ経済への影響**を考慮すべきだ。(125字)

---
#政府の消費刺激策は効果があったか?

回答:政策は過去10年で最大級の規模で、短期的に耐久財の買い替えを促進したが、需要を前倒ししたに過ぎない。根深い構造問題(所得分配など)を解決していないため、短期的な流動性対策に留まり、根本的な消費不足の解消には至っていない。

---
#構造改革(戸籍、社保など)の進展が遅い理由は?

回答:公共部門(GDPの45%超)の資源配分が、官僚の評価システムや税制が定める「供給側を重視」する長年の慣行に縛られているためだ。資源の大部分が生産・技術への投資に集中し、消費と民生への配分が不足している。

---
#消費潜在力を持つ層とその引き出し方は?

回答:所得が低い層、特に農村の高齢者が最も消費潜在力を持つ。彼らは極めて低い年金で暮らしているため、政府の再分配を通じて恒常的な所得(例:年金を月200元から1,000元に引き上げ)を増やし、消費する能力を与えるべきだ。

---
#社会保障制度の根本的な問題は何か?

回答:問題は支出の絶対額ではなく、受給額が職業・階層で極端に不均衡な構造にある。特に農村高齢者の基本年金は極端に低い。また、企業向け**高すぎる拠出率のため、強制加入は中小企業と低賃金労働者を圧迫し、持続可能性の課題を抱えている。

---
#構造改革実現の鍵はどこにあるか?

回答:トップレベルの設計により、公共資源の配分モデルを供給側中心から消費・民生重視へと系統的に調整することだ。官僚の業績評価システムや税制構造を改革し、地方政府のインセンティブを変えなければ、根本的な消費刺激は実現しない。

---
#次期五カ年計画で構造改革は進むか?

回答:第15次五カ年計画は、過去に類を見ないほど消費と民生を重視する見込みだ。長年の「強供給対弱需要」のアンバランスが政策調整の範囲を拡大させ、これまで困難とされてきた戸籍、社保、公共サービス均等化などの抜本的な改革を進める重要な機会となる。

Exclusive | Chinese economist Lu Feng on why the time is ripe for a consumption rebalance2025年11月17日
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月17日

越境法執行に歯止め:長江デルタの新メカニズム

上海、江蘇、浙江、安徽の長江デルタ4省市は、越境的で利益追求型の市場執行を規制する初の協調メカニズムを導入した。

この動きは、民間企業を恣意的な検査や重複調査から守り、必要な安心と信頼を与えるものとして歓迎されている。背景には、地方財政の逼迫がある。実際、今年上半期は国の非税収(主に罰金)が2%増加する一方、税収は0.3%減少しており、「罰金稼ぎ」的な法執行が問題となっていた。

新メカニズムは、越境執行時の現地当局への通知・協力などを義務付け、混乱を招いていた市場環境の是正を目指す。この取り組みは、中国経済の要である民間企業の活力維持に不可欠であり、他の地域への波及が期待されている。

China’s Yangtze River Delta reins in ‘profit-driven’ fines in relief for private sector2025年11月14日
posted by okmtnbhr at 11:01| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月15日

第15次五か年計画と税制改革

中国は経済リスクに直面し、今後5年間の第15次五カ年計画(2026〜2030年)で財政の持続可能性の強化が急務となっている。

伝統的な税基盤の成長が鈍化する一方、消費支援や民生保護のための財政支出は増加しており、企業に過度な負担をかけずにいかに税収を確保するかが主要な課題である。2023年には景気減速とデフレで税収が減少した。

特に地方政府は、土地売却益の減少で財政がひっ迫。また、現行の増値税(付加価値税)制度が過剰生産を助長するインセンティブ(注)になっているとの指摘もある。

計画では、直接税・地方税の強化や優遇税制の引き締めを提唱。専門家は、労働所得への重い課税や、新興分野での租税回避を防ぐため、個人所得税の改革や税制の現代化が不可欠であり、これがなければ将来の税収確保は困難になると警告している。

China’s fiscal pivot: tax reform in 5-year plan to protect budgets without crushing firms2025年11月12日

(注)増値税の税収が、製品やサービスが最終的に消費された場所ではなく、生産された場所(製造工場や事業所がある地域)に基づいて地方政府に配分される仕組みになっている。地方政府は管轄内の企業活動を支援することになる。
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年11月14日

民間資本のさらなる活用

中国政府は、景気活性化と雇用の安定を目的に、民間資本をインフラプロジェクトへ呼び込むための13項目の新措置を発表した。

これは、従来国が主導してきた発電や交通、水道、原子力などの分野で、収益が見込めるプロジェクトに民間投資を促すのが狙いだ。政府の承認プロセスに「民間投資誘致の実現可能性評価」を義務付け、対象プロジェクトでの民間企業の出資比率を10%以上とする方針を明確化した。

さらに、政策的金融手段や中央政府投資の増額、航空宇宙分野への参入緩和など、多角的な支援策を打ち出している。政府は、民間企業が公平に市場競争に参加できるよう、今年可決された「民間経済促進法」の実施も推進し、経済成長の鍵となる民間部門を強力に後押しする姿勢を鮮明にしている。

From rail to nuclear power, China taps private capital to fund major projects2025年11月11日
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | SCMP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする