2013年12月17日

応用地域学会(ARSC)第27回研究発表大会

応用地域学会(ARSC)第27回研究発表大会が12月14日,15日と京都大学で開催されました。

初日に「中国の都市化は経済成長を支えるか?」と題して報告しました。

全国産業連関表から地域産業連関表を推計する手段として「地域化(Regionalization)」という手法があります。一般的には立地係数(Location Quotient)を使って全国の技術係数を地域用に推計するものです。近年FleggらがFLQやAFLQという手法を開発しており,その中でも地域経済の特化(集積)を考慮したAFLQという方法があります。このAFLQを利用して,「都市化」のインパクトを計測しようというものです。

具体的には,都市化によって工業化,工業化+サービス産業化がすすみ,工業やサービス産業が集積することによって地域内取引が活発化し,その全国への影響を計測するというものです。分析の結果わかったことは,中国の四直轄市の中でも上海の都市化がもっとも中国の経済成長にインパクトを与えるとともに,西部開発にも役立つことがわかりました。

討論者として鄭小平先生(立命館大学)がコメントをしてくれました。

Gallup,Sachs and Mellinger(1999)は都市化が経済成長に正のインパクトを与えるというものの,都市化による負の影響(渋滞や環境問題)をどのように計測するか,という点を指摘してくれました。今回の分析モデルでは正の影響しか計測することができないという限界があります。都市化には多様な側面(外部経済や不経済)を考慮して,多面的な分析が必要です。今後,外部不経済も考慮したモデル化を考える必要があります。

また,座長である浜口伸明先生(神戸大学)からは,集積を地域内投入係数の増加とすると,投入係数が増大し,産業の生産活動としては非効率化するように思うという意見をいただきました。たしかに産業集積が進むと地域内投入が増えるとしても,その分地域外からの投入は減ると考えるのが自然であるかもしれません。IOの実証分析では,経済発展が進むと投入係数が増加していきます(生産工程の迂回化)。その後経済が成熟するにつれて,付加価値が増加して中間投入部分が減少していきます。中国経済が今どの段階にあるのかも考えて適切な仮定が必要になってくるのかもしれません。

これらは今後の課題としていきたいと思います。

今回の学会では,その他に細江先生(GRIPS)のIO表の推計がCGEモデルにどれくらい影響を与えるかという計測結果が発表されていました。また爲季,堤先生(筑波大)による「LQ法による地域投入係数の推定精度の比較」も勉強になりました。


写真 (12).JPG
posted by okmtnbhr at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック